(写真)善通寺駅。
2023年(令和5年)3月、香川県善通寺市を訪れました。総本山善通寺の門前町として栄え、戦時中には軍都としても栄えた善通寺市には近代建築が多数ありました。「善通寺市の映画館」に続きます。
1. 善通寺市の近代建築
1.1 JR善通寺駅本屋(1889年、国登録)
香川県初の鉄道は讃岐鉄道(現・JR予讃線/土讃線)であり、1889年(明治22年)に丸亀駅と琴平駅を結ぶ鉄道として開業しました。途中駅として設けられたのが善通寺駅であり、現在の駅舎は開業時のものだそうです。
JR善通寺駅という文字は赤色と青色のネオンサインとなっています。明治時代の建築に昭和戦後の文化を組み合わせてしまう点が斬新。かつては近くの琴平駅や愛媛県の宇和島駅にもネオンサインが用いられていたようです。駅舎はJR善通寺駅本屋として登録有形文化財に登録されています。
(写真)善通寺駅のネオンサイン。
1.2 旧善通寺偕行社(1903年、重文)
善通寺駅から徒歩5分ほどの場所には重要文化財の旧善通寺偕行社があります。桁行41.8m、梁間12.7mという巨大な木造建築であり、第11師団が拠点を置いた軍都・善通寺市の歴史を感じさせます。
かつては正面に善通寺市役所がありましたが、市役所の新庁舎が旧善通寺偕行社の西側に場所を変えて建設されたことで、片原町通り(香川県道209号)からも見渡せるようになりました。
1.3 大川酒店/大川家住宅(1901年/1937年、国登録)
香川県道209号の北200mに並行する本郷通り沿いには、明治時代竣工の和風建築と昭和初期竣工の洋館がセットになった建物があります。和風建築は大川酒店、洋館は大川家住宅であり、いずれも登録有形文化財に登録されています。
黒漆喰の壁面や黒い屋根瓦を持つ大川酒店と、ピンク色の壁面や赤い屋根瓦を持つ大川家住宅。それぞれ建築は主張が強いものの、バランスのよい組み合わせです。
(写真)大川酒店と大川家住宅。
(左)大川酒店。(右)大川家住宅。
1.4 善通寺町の建物
(写真)善通寺町5丁目1。
(写真)善通寺町5丁目1。
(左)善通寺町1丁目4 松浦商店。(右)善通寺町6丁目2 OFFICE内田。
(左)善通寺町5丁目1 銀のしっぽ。(右)善通寺町6丁目3の民家。
片原町通りの善通寺市民会館の向かいには、白く塗られた下見板張りと水色に塗られた窓枠を持つ木造建築があります。隣に善通寺キリスト教会があるのが気になりますが、教会に関連する建物でしょうか。
(写真)上吉田町3丁目2の建物。
1.5 水尾写真館(1927年、国登録)
上記の木造建築の西150mには、1927年(昭和2年)竣工で登録有形文化財に登録されている水尾写真館があります。白色の下見板張り、水色の窓枠という組み合わせが同じなのですが同時代でしょうか。
(写真)水尾写真館。
1.6 旧森岡温泉(1943年)
四国銀行善通寺支店の数十メートル西、ブロックの中央部には銭湯の森岡温泉だった建物があります。北側の道路から建物に向かって路地が伸びており、路地の入口には「温泉湯」のネオンサインが添えられたアーチがあります。
森岡温泉は1943年(昭和18年)創業とのことですが、パラペットの幾何学模様や入口上部のレリーフを見るともっと古く見えます。
(写真)旧森岡温泉。
(写真)旧森岡温泉。
(写真)旧森岡温泉。
2. 善通寺市の商店街
2.1 善通寺市大通り商店街
近畿地方や西日本は全蓋式アーケード商店街を好む文化があり、善通寺市周辺でも丸亀市・坂出市・琴平町などには全蓋式アーケード商店街が残っています。
善通寺市で片側式アーケードを持つ商店街として善通寺市大通り商店街があり、かつては赤門筋商店街にも片側式アーケードがあったようですが、全蓋式アーケードは存在しなかったようです。
(写真)善通寺市大通り商店街。
2.2 赤門筋商店街
(写真)赤門筋商店街。