(写真)三田市街地を流れる武庫川。左が旧三輪町、右が旧三田町。
2023年(令和5年)9月、兵庫県三田市を訪れました。「三田市立図書館を訪れる」「三田市の映画館」に続きます。
1. 三田市を訪れる
三田は三田城(三田陣屋)の城下町として発展した町。1889年(明治22年)の町村制施行時には周辺で唯一町制を敷き、有馬郡三田町が発足しています。明治時代には武庫川の対岸にある有馬郡三輪村に三田駅が開業していますが、三田町や三輪町が合併して改めて三田町が発足したのは1956年(昭和31年)のことです。
このため、映画黄金期である昭和20年代の映画館名簿を見ると、有馬郡の映画館としては三田町の三田劇場、三輪町の三映劇場の2館が掲載されています。これらはいずれも現在の三田市街地にあった映画館であり、両者の距離は約300mしか離れていません。
(写真)現在の航空写真における旧三田町と旧三輪町。
1.1 三田本町通りセンター街
三田市街地で最も古い商店街は三田本町通りセンター街です。1960年代の航空写真を見ると、三田本町郵便局を中心とする150mほどの長さのアーケードらしきものが見えます。
(写真)三田本町通りセンター街。
(写真)三田本町通りセンター街。右は車瀬橋商店街。
1.2 車瀬橋商店街
車瀬橋商店街は三田市唯一の全蓋式アーケード商店街であり、三田本町通りセンター街の西側から武庫川に向かって形成されています。南北に50mの短いアーケードが設置されていますが、北半分は天幕が外されてしまってアーケードの体裁をなしていない上に、営業中の店舗は雑貨店の一冨士だけでした。
(写真)車瀬橋商店街。
(写真)車瀬橋商店街。
(写真)車瀬橋商店街。
2. 三田市の近代建築
2.1 旧九鬼家住宅
(写真)旧九鬼家住宅。
(写真)旧九鬼家住宅。
2.2 三田市の医院建築
旧辻井医院(中町3-17)
三田駅から三田駅前商店街を南に約300m歩くと、相生橋で武庫川を渡る前に旧辻井医院があります。1926年(大正15年)にこの場所で開業したとのことですが、建物の竣工も同時期でしょうか。門には布面タイルが、玄関にはモザイクタイルが使われています。門の瓦は昔のままでしょうか。2007年(平成19年)にはこの場所から移転し、つじい医院に改称して皮膚科メインになったようです。
(写真)旧辻井医院。
(写真)旧辻井医院。
(写真)旧辻井医院。
小島医院(中町3-16)
プラザホテルの南隣、旧辻井医院の北隣には小島医院があります。外観は地味ですが玄関周りにスクラッチタイルが使われていました。医院の北側には和風建築の本宅があります。
(写真)小島医院。
(写真)小島医院。
釘宮鍼灸院(三田町5-8)
三田本町郵便局のある角から北すぐの場所には釘宮鍼灸院があります。周辺はかつて新地と呼ばれた花街であり、しんち稲荷や銭湯のしんち湯などの名前に往時の名残があります。釘宮鍼灸院の東側には水路に面した料亭 如月の建物が残っていました。釘宮鍼灸院の建物は和風建築ですが、腰壁にはスクラッチタイルやモザイクタイルが使われています。
(写真)釘宮鍼灸院。
(写真)釘宮鍼灸院。