(写真)倉敷市立児島図書館。
2021年(令和3年)8月、岡山県倉敷市児島地域を訪れました。「倉敷市児島地域の映画館」に続きます。
1. 児島地域を歩く
近代の児島地域は縫製業で栄え、高度経済成長期には特に学生服やジーンズの製造で知名度が高まりました。1960年(昭和35年)の児島市の映画館数は実に13館。岡山県では25館の岡山市に次いで第2位であり、11館の倉敷市、10館の玉野市を上回っています。
1965年(昭和40年)には児島市と倉敷市の映画館数が10館で並び、1966年(昭和41年)には10館を維持していた倉敷市が8館となっていた児島市を上回りました。翌1967年(昭和42年)には〈旧〉倉敷市・児島市・玉島市が対等合併して〈新〉倉敷市が発足し、児島市は倉敷市児島地域となっています。
1.1 児島ジーンズストリート
1960年代の航空写真を見ると、現在とは異なる場所にある国鉄児島駅前から「T」字型に全蓋式アーケードが伸びる味野商店街が目につきます。1970年代以降の児島は急速に衰退しますが、撤去される費用もないままアーケードが維持されていたようです。
2008年(平成20年)から2009年(平成21年)にかけて味野商店街のアーケードを撤去し、2009年(平成21年)には空き店舗にジーンズショップを呼び込む「児島ジーンズストリート」構想を開始。ジーンズの聖地でありながらジーンズを販売する店舗が少なかったとのことですが、現在はジーンズショップを中心として多数の新規出店店舗が営業しています。
(写真)児島ジーンズストリート。かつて全蓋式アーケードで覆われていた。
(写真)児島ジーンズストリート。かつて全蓋式アーケードで覆われていた。
(写真)児島ジーンズストリート。「T」字の中心にある公園。かつて全蓋式アーケードで覆われていた。
1.2 児島地域の近代建築
基幹産業がありながら急速に衰退した地域にはよくあることですが、児島ジーンズストリート周辺には見栄えする近代建築が多数残っています。
(写真)旧片岡書店。
(写真)旧安田銀行児島支店。
(写真)旧第一合同銀行味野支店。
(写真)旧味野郵便局。
(写真)児島ジーンズストリートの街並み。
2. 倉敷市立児島図書館
2.1 図書館の歴史
現在の倉敷市は1967年(昭和42年)に〈旧〉倉敷市・児島市・玉島市の3市が対等合併して発足した自治体です。児島市だけは図書館がありませんでしたが、1973年(昭和48年)に児島公民館への併設で初代倉敷市立児島図書館が開館しました。
2011年(平成23年)10月1日には児島市民交流センターの図書館・ホール棟に現行館が開館。児島図書館の床面積は2,671.36m2(共用部分含まず)です。やや古さや狭さを感じる倉敷市立中央図書館と比べると、広くて明るくて気持ちのいい施設でした。
旧館の建物は民間に売却され、デニムを中心とするアパレルメーカーであるキャピタル瀬戸内児島赭店の事務所・店舗・工場となっているようです。建物内の旧図書館部分はSOHO BOOKS(ソホブックス)という書店になっており、図書館で使用されていた木製書架やガラスケースの一部が残っているとのことで、こんな使われ方をされている旧図書館施設は珍しい。
(写真)倉敷市立児島図書館。
2.1 図書館の館内
(写真)図書館の館内。雑誌コーナー。
(写真)ジーンズ関連図書コーナー。
(左)郷土資料の書架。(右)一般書の書架。