(写真)旧生駒町公設市場。
2022年(令和4年)6月、奈良県生駒市を訪れました。「生駒市の映画館」に続きます。
1. 生駒市の商店街
1.1 ぴっくり通り
歴史的に生駒は生駒山にある宝山寺の門前町であり、1914年(大正3年)に生駒トンネルが開通して大阪電気軌道(現在の近鉄奈良線)が開業したことが発展の契機となったようです。
今日の生駒市は大阪府のベッドタウンであり、大阪府への通勤通学者は生駒市民の40%以上に上ります。住宅地は市域の広範囲に広がっていますが、生駒山の影響で大阪府への交通手段が限られることで、現在でも近鉄生駒駅が町の中心であることには変わりないようです。
(写真)ぴっくり通り商店街。アーケード南端部。
生駒市の旧市街と言えるのは近鉄生駒駅の南側。ぴっくり通り商店街(生駒駅前商店街)は約90mの短い全蓋式アーケード商店街です。近鉄生駒駅の北側には近鉄百貨店生駒店やベルテラスいこまといった大型商業施設があり、ぴっくり通り商店街はもっと廃れていてもおかしくないですが、健闘していると言える人通りでした。
(写真)ぴっくり通り商店街。
(写真)イコマサウスモール。
現在はぴっくり通り商店街が目立っていますが、往時はアーケード南端から西に延びる本町商店街が生駒の賑わいの主役だったようです。1970年(昭和45年)の写真を見ると1916年(大正7年)開店という萬隆軒が見えますが、「創業95年の味を誇る老舗」と書かれた庇が現在でも残っています。
(写真)1970年の本町商店街。『目で見る 大和郡山・生駒の100年』(郷土出版社、1993年)。
(写真)ぴっくり通りや旧生駒町公設市場周辺。
1.2 旧生駒町公設市場
ぴっくり通り商店街のアーケード南端部から20m南に歩くと、東側の路地には木造アーケードの旧生駒町営公設市場があります。
(写真)旧生駒町公設市場。
1914年(大正3年)に生駒トンネルが開通して生駒駅が開業し、1918年(大正7年)に生駒鋼索鉄道(現在の生駒ケーブル)が開業すると、生駒駅の南側にある本町は門前町としてさらに発展。1921年(大正10年)に生駒郡北生駒村が町制を施行して生駒町となり、1926年(大正15年)にできたのが生駒町営公設市場です。
(写真)旧生駒町公設市場。
(写真)旧生駒町公設市場。
(写真)旧生駒町公設市場。
木造アーケードの写真を撮っていると、アーケード内の民家から出てきた女性に話しかけられました。「昔はアーケード内が市場だった。私の店もアーケード側を向いていたが、現在は北側の通りを向いて商売している」とのこと。北側の通りに入口があるシューズショップつじのの方でした。シューズショップつじのの西隣には、公設市場の開業時から残っていると思われる民家がありました。
(写真)シューズショップつじの。裏側が木造アーケード。
(写真)シューズショップつじのの西隣にある民家。裏側が木造アーケード。
(写真)木造アーケードの入口付近。左手前の建物と左中央の建物の間の路地から入る。
2. 生駒市の社会教育施設
2.1 生駒市図書館
組織としての生駒市図書館は1図書館2分館2図書室の5施設からなります。生駒市図書会館の1階にあるのが生駒市図書館(本館)ですが、組織名と同名なので少しややこしい。
2020年(令和2年)にはLibrary of the Yearで優秀賞を受賞、2021年(令和3年)にはBibliobattle of the Yearで大賞を受賞しています。Library of the Yearでは市民協働によるビブリオバトル全国大会や図書館ワークショップから生まれた「本棚のWA」などが高く評価されたとのこと。
郷土資料と参考図書があるエリアは一般図書のエリアからやや隔てられている。生駒市と奈良県の資料の区別がなされていなくて探しにくいなと思いましたが、生駒市に関する資料の一部はカウンター近くの棚に別置されていました。
2.2 生駒ふるさとミュージアム
生駒市の資料館としては生駒ふるさとミュージアムがあります。建物は1933年(昭和8年)に生駒町役場として建てられ、1959年(昭和34年)には生駒町中央公民館に転用されたもの。2010年(平成22年)に登録有形文化財に登録され、2014年(平成26年)に生駒ふるさとミュージアムとして開館しています。
(写真)生駒ふるさとミュージアム。