(写真)『The KeMCo Review 02』。
2024年(令和6年)3月末、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)の学術雑誌『The KeMCo Review 02』が刊行されました。
私が書いた研究ノート「映画館情報の蓄積と可視化:戦後の日本における消えた映画館」を掲載してもらいました。『The KeMCo Review 02』の公式ページ上では雑誌の全ページがPDFで公開されています。
1. 概要
1.1 学術雑誌『The KeMCo Review』
慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)は2021年(令和3年)4月に開館したばかりの新しいミュージアムであり、東京都港区の慶應義塾大学三田キャンパスに所在します。
2023年(令和5年)3月には創刊号に当たる『The KeMCo Review 01』がオブジェクト・ベースト・ラーニング」(オブジェクト介在型学習)を特集テーマとして刊行されました。『The KeMCo Review 02』は第2号にあたります。
1.2 特集テーマ「パブリック・ヒューマニティーズ」
今号の特集テーマは「パブリック・ヒューマニティーズ」(公共人文学)であり、公共人文学とは「人文学の研究成果を広く社会に拓く」という意味があります。サイト「消えた映画館の記憶」を作成する活動は、公共人文学の実践に当たる活動だと考えており、特集テーマには強く共感しています。
論考の前半ではサイト「消えた映画館の記憶」の構築について紹介。後半ではサイトを活用した調査研究の事例として、東海・北陸甲信越・近畿地方に現存する映画館建築を列挙しています。ひたすら跡地の特定と建物の同一判定を行った単純な調査研究なのですが、映画館建築という分野ではほとんど先行研究がありません。
(写真)「映画館情報の蓄積と可視化:戦後の日本における消えた映画館」の冒頭。
1.3 投稿資格
この学術雑誌の投稿資格は「慶應義塾教職員および⼤学院⽣」や「修⼠の学位を有する者もしくはこれと同等以上の研究者」で、"同等以上の研究者"というのがミソです。内容次第では中高生や学部生でも投稿が受理されるかもしれません。
編集部から投稿資格を満たしているかどうかの確認はありましたが、実質的には論考の中身の査読だけで掲載が決定しています。研究機関に属していない在野の研究者にも発表の機会を与えようとする『The KeMCo Review』編集委員会の方針はすごいなあと思いました。