振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

竹田市を訪れる

(写真)竹田市の町並み。

2024年(令和6年)3月、大分県竹田市(たけたし)を訪れました。「竹田市立図書館を訪れる」「竹田市の映画館」に続きます。

 

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1. 竹田市を訪れる

竹田市大分県の内陸部にある人口約2万人の自治体。大分駅熊本駅を結ぶJR豊肥本線の沿線にあり、竹田市からさらに西に向かうと熊本県阿蘇地方です。

豊後竹田駅に降り立ってまず驚くのが、駅の裏手が崖になっていて落差約40mの滝(落門の滝)が流れ落ちていること。竹田市街地は小規模な盆地に形成されており、どこから向かうにもトンネルで山を越えないといけないことから、「レンコンの町」の異名を持つようです。

(写真)豊後竹田駅

 

山に囲まれていて開発可能な土地が少ないことから、コンパクトな市街地に施設が密集しています。豊後竹田駅から廣瀬神社までの範囲を散策し、映画館跡地をめぐったり竹田市立図書館で文献調査を行いました。

(地図)竹田市街地の地図。上が南、下が北。

(地図)竹田市街地の地図。上が西、下が東。

 

1.1 竹田市の町並み

(写真)本町通りの辻から見た下本町通りとNTT西日本竹田ビルの電波塔。

(写真)横町通りと上町通りの辻。右は登録有形文化財の吉川家住宅倉庫。

(写真)竹田市立図書館がある府内町通り。

(写真)田町通り。中央奥は広瀬神社の鳥居と石段。

(写真)NTT西日本竹田ビルから北東に延びる溝口通り。かつては竹田市唯一の全蓋式アーケード商店街。

 

2. 竹田市の和風建築

2.1 山本屋種苗店

魚町通り新町通りの角には黒漆喰の壁が目立つ山本屋種苗店があります。山本屋種苗店は文禄2年(1593年)創業であり、大分県中小企業診断士協会によると「大分県一の老舗」だそうです。2本の通りがやや鋭角に交わっていることから、山本屋種苗店の建物の角は90度ではなく80度程度の鋭角になっています。

(写真)山本屋種苗店。

(写真)山本屋種苗店の「山」字が入った瓦。

 

2.2 姫野一郎商店

山本屋種苗店から新町通りを80m南に向かうと、北側の妻面に鏝絵(こてえ)が描かれた姫野一郎商店があります。文化庁は「大分の鏝絵習俗」という冊子を出していますが、大分県は全国で最も鏝絵を持つ建物が多いとされ、特に旧安心院町(現・宇佐市)に多いようです。翌日に訪れた日出町でも鏝絵を持つ建物を複数見かけています。

(写真)姫野一郎商店。

(写真)龍が描かれた姫野一郎商店の鏝絵。

 

2.3 竹田市の蔵

狭い竹田市街地だけでも、塩屋、旧竹屋書店、佐藤家住宅、吉川家住宅などの建物が登録有形文化財に登録されており、主屋または店舗と土蔵がセットで登録されています。面取りがなされて柔らかい印象の蔵が多いのが地域制でしょうか。

(写真)竹田市立図書館の南西にある蔵。

(写真)竹田市立図書館の南西にある蔵。

 

3. 竹田市の近代建築

3.1 谷川時計店

田町通りにあるトラベルイン吉富の東側には看板建築の谷川時計店があります。2階壁面の赤煉瓦、2階部分の縦長の窓、パラペット部分の黄土色のモルタル、パラペット中央部の「谷」の字と、いろんな要素がかっこいい。

(写真)谷川時計店。

(写真)谷川時計店の「谷」字。

(写真)谷川時計店と田町通り。

 

3.2 三宅洋服店

谷川時計店から東に50m歩くと、登録有形文化財の佐藤家住宅の向かいには三宅洋服店があります。一見すると地味な建物ですが、2階外壁の一部をドイツ壁風にして内部に木製の店名看板があるという、凝った意匠の建物です。

(写真)三宅洋服店

(写真)三宅洋服店