振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

倉吉市を訪れる

(写真)倉吉淀屋。倉吉市に現存する最古の商家建築。

2023年(令和5年)12月、鳥取県倉吉市を訪れました。「倉吉市の映画館」に続きます。

 

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1. 倉吉市の建築物

1.1 倉吉淀屋(市指定)

倉吉市中心市街地には倉吉市打吹玉川(くらよししうつぶきたまがわ)重要伝統的建造物群保存地区があり、赤褐色の石州瓦や漆喰の土蔵群で知られています。

伝建地区の範囲内には、鳥取県指定保護文化財として高田酒造、桑田醤油醸造場、登録有形文化財として豊田家住宅、大社湯、旧国立第三銀行倉吉支店、旧高田酒造があります。わずかに伝建地区の範囲から外れた場所に倉吉市指定文化財の倉吉淀屋があり、実質的には伝建地区と一体的に紹介されています。

(写真)倉吉淀屋。右が主屋、左が付属屋。

 

倉吉淀屋は倉吉市で最も古い商家建築であり、主屋が竣工したのは宝暦10年(1760年)とのこと。幕末くらいの建物だろうかと感じるほど広々としているし古さを感じない。通りからはつし2階の窓が見えますが、つし2階部分も驚くほど広くて開放感があります。

(写真)倉吉淀屋。主屋。正面上はつし2階。

(写真)倉吉淀屋。主屋のつし2階。

(写真)倉吉淀屋。付属屋。

 

1.2 豊田家住宅(国登録)

倉吉淀屋の南には登録有形文化財の豊田家住宅があります。主屋の竣工は1900年(明治33年)であり、両隣の町屋よりもわずかに屋根が低い。倉吉淀屋と比べるとかなり間口が狭いこともあってこじんまりとして見えますが、京町屋のように奥に長い敷地を持っています。

(写真)豊田家住宅。

(写真)豊田家住宅。

 

1.3 大社湯(国登録)

倉吉淀屋の北には2022年(令和4年)11月に廃業した大社湯の建物があります。1907年(明治40年)頃に竣工・開業したという銭湯であり、北側の腰壁部分には煉瓦が使われています。南隣にある出雲大社倉吉分院が名称の由来です。

(写真)大社湯。

(左)大社湯。(右)出雲大社倉吉分院。

 

1.4 高田酒造(県指定)

伝建地区の範囲内では、高田酒造と桑田醤油醸造場が鳥取県指定保護文化財に指定されています。指定保護文化財とは聞きなれない言葉ですが、鳥取県指定文化財の中の区分のようです。

(写真)高田酒造。

 

1.5 桑田醤油醸造場(県指定)

高田酒造と同じく鳥取県指定保護文化財である桑田醤油醸造場の建物では、東端にあるうだつが目につきます。もともとうだつは京町屋における意匠であり、京都文化圏である倉吉にあってもおかしくはないのですが、鳥取県教育委員会によると「当地には珍しい卯建」だそうです。

(写真)桑田醤油醸造場。

(写真)桑田醤油醸造場。

(写真)桑田醤油醸造場。うだつ。

 

1.6 旧日本産業貯蓄銀行倉吉支店

伝建地区の銀行建築としては登録有形文化財の旧国立第三銀行倉吉支店もありますが、未登録/未指定の旧日本産業貯蓄銀行倉吉支店の建物が気になる。意匠の濃い看板建築であり、間口の狭さを感じさせない存在感があります。

(写真)旧日本産業貯蓄銀行倉吉支店。

(写真)旧日本産業貯蓄銀行倉吉支店。

 

2. 倉吉市立図書館

(写真)図書館の館内。

(写真)図書館の館内。

(写真)図書館の郷土資料。

(写真)『西日本住宅詳細図』三公商会、1960年代前半。倉吉市立図書館所蔵。