振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

江北図書館を訪れる

(写真)江北図書館の外観。

2022年(令和4年)10月、滋賀県長浜市木之本町にある江北図書館(こほくとしょかん)を訪れました。

 

1. 江北図書館を訪れる

1.1 図書館の運営

江北図書館は1907年(明治40年)に開館し、1937年(昭和12年)に現在の建物が竣工しています。今日では珍しい財団立の公共図書館であり、「滋賀県に現存する最古の図書館」とされます。2016年(平成28年)には江北図書館 - Wikipediaを作成しました。2020年(令和2年)8月に木之本町や江北図書館を訪れた際にはブログ「木之本町の映画館」を書いています。

ja.wikipedia.org

ayc.hatenablog.com

 

江北図書館の運営資金は法人の基本財産の運用益であり、財政的に苦しい状況が続いているとのこと。木之本町には公立図書館である長浜市立木之本まちづくりセンター図書室もありますが、すみ分けについてはどう考えているのだろう。

個人的には図書館としての機能を断念する選択もありかと思いますが、江北図書館は図書館の機能、蔵書、建物のすべてを残すべく活動しているようです。公式サイトには貸出冊数(10冊)や貸出期間(5週間)に関する案内に加えて、レファレンスサービスやコピーサービスに関する案内もあります。

 

1.2 図書館の建物

長浜市は木之本を歴史まちづくりの重点区域に定めています。「北国街道 木之本宿」という名称での観光資源化を模索しており、歴史的建造物の文化財登録を進めています。2022年(令和4年)現在では8件が登録有形文化財に登録されており、その多くは山路酒造や岩根醤油醸造店などの商家ですが、近代建築としては1935年(昭和10年)竣工のきのもと交遊館(旧滋賀銀行木之本支店)が登録されています。

1937年(昭和12年)竣工の江北図書館も歴史まちづくりの重点区域内にありますが、まだ文化財指定/登録はなされていません。木造ではありますが洋風の香りのする建築物であり、登録有形文化財相当の価値があると思われますが、図書館法によって自治体の補助金供与の対象外であることから登録を行わないのでしょうか。

図書館法 第二十六条

国及び地方公共団体は、私立図書館の事業に干渉を加え、又は図書館を設置する法人に対し、補助金を交付してはならない。

(左)ファサード上部。(右)図書館入口。

 

1.3 講堂の什器や展示

江北図書館の運営者は公益財団法人江北図書館ですが、2021年(令和3年)には運営メンバーが一新され、理事の平均年齢は20歳も若返ったとのことです。司書資格を有する古書店主が新館長に就任し、運営資金をクラウドファンディングで募るなどの取り組みを検討しています。雑然としていた2階の講堂はすっかり整理され、イベントなどにも活用されているようです。

(写真)2階の講堂。

(写真)2階の講堂。

(写真)2階の講堂。

(写真)2階の講堂。

(写真)2階の講堂。

(写真)2階の講堂。巡回箱。

 

私が訪れた際には江北図書館で用いられてきた蔵書印が展示されていました。1907年(明治40年)の開館から1世紀以上を経ている図書館ならではの取り組みを模索しているみたい。

(左)「江北図書館印」の蔵書印。(右)「杉野文庫」の蔵書印。

(左)蔵書印。(右)ブックエンド。

(写真)江北図書館の歴史に関する展示。

(写真)江北図書館の蔵書を用いた展示。