振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

伊那市創造館を訪れる

(写真)伊那市創造館。

2023年(令和5年)11月、長野県伊那市荒井の伊那市創造館を訪れました。

1930年(昭和5年)竣工の近代建築である旧上伊那図書館内にある博物館。8月26日から12月25日まで、1966年(昭和41年)の伊那市中心部に焦点を当てた企画展「伊那まち・1966」が開催されています。

 

1. 伊那市創造館を訪れる

1.1 建物

建物は1930年(昭和5年)に上伊那図書館として竣工した近代建築であり、上伊那地方に現存する最古の鉄筋コンクリート造建築物、伊那市唯一の洋館とされています。2008年(平成20年)に伊那市指定文化財となり、2010年(平成22年)に伊那市創造館が開館しました。

初めて訪れた2016年(平成28年)にはWikipedia記事の 上伊那図書館 - Wikipedia を、この2023年(令和5年)11月には 伊那市創造館 - Wikipedia を作成しています。

(写真)建物外観。2016年。

 

建設資金を提供したのは実業家・政治家の 武井覚太郎 - Wikipedia であり、敷地内には銅像「武井覚太郎翁像」が建っています。外壁にはスクラッチタイルが用いられており、モルタルとスクラッチタイルの茶色の濃淡が美しい。

(左)武井覚太郎翁像。(右)スクラッチタイルの外壁。

 

1.2 館内

1930年(昭和5年)に地方都市に竣工した建物とは思えない館内。エレベーターが設置されている場所はもともとどうなっていたのでしょうか。3階部分には広々とした講堂があるようです。

(写真)1階の体験学習室。

(写真)3階の階段室と出窓。

(写真)3階の講堂。

(写真)大理石の階段手すり。

 

1.3 常設展示

常設展示室では神子柴遺跡の出土品(重要文化財)などが展示されています。伊那市創造館が開館するにあたって、天井や壁面にはかなり改修が施されているようですが、柱のレリーフなどはそのままでしょうか。

(写真)常設展示。

(写真)常設展示室の柱。

 

2. 企画展「伊那まち・1966」

今回の企画展「伊那まち・1966」では、1966年(昭和41年)の伊那市中心部がテーマとなっており、看板建築群がある通り町の町並みが模型で再現されていました。昭和時代の伊那市の写真も多く展示されています。

(写真)企画展「伊那まち・1966」。

(写真)企画展「伊那まち・1966」。

(写真)企画展「伊那まち・1966」。

 

目を引くのが正藤商店(まさふじしょうてん)の銅板製戸袋の展示。1933年(昭和8年)、山浦右三によって伊那市の通り町に創業し、1949年(昭和24年)の伊那大火で店舗が焼失した後、一部が銅板に覆われた看板建築として再建されました。銅板が用いられた看板建築としては最も遅くに建てられた建物だそうです。

2021年(令和3年)には再開発事業のために店舗が取り壊され、同じ通り町の200m離れた場所で営業を再開していますが、2023年(令和5年)10月にはこの店舗も閉店となりました。

(写真)正藤商店の展示。

 

伊那市通り町の看板建築群は戦前の竣工かと思っていたので、1949年(昭和24年)12月の大火後の復興建築であるとは驚き。1947年(昭和22年)4月には飯田市でも飯田大火が起こっており、伊那谷の両都市はこれらの大火を機に現在の町並みが形成されたようです。

(写真)正藤商店の銅板製戸袋。

 

3. 旧上伊那図書館書庫

3.1 主要な展示

(写真)書庫の下段。

(写真)書庫の下段。武井覚太郎と武井文庫。

(写真)書庫の下段。(左)館則摘要。(右)日誌など。

(写真)書庫の下段。(左)レリーフ。(右)ブックカード。

 

3.2 書庫下段

(写真)書庫の下段。

(写真)書庫の下段。

 

3.3 書庫上段

(写真)書庫の上段。

(写真)書庫の上段。

(写真)書庫の上段。