(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。
2023年(令和5年)3月、徳島県三好市池田町(阿波池田)を訪れました。「阿波池田の映画館」に続きます。
1. 阿波池田を訪れる
三好市は徳島県西部にある人口約2万5000人の自治体。徳島市から吉野川を約80km遡った場所にあり、池田市街地の標高は約120mです。香川県高松市と高知県高知市を結ぶJR土讃線が通っており、阿波池田駅には上下とも1時間に1本の頻度で特急「南風」が停車します。
1.1 阿波池田駅前通り商店街
かつての阿波池田のメインストリートは本町通りでした。阿波池田駅から本町通りに向かって、全蓋式アーケードの阿波池田駅前通り商店街が伸びています。中央線はないものの実質2車線の広い通りであり、260mの全区間が徳島県道161号阿波池田停車場線に指定されています。
(写真)阿波池田駅前通り商店街。
(写真)阿波池田駅前通り商店街。
(写真)阿波池田駅前通り商店街の南端部。三芳菊酒造「三芳菊」のネオンサイン。
(左)阿波池田駅前通り商店街の南端部。(右)北端部。
かつては四国有数の宿場町として栄えた町であり、現在もJR土讃線から徳島線が分岐する交通の要衝にあります。現在も駅前にある複数のビジネス旅館に名残を感じます。1930年(昭和5年)創業のふくや菓子店を併設するふくや旅館は外壁が個性的。アーケード南端部の脇にある清月別館は赤色や黄土色のタイルが鮮やかです。
(写真)阿波池田駅前通り商店街のふくや旅館。
(写真)阿波池田駅前通り商店街の北端部にある清月別館。
1.2 本町通り
うだつはかつて京都文化圏だった地域にみられる意匠です。重伝建に選定されている美馬市脇町の「うだつの町並み」、つるぎ町貞光の「貞光二層うだつの町並み」、そして阿波池田の本町通りと、徳島県西部にはうだつに特徴づけられる街並みが複数あります。袖うだつが多いのが徳島県の特徴であり、本うだつは本町通りの1か所にしかないようです。
(写真)本町通りの袖うだつ。(左)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。(右)三芳菊酒造。
(写真)本町通りのうだつの町並み。
(写真)本町通り。
2018年(平成30年)には5軒の町屋が登録有形文化財に登録されています。うだつが見られるエリアこそ狭いものの、美馬市脇町、つるぎ町貞光とは特徴が異なるように見える。なお、三好市における登録有形文化財の密度で言えば6km東の辻市街地のほうが上です。
(写真)古民家を用いた三好市地域交流拠点 施設 真鍋屋「MINDE」。
1.3 阿波池田うだつの家・たばこ資料館
本町通りのうだつ文化や阿波池田のたばこ産業を紹介する展示施設として阿波池田うだつの家・たばこ資料館があります。真鍋家住宅が池田町に寄贈された際に開館した資料館であり、建物自体が三好市指定文化財となっています。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。主屋。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。離れ。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。離れ。
徳島県の伝統的な作物と言えば藍ですが、徳島県西部の山間部ではタバコが卓越していたようです。阿波池田は阿波国→徳島県における葉タバコの集積地であり、最盛期には100軒以上の刻みたばこ業者がありました。うだつを有する本町通りの町屋はたばこ業者の店舗や邸宅ということになります。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。展示。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。展示。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。展示。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。展示。
(写真)阿波池田うだつの家・たばこ資料館。展示。
(写真)1905年の専売局池田製造所。展示写真。
(写真)1920年の池田専売支局池田工場。展示写真。