(写真)水戸市水道低区配水塔。
2023年7月22日(土)、茨城県水戸市の茨城県立図書館で開催された「ウィキペディアタウン in 茨城」に参加しました。
1. イベント概要
1.1 題材
今回の題材は茨城県立図書館のすぐ近くにある「水戸市水道低区配水塔」。1932年(昭和7年)に建てられた近代建築であり、2000年(平成12年)には水道施設としての運用を終了しています。華やかな外観で周辺のランドマーク的存在であり、近代水道百選、登録有形文化財、ヘリテージング100選、土木学会選奨土木遺産などとして評価されています。
1.1 運営
Wikipediaの講師は合同会社ミドリアイティの小池隆さんです。2015年(平成27年)から2016年(平成28年)に水戸市で開催されたウィキペディアタウン水戸や、2016年(平成28年)に開催されたウィキペディアタウン筑波山などでも講師を務められています。また、2015年(平成27年)から2018年(平成30年)には大山道に関連する史跡などをWikipediaに作成するウィキペディア街道プロジェクトを行っており、私も世田谷代官屋敷を取り上げた回に参加したことがあります。
主催の茨城県立図書館からは情報資料課の上本隆幸さんらが文献収集などを担当。題材となる低区配水塔については水戸市上下水道局の勝山さんが説明してくださり、普段は入れない低区配水塔の内部も見学しました。
(左)事前に準備された文献。(右)文献の説明をする茨城県立図書館の上本さん。
2021年(令和3年)に水戸市を訪れた際には外観の写真を撮っており、その後作成されたWikipedia記事には私の写真が貼られていました。いつか内部に入ってみたいと思ってた史跡ですが、内部の公開は原則としてされていません。なお、低区配水塔と対になる建物として高区配水塔がありましたが、こちらは1999年(平成11年)に取り壊されています。
(写真)低区配水塔と高区配水塔。
1.2 参加者
一般的なウィキペディアタウンとは参加者の傾向が異なっていました。参加者全員を把握したわけではありませんが、図書館情報学者の根本彰さん、大学で教育学を教えている方、水戸市内の公共図書館員や学校図書館員、埼玉県内の図書館員などがいました。イベント開始前にはPCを開いてる方が多く、国立国会図書館デジタルコレクションを開いてる方もいました。
2. 配水塔見学
午前中には水戸市上下水道局の方の説明と低区配水塔見学、午後に文献調査やWikipedia編集というスケジュールです。低区配水塔の内部はそれほど広くないため、参加者15人が3グループに分かれて見学しました。
(写真)低区配水塔の前で説明を聞く参加者。
(写真)低区配水塔内部のらせん階段を上る参加者。
(写真)低区配水塔の2階。(左)引入管や引出管。(右)内径8mの鉄製水槽。
(写真)低区配水塔のテラス。茨城県庁三の丸庁舎や茨城県立図書館が見える。
3. Wikipedia編集
「水戸市水道低区配水塔」については既にWikipediaに記事があったため、午後の文献調査の前には加筆することを参加者全員で議論しました。加筆できそうなことを端的にまとめた資料が配布されていたのが役立ちました。
きちんとしたWikipedia編集を行う際には、一般的なレファレンスサービスの水準より掘り下げた文献調査が必要なことも多い。今回の題材は1932年(昭和7年)に完成した配水塔であるため、完成時の新聞記事や写真は著作権が切れていると判断でき、これらの新聞記事や写真を使うことで内容の深みが増します。茨城県立図書館によってこのような記事や写真なども準備されていたことに感激しました。
(左)茨城県立図書館によって準備された文献。(右)完成時の高区配水塔の写真。『水戸市水道抄誌』1932年。著作権が切れているためWikipedia記事に使用できる。
15人の参加者が「水戸市水道低区配水塔の歴史」、「水戸市水道低区配水塔のその他」、「水戸市水道高区配水塔」の3グループに分かれて編集を行いました。今回の題材は低区配水塔/高区配水塔ですが、しっかりした記事を書こうとすると「水戸市の水道の歴史」を把握する必要がある。充実した文献が複数ある水戸市の水道史をさくっと把握した上で文章を書くのは難しく、集めてくださった文献を全部は反映できていませんすが、興味のある題材だったので楽しかったです。
(写真)編集中の参加者。
編集記事
水戸市水道高区配水塔 - Wikipedia(新規) - Wikipedia参加者間の選考を経て7月26日にWikipedia日本語版メインページに掲載。