かつて水戸市には多数の映画館がありました。現在の水戸市にはシネコン2施設と成人映画館の3施設計17スクリーンの映画館があります。「水戸市の映画館(2)」(※2022年1月記事分割)、「水戸市の映画館(3)」(※2022年1月記事分割)に続きます。
1. 水戸市を訪れる
初めて水戸市を訪れました。台地の先端部分に中心市街地が形成されており、水戸駅は台地の下にありました。水戸駅の標高は約8m、台地の標高は約25-30mであり、水戸駅北口から銀杏坂を高低差20m近くも上って中心市街地に向かいます。
(写真)JR水戸駅北口。
(写真)JR水戸駅南口。
1.1 水戸市街地
水戸駅から北西に延びる国道50号がメインストリートであり、特にご当地百貨店のボンベルタ伊勢甚跡地にある京成百貨店が目立ちます。
水戸駅前の銀杏坂交差点、国道50号から国道118号が分岐する中央郵便局前の交差点、中心歓楽街の大工町交差点と、中心市街地の要所には横断歩道橋が残っていました。これらの横断歩道橋の場所、銀杏坂交差点や大工町交差点では道路がわずかに曲がっているのですが、これはかつて町と町の境目だった痕跡のようです。近世にはこの2つの交差点の場所に外堀があり、明治になって外堀を埋め立てて道路をつなげたことで曲がった道路が生まれたようです。
(写真)水戸駅前の銀杏坂。
(写真)水戸駅前の銀杏坂。
(写真)大工町交差点。
1.2 茨城県立図書館
茨城県立図書館は2020年(令和2年)5月7日から「カフェ整備工事や資料の整理作業等のため」に長期休館中。コロナ禍以前から計画されていた休館のようです。再開予定日の9月1日を過ぎても休館が続いていましたが、「新型コロナウイルス感染症の影響により工事着工が遅延している」ことから、9月24日から11月15日まで一時的に開館するとのことです。11月16日からはまた長期休館に入るのかな。水戸市立中央図書館は郷土資料も住宅地図も少なく、茨城県立図書館に入館できなかったのは残念でした。
(写真)茨城県立図書館。
2. 映画館調査
(地図)水戸市の映画館。赤は閉館した映画館、緑は営業中の映画館。地理院地図
2.1 映画館名簿
1955年の映画館名簿
(写真)『全国映画館総覧 1955年版』時事通信社、1955年。
1980年の映画館名簿
(写真)『映画館名簿 1980年』時事映画通信社、1979年。
2000年の映画館名簿
(写真)『映画年鑑2000別冊 映画館名簿』時事映画通信社、1999年。
2.2 航空写真
水戸駅周辺の映画館
大工町周辺の映画館
(写真)1960年代の大工町周辺。地理院地図
(写真)1980年代の大工町周辺。地理院地図
2.3 「新・盛り場風土記」
1953年(昭和28年)から1959年(昭和34年)の『キネマ旬報』には都市ごとに3ページから4ページで映画館事情を紹介する「新・盛り場風土記」という連載があり、1954年(昭和29年)3月下旬号では水戸市が取り上げられています。関東地方の都市のみは『映画館のある風景 昭和30年代盛り場風土記』キネマ旬報社、2010年に再収録されています。
(写真)「新・盛り場風土記 水戸」『キネマ旬報』1954年3月下旬号、1/4ページ。
(写真)「新・盛り場風土記 水戸」『キネマ旬報』1954年3月下旬号、2/4ページ。