振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

高浜市やきものの里かわら美術館・図書館を訪れる

(写真)高浜市やきものの里かわら美術館・図書館。

2023年(令和5年)7月、愛知県高浜市にある高浜市やきものの里かわら美術館・図書館(組織名)の2施設を訪れました。

 

1. 図書館閉館/開館の経緯

愛知県高浜市碧海町には1979年(昭和54年)開館の単独施設である高浜市立図書館がありましたが、老朽化などを理由に2023年(令和5年)3月31日をもって閉館しました。

もともと青木町には高浜市やきものの里かわら美術館という博物館がありました。かわら美術館内への図書館機能の移転のために、2023年(令和5年)4月1日には組織としての高浜市やきものの里かわら美術館・図書館が発足。7月22日には高浜市やきものの里かわら美術館・図書館内に「ライブラリーほんの森」が開館しました。

(写真)かわら美術館・図書館。2階のフロアマップ。

 

ライブラリーほんの森は(図書館の)"本館"と位置付けられていますが、高浜市立図書館時代に約20万冊だった蔵書数は約2万冊と激減しています。同じく7月22日、三河高浜駅前の公共施設内に図書情報スペース「としょピア」が開館。こちらも蔵書数は2万冊程度でしょうか。"高浜市立図書館" というこれまでの名称は使われていないようです。

 

高浜市の吉岡初浩市長は4期目。原則として公共施設を新築しない方針を掲げています。2017年(平成29年)には高浜市役所を建て替えていますが、「民間が建てたビルを20年契約でリースする」という珍しい形を取っています。

高浜市における図書館の延床面積や蔵書数は激減した形となりました。旧館の閉館と新館の開館という形ではありますが、図書館の役割をハコや本と考えるのなら、図書館の"廃止"という表現の方が実態に近いかもしれません。とても興味深い閉館/開館の経緯であり、数年後、数十年後に高浜市民がどう評価するのか気になります。

(写真)ライブラリーほんの森のフロアマップ。

 

2. かわら美術館・図書館の各施設

2.1 「ライブラリーほんの森」

ライブラリーほんの森では写真撮影が不可と言われました。そのような質問を想定していないような口ぶりだったため、スタッフによって対応に揺らぎがあるかもしれません。

旧館の雑誌書架を利用した「テーマ小箱」と「作家小箱」が目に付きました。一般的な図書館のテーマ展示の数を多くしたものがテーマ小箱であり、「芥川賞直木賞ノミネート作品」「『どうする家康』関連本」「和歌に触れてみよう」などのテーマがあります。作家小箱のテーマは有川浩池井戸潤東野圭吾などであり、913の中でも特に人気がある作家が雑誌書架の中に置かれているようです。

 

2.2 図書情報スペース「としょぴあ」

名鉄三河線三河高浜駅前にある既存の公共施設内には図書情報スペース「としょぴあ」が開館しました。一般書コーナー、学習室、児童書コーナーが施設内に分散しているのがややこしい。一般書は2000~3000冊程度であり、全て独自分類で並べられているようです。

(写真)としょピアの書架。

(写真)としょピアの館内。