1. 蒲郡市形原町を訪れる
1.1 繊維ロープ産業
蒲郡市形原町は繊維ロープ産業が盛んであり、繊維ロープ産業では形原町を中心とする愛知県が全国シェアの4割を占めています。紡績業を主産業とする町にはのこぎり屋根工場が見られますが、形原町に点在するのこぎり屋根工場の多くは繊維ロープ工場です。
(写真)稲葉製綱ののこぎり屋根工場。
(写真)近藤麻工業の工場内部。1.2 小島喜八の経歴
天保14年(1834年)5月1日、小島喜八は三河国宝飯郡形原村上乙羽に漁師の息子として生まれた。
1874年(明治7年)に新たな麻糸製造機を考案し、さらに後去り分銅式撚糸機を考案した。これ以後の形原町では機械化された撚糸業が盛んとなった。1897年(明治30年)頃には小島が考案した足踏み式紡機が出回り、形原町は漁網の製造で活況を呈した。
1914年(大正3年)4月8日に死去した。1954年(昭和29年)4月29日には中部麻綱工業協同組合(現・中部繊維ロープ工業協同組合)によって小島の石碑が建立された。1961年(昭和36年)時点の形原町は人口の約4割が繊維ロープ産業に携わっている。
(写真)「小島喜八翁之碑」がある中部繊維ロープ工業協同組合。
1.3 「小島喜八翁之碑」碑文
翁は天保十四年五月一日当町上乙羽において出生し麻糸の製法に専念
しついに麻糸手撚の機械発明に成功されたるに依て当地麻綱の殷賑を見るに至るこの翁の功績を永く紀念してこの碑を建つるものな り 翁は大正三年四月八日享年七十ニ年にて歿す
昭和二十九年四月二十九日建立
中部麻綱工業協同組合
(写真)「小島喜八翁之碑」。
(写真)「小島喜八翁之碑」の碑文。