2022年(令和4年)7月、福井県敦賀市を訪れました。かつて敦賀市には「敦賀ミラノ劇場」、「敦賀第一劇場」、「敦賀東映会館」、「敦賀国際劇場」の4館の映画館がありました。現在の敦賀市にはシネコンの「敦賀アレックスシネマ」があります。
1. 敦賀市の商店街
古くは国際港の敦賀港によって栄えた自治体。現在も複数の鉄道路線や高速道路が分岐する交通の要衝であり、愛知県から福井市方面や若狭方面を訪れる際には必ず敦賀を経由します。敦賀市街地には全長2kmという長大な片側式アーケードがあり、約6万人という人口規模を考えると異様ですらあります。現在はアル・プラザ敦賀に敦賀アレックスシネマがありますが、かつてはジグザグに伸びる商店街に沿って4館の映画館がありました。
1.1 駅前商店街
JR敦賀駅から北西に向かって伸びるのが約300mの駅前商店街であり、駅前ゆめさき通りという愛称があります。中央分離帯を挟んで4車線ある通りであり、人口6万人の地方都市には見えません。2024年(令和6年)春には北陸新幹線が敦賀駅まで延伸予定であり、新幹線に関する工事が進められています。
(写真)駅前商店街。右奥はアル・プラザ敦賀。
(写真)駅前商店街。
1.2 本町商店街
敦賀市のメイン商店街と言えるのが本町商店街。アル・プラザ敦賀がある「白銀」交差点から気比神宮がある「気比」交差点までの約750mであり、4車線から2車線への縮小工事が行われたばかりのようです。片側式アーケードに面した部分は駐車スペースになっているのが特徴。
(写真)本町商店街。
(写真)本町商店街のアーケード。
2020年(令和2年)5月に敦賀市を訪れた際には、本町商店街の中央部にはまだ横断歩道橋がありました。歩道拡幅工事のために5月末に撤去されたようです。
(写真)本町商店街にあった横断歩道橋。2020年5月。
(写真)本町商店街。
敦賀市街地には1970年代頃の竣工と思われる渋ビルが多数。市街地をくまなく歩きまわって記録に残したい。
(写真)気比神宮交差点の渋ビル。
1.3 神楽商店街
気比神宮から西に向かって伸びるのが神楽商店街。三角形を多用した凝ったアーケードがあります。脇道の上部を覆っている部分もありますが必要だったんだろうか。
(写真)神楽商店街のアーケード。
(写真)神楽商店街のアーケード。
1.4 相生商店街
キッズパークつるがは上部に球体がある外観が特徴の建物。キッズパークつるががある交差点から北に延びているのが相生商店街であり、きらめき通りという愛称があります。片側式アーケードがある敦賀市の商店街の中では最も歩行者が少ない。
(写真)相生商店街のアーケード。
(写真)相生商店街のアーケード。
2. 敦賀市の図書施設
2.1 敦賀市立図書館
敦賀市立図書館は1991年(平成3年)に開館した図書館。福井県で原子力発電所を有する4自治体の中では最も早く開館した図書館であり、おおい町立大飯図書館(1995年開館)、美浜町立図書館(2012年移転開館)、高浜町中央図書館(2015年リニューアル開館)と比べると古さを感じます。
(写真)敦賀市立図書館。
2階には郷土資料室がありますが、職員に声を掛けないと入れないシステムなので利用者が少ないのは残念。
数年前には敦賀市立図書館で『敦賀市産業住宅詳細図 1964年』を閲覧しました。1960年代の住宅地図は県立図書館でも少なく、大事に保存してほしい文献だと感じました。サイト「消えた映画館の記憶」にはこの文献を出典として映画館跡地を登録しています。ところが、最近になって敦賀市立図書館のOPACを検索してもこの文献が見つかりません。2022年(令和4年)6月には漏水被害で書庫資料4000冊を廃棄する出来事があったようですが、何か関係あるのでしょうか。
(写真)図書館の館内。
(写真)桑原武夫先生像。
2.2 ちえなみき
この2022年(令和4年)8月23日、敦賀駅前にスターバックスコーヒーが出店しました。9月1日には丸善雄松堂が関与した公設書店の「ちえなみき」(Tsuruga Books & Commons ちえなみき)も開店。敦賀駅前に滞留できる場所が増えたことで、旅行者にとっては便利になりました。
(写真)1階。
(写真)1階。
ちえなみきの公式サイトには「書店でも図書館でもない、新たな知の賑わいへ」と書かれています。1階だけ見ればただの書店ですが、実質的な学習席のある2階はまるで図書館です。とはいってもちえなみきに敦賀市立図書館は全く関与していないようであり、ちえなみきの公式サイトにおいても店内においても、敦賀市立図書館に関する案内はありません。敦賀市は図書館をどうしたいのだろうか。
t
(写真)2階。事実上の学習席である窓際カウンター。
(写真)2階。イベント・書籍閲覧専用席。
3. 敦賀市の映画館
1968年の映画館名簿
4館体制の最終年。
1984年の映画館名簿
3館体制の最終年。
2001年の映画館名簿
敦賀アレックスシネマの開館直後。
3.1 敦賀中央劇場(1945年12月-1968年頃)
所在地 : 福井県敦賀市本町1-15(1968年)
開館年 : 1945年12月
閉館年 : 1968年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1945年12月開館。1947年の映画館名簿には掲載されていない。1950年の映画館名簿では「国際劇場」。1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「敦賀映画劇場」。1963年の映画館名簿では「中央劇場」。1966年・1967年・1968年の映画館名簿では「敦賀中央劇場」。1969年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はタイガーズビル南の巨大な建物。最寄駅はJR北陸本線・小浜線敦賀駅。
(写真)敦賀中央劇場跡地のビル。
(写真)敦賀中央劇場跡地のビル。
3.2 敦賀東映会館(1961年頃-1984年頃)
所在地 : 福井県敦賀市元町12-7(1984年)
開館年 : 1961年頃
閉館年 : 1984年頃
1961年頃移転開館。1962年の映画館名簿では「敦賀東映会館」。1963年の映画館名簿では「敦賀東映劇場」。1966年・1969年・1973年・1976年・1980年・1983年・1984年の映画館名簿では「敦賀東映会館」。1985年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「本妙寺」南40mの月極駐車場や「松下ビル」。最寄駅はJR北陸本線・小浜線敦賀駅。
3.3 敦賀第一劇場(1952年8月-1986年頃)
所在地 : 福井県敦賀市相生町2(1986年)
開館年 : 1952年8月
閉館年 : 1986年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1952年8月開館。1950年の映画館名簿には掲載されていない。1953年・1955年の映画館名簿では「敦賀第一劇場」。1958年・1960年・1961年の映画館名簿では「敦賀東映劇場」。1962年・1963年・1966年・1969年・1973年・1976年・1980年・1983年・1984年の映画館名簿では「敦賀第一劇場」。1985年の映画館名簿には掲載されていない。1986年の映画館名簿では「敦賀第一劇場」。1987年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「ヨーロッパ軒敦賀分店」北のマンション「ヴィラ松下」建物東側。最寄駅はJR北陸本線・小浜線敦賀駅。
(写真)敦賀第一劇場跡地付近。左のマンションが跡地。右はヨーロッパ軒敦賀本店。
3.4 敦賀ミラノ劇場(1946年3月-1985年11月)
所在地 : 福井県敦賀市本町1-13-1(1986年)
開館年 : 1946年3月
閉館年 : 1985年11月
『全国映画館総覧 1955』によると1946年3月開館。1947年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年の映画館名簿では「敦賀映画劇場」。1963年の映画館名簿では「ミラノ劇場」。1966年・1969年・1973年・1976年・1980年・1985年・1986年の映画館名簿では「敦賀ミラノ劇場」。1987年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「本町第2公園」があるブロック北東角の駐車場。最寄駅はJR北陸本線・小浜線敦賀駅。
(写真)敦賀ミラノ劇場跡地の駐車場。
(写真)敦賀ミラノ劇場跡地付近。左が跡地。
3.5 敦賀アレックスシネマ(2000年12月8日-営業中)
所在地 : 福井県敦賀市白銀町11-5 アルプラザ敦賀6階(2020年)
開館年 : 2000年12月8日
閉館年 : 営業中
2000年の映画館名簿には掲載されていない。2002年・2005年・2010年・2015年・2018年・2020年の映画館名簿では「敦賀アレックスシネマ1-4」(4館)。最寄駅はJR北陸本線・小浜線敦賀駅。
(写真)敦賀アレックスシネマ。
敦賀市にあった映画館について調べたことは「福井県の映画館 - 消えた映画館の記憶」に掲載しており、その所在地については「消えた映画館の記憶地図(福井県版)」にマッピングしています。