(写真)ナメラ商店街。
2022年(令和4年)3月、兵庫県三木市を訪れました。「三木市立中央図書館を訪れる」と「三木市の映画館」に続きます。
1. 三木市の街並み
1.1 ひめじ道
三木市は三木城の城下町として発展した町。美嚢川(みのうがわ)沿いにはひめじ道(ひめぢ道)と呼ばれる街道が通っており、江戸時代~明治大正期にかけての町屋も一定数残っています。現在の道路では兵庫県道20号加古川三田線や兵庫県道65号神戸加古川姫路線を通って姫路に至っていたようです。
(写真)ひめじ道。黒田清右衛門商店周辺。
(左・右)ひめじ道。
1.2 ナメラ商店街
三木農協会館前交差点から西側にはひめじ道が通っていますが、東側はナメラ商店街(滑原商店街)がかつての街道筋にあたるようです。滑原という地名の由来は「滑らかな岩がある美嚢川の河原」らしい。
滑原ポリカ波板によるシンプルな全蓋式アーケードであり、昭和30年代に設置された際と構造体は変わっていないように見えます。シャッターが閉じた店舗も多いですが、三木城下町まちづくり協議会が商店街の活性化に取り組んでおり、播磨の総合文化誌『バンカル』2015年秋号の特集「はりまの商店街 新たな挑戦」に取り上げられています。
(写真)ナメラ商店街。
(左・右)ナメラ商店街。
(写真)全蓋式アーケード未設置の滑原商店街。1955年頃。『北播磨の昭和』樹林舎、2014年。
(写真)全蓋式アーケードが設置された滑原商店街。1965年頃。『北播磨の昭和』樹林舎、2014年。
ナメラ商店街のすぐ北には路地が並行しており、バルコニーが乗った勝手口を持つ旅館のような建物もありました。
(写真)ナメラ商店街の北に並行する路地。
(写真)ナメラ商店街の北に並行する路地。
(写真)旅館のような建物。(左)バルコニーが乗った玄関。(右)広い窓を持つ2階。
1.3 邸宅や旅館
旧小河家別邸(登録有形文化財)
大正館/三木東映跡地の近くには旧小河家別邸があります。三木町長を務めた小河秀太郎の別邸とのことですが、小河秀太郎についてぐぐってもどのような人物かよくわからない。
敷地は縦に長く、通りに面した北側半分が庭園、南側半分に主屋などが固まっています。主屋など多数の建物が登録有形文化財であり、庭園は兵庫県指定記念物・国登録記念物です。
(写真)旧小河家別邸。
旧玉置家住宅(登録有形文化財)
兵庫県道20号加古川三田線沿いには旧玉置家住宅があります。隣接地には広い駐車場があり、三木市街地における観光の目玉は旧小河家別邸ではなくこちらみたい。通りに面する主屋は文政9年(1826年)に切手会所(銀行)として建てられ、1875年(明治8年)に玉置家住宅になったとのこと。単純な町屋とは始まりが異なるのですね。
(写真)玉置家住宅の主屋。
(写真)玉置家住宅の中庭。
(左)玉置家住宅の座敷。(右)玉置家住宅のかまど。
(左)陶器製のボトルに入ったボルドーワイン。明治中期。(右)椿油樽、小河酒造の酒瓶と徳利。
旅亭 文市楼(登録有形文化財)
旧小河家別邸の南には旅館の旅亭 文市楼があります。大広間棟と客間棟からなる旧館、敷地外からは見えづらい新館があり、いずれも大正時代の建築で登録有形文化財となっています。玄関に向かう敷地は狭隘ですが、南側から見ると立派な大広間棟や敷地の広さがよくわかります。
(写真)旅亭 文市楼旧館の玄関。
(写真)旅亭 文市楼旧館の大広間棟。
天理教美昭分教会
天理教美昭分教会の和風建築も気になりますが、ぐぐっても情報がありません。
(写真)天理教美昭分教会。
1.4 その他の街並み
三木市の主要な地場産業として金物産業(三木金物)があり、「播州三木打刃物」は国の伝統的工芸品に指定されています。マンホールにも三木金物がデザインされており、外側には計6本のノコギリが、内側には12本の包丁と6本の槌が配置されています。すべての金物の数は"三"木に因んで3の倍数になっているそうです。
(写真)三木市のマンホール。
ひめじ道となめら商店街を結ぶ通り沿いには、建物が登録有形文化財である三寿ゞ刃物製作所(ギャラリーここいら)があり、店内は三木金物のアンテナショップのようでした。店舗は1885年(明治18年)頃の建築であり、腰壁にタイルが用いられているのが特徴。
(写真)三寿ゞ刃物製作所(ギャラリーここいら)。