(写真)和知館の建物。
2022年(令和4年)1月、京都府船井郡京丹波町(旧・和知町)を訪れました。かつて和知町には映画館「和知館」がありました。
1. 和知町を訪れる
和知町は京都府のほぼ中央にある中山間地域であり、近年の京都府が推し進めているエリア区分では「森の京都」に含まれる地域です。2005年(平成17年)には丹波町・瑞穂町と合併して京丹波町が発足しています。和知駅は京丹波町の中心駅であり、かつては一部の特急も停車していました。駅前には小規模な商店街が形成されており、廃業していると思われる旅館もありました。
(写真)和知駅前の商店街。右から精肉店 よろずや、路地を挟んで和菓子舗 七福堂。
(写真)和知駅前の商店街。左から精肉店 よろずや、まるみや食品店。
(写真)和知駅前の商店街。右から日用品店 タバタ(閉店済?)、薬局 村上健康堂(閉店済?)、理容ホリ、長井衣料品店など。
(写真)駅前通りから和知館に向かう階段路地。
(写真)和知市街地における和知館。Google マップ
2. 和知町の映画館
2.1 和知館(1953年頃-1965年頃)
所在地 : 京都府船井郡和知町(1965年)
開館年 : 1953年頃
閉館年 : 1965年頃
1953年の映画館名簿には掲載されていない。1954年・1955年の映画館名簿では「和知クラブ」。1958年の映画館名簿では「和知映劇」。1960年の映画館名簿では「和知映画劇場」。1963年・1964年・1965年の映画館名簿では「和知館」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。「京丹波町役場和知支所」東南東100mに映画館の建物が現存。最寄駅はJR山陰本線和知駅。
和知館が最後に掲載されている1965年(昭和40年)の映画館名簿によると、経営者は文字佐市、支配人が文字巌であり、家族経営だったと思われます。定員は300であり、松竹・日活・大映・東宝を上映していました。
(写真)和知館が掲載されている『映画便覧 1964』時事通信社、1964年。
JR山陰本線和知駅の駅舎内には、2017年(平成29年)にリニューアルした喫茶店「山ゆり」があります。午前10時前に喫茶店を訪れると、軽トラで来た年配者たちが京丹後町議会の動向について政治談議をしていました。和知館で映写技師をしていた方、最近になって和知館の雨漏りの修理を行った方などに話を聞くことができました。
「和知駅前の道路を下り、県道の信号手前左側に『和知館』の建物が残っている。館主は文字(もんじ)さんであり、まだ存命である。客席数は200席であり、2階席はなく1階席のみだった。建物内には35ミリ映写機2台などが残っているのではないか。和知町周辺では園部町や八木町にも映画館があり、亀岡市には2館の映画館があった」
(写真)和知館の建物。
(写真)和知館の建物。入口部分。
(写真)和知館の建物。入口と反対側(県道側)。
(写真)和知館の建物。入口と反対側(県道側)。
和知町の映画館について調べたことは「京都府の映画館 - 消えた映画館の記憶」にまとめており、跡地については「消えた映画館の記憶地図(京都府版)」にマッピングしています。