(写真)旧伏見郵便局(松屋山田家住宅)。
かつて伏見には映画館「伏見劇場」がありました。「可児市兼山を訪れる」からの続きです。「可児市の映画館」に続きます。なお、2019年(令和元年)12月には「御嵩町の映画館」を投稿しています。
1. 御嵩町伏見を訪れる
1.1 名鉄広見線明智駅
御嵩町伏見はかつて中山道伏見宿として栄えた町。御嵩宿と太田宿の間にあった宿場であり、太田宿との間には木曽川を渡る中山道の難所「太田の渡し」がありました。
伏見の最寄駅は名鉄広見線明智駅であり、1920年(大正9年)の開業時の木造駅舎が残っています。入母屋の派生か、独特な屋根の形状です。
(写真)明智駅。
(写真)明智駅。
1.2 旧伏見郵便局(松屋山田家住宅)
伏見市街地の街道筋には1897年(明治30年)竣工の松屋山田家住宅がありますが、1933年(昭和8年)には東側に旧伏見郵便局が増築されている点が特徴的です。ファサードのみモルタル張りの看板建築であり、一見するとコンクリート造にも見えます。
(写真)旧伏見郵便局(松屋山田家住宅)。
(写真)旧伏見郵便局。
(写真)旧伏見郵便局。
1933年(昭和8年)3月26日から1973年(昭和48年)まで郵便局として用いられた後、現在は交流施設「お休み処らくだ」となっています。
(写真)1933年3月26日の開局当初の写真。
2. 御嵩町伏見の映画館
2.1 伏見劇場(1925年12月4日-1959年9月26日)
所在地 : 岐阜県可児郡伏見町(1955年)
開館年 : 1925年12月4日
閉館年 : 1959年9月
『全国映画館総覧1955』には開館年が記載されていない。1951年の映画館名簿には掲載されていない。1952年・1953年・1954年・1955年の映画館名簿では「伏見劇場」。1956年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「伏見公民館」北西120mにある空き地。
1925年(大正14年)12月4日、可児郡伏見村に株式組織の劇場である伏見劇場が開館しました。映画館名簿には1952年(昭和27年)版から1955年(昭和30年)版にのみ掲載されています。1959年(昭和34年)9月26日の伊勢湾台風で建物が倒壊し、そのまま閉館となったようです。
(写真)伏見劇場の内部。『御嵩町史 通史編 下』御嵩町、1990年。
(写真)伏見劇場が掲載されている『全国映画館総覧 1955』時事通信社、1955年。
1949年(昭和24年)の伏見市街地の航空写真を見ると、中山道の北側に伏見劇場の巨大な建物がはっきりと写っています。
(写真)1949年の伏見市街地。地図・空中写真閲覧サービス
伏見劇場が面していたのは裏通りであり、跡地は長らく空き地となっているようです。
(写真)伏見劇場跡地の空き地。
(写真)伏見劇場が面する通り。
御嵩町伏見の映画館について調べたことは「岐阜県の映画館 - 消えた映画館の記憶」に掲載しており、跡地については「消えた映画館の記憶地図(岐阜県版)」にマッピングしています。