振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

美濃白鳥を訪れる

(写真)白鳥おどりの横断幕がある栄町通り。

2019年(令和元年)夏、岐阜県郡上市の美濃白鳥(旧郡上郡白鳥町)を訪れました。

※本記事は2019年8月に投稿した「美濃白鳥の映画館」を2024年2月に分割した記事です。

 

ayc.hatenablog.com

1. 美濃白鳥を訪れる

1.1 美濃白鳥市街地

図書館を訪れた後には美濃白鳥市街地を歩きました。長良川鉄道の西200mに閉校する上本町商店街と栄町商店街が美濃白鳥のメインストリートであり、メインストリートに並行する形で新栄町商店街が、メインストリートに直行する形で駅前通りや橋本町商店街があります。

これらの旧市街地には古い町屋や商店が残っており、メインストリートながら車はほとんど通りません。市街地の西側には長良川が流れ、その西側には国道156号があります。車はメインストリートを迂回して国道156号を通ってしまうようであり、国道156号沿いにはいくつもロードサイド店舗が並んでいるようです。

 

長良川鉄道の東側には岐阜県立郡上北高校がありますが、定員は3クラス120人と少なく、岐阜県によって高校再編統合の検討対象になっています。郡上北高校は郡上市以外からの入学者がほぼいない高校だそうで、2019年度には進学コース、観光・ビジネスコース、福祉・介護コース、地域産業コースという多様なコースを設置して、高校生の市外への流出を食い止めようとしているようです。

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(地図)国土地理院 地理院地図に加筆

 

1.2 橋本町通り・駅前通

旧市街地北端の橋本町通りには料理旅館「浅野屋」が健在です。推理小説作家の内田康夫は浅野屋で執筆したことがあり、浅見光彦シリーズの『白鳥殺人事件』(1989年)には浅野屋も登場するようです。

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(写真)橋本町通り。右は浅野屋旅館。

 

美濃白鳥の旧市街地でいちばん店舗密度が濃いと思われるのが駅前通り。駅前通りには寺田書店がありますが、訪れたのが日曜日だったせいか閉店していました。

土産物店「とおやま」には数多くの人形が展示された別棟があり、館長の遠山一男が収集した日本各地の郷土玩具・土人形・土鈴を展示している日本土鈴館 - Wikipediaと関連があるのかもしれません。なお、橋本町通りも駅前通りも歩いている観光客などはいません。

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(左)美濃白鳥駅から見た駅前通り。(右)駅前通りから見た美濃白鳥駅。

 

1.3 上本町通り

メインストリートの北側半分が上本町通りであり、南側半分が栄町通りです。メインストリートには袖壁のある木造の民家が多く、郡上八幡ほどではありませんが見ごたえがありました。

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(写真)上本町通り。(左)南を向いて撮影。(右)北を向いて撮影。正面奥は来通寺。

 

上本町通りにある布屋 原酒造場は元文5年(1740年)創業の酒蔵。公式サイトでは「布屋」という屋号の由来について長々と説明しており、要するに "源平時代に伊東左近衛権藤原勝が白布を買い求めた逸話に因んでいる" ということだと思います。もっとざっくり言えば、元文5年の創業時の当主がこの昔話に共感したから名づけただけのようです。

上本町通理に面した主屋は1923年(大正12年)竣工ですが、文化財指定・登録はされていません。原酒造場の40m北には1907年(明治40年)竣工の原邸があり、原酒造場に関連した邸宅だと思われますが、やはり文化財指定・登録はされていません。

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(写真)上本町通り。左は布屋 原酒造場。正面奥は来通寺。

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 (写真)原邸。

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(写真)布屋 原酒造場。

 

1.4 栄町通り

メインストリートの南側半分は栄町通り。目立つ建物として3階建ての角忠旅館があります。"ひるがの高原" と "郡上八幡" という観光地に挟まれているせいか、美濃白鳥に宿泊施設は多くありません。

栄町通りの道路上には白鳥おどり - Wikipediaの横断幕がかかっていました。郡上おどり - Wikipedia(32夜)と同じように夏の間ずっと続けられる盆踊りであり、各町が持ち回りで会場となります。この日の夜は浅野屋がある橋本町が会場になるようです。

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(写真)栄町通り。(左)右は角忠旅館。(右)鉢植えの緑が目に優しい、袖壁のある民家。

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(写真)郡上市役所白鳥庁舎。

 

2. 長良川鉄道「川風号」

午後には長良川鉄道郡上八幡市街地に移動しましたが、乗車した普通列車の2両目は観光列車「ながら」の第2弾「川風号」でした。2018年(平成30年)4月に運行開始した車両で、デザインは例のごとく水戸岡鋭治です。ただし乗客は1両目に集中しており、「川風号」はまったく人気がなかったのが印象的でした。

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(写真)長良川鉄道「川風号」。

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(写真)長良川鉄道「川風号」。