振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

愛知県立瑞陵高等学校感喜堂を訪れる

(写真)感喜堂。

2023年(令和5年)11月26日(日)、愛知県名古屋市瑞穂区にある愛知県立瑞陵高等学校の感喜堂(かんきどう)を訪れました。愛知登文会などが主体となって毎年開催されているあいちのたてもの博覧会(あいたて博)の見学会です。

 

1. 愛知県立瑞陵高校

愛知県立瑞陵高校は1907年(明治40年)に開校した歴史ある学校。開校当初の名称は愛知県立第五中学校であり、 1922年(大正11年)愛知県熱田中学校に改称、戦後の1948年(昭和23年)に現在の名称となりました。愛知県に8校あったナンバースクールの旧制中学校であり、現在の入学難易度の点でも名古屋市南東部における最難関校のようです。

(写真)愛知県立瑞陵高校

 

1.1 杉原千畝広場

2018年(平成30年)10月13日には正門の西側に杉原千畝広場が完成。第二次世界大戦中にユダヤ人難民にビザを発給した外交官の杉原千畝を顕彰する広場であり、校門の外にあるので部外者でも自由に見学できます。

愛知県立第五中学校/愛知県熱田中学校/愛知県立瑞陵高校の著名な卒業生を顕彰するパネルもあり、杉原千畝のほかには平井太郎(小説家の江戸川乱歩)、哲学者の谷川徹三、工学者の岡部金治郎、経済学者の都留重人、医学者の西塚泰美が挙げられていました。

(写真)杉原千畝広場。

 

1.2 創立八十周年記念庭園

正門の正面には創立八十周年記念庭園があります。稲武町産の亀甲石が気になりましたが、なぜ瑞陵高校に設置されているのかはよくわからない。イスラエル大使館から贈られたオリーブの樹は庭園内と杉原千畝広場内にあります。

(写真)創立八十周年記念庭園。亀甲石。

(写真)創立八十周年記念庭園。(右)イスラエル大使館から贈られたオリーブの樹。

 

1.3 旧正門門柱(国登録)

現行の正門の北西には旧正門があり、「愛知県立瑞陵高等学校旧正門門柱(旧愛知県商業学校正門)」の名称で登録有形文化財に登録されています。2015年度に愛知県が県立高校の歴史的建造物を調査し、2017年(平成29年)に県立高校13校の門柱が一斉に登録されたものです。戦前のこの敷地は愛知県商業学校だったこともわかりますが、校地が移転してるのは愛知県の旧制中学校では珍しい。空襲を受けた名古屋市ならではかな。

(写真)旧正門門柱。

(写真)旧正門門柱。

 

2. 感喜堂

2.1 建物外観

感喜堂は1924年大正13年)に愛知商業学校の講堂として竣工した建物。昭和に入ると鉄筋コンクリート造(RC造)の近代建築が増えますが、大正時代のRC造は比較的珍しい。外観は建物を支える縦の柱のラインが目につきます。窓枠が赤色に塗られているのがお洒落ですが、当時からこの色だったかどうかは不明だそう。屋根は木造トラス構造であり、建物から離れると瓦屋根が見えます。

(写真)建物外観。

(写真)建物外観。

 

(写真)建物外観。扉部分の持ち送り。

(写真)建物外観。扉部分。

(写真)建物外観。

 

2.1 建物内部

内部には天井の高い大空間が広がっています。壁に近い場所にある柱は2014年(平成26年)の耐震改修工事で加えられたものであり、できるだけ外観に影響を与えずに耐震性を向上させるための工夫だそうです。

(写真)建物内部。

(写真)建物内部。

(写真)建物内部。