(写真)2階のラウンジコーナー。
2021年(令和3年)9月、大阪府守口市の守口市立図書館を訪れました。2020年(令和2年)6月1日に開館した図書館は守口市にとって初の図書館です。
1. 守口市立図書館
1.1 図書館の歴史
1993年(平成5年)に開館した守口市生涯学習情報センター(ムーブ21)を中核施設として、2018年(平成30年)時点の守口市には10の図書施設がありましたが、図書館法に基づく図書館はありませんでした。
2020年(令和2年)8月時点で全国に約800ある市区のうち、図書館未設置自治体は8市のみ。
夕張市(財政再建団体となって図書館を廃止したため)、養父市(図書館未設置の小規模自治体同士が合併したため)、奄美市(鹿児島県立奄美図書館があるため)など、未設置の理由がわかりやすい自治体とは異なり、大阪市のベッドタウンである守口市が図書館未設置自治体だった理由は曖昧です。
"特段の不都合はなく、図書館にする利点も見当たらなかった"、"今回の改修まで図書館をつくるという議論にならなかった" とのこと。蔵書数の観点からいえば、守口市生涯学習情報センター単独で約18万冊、10施設の合計で約35万冊という既存の図書施設だって立派な図書館といえます。
たまたま条例の制定に至らなかっただけなのかもしれません。ただし、2018年度の貸出冊数は10施設の合計で約22万冊であり、市民1人あたり貸出冊数は1.5冊/年という低成績にとどまっていました。
参考:「『図書館のない市』全国9市 大阪・守口市、脱却図る」産経ニュース、2019年6月11日
令和になって図書館を設置することになった経緯は知りませんが、守口市は核となる図書施設があった守口市生涯学習情報センターの内部を改修。2020年(令和2年)4月1日に図書館条例を制定し、6月1日に守口市立図書館が開館しました。
2021年(令和3年)9月14日には図書館未設置の養父市に養父市立図書館が開館。現時点で図書館未設置の市区は、北海道夕張市、青森県黒石市(2022年6月図書館開館予定)、宮城県富谷市(2022年度図書館開館予定)、茨城県桜川市(2023年度図書館開館予定)、千葉県富津市、千葉県いすみ市、鹿児島県奄美市があるようです。
(図)施設改修の際の変更点。『新建築』2020年10月号。
1.2 施設
2020年(令和2年)1月26日に開館した松原市民松原図書館「読書の森」は延床面積3000m2の単独施設。2021年(令和3年)6月21日に開館した箕面市立船場図書館は大阪大学附属図書館外国学図書館と一体化した特殊な形態。同年8月5日に開館した寝屋川市立中央図書館、同年9月1日に開館した泉大津市立図書館「シープラ」は既存の駅前大型商業施設への入居。
ここ数年に開館した大阪府の公共図書館を見ると、駅前の複合施設、既存の商業施設、身の丈に合った規模などの傾向があるようです。延床面積8689m2のビルを図書館に転換させた守口市の方針は異質にも思えますが、図書館に対する期待も感じます。隣接する門真市でも約50億円を投じた巨大な複合施設が計画されています。
2. 館内の写真
1階:児童書・郷土資料・交流スペース
もともとの施設はバブル期に計画された建物であり、大理石や煉瓦タイルが豪勢な雰囲気を醸していたようです。改修の際には煉瓦タイルが白く塗られ、天井に木製ルーバーを据えるなどして、図書館らしい雰囲気に変えられたようです。改修の際に加えられた螺旋階段は鮮やかな黄色が写真に映えます。
(写真)フロアマップ。
(写真)コーヒーマシン。
(写真)1階の児童書。
(写真)1階の児童書。
(写真)1階の児童書の閲覧席。
(写真)1階の郷土資料。
(写真)1階の郷土資料展示室。ウマの埴輪がかわいい。
2階:一般書・学習スペース
児童書の書架だけでなく一般書の書架も低いのは新鮮。開架の蔵書数が少ないのかと思いましたが、0類の図書館に関する本は充実していました。
(写真)2階のテーマ展示。「写真の本」。
(写真)2階の自動貸出機。
(写真)改修で設けられた螺旋階段。
(写真)2階の一般書。
(写真)2階の文芸書。
(写真)2階の一般書。図書館に関する本。
(写真)2階の自習室。
(写真)2階のラウンジコーナーと3階の自習スペース。
3階:参考図書・スタジオ・学習スペース
(写真)3階の司書のおすすめ本コーナー。
(写真)3階の防音スタジオ。
(写真)3階のスタジオ。