振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

長久手市中央図書館と江南市立図書館を訪れる

 Wikipediaに記事「長久手市中央図書館 - Wikipedia」と「江南市立図書館 - Wikipedia」を作成しました。写真もそれぞれWikimedia Commonsにアップロードしています。

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(地図)名古屋圏における長久手市江南市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

 「長久手市中央図書館」のバイト数は約18,000バイトで、「江南市立図書館」は約14,000バイトです。本文の文字数はだいたい4,000字。読み手にも書き手にも優しい、手ごろな記事サイズだと思います。内容はそれほど濃くないので、もっと文章を絞ってもよいと思うけれど。今まで作成した記事は約700、うち図書館記事は約30。18,000バイトというのは700記事の平均よりやや上だと思われますが、図書館記事30記事の平均よりは下かもしれません。

 

長久手市中央図書館

長久手市中央図書館 - Wikipedia

Category:Nagakute Central Library - Wikimedia Commons

 長久手市は2012年に市制施行した、愛知県でもっとも新しい市です。「全国でもっとも平均年齢の若い自治体」「全国でもっとも人口増加率の高い市」「東洋経済の住みよさランキング2016で全国2位」という自治体でもあります。

 図書館は1992年に長久手町中央図書館として開館し、人口が約2倍になった現在も当時の建物を使い続けています。延床面積4,200m2、収蔵能力20万冊という設備は人口3万人の時代には過剰だったでしょうが、人口6万人の現在では窮屈さを感じない適度な広さといった感じ。人口や利用者がさらに増えるとどうなるか気になります。

 

 公式サイトで図書館年報を公開しているのは好印象。1人あたり蔵書数4.1点は全国平均(3.4点)や愛知県平均(2.9点)を上回っており、1人あたり貸出数8.4点もやはり全国平均(5.3点)や愛知県平均(6.2点)を上回っています。貸出数の1/3が市外というのも特徴。図書館の建物が古い名古屋市名東区民や守山区民が流れてきているようです。蔵書数や貸出数の数値が高い一方で、資料を活用したイベントやサービスをしている図書館ではないようです。

 2階の「特別資料閲覧室」(参考図書・郷土資料室)は事務室に声をかけないと入れません。この部屋の入室者数の統計はとっていないようですが、年間に数百人くらいでしょうか。カウンターに声をかけるだけならともかく、一般市民が事務室のドアをノックするのは躊躇します。これは改善してほしい。

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江南市立図書館

江南市立図書館 - Wikipedia

Category:Konan City Public Library - Wikimedia Commons

 江南市は人口10万人の町。古知野町時代には郡役所が置かれていた古い町で、大正・昭和初期には私立図書館の瀧文庫があり、愛知県図書館協会は1927年に「地方現存の私立図書館としては岩瀬文庫とともに最もすぐれたるもの」と評しています。

 瀧文庫があった一方で、市立図書館の開館は1976年と遅い。地元の実業家である江口碩之介から「公共施設のために」寄付を受けてようやく開館したようです。図書館らしくない場所にあるのは江口が提供した敷地に建設したから。和風の外観も図書館らしくないですが、公共施設然としておらず新鮮です。

 962m2という延床面積、12万冊という蔵書は、愛知県の同規模自治体と比べると最下位クラスです。図書館は市域の西端にあり、「郊外」という印象が強い場所にあります。1990年代末にはもう新館の建設計画が持ち上がっていますが、2005年には計画が立ち消えたとのこと。車椅子用昇降機が設置されたのは2015年になってからで、エレベーターなど当然設置されていません。江南市の当局は図書館になど興味がないのでしょう。

 

 1階の郷土資料室兼閉架書庫は、長久手市と同じく受付に声をかけないと入れませんが、古い町の図書館だけあって地域資料は多く残されています。この地域資料があるから江南郷土史研究会(1973年)が精力的に活動できるのでしょう。江南郷土史研究会の会報は月刊誌で、それ自体が貴重な地域資料になっています。

 

 瀬戸市立図書館や名古屋市守山図書館と同じような開架書庫は印象に残ります。建物の南側は1階(ブラウジングコーナー)と2階(一般開架室)、北側は1階(郷土資料室兼閉架書庫)、中2階(開架書庫)、中3階(開架書庫)で、児童書以外の一般書は基本的に開架書庫部分にあります。かつては「横田文庫」も一般開架室にありましたが、現在は受付に声をかけないと入れない部屋に追いやられています。ある意味では、一般書や「横田文庫」を犠牲にして児童書の閲覧しやすさや居心地を守ったといえます。

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(図)江南市立図書館のフロアの模式図。

 

 予約サービスの開始、週の定期休館日の撤廃、鉄道駅への返却ポストの設置などは、いずれも近隣地域では早い時期に行ったようです。館内の設備には難があるものの、窮屈さや息苦しさは感じません。これは凄いことだと思います。広さを死守している児童書コーナーで子どもが声を出していてもいい雰囲気があります。図書館を建てる行政の人はいまいちでも、実際に図書館を運営する図書館職員の意識や能力が高いのでしょう。

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