振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「ざっくばらんなカフェvol.52 ウィキペディアタウン in 高浜市」に参加する

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真の一部はCategory:Sanshu Roof Tiles - Wikimedia Commonsなどにアップロードしています。

 

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(写真)高浜市やきものの里かわら美術館。

 

三州瓦の産地、愛知県高浜市

 愛知県高浜市三河地方西端部にある人口約5万人の町。特に三州瓦 - Wikipediaの産地として知られており、全国で唯一「瓦」をテーマとする高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipediaがある。2017年9月18日(月・祝)、かわら美術館で「ざっくばらんなカフェvol.52 ウィキペディアタウン in 高浜市」が行われた。
 高浜市は私が住んでいる場所から遠くない。2016年7月に高浜市碧南市を訪れた際には、自転車でかわら美術館、高浜市立図書館、碧南市民図書館を回った。以下は2016年7月に名鉄高浜港駅からかわら美術館までの「鬼みち」で撮影した写真。高浜市は「鬼みち」には「ニコニコ鬼広場」や「鬼パーク」などのスポットがあり、三州瓦の中でも鬼瓦を推している様子。

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(左)高浜港駅前の「ニコニコ鬼広場」にある鬼瓦のモニュメント。(中)「ニコニコ鬼広場」にあるプランター。(右)「鬼みち」の途中にある「鬼パーク」。鬼瓦風のいす。

 

 今回のウィキペディアタウンに参加する際も高浜港駅で降り、かわら美術館まで15分程度の「鬼みち」を歩いた。「鬼みち」は常滑市の「やきもの散歩道」、瀬戸市の「窯垣の小径」に似た雰囲気があり、道沿いには瓦屋根の民家が多いものの、条例による建築規制などがかけられているわけではないらしい。この日は風が強かったが、台風が去って澄んだ青空が広がった。

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(写真)ニコニコ鬼広場。1枚目のいぬやねこがかわいらしい。3枚目のプランターは残念な状態だったけど時期的に仕方ないのかも。

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(左)「鬼みち」。石垣の上のコンクリート部分に瓦が設置されている。(右)鬼パーク。

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 (写真)「鬼みち」沿いにある高浜市観光案内所オニハウス。三州瓦製品が販売されているほかに、ちょっとした住宅用瓦屋根展示場もある。

 

 

「ざっくばらんなカフェ」

「ざっくばらんなカフェ」の試みは、日本福祉大学高浜市まちづくり研究センターの企画運営により、2011年7月から行われています。「ざっくばらんなカフェ」は、年齢や職業など、様々な立場の人々がテーブルを囲み、「ざっくばらん」に話すことを楽しむカフェです。高浜市内の様々な場所を会場に、月に1回程度、開催しています。-----ざっくばらんなカフェ

 

 今回のイベントは第52回「ざっくばらんなカフェ」に位置付けられているらしい。例えば第51回カフェでは「美術館の役割」がテーマ。かわら美術館の学芸員などがスピーカーとなって話題を提起した上で、40人ほどの参加者がざっくばらんに話し合ったという。前回までの内容を読んでいると、今回のウィキペディアタウンはかなり異質な回だったのではないかと思う。

 

ウィキペディアタウン in 高浜市

 今回の参加者は約20人。イベント開始は13時、終了は15時30分。午前中に始まる一般的なウィキペディアタウンよりも短かったものの、まちあるきしてからウィキペディアの編集を行った。

 

おおかまなスケジュール

13:00-13:35 オープンデータ/ウィキペディアの説明

13:45-14:15 まちあるき(30分)

14:30-15:15 ウィキペディア編集(45分)

15:15-15:30 成果発表

 

 参加者を5人ずつ4グループに分け、それぞれのグループに主催者側から1人が入った。まず講師の青木さん(あおきGIS・オープンデータ研究所代表)からオープンデータ/ウィキペディアの説明を聞き、事前に用意された編集記事候補の中からグループごとに担当する記事を決めた後、グループ内で行く場所を話し合ってからまちあるきを行った。事前に提示された編集記事候補は「三州瓦 - Wikipedia」、「高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipedia」、「衣浦大橋 - Wikipedia」、「青木町 (高浜市) - Wikipedia」。

三州瓦」を選んだ私のグループは、6人のうち3人が三河高浜駅前まで「鬼みち」をあるき、別の3人が「山本鬼瓦工業」まで歩いた。かわら美術館から三河高浜駅までは約750m。写真を撮りながらだと片道15分近くかかり、行って帰って来るだけでまちあるき時間の30分を使い終わってしまうくらいだった。他のグループはかわら美術館のすぐ北にある「森前公園」や、西側にある「衣浦大橋」まで歩いたらしい。

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(地図)私のグループの中の3人が歩いたコース。4グループそれぞれが別の場所のまちあるきを行っていることに注意。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

 

 各グループには主催者が用意した『高浜市誌』や三州瓦に関する60ページほどの冊子が配られた。高浜市立図書館の方も1人参加してくださり、戦前に刊行された地域資料や、『目で見る碧海の100年』などの写真集を用意してくださった。図書館が用意した資料はウィキペディアタウンのことをきちんと理解していないと用意できない資料が多く、第2回ウィキペディアタウン in 高浜市が開催されるときにも図書館には協力してほしい。

 編集時間は45分ほど。ウィキペディアの編集未経験者がほとんどということで、どのグループもWikimedia Commonsへの写真のアップロードを終えたあたりでタイムアップとなった。成果物は「三州瓦 - Wikipedia」、「高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipedia」、「衣浦大橋 - Wikipedia」、「青木町 (高浜市) - Wikipedia」。

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(写真)イベント開始前の会場の様子。

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(写真)イベント中の会場の様子

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(写真)成果発表。

 

 

 今回のウィキペディアタウンは「ざっくばらんなカフェ」の中に組み込まれていたため、「-カフェ」の常連が参加者約20人の半分強を占めており、参加者の中には高浜市吉岡初浩市長もいたウィキペディアタウンは内容がわかりづらいので常連以外が参加しづらい。連続講座のひとつとするのは良いアイデアですね。以前から気になっていたウェブサイト「たかはまアーカイブス」を運営されている年配の方も参加されており、この方はウェブサイトだけでなくFacebookでも発信を行っているらしい。大学生の参加者もいた。

 ウィキペディアの編集に慣れた参加者は自分も含めて3人、その他にはWikipediaの「草取り」の経験がある方が1人いた。告知サイトには「ノートPC、デジカメ等お持ちの方はご持参ください」と書かれていたが、結果的には各グループ(5-6人)に約1台と少なく、iPhoneパソコンの接続がうまくいかずにアップロードができない方もいた。写真のアップロードは視覚的に成果が実感できる反面、文章の加筆よりも編集方法が複雑で、ウィキペディアの編集経験者がいないとどうにもならない。

 

 このサイトによると高浜市の財政力指数は0.98であり、概して財政が豊かな西三河地方の10自治体の中では8番目。これを反映してか、高浜市は公共施設の新築を行わず、緩やかに減らしていく方針を立てているらしい。2017年1月から利用を開始した高浜市役所新庁舎は、民間企業が建設した建物を20年契約でリースしたものだとか。

 高浜市立図書館も現在の建物を活用していくという。西三河地方には大規模な図書館が多く、豊田、岡崎、刈谷は中央館が蔵書60万冊超、安城、碧南、西尾も単独館で蔵書40万冊前後。自動車で10分も走れば碧南市民図書館がある。主催者側の方と話していた際には「周りの自治体に頼る」という言葉があった。現時点で高浜市民が利用者登録できる図書館は、高浜市立図書館に加えて、碧海5市(高浜市のほかに刈谷市安城市知立市碧南市)の図書館、衣浦東部定住自立圏東浦町の図書館、利用者登録可能者を愛知県全域としている豊田市岡崎市西尾市の図書館など。現在はそれぞれの図書館に行って貸出カードを作成しないと本を借りられないけれど、将来的には上田地域図書館情報ネットワークのようなサービスを取り入れたいですね。

 

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(左)かわら美術館の企画展「みえるような、みえないような」(9月18日で終了)。(右)高浜市の歴史に関する常設展示。いずれも写真撮影はOKとのこと。