振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

WikipediaLIB@信州#2【小諸編】で使用したスライドと原稿

 8月19日の「 WikipediaLIB@信州#2【小諸編】」では、10:55から11:25(30分間)の時間をもらい、参加者の前で話をさせてもらいました。その際のスライドと原稿のようなものです。ただし準備不足で2/3くらいしか原稿が完成していなかったため、「3 図書館とウィキペディア」についてはしゃべったことを後から文字にしたものです。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者は「Asturio Cantabrio」です。

 

www.slideshare.net

 見出し

1 ロバと図書館

1.1 自己紹介

1.2 これまでに訪れた図書館

2 図書館と写真

2.1 カーリルスタンプラリーへの記録

2.2 Google マイマップへの記録

2.3 Wikimedia Commonsへのアップロード

3 図書館とWikipedia

3.1 記事「多治見市図書館」

3.2 記事「高梁市立図書館」

4 まとめ

 

 

1. ロバと図書館

1.1 自己紹介

自己紹介。東京ウィキメディアン会、関西ウィキメディアユーザ会、オープンデータ京都実践会という団体に所属し、ほかの講師であるらっこさんやくさかさんと同じく趣味としてWikipediaに関わっている個人。現在は愛知県に住んでいる。(スライド1)

 

「かんた」というのはWikipediaのアカウント名に由来するニックネームであり本名ではない。2014年春からWikipediaに参加しており、その年の12月に初めてウィキペディアタウンに参加した。その時は京都に住んでおり、京都ではオープンデータ京都実践会という団体が3カ月に1回位の頻度でウィキペディアタウンを開催している。2014年や2015年はウィキペディアタウンが全国に広まりつつある年だった。京都でウィキペディアタウンに何度か参加してみて、ほかの地域のイベントの内容が気になり、2016年春からはいろんな地域のウィキペディアタウンに参加してみることにした。(スライド2)

 

こうやって参加してみる中で、このイベントはまだまだ発展途上、各地域で少しずつスタイルが違うということがわかってきた。もっとウィキペディアタウンを広めたい、特に図書館の方に知ってもらいたいと思っている。ウィキペディアタウンの告知とか開催報告とかはFacebook上で活発に行われているが、私は参加するたびにブログに参加レポートを書いている。(スライド3)

 

2014年末からの3年弱でいろんなウィキペディアタウンに参加した。関西のイベントは主催者も参加者もみんなで楽しもうという意識が強い。一方で関東のイベントはWikipediaの理念やイベントの主旨をしっかり理解しようという意識が強い。この地域差は主に講師を務める方のスタンスの違いによるものであり、長野は関東に近く、私の住んでいる愛知は関西に近い。京都では市民団体がイベントを主催しているが、図書館が中心的な立場にいるとうまくいく。そんな中で瀬戸内市の嶋田さんや伊那の平賀さんと出会い、京都府立図書館の是住さんも含めて「図書館の世界にはおもしろい方がたくさんいる」ということに気づく。このようにまずは図書館の中の人に興味を持ち、そのあと図書館自体にも興味を持つようになった。(スライド4)

 

今回私が前で話をしているのは、主催者から見て私は図書館の使い方が少し変わっているからだろう。私は主に調べもののために図書館を使う。私の場合は調べたことを他の人と共有する。特にウェブ上のWikipediaに書いて共有するために図書館を使っている。Wikipediaを編集する人としてウィキペディアタウンに関わるようになったので、オープンデータという観点から図書館の情報発信が出きないかと思った。具体的には、図書館に行って写真を撮る、あるいは図書館に行ってその図書館自身のことを文献で調べ、その後Wikimedia CommonsやWikipediaで公開する、ということをしている。(スライド5)

 

1.2 これまでに訪れた図書館

6枚目から10枚目のスライドは、私が「図書館と写真」というテーマで取り組んでいることの紹介。図書館に興味を持つようになった昨年以降、あちこちの図書館を訪れて写真を撮った。6枚目のスライドは伊那市立図書館と松本市中央図書館。7枚目の左上は小布施町のまちとしょテラソ。右下はいま我々がいる市立小諸図書館の書架。8枚目の左上がぎふメディアコスモス、右下がTOYAMAキラリ。いずれも2015年に開館した。9枚目は瀬戸内市民図書館「もみわ広場」の館内と、同じ岡山県高梁市図書館の入口。10枚目の左上は京都府福知山市立図書館中央館。右下は私地元愛知県に6月に開館したばかりの安城市図書情報館。いま見せた写真には建物を外から撮った写真と図書館内の写真の2種類がある。図書館の情報を公開するという観点で館内の写真はとても重要だと思っているため、一般人ではあるが図書館の館内の写真を撮っている。(スライド6-10)

 

2 図書館と写真

2.1 カーリルスタンプラリーへの記録

ここからは撮った写真をどうするかについて。撮った写真を後から見返すとその図書館の記憶がよみがえってくるわけだが、撮った写真を自分のパソコンにしまっておくのはもったいないと考えている。そこで、ブログやFacebookなどに図書館の写真を掲載することに加えて、二次利用がしやすいサイトに写真をアップロードして、見るだけではなく使ってもらえないか。そのうちの一つが図書館検索サイトカーリルのサイト内にあるカーリルスタンプラリーというページ、ただし最終的に行きつくのはWikipediaの姉妹サイトであるWikimedia Commonsであると思っている。ここにおられる方にはカーリルについて説明するまでもない。カーリルスタンプラリーというのは全国の図書館好きが図書館の写真をアップロードしたりコメントをしたりするページ。マイページには今までに訪れた図書館を記録して地図化することもできる。これは私のマイページと訪れた図書館の地図。(スライド11-14)

 

図書館についてコメントする機能では、市立小諸図書館についてもコメントが掲載されている。ただ現時点ではたった2件しかコメントが書き込まれていない。これを図書館の中の人が知ると悲しくなるので、きょう家に帰ったら小諸図書館の印象をコメントしてあげてほしい。(スライド15)

 

2.2 Google マイマップへの記録

カーリルスタンプラリーのほかに、私はGoogle マイマップでも訪れた図書館の記録を管理している。誰でも見られるページとして「図書館での写真撮影の許可状況」というページを作成しているので検索してみて。私が訪れた図書館が「写真撮影についてどのような対応を取っているか」という観点も含めた地図。青色は館内での写真撮影が認められた図書館。赤色は写真撮影を禁じている図書館です。黄色は写真撮影は可能だけど、SNSなどに掲載を断られた図書館。(スライド16-18)

 

青や黄色や赤のマーカーをクリックすると、簡単なコメントが出てくる。TOYAMAキラリの場合は写真撮影申請書があり、申請書に記入すると腕章を渡してくれる。スライド左側上の写真は二次利用可能なライセンスでアップロードしている写真。逆にこれは写真撮影を断られた図書館の例。愛知県の瀬戸市立図書館では、「規則で決まっているので写真撮影はお断り」と言われた。残念。(スライド19-20)

 

2.3 Wikimedia Commonsへのアップロード

TOYAMAキラリも瀬戸市立図書館も、キャプチャ画面の左下にはWikimedia Commonsへのリンクを貼っている。このリンクをクリックすると、Wikipediaの姉妹プロジェクトであるWikimedia Commonsに飛ぶ。Wimedia Commonsの「Category:Toyama KIRARI」には私がTOYAMAキラリで撮影した写真が何十枚かアップロードされている。例えば書架の写真、OPACの写真、建物の外観の写真などがある。Wikimedia Commonsの一番の特徴は「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」であること。著者名さえ表示すれば、ブログでもFacebookでも自由に掲載することが可能。つまり「Category:Toyama KIRARI」にある写真はすべて二次利用可能ということ。(スライド21-24)

 

この7月には静岡県立中央図書館の床のヒビ割れが問題となった。私が2016年に撮ってWikimedia Commonsにアップロードしておいたこの写真はデイリー新潮の記事に掲載された。写真の右下には、この写真の引用元がWikimedia Commonsであること、写真の著者が「Asturio Cantabrio」であることをきちんと書いてくれている。(スライド25)

 

こちらの写真は、2016年に撮った安城市中央図書館の写真です。利用者も多いし雰囲気のよい図書館であることがわかる。この図書館は2017年1月に閉館してしまい、もう館内の写真を撮ることができない。撮れる時に写真を撮っておく、そしてできるだけ二次利用しやすいライセンスでアップロードしておく。(スライド26)

 

こちらはこの市立小諸図書館の写真。小諸図書館の公式サイトには館内の写真が何枚も掲載されていますが、公式サイトよりもいろいろな場所の写真をWikimedia Commonsにアップロードしている。(スライド27)

 

3 図書館とWikipedia

3.1 記事「多治見市図書館」

今までは図書館の写真をWikimedia Commonsに上げることについてだった。次は図書館にある図書館の文献の情報をWikipediaに書いて記録することについて。私が書いたWikipediaの記事「多治見市図書館」と「高梁市図書館」を例に挙げる。スマホタブレットなどを持っている方はWikipediaの記事をざっと眺めてみて。図書館の歴史について公式サイトでわかることは多くない。ウェブ検索して得られる情報も少ないが、小諸のように歴史のある都市の図書館は面白いエピソードを持ってることも多い。近年の取組みは脇役程度に、歴史に重点をおいて書いたWikipediaの記事が「多治見市図書館」や「高梁市図書館」。

 

多治見市図書館は2015年にLibrary of the Yearを受賞した館。山ほどある陶磁器コレクションをひとつひとつ足で稼いで集めたことが評価された。最近の取組みは横に置いといて、私は歴史について調べました。すると、図書館が設立されたのが1947年という戦後すぐの時期だったこと、図書館の設立を提唱したのが一般市民だったこと、この厳しい時期に多くの寄付や寄贈があったことが分かった。『週刊たぢみ』に掲載された文章にはハッとさせられる。(スライド28-30)

 

3.2 記事「高梁市立図書館」

高梁市立図書館は2017年2月に新館がTSUTAYA図書館として開館した。CCC絡みで批判されることも多い図書館だが、歴史や文化は岡山県有数の町である。備中松山城の城下町には早くから藩校があり、岡山県で2番目に設置された図書館があった、ということが図書館の文献からわかる。スライド32は2017年の新館開館時の報道。(スライド31-32)

 

4. まとめ

今回の私の発表は午後の編集ワークショップに役立つものではない。しかし皆さんが地元でウィキペディアタウンを開催するときに少しでも役に立てばと思う。