振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

WikipediaLIB@信州#02【小諸編】に参加する(1)

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(写真)会場の市立小諸図書館。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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再び小諸市を訪れる

 2017年8月19日(土)、県立長野図書館が主催する「WikipediaLIB@信州#02【小諸編】」に参加しました。3月20日に開催された「WikipediaLIB@信州」は県立長野図書館を会場としていましたが、今回は長野市を飛び出して東信の市立小諸図書館を会場としています。

 前日8月18日の長野県は不安定な天気。局地的な豪雨でJR中央西線大糸線が止まりました。まちあるきで少々の雨は気になりませんが、どしゃぶりや横殴りの雨はスケジュールにもモチベーションにも影響します。

  18日の夜には県立長野図書館で開催された「県庁夜講座」を見学しました。その後はKumi Asakuraさんに上田まで送ってもらい、長野市よりも小諸市に近い上田駅前のホテルに泊まります。3時頃に起きだして原稿の準備に取り掛かりました。明け方から空は明るく、時間が経つにつれて晴れ間も見えてきました。

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(上の写真)当日朝7時の上田駅。(下の地図)佐久地域の地図。OpenStreetMapより。

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午前中の様子

 9時頃に小諸図書館に着きました。7月に訪れた時は完全に曇天だったのですが、晴天だと図書館の屋根裏側に使用されている木材や芝生が映えます。小諸駅から歩いてきた人は誰もが目にする三角形部分は小布施町立図書館まちとしょテラソに似ている。

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(左)こっちは小諸の図書館。(右)こっちは小布施の図書館。

 

 10時にイベント開始。前回よりは人数が少なく、見知った顔も多いので安心します。県内では上田市飯田市公共図書館、県内の大学図書館学校図書館、県外では福井県や東京都や千葉県の公共図書館などからも参加者がいました。小諸図書館の職員さんも何人か編集グループに入ってくださっています。

 主催者である県立長野図書館の平賀館長の挨拶、開催間である小諸図書館の小泉館長の挨拶、県立長野図書館の篠田さんによる開催趣旨説明と続き、午前中のメインはらっこさんによるウィキペディア/ウィキペディアタウンの講義です。

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(左)主催者である県立長野図書館の平賀館長。(右)開催館である市立小諸図書館の小泉館長。

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(写真)会場の様子。司会進行は県立長野図書館の小澤さん。

 

 らっこさんの講義でいちばん気になったのは、「北井伸宏」という架空の自転車競技選手の記事について。この人物の記事は2014年5月にWikipediaに作成され、3年間も存続していたものの、2017年7月3日にtwitter上で架空の選手ではないかと指摘されると、7月6日にはWikipedia:削除依頼/北井伸宏 - Wikipediaにかけられ、一週間後の7月12日にはもう削除されたということです。だれでも参加できるというWikipediaの特性を利用して悪意のある参加者も紛れ込むこともある。けれどコミュニティの力で少しずつ改善が図られる、ということを象徴する出来事だったようです。

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(写真)らっこさんの講義。40分の予定がなぜか20分に?

 

 らっこさんの講義の後、10時55分から11時25分までが私の出番でした。主催者の県立長野図書館からはざっくりと「あなたにとっての図書館」について話してほしいと言われていたので、好きなことを話していいのだろうと都合よく解釈し、「図書館と写真、図書館とWikipedia」について、「図書館をひらくこと」という視点での話をしました。

 私のトークで使用したスライドと原稿は下のリンクから。人前で話すのはやはり苦手。口をパクパクさせて苦しんでいるフナみたいな感じでした。ウィキペディアタウンを自分で主催、もしくは地域のウィキペディアタウンに協力しようとする人の参考になればいいなあ。

ayc.hatenablog.com

 

小諸のまちあるき

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(上の地図)今回のまちあるきコース。OpenStreetMapに加筆。(下の地図)配布されたコース図。

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 7月に初めて小諸に来て驚いたのは、小諸駅から徒歩10分圏内に見どころが集まっていること。ポイントとポイントを自動車やバスで移動するのではなく、歩いて見どころを訪れる意味のある町だと思いました。

 今回はまちあるき前にコース図が配布されました。これはとても良かった。どれくらいの距離を歩くのか、どんなスポットを訪れるのかを頭に入れてから歩くことができました。まちあるきに慣れていない人や膝の痛みを抱えている人などにとっては、開催告知の段階で大まかな距離やコースなどを知りたいものです。

 

 まずは小諸駅のすぐ南側にある小諸義塾記念館。1894年(明治27年)に長野県最初の図書館である小諸図書館が設置された建物です。この図書館は小諸義塾の閉塾とともに1906年(明治39年)には閉鎖されます。

 懐古園入口にある三の門は国指定重要文化財。7月に訪れた時にはこの門をくぐって懐古園を歩き、藤村記念館に入って閉館時間までねばりました。今回のまちあるきでは懐古園に入ることなく線路をくぐって北上します。

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(左)小諸義塾記念館の解説を聞く参加者。(右)小諸義塾記念館。

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(写真)懐古園入口の三の門。重要文化財

 

 小諸駅の北側には「停車場ガーデン」「せせらぎの丘」と呼ばれる公園があります。駅前にこれだけ広い公園があることを不思議に思っていたのですが、かつては操車場や建物・道路があったとか。長野新幹線の開通後に中心市街地が衰退したことが、公園をつくる余裕につながったのかもしれません。

 7月に来た時には小諸図書館で「小諸キネマ - Wikipedia」と「小諸中央映画劇場 - Wikipedia」についてのレファレンスを行いました。1993年に閉館した小諸中映は大手門南側の駐車場にあったそうです。文献上では1980年代の住宅地図で所在地を確認していましたが、実際に歩いてみるとその存在を身近に感じます。小諸駅前から伸びる相生町商店街からは、スナックやら居酒屋やらが集まる路地を歩いた先に映画館があったようです。

 三の門とよく似た大手門は北国街道からすぐの場所にあります。「東日本を代表する大手門建築」であり、2008年に復原修理が完了したそうです。休日には2階に上がることも可能。観光客の姿がほとんど見られなかったのが不思議なくらい立派な建築物です。

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(右)線路北側の大手門。重文。

 

 小諸市中心市街地を囲むように北国街道が通っています。地図で見ると主要な道路のように見えますが、自動車は少なく歩きやすい。ほんまち町屋館などの観光施設はあるものの今回は素通り。まちあるき後半では藤村旧栖地の石碑と小諸学校跡の石碑で解説を聞きました。北国街道のあたりからは40人の集団が間延びし、移動に時間がかかりました。ガイドを務めてくださった図書館の方にはつらかったかも。図書館近くにはかつて図書館が置かれていた「小諸学校跡」の石碑があります。また2015年まで旧図書館があった場所(現在は小諸商工会議所駐車場)も見えます。

 Wikipediaに図書館記事を書く際には「旧館がどこにあったか」文献で調べることは容易ではなく、常に悩まされています。「小諸学校跡」の石碑はこもろプラザ建設の際に移動しているようす。また、小諸義塾記念館も移築された建物であり、かつての場所とは異なるようです。このあたりは家に帰ってからぐぐった程度ではわからず、まちあるきの際にガイドさんに聞いておけばよかったと思いました。

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(写真)北国街道。車は少なく歩きやすい。

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(左)島崎藤村旧栖地の石碑。(右)小諸学校跡の石碑。

 

  60分のまちあるきのあとはお昼ごはん。参加申込段階でお弁当の斡旋がありました。地元産食材をふんだんに使った地元の店のお弁当だそうです。お弁当を注文せずに、近くの店まで蕎麦などを食べに行った方もいたようです。

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(左)ケーブルテレビの取材を受ける平賀館長。(右)地元の食材を使ったおべんとう。

 

その2に続きます。