振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「大沢・上大沢の間垣集落景観」を訪れる

(写真)輪島市大沢町の遠景。

2022年(令和4年)7月、石川県輪島市にある重要文化的景観「大沢・上大沢の間垣集落景観」を訪れました。

 

1. 「大沢・上大沢の間垣集落景観」

輪島市大沢町(おおざわまち)と上大沢町(かみおおざわまち)の両集落は能登半島の北端に近く、冬季には日本海から強い季節風が吹きつけます。竹の垣根である間垣で集落を囲った特徴的な景観から「間垣の里」と呼ばれ、「大沢・上大沢の間垣集落景観」として重要文化的景観に選定されています。

 

1.1 輪島市大沢町

浜通りの間垣には成長しても細い苦竹(にがたけ)が用いられており、約3メートルの高さで束ねて並べられています。浜通りを歩いていた女性と比べると間垣の高さがよくわかる。5年から6年経つと折れたり腐ったりするため、毎年少しずつ交換しているのだそう。

(写真)大沢町の間垣。浜通り

(写真)大沢町の間垣。

 

間垣の裏側を見ると、方杖(ほうづえ)とワイヤーで補強がなされていました。苦竹の間に風が通るわずかな隙間を作ることも強風対策だそうです。敷地の入口だけ開口部を作る場合もあります。

(写真)大沢町の間垣。

(写真)大沢町の間垣。

 

桶滝川の河岸には板張りの間垣も見られます。北陸地方日本海沿いの集落には、板張りの間垣を持つ集落が一定数あるようです。

(写真)大沢町の間垣と桶滝川。

(写真)大沢町の間垣と桶滝川。

 

集落内も歩きました。黒色の釉薬瓦を用いた瓦葺、押縁(縦方向の木材)のない下見板張というのは、能登の典型的な民家建築の様式です。

(写真)大沢町の集落内。

(写真)大沢漁港。

(写真)静浦神社

(写真)静浦神社

(写真)田中屋旅館。

 

大沢集落で唯一の赤瓦屋根である西保公民館の100m南東には、2007年(平成19年)に閉校となった輪島市立西保中学校の木造校舎が現存していました。

(写真)輪島市立西保中学校。

(写真)輪島市立西保中学校。

 

1.2 輪島市上大沢町

輪島市大沢町の集落の2km西には、やはり間垣の景観で知られる上大沢町の集落があります。大沢町の集落は面的に広がっていますが、上大沢町の集落は線的であり、集落の奥に入って行きづらい雰囲気があります。

大沢町の集落の正面には大沢漁港があり、集落の背後にはほとんど農地がありませんが、上大沢町の集落の正面は砂浜海岸となっており、集落の背後には水田が広がっているという違いがあります。

(写真)上大沢町の間垣。

(写真)上大沢町の間垣と西二又川

(写真)上大沢町の間垣。

(写真)上大沢町の間垣。

(写真)日吉神社