(写真)Ichikawaウィキペディアタウン。
2022年(令和4年)2月13日、千葉県市川市でオンライン開催された「Ichikawaウィキペディアタウン~デジタルで知ろう、知り合おう、市川の名所を再編集~」に参加しました。市川市情報政策部デジタルトランスフォーメーション推進課(DX推進課)が主催、CivicTechZenChibaが協力し、ウィキペディアンの海獺さんが講師を務めたイベントです。
1. イベントの内容
1.1 イベントの流れ
CivicTechZenChibaは千葉県内の複数のシビックテック団体が連携してイベントなどを行う際の名称だそうで、CODE for NAGAREYAMA、Code for Chiba、Code for Matsudo、Civic Tech Mobara、Civic Tech URA-CIMA、Civic tech Sodegaura、Code for Tohkatsu、Code for INZAI、Code for Kashiwa、NPO上総らぼなどが集まっているようです。
今回のIchikawaウィキペディアタウンは10時から12時までの2時間のZoomイベントです。前半は主に海獺さんによる講義、後半は複数のルームに分かれての話し合いとメインルームでの共有でした。私はひとつのルームでのファシリテータ(進行役)を担当しました。
1.2 海獺さんの講義
講義中には海獺さんによって市川市名誉市民の大須賀力 - Wikipediaという記事が作成されました。パブリック・アートに関する著作権を侵害しない状態で大須賀氏の彫刻作品の写真も掲載されています。
大須賀氏の名字の読みについては文献によって「おおすか」と「おおすが」の2種類があるようですが、この記事では根拠を明確にしたうえで「おおすか」を優先させているようです。文献によって書かれている内容にずれがあるのは日常茶飯事ですが、どのように記述すればいいか伝える際の参考になります。
(写真)大須賀力 - Wikipedia。
(写真)大須賀力 - Wikipedia。
1.3 グループワーク
市川市の神輿
イベントのサブタイトルは "デジタルで知ろう、知り合おう、市川の名所を再編集" です。興味のある名所旧跡などのWikipedia記事を検索してもらってから意見を聞きました。
"行徳地区の神輿" について検索したけど "市川市" の記事には全く触れられていないことに気づいた方がいました。行徳神輿は千葉県指定伝統的工芸品にもなっている伝統産業だそうです。行徳地区には江戸時代創業の中台製作所という神輿メーカーがあり、中台製作所による行徳神輿ミュージアムという施設もあるとのこと。
Wikipediaでは地場産業に関する記述が少ない印象があります。地元の方が書かないとなかなか増えないのでしょうね。イベント趣旨である市川市の名所とはやや異なりますが、オフライン開催のウィキペディアタウンでは興味深い題材であると感じました。
日本毛織中山工場
私が事前に検索して興味を持ったのは、Google検索で「東洋一の紡績工場」や「日本最大の規模」などといったフレーズが出てきた "日本毛織中山工場" です。この工場は1980年代前半に閉鎖され、現在は大型ショッピングセンターのニッケコルトンプラザになっています。
同じルームに市川市出身の年配の方がいたので聞いてみましたが、「大きな工場がある薄暗い雰囲気の場所だった」とのこと。「東洋一」「日本最大」といった言葉とはかけ離れた記憶に聞こえます。文献だけを見ていると本質を見誤ることがあること、記憶だけが頼りでは見えてこないものがあることなどを感じました。