名古屋市と豊田市に挟まれて、北から順に長久手市・日進市・東郷町の3自治体が並んでいる。近くて遠い存在の日進市立図書館(と長久手市中央図書館)を訪れた。
1. 日進市立図書館を訪れる
名鉄豊田線日進駅から約25分歩いた。約2kmの距離があり、途中で笠寺山という丘を越える。日進市には明確な中心エリアがなく、図書館が市民の生活動線上にあるのかは怪しい。
この建物は2008年完成。設計は2014年に亡くなった岡田新一(設計事務所)。岐阜県立図書館、徳島県立図書館、小田原市立かもめ図書館なども手掛けているらしい。四隅の塔が目立つが、デザインを機能に活かしきれているとは思わない。
入口近くには予約図書の時間外貸出ロッカーが設置されていた。最近は特に首都圏で増えているらしいが、現物を見たのは初めて。駅前型図書館のほうが効果的な気はする。名古屋市徳重図書館にもあるらしい。
現在の日進市立図書館は2008年に開館した。愛知県内では稲沢市中央図書館(2006年)と同時期。日進市の人口は約9万人で、人口増加率は全国トップクラス。延床面積(6,100m2)は同規模自治体と比べてかなり広く、さらなる人口増加を見越しているように思われる。
右の写真はテーマ展示の書架。没後100年の漱石、没後400年のシェイクスピアに加えて、近年に亡くなった作家の作品を展示していた。図書館ではなくておしゃれな書店に見える。写真写りがいい。この図書館はTRCが業務を受託している。
興味深かったのは2階の一角にある「IT講習室」。コワーキングスペースのような雰囲気で、オフィスソフトが入ったデスクトップPC、データベース用PC、コピー機、プリンターなどが設置されていた。有料(1回あたり400円台-600円台)で利用できるようで、何人かが長時間作業していた。
1階にはインターネット/データベース用パソコンが数多く設置されている。利用者カードを持っていないと使えず、利用者カードの作成可能自治体は多くない。事業年報を見ると、日進市民の登録者数が約21,000人であるのに対して、名古屋市民の登録者数は約9,000人。名古屋市東部から車で来館する人が多いのかもしれない。
9万人の自治体としては珍しく、この図書館では中日・朝日・日経などのデータベースを利用できる。どれだけ利用されているのか司書さんに聞いてみたが、1か月あたり2-3人だという。
新聞の置き方もおしゃれ。中日・朝日・読売・産経・日経・中部経済新聞の過去1か月分がすぐ手に取れる。
四隅にある塔のひとつは学習室になっている。三角形や半円形の窓から太陽光が入る。
建物内には社会福祉法人が運営する「スローカフェゆったり」がある。店員さんに運営形態を聞いていたら、たまたま管理者の方が来店され、挨拶された。カフェの棚には大村愛知県知事と管理者の方が一緒に写った写真が並べられていた。
2. 長久手市中央図書館を訪れる
日進市の北には長久手市がある。2005年の愛知万博に合わせてリニモが開通したことで名古屋市や豊田市への交通が便利になりました。はなみずき通駅から北に550m、「図書館通り」を標高約10m分のぼると図書館が見えてきます。特徴的な外観も合わせてちょっとしたランドマークになっています。
2階には鍵の掛かった郷土資料・参考図書室がありました。愛知万博関連資料や戦国時代に関連する資料が豊富ですが、事務室に声をかけないと開けてもらえない。
1階では「漱石没後百年の百冊」というテーマ展示を行っており、漱石の著書はもちろん、没後に出版された漱石本が集められていました。