振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

天龍村図書館を訪れる

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(写真)天龍村文化センター なんでも館。図書館が入っている。

2018年12月、長野県下伊那郡天龍村天龍村図書館を訪れました。

 

1. 天龍村を訪れる

天龍村は長野県の南端部にある自治体です。人口は約1,200人ということで、愛知県最小の豊根村とほぼ同じ。その豊根村静岡県浜松市天竜区と境界を接しています。

中心地区の平岡は天竜川左岸(東岸)の斜面に形成された集落であり、地区の標高は260m(天竜川にかかる平岡橋)から434m(地区最高所の老人ホーム)まで幅広い。天龍村役場は308m地点にあり、愛知県奥三河設楽町田口や豊根村下黒川などの諸地区よりも低いです。南信ではもっとも標高が低い地域のようで、村長のブログには「県下で最も温暖な地」とあります。

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(地図)長野・愛知・静岡・岐阜の県境地域における天龍村の位置。©OpenStreetMap contributor。

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(写真)天竜川沿いの斜面に形成された平岡。中央下が天竜中学校。中学校の左上の茶色い建物が天龍村文化センター なんでも館。なんでも館左の白い建物が天龍村役場。なんでも館上の白い建物が龍泉閣。右端は平岡橋。

 

JR飯田線平岡駅の駅舎と一体となった、ふれあいステーション龍泉閣という宿泊施設がありました。村営っぽい。平岡駅から100mの場所には図書館が入っている天龍村文化センターなんでも館があり、直線距離で文化センターの100m先には天龍村役場が、直線距離で村役場の100m先には天龍村天竜中学校があります。それぞれの距離はたいしたことないけれど、平岡駅天竜中学校の間には標高差50mもの高低差があります。

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(左)JR飯田線平岡駅。背後は龍泉閣。(中)平岡駅と龍泉閣の外観。(右)平岡駅待合所と龍泉閣フロント。

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 (左)天龍村役場。(中)天龍村天竜中学校。(右)天龍村天竜小学校。

 

JR飯田線の線路と平行に国道418号が通っており、国道に沿って商店街が形成されて今す。この国道は地区中心部を走るにもかかわらず、バイパス等は整備されていません。ダムや発電所に向かうトラックはどうしてるのかな。交通量はそれほど多くなく、天龍村には信号が1つもないそうです。

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(写真)天龍村中心部。国道418号線

 

フードセンター東京堂、満島食糧販売店、大西商店、尾張屋、吉澤食料品店、武川商店など、個人経営の食料雑貨店は村の規模に不釣り合いなほど多い印象。チェーンのスーパーの類はありませんでした。食堂の類も見かけませんでしたが、ふれあいステーション龍泉閣にレストランがあります。

天龍村の人口がピークを迎えたのは、8,000人を超えた1950年。映画最盛期の映画館名簿を見ると、『映画便覧 1960』では天龍村に「満島劇場」が、『映画便覧 1963』では天龍村に「平岡劇場」があったことが確認できます。おそらく同一施設でしょう。この映画館についての詳細は定かではありませんが、国道418号沿いにあった廃業したパチンコ店「新天地平岡」が怪しいと感じました。

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 (左)食料雑貨店「フードセンター東京堂」。(右)廃業したパチンコ店「新天地平岡」。

 

天龍村といえば平岡ダム - Wikipedia平岡駅からは2km弱であり、鉄道駅から歩いて行けるダムです。戦中に建設された際には中国人が建設に従事したそうで、ダムに向かう長野県道・愛知県道・静岡県道1号飯田富山佐久間線 - Wikipedia沿いにはひっそりと慰霊碑が建てられていました。

平岡の集落があるのは平岡ダムと平岡発電所の間ということで、集落の前を流れる天竜川の水量はほぼゼロ。水流がないので涸れ川のようにも見えます

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(左)県道1号。(右)平岡ダム。

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(左)県道1号から見た天竜川と平岡。(右)斜面の茶畑。

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 (写真)河岸から見た天竜川。

2. 天龍村図書館を訪れる

天龍村図書館は「公共図書館」ではありますが、図書館公式サイトなどはないし、天龍村当局がウェブ上で公開している情報は「文化センターなんでも館のなかにあります。毎週月曜日・祝日・年末年始を除き開館しています」(天龍村公式サイト)だけだと思われます。開館時間の情報はなく、年末年始の期間についての情報もありません。『平成30年度長野県公共図書館概況』によると開館時間は開館時間は「10時-18時」だそう。年末年始の期間について天龍村教育委員会に電話して確認したところ、「12月29日~」だそうで、「年内最終日の12月28日は短縮営業で10時-17時15分開館」とのことでした。

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(写真)左 : 新着図書、中 : 「飯田線80周年記念特設コーナー」、右 : 地域資料。

『平成30年度長野県公共図書館概況』によると、2017年度末の蔵書数は18,898冊(14.8冊/人)とのことで、1人あたりでは南相木村(38.9冊/人)、阿南町(24.5冊/人)、下條村(23.1冊/人)、南牧村(16.1冊/人)に次ぐ高水準。しかし2017年度の個人貸出冊数は1,327冊(1.0冊/人)。長野県では根羽村(0.1冊/人)に次ぐ低水準のようです。

一般的な公共図書館と同じ週6日開館、村の中心部に立派な施設を持ちながら、これだけ数字が低いのはどうしたことかと思います。1994年の開館から20年以上経っている図書館ではありますが、その存在自体が認知されていないのかな。「高齢化率は全国2番目の高さ」というのも関係してそうですが。私がいた時間には、お話コーナーに来た年配の女性と孫、一般書を探しに来た女性がいました。

職員に館内の写真を撮りたいというと、同一施設内の教育委員会で上司に聞いてから「いいですよ」とのこと。撮影申請書のようなものはありませんでしたが、名前と住所を申告しています。

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 (左)カウンター脇のソファ席。(右)地域資料。天龍村関連の新聞記事を集めたスクラップブックとかもあった。(右)中日新聞南信州新聞。この辺では中日新聞が読まれてるんですね。

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(左)書架の奥がおはなしコーナー。館内ではWi-Fiも使えるらしい。(右)閲覧席。右奥が一般書。
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 (写真)一般書の書架。文芸書の書架は作家見出しが横長。

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