振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

観音寺市立中央図書館を訪れる

(写真)観音寺市立中央図書館。

2024年(令和6年)8月、香川県観音寺市観音寺市立中央図書館を訪れました。「観音寺市の映画館」に続きます。

 

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1. 観音寺市を訪れる

(絵図)吉田初三郎「讃岐観音寺御図絵」1930年。『写真アルバム 中讃・西讃の昭和』樹林舎、2017年。

 

1.1 観音寺市郷土資料館本館(閉館)

(写真)観音寺市郷土資料館本館。登録有形文化財

 

1.2 柳町商店街

観音寺市の全蓋式アーケード商店街としては、600mもの長さの柳原商店街(柳原通り)がありました。2000年代以後にアーケードが撤去されたうえに道路が拡幅され、明るいけれど殺風景さも感じる通りとなっています。観音寺市街地にあった映画館6館のうち4館は、柳原商店街から分岐する路地沿いにありました。

(写真)アーケードがあった昭和30年代の柳原商店街。『中讃・西讃今昔写真帖』郷土出版社、2008年。

(左)2012年の柳原商店街。(右)拡幅された柳原商店街。

 

2. 観音寺市立中央図書館

2.1 図書館の歴史

公式サイトは簡素なユーザーインタフェースで情報量が少なく、Google検索を行っても館内の特色や図書館の歴史などが詳細に書かれたウェブサイトは発見できません。

国立国会図書館デジタルコレクション内を検索すると、2005年(平成17年)の『図書館雑誌』における新館紹介のページがヒットし、2004年(平成16年)12月に現行館が開館したことがわかりました。

 

1926年(大正15年)には観音寺町立補習学校に観音寺町立図書館が設置されました。戦後の1948年(昭和23年)、旧三豊郡農業会農事試験場の建物に観音寺町立讃岐博物館との併設で観音寺町立図書館が再開館し、1952年(昭和27年)には図書館条例を制定、1955年(昭和30年)には観音寺市が発足して観音寺市立図書館に改称しています。

1948年(昭和23年)から1979年(昭和54年)まで用いられた建物は登録有形文化財に登録されて現存しています。1980年(昭和55年)から2018年(平成30年)までは長らく観音寺市郷土資料館本館として用いられ、2018年(平成30年)には内部にことひきカフェが開店しています。

(写真)1948年から1979年に図書館が入っていた旧三豊郡農業会農事試験場。

 

1979年(昭和54年)には観音寺市教育文化会館内に移転し、閉架式から開架式に変更されたのはこの時のようです。2004年(平成16年)には坂本町観音寺市立図書館の新館が開館しました。2005年(平成17年)には(旧)観音寺市を含む1市2町が合併して(新)観音寺市が発足し、観音寺市立図書館は観音寺市立中央図書館に改称しています。

1979年(昭和54年)から2004年(平成16年)まで用いられた建物も現存しており、観音寺南公民館という名称となっています。

(写真)1979年から2004年に図書館が入っていた観音寺市教育文化会館。Googleストリートビュー

 

2.2 図書館の館内

2004年(平成16年)開館の現行館は四国で初めてICタグを導入した公共図書館だそうですが、館内は20年前から大きな変化がないように見えます。2015年(平成27年)竣工の観音寺市役所に隣接した好立地にあり、若い世代から年配者まで利用者は多いです。

建物は2階建てであり、南側に大きな吹き抜けがあることで開放感があります。2階はもっぱら学習席になってしまっており、1階の利用者と2階の利用者に隔たりがあるように感じられました。

(写真)2階から見た1階。

(写真)観音寺市の郷土資料(ふるさとコーナー)。

 

2.3 特設コーナー

2階には「大平正芳コーナー」(観音寺市出身の内閣総理大臣)と「芦原すなおコーナー」(観音寺市出身の小説家)があります。

著名人から寄贈された蔵書を置いている公共図書館は多数あるけれど、どこも蔵書を持て余して棚が死んでしまっているように見えます。サイン色紙や経歴の紹介文などは新しく設置したもののようです。

 

大平正芳コーナー

(写真)「大平正芳コーナー」。

(写真)「大平正芳コーナー」。

(写真)「大平正芳コーナー」。

 

芦原すなおコーナー

(写真)「芦原すなおコーナー」。

(写真)「芦原すなおコーナー」。