（写真）小田急小田原線秦野駅の駅前。左奥のマンションが秦野名画座の跡地。
2023年（令和5年）3月、神奈川県秦野市を訪れました。かつて秦野市には映画館「秦野名画座」（前身は秦野初音館）と「秦野新生座」があり、また劇場「秦野座」がありました。「秦野市を訪れる」からの続きです。
3. 秦野市の映画館
3.1 秦野新生座（1952年4月-1969年頃）
所在地 : 神奈川県秦野市今川町133（1969年）
開館年 : 1952年4月
閉館年 : 1969年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1952年4月開館。1943年の映画館名簿には掲載されていない。1947年の映画館名簿では「秦野劇場」。1950年・1953年の映画館名簿では「ニューハダノ」。1955年の映画館名簿では「秦野新生」。1958年の映画館名簿では「秦野新生座」。1960年の映画館名簿では「ハダノ新生」。1963年・1966年・1969年の映画館名簿では「秦野新生座」。1970年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「小田急小田原線秦野駅」北口160mにある工事用地と駐車場。最寄駅は小田急小田原線秦野駅。
秦野新生座は小田急線秦野駅（映画館があった時代は大秦野駅）近くにあった映画館です。1967年の住宅地図を見ると、大秦野駅と秦野新生座の間には銘柄「国の祝」を製造していた近江屋酒造店（オーミヤ）や秦野郵便局がありますが、いずれも移転して現存しません。秦野新生座の跡地は駐車場となっています。
（写真）秦野新生座の広告。『秦野町住所録1954』都市要覧刊行会、1954年。秦野市立図書館所蔵。
（写真）1962年の秦野市街地の映画館。地図・空中写真閲覧サービス
（地図）1967年のハタノ新生劇場周辺。『秦野市明細地図』明細地図社、1967年。秦野市立図書館所蔵。
（写真）秦野新生座跡地の駐車場と小田急の線路。
3.2 秦野初音館（1925年以前-1978年頃）
所在地 : 神奈川県秦野市本町2-2-7（1978年）
開館年 : 1925年以前
閉館年 : 1978年頃
『全国映画館総覧 1955』には開館年が掲載されていない。1925年・1927年・1930年・1936年・1943年・1947年の映画館名簿では「初音館」。1950年の映画館名簿では「秦野初音館」。1953年・1955年・1958年・1960年・1963年の映画館名簿では「初音館」。1966年・1969年・1973年・1976年・1978年の映画館名簿では「秦野初音館」。跡地はマンション「D'クラディア秦野本町」建物北東部。最寄駅は小田急小田原線秦野駅。
1972年（昭和47年）1月から1977年（昭和52年）8月まで、『キネマ旬報』には全国の個別の映画館について取り上げる「われらの映画館」という連載がありました。1976年（昭和51年）9月下旬号では秦野初音館が紹介されています。学校の春休みの時期には割引券を2万枚から2万5000枚も刷って学校前で配るというのがすごい。秦野初音館の開館年は調べきれていませんが、凝ったデザインのファサードだったようです。
（写真）秦野初音館。「われらの映画館」『キネマ旬報』1976年9月下旬号。愛知県図書館所蔵。
（地図）1967年の初音館周辺。『秦野市明細地図』明細地図社、1967年。秦野市立図書館所蔵。
（写真）秦野初音館を紹介する「われらの映画館」『キネマ旬報』1976年9月下旬号。愛知県図書館所蔵。
3.3 秦野名画座（1978年頃-2005年3月31日）
所在地 : 神奈川県秦野市本町2-2-7（2005年）
開館年 : 1978年頃
閉館年 : 2005年3月31日
前身館は秦野初音館。1979年・1980年・1985年の映画館名簿では「秦野名画座」。1990年・1995年・2000年の映画館名簿では「はたの名画座」。2005年の映画館名簿では「秦野名画座」。2006年の映画館名簿には掲載されていない。跡地はマンション「D'クラディア秦野本町」北東部。最寄駅は小田急小田原線秦野駅。
秦野初音館の跡地に建ったのが秦野名画座です。
（地図）1982年の名画座周辺。『秦野市明細地図』明細地図社、1982年。秦野市立図書館所蔵。
（写真）秦野初音館/秦野名画座跡地のマンションとひがしみち。
（写真）秦野初音館/秦野名画座跡地のマンションと秦野駅。
秦野市の映画館について調べたことは「神奈川県の映画館 - 消えた映画館の記憶」に掲載しており、その所在地については「消えた映画館の記憶地図（神奈川県版）」にマッピングしています。
