振り返ればロバがいる

Wikipediaの「利用者:Asturio Cantabrio」によるブログです。ロバです。東京ウィキメディアン会・関西ウィキメディアユーザ会所属。図書館界で静かなブームとなっている(?)ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録などを書きます。

「多治見市図書館」を加筆する

昨今の厳寒季にありて何一つ暖房設備のない読書室に孜々として読書に余念のない青年の姿を眺める時日本はまだ亡びずの感を深くした

— 『週刊たぢみ』1947年2月22日

 

 

2017年5月30日・31日・6月1日の3日間、ウィキペディア記事「多治見市図書館 - Wikipedia」が強化記事としてメインページに掲載されました。その後6月上旬に投票が行われ、2017年5月期のWikipedia:月間強化記事賞 - Wikipediaを受賞しました(どちらも内輪の投票ごっこです)。本エントリーはFacebookからの転載・修正。

 

多治見市図書館を訪れる
2016年夏にはLibrary of the Year受賞館をいくつか訪れて、ウィキペディア記事を作成したり加筆しました。伊那市立図書館、静岡市御幸町図書館、鯖江市図書館。その一方で自宅からいちばん近い受賞館である多治見市図書館を避けていたのは、この図書館の受賞理由がよくわからなかったから。2016年8月に初めて訪れたのですが、3階にある陶磁器資料コレクションはすごいと思ったものの、図書館に関する文献を調べることなく写真だけ撮って帰りました。

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(写真)2016年8月のまなびパークたじみ。曇天。

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(写真)2016年8月の多治見市図書館の館内。2階と3階の写真だけ撮った。

 

多治見市図書館に気付く
この2017年4月には岐阜県立図書館に行く機会があり、たまたま、多治見市図書館の事業年報を初めて閲覧しました。多治見市図書館の事業年報は70ページものボリュームがありますが、図書館の沿革に関する部分はたった1ページしかなく、役に立ちません。しかし、郷土資料の収集に関する部分は図書館が収集にかけている熱意がよくわかります。また、事業年報に書かれている展示やイベントの数は目を疑うほどでした。展示やイベントについては写真も掲載されています。


5月には約1年ぶりに多治見市図書館を訪れました。実は前回の訪問時には4階の郷土資料室に入り損ねていました。多治見市図書館は2階と3階が開架。郷土資料室は開架とは別フロアの4階にあり、中の見えない扉を開けるのを躊躇していたのです。
この郷土資料室は半分が地域資料の書架として、半分が事務室として使われています。入口側半分の書架をびっしりと埋める地域資料からは、この図書館のキモは郷土資料室なのだということを悟りました。2015年のLibrary of the Year受賞については中日新聞岐阜新聞が記事を書いていますが、いずれも3階の陶磁器資料コレクション8000点に焦点を当てており、4階の郷土資料室のすごみは伝わってこないのです。
事務室はそのままレファレンスの窓口にもなっているようです。前月に岐阜県立図書館で多治見市図書館の文献を探した経験から、司書に「まなびパークたじみ移転前の歴史に関する文献が少ないですね」と言ったら、多治見市史刊行時に集めたらしい資料(蔵書扱いになっていない資料)を事務室の棚から出してくれました。その一部は『多治見市誌稿』を原典としていましたが、岐阜県立図書館ではこの文献を見落としていました。

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(写真)2017年5月のまなびパークたじみ。つつじは終わりかけだが快晴。

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(写真)多治見市図書館4階の郷土資料室。

 
多治見市図書館についてまとめる

5月中に少しずつ多治見市図書館の文献を文字にし、24日に既存のウィキペディア記事「多治見市図書館」に加筆しました。

多治見市図書館といえば陶磁器資料コレクションが注目され、2015年にLibrary of the Yearを受賞したことが特筆されますが、このウィキペディア記事の文章の中心はそこではありません。『岐阜県公共図書館の歩み』『岐阜県教育史』『図書館白書ぎふ』『多治見市の教育』などにわずかずつ書かれている、20世紀中の数少ない記述を寄せ集めて作った歴史節が記事の中心です。

多治見市図書館の陶磁器資料コレクションやLibrary of the Yearについてはググれば出てきますが、歴史的な記述は図書館の本の中に眠っています。ネット時代で見えにくくなっているそれらの文献について、濃い味付けをすることなく、バランスよくまとめて提示することを心掛けています。

 

多治見市は岐阜県で3番目に市制施行したという歴史があります。また、戦後すぐの時期に一市民の発案で図書館が設立されたというエピソードもあります。このような歴史の豊かさ・文化度の高さが陶磁器資料コレクションの根底にあると思ったため、「歴史」節は「特色」節よりも前に置いています。

本ブログの冒頭に置いた引用句は、1947年の開館当時に『週刊たぢみ』に掲載された文章です。資金や蔵書にかける時期にもかかわらず図書館を設置した郷土の自治体に対する誇りが伝わってきます。またこの記事には、建物の変遷を視覚的に理解できるような画像もいくつか掲載しています。

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(左上)煙突が林立する1950年の多治見市。(右上)昭和20年代に図書館が併設されていた消防会館。(左下)1960年の旧幼稚園舎時代(右下)1977年から図書館に使用された旧多治見市民病院。

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(左)英語多読コーナー。(右)陶磁器資料コレクション。


日本一暑い町で汗水たらして陶磁器資料を集めている司書の苦労までは調べきれていません。多治見市図書館に関心のある方は、ぜひこの図書館に関する情報提供をお願いします。

 

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