振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

「Wikipedia town in くるめ」に参加する

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2022年(令和4年)3月5日、Zoom主体で開催されたオンラインイベント「Wikipedia town in くるめ -やさしく楽しい!くるめのよかとこ発信体験会-」に参加しました。一部の参加者は福岡県久留米市のリアル会場から参加しています。

 

1. イベント概要

1.1 推進団体

参加者が協力してウィキペディアを編集するウィキペディアタウンの一種であり、世界中でオープンデータに関する取り組みを行うインターナショナル・オープンデータ・デイ(IODD)2022に開催されました。Zoomによるオンライン開催がメインであり、学生のみはリアル会場に集まって行われました。
主催は久留米オープンデータ活用推進研究会、司会進行などは久留米市情報政策課。久留米オープンデータ活用推進研究会は民産学官の協働によってオープンデータの活用を図る団体であり、Code for Kurume(民)、久留米ICT組合(産)、久留米大学久留米工業大学や久留米工業高専(学)、久留米市(官)などによって構成されています。
2021年(令和3年)夏にはアカデミック・リソース・ガイド(ARG)の岡本真さんが、Code for Kurumeに対してWikipediaの勉強会をしています。岡本真さんは総務省が委嘱する地域情報化アドバイザーであり、ウィキペディアタウンなどウィキペディアに関する研修も行っています。

 


1.2 スケジュール

スケジュール

13:00-13:10 開会挨拶&イベント趣旨説明(メインルーム)
13:10-13:30 ウィキペディア編集方法説明(メインルーム)
13:30-14:30 グループワーク(ブレイクアウトルーム)
14:40-15:00 成果発表・講評(メインルーム)

 

久留米市情報政策課の方がメインルームの進行役であり、イベント趣旨の説明やウィキペディアの編集方法の説明を聞きました。その後は参加申込時の希望に合わせて歴史グループ、観光グループ、グルメグループの3グループに分かれ、ブレイクアウトルームに移動してグループワークを行いました。運営スタッフも含めた参加者は20人弱であり、久留米オープンデータ活用推進研究会を構成する団体のメンバーが中心です。

 

2. グループワーク

私はCode for Kurum副代表の方、久留米工業大学の方、久留米市情報政策課の方などとともに歴史グループに入りました。ブレイクアウトルームではCode for Kurumeの方がグループリーダーとなってグループワークを行いました。ウィキペディアの簡単な編集を行ったことがある方はいましたが、他地域でウィキペディアタウンに参加したことがある方はいなかったようです。

主催者が設定した題材は "歴史" というざっくりしたものであり、編集記事を決定するまでに30分以上かかりました。まず高良大社 - Wikipedia(記事あり)や水天宮 (久留米市) - Wikipedia(記事あり)などという案が出て、水天宮に関連する幕末の志士の真木保臣 - Wikipedia(記事あり)が編集候補となりました。水天宮の境内社には真木保臣を祀っている真木神社がありますが、真木神社については水天宮の記事に名前の言及があるだけであり、真木神社についてウィキペディアに書き加えようという議論になりました。

文献で調べる必要があるのではないかという意見が出ましたが、今回は事前に編集記事が決まっていなかったため、文献の準備がありません。また、Zoom開催のため図書館に行くこともできません。このため、Googleドキュメントにグループワークのページを作成し、とりあえず真木神社に関するウェブ言及を収集する作業を行いました。

真木神社に関する文章の記述先は水天宮の記事が妥当だとは思いましたが、久留米市 - Wikipediaに真木神社に関する記述を加えることになり、グループの代表が神社節に一文を加えています。いくつかのウェブサイトを閲覧したわけですが、代表の方は出典は付けずに編集してグループワークが終了となりました。

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(写真)歴史グループのグループワーク中のGoogleドキュメント。

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(写真)赤線は歴史グループが久留米市 - Wikipediaに加えた一文。今回の成果。

 

3. 成果発表

観光グループはWikipedia久留米市」にある写真キャプションにリンクを付ける作業を行っていますが、同一節の箇条書き部分にあるリンクとの重複であるともいえます。観光グループは施設名にURLを付ける作業も行っていますが、外部サイトへのリンクは好ましくない例と判断されてしまう(Wikipedia:記事どうしをつなぐ - Wikipedia)可能性もあります。

グルメグループは「久留米やきとり」を新規作成しています。最初に投稿した記事がテスト投稿として即時削除され、きちんとした形で投稿し直すという出来事もあったようですが、イベント終了時には今後の発展が期待できる記事となっています。グルメグループは有意な文章を作成した唯一のグループでした。

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(写真)久留米やきとり - Wikipediaの削除記録。

 

4. まとめ

郷土資料などの出典に関する準備がまったくないウィキペディアイベントだったことにはやや困惑しました。ウィキペディアではウェブサイトを出典に用いることも可能であり、歴史グループはグループの判断でウェブサイトを探しましたが、結局はグループの代表者による無出典での編集となりました。ウィキペディアンとしてこの編集には問題があると思ったため、イベント終了後には出典付きで加筆しましたが、郷土資料がないと編集が難しい題材です。

今回のイベントはインターナショナル・オープンデータ・デイ(IODD)2022に合わせて開催された軽いイベントです。私が入った歴史グループにはCode for Kurum副代表の方や久留米工業大学の方などがいましたが、編集成果にはまずまず満足されているようでした。主催者の意図を正確に把握しているわけではありませんが、「Wikipediaを活かした情報発信の手軽さを伝えること」であるならば及第点のイベントだったのかもしれません。

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(写真)久留米市 - Wikipedia。真木神社に関して出典付きで加筆した。