(写真)樹齢109年の杉が生えている開架室。
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佐久間ダムで知られる佐久間地区(旧・磐田郡佐久間町)は浜松市中心部から約50kmの距離にある。浜松市街地からなら国道152号で、愛知県の東三河地方からならJR飯田線で訪れることができる。佐久間駅の時刻表を見ると岡谷方面は11本/日、豊橋方面は10本/日。2時間に1本程度しかない時間帯もあり、行くのも帰るのも容易ではない。
とはいえ、浜松市街地からもっとも遠い(≒もっとも北にある)図書館は旧・水窪町の水窪図書館だし、もっとも訪問が困難な(≒山中にある)図書館は旧・春野町の春野図書館だろう。もっとも利用者数の少ない図書館は旧・龍山村の龍山図書館であり、年間約300人(1人/日)の利用者しかいない。浜松市は広い。
329m2の図書館に対して駅舎は31m2。浜松市立佐久間図書館 - Wikipediaには(図書館は)「飯田線佐久間駅の駅舎に併設されている」と書いたが、駅舎のほうが図書館に併設されているという印象を受ける。
(地図)浜松市中心部にある中央図書館と佐久間図書館の位置関係。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。
(左)佐久間図書館周辺。(右)建物全体。中央から右が図書館、左の入口は待合室。
この図書館は、1989年に佐久間町立図書館として開館した。 2年前に発足したJR東海が佐久間駅を改築するのに合わせて、中学生の発案で駅舎に図書館が併設されることとなった。シンボリックな杉の大木がフロア中央部に据えられているが、これは佐久間町内から切り出された樹齢109年の天竜杉であり、浜松市によると「明治12年(1879年)生まれ」。
開館当時には駅前に佐久間町立中学校があり、電車の待ち時間に生徒が図書館を利用したという。佐久間町が浜松市に編入されると、浜松市立佐久間中学校は中部天竜駅近くに移転した。10年ほど前と比べるとはっきりと利用者数が減っており、2016年度の利用者数は浜松市立図書館24館中22位の2,311人(8人/日)となっている。佐久間駅の乗者人員は16人/日と少なく、駅舎併設型とはいっても休日より平日の利用者が多いわけではないらしい。
大きなステンドグラスの下に入口があり、正面の開架室中央部に杉の大木が聳えている。開架室の奥にはブラウジングコーナーが、さらにその奥には閲覧室があり、2室を廊下(ブラウジングコーナー)で結んだような構造になっている。開架室のカウンターから閲覧室はまったく見えず、閲覧室では人の気配を気にせず静かに読書ができる。
佐久間町立図書館として開館した当時の蔵書数は約5,000冊、現在の蔵書数は約23,000冊ということだが、浜松市と合併したことで浜松市立図書館全館の蔵書250万冊を利用可能になった。この規模の図書館としては展示コーナーに気合が入っており、大河ドラマ絡みの井伊直虎コーナー、観光パンフレット的な資料もある「さくま歩廊」、「飯田線の思い出」があった。井上靖コーナーがあるのは『天竜川・讃』という作品があるから。
滞在した2時間ほどの間にも何人か入ってきた。統計上の利用者は少ないものの、とても活気がある図書館に見えた。
[東側] 開架室
(左)開架室の一般書。(右)開架室に置いてある佐久間レールパークの看板。1991年から中部天竜駅構内にあったが2009年に閉館し、展示車両は名古屋市のリニア・鉄道館に引き継がれた。
開架室のテーマ展示類。(左)井伊直虎コーナー。(中)「さくま歩廊」。(右)「飯田線の思い出」。
(左)井上靖コーナー。(右)シリーズ本コーナー。
[中央] ブラウジングコーナー
(写真)開架室と閲覧室に挟まれたブラウジングコーナー。奥に見えるのが開架室。
(左)ブラウジングコーナーの雑誌。(右)ブラウジングコーナーのベンチ。
[西側] 閲覧室
(左)閲覧室から見たブラウジングコーナー方向。(右)ブラウジングコーナーから見た閲覧室。
(左)閲覧室にある地域資料とパスファインダー。(右)閲覧室にある文芸書。
(写真)開架室の天井には4面全てに異なるステンドグラスがはめ込まれている。