振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

下呂市立はぎわら図書館・下呂市立金山図書館を訪れる

下呂市立下呂図書館を訪れる - 振り返ればロバがいる からの続き。

 

f:id:AyC:20190101074643p:plain

(地図)岐阜県における下呂市3地区の位置。©OpenStreetMap contributor。

1. 飛騨萩原を訪れる

JR高山本線下呂駅から2駅、約9km北に向かうと飛騨萩原駅です。駅舎はごく普通の無人駅に見えますが、地元商工会による簡易委託駅になっているそうで、図書館流通センターのスタッフのような青いシャツを着た女性2人が乗客に対応していました。物産品販売所ではセルフドリップコーヒーなども販売されています。

f:id:AyC:20190101033427j:plainf:id:AyC:20190101033430j:plain

 (左)JR高山本線飛騨萩原駅。(右)駅舎内の観光案内所。

 

飛騨萩原は飛騨街道の宿場町であり、本町通りは下呂市の街並み景観保存地区となっています。1911年(明治44年)竣工の「十六館」は飛騨銀行(現・十六銀行)益田支店として建設された建物。鉄筋コンクリート造、平屋建てで瓦葺きという外観からは、銀行ではない何かのように見えます。検索する限りではイベント等に使用されているようではありますが、登録有形文化財等に登録されているわけでもなく、いつであれば館内に入れるのかもわからない、もやもやする建物です。

本町通りには歩道が整備されていますが、歩道に乗り上げて停められた車が多い。また道幅が狭いにもかかわらず一方通行ではなく、走行する車も歩道部分に侵入してきます。歩いていて危なっかしいし、そもそも歩いている人をほとんど見かけませんでした。観光客を歩かせたい行政、そんなこと知ったこっちゃない住民の意識のずれを感じます。

f:id:AyC:20190101033438j:plainf:id:AyC:20190101033442j:plainf:id:AyC:20190101033444j:plain

 (左)1911年竣工の「十六館」。旧・飛騨銀行益田支店。(中)飛騨街道。ゆっくり写真なんか撮ってると轢かれそうになる。(右)天領酒造。

f:id:AyC:20190101033450j:plainf:id:AyC:20190101033453j:plain

(左)今日の十六銀行益田支店。(右)飛騨街道の裏にある路地。

 

飛騨萩原駅と本町通りの間には萩原諏訪城址があり、堀で囲まれた中央部には諏訪神社が鎮座しています。地図ではわかりづらいのですが萩原諏訪城址は台地の縁にあたり、飛騨川側と高山本線側で10m近い高低差があります。

飛騨萩原駅とはぎわら図書館の間には、下呂市唯一の高校である岐阜県益田清風高校があります。下呂地区と萩原地区には街のにぎわいに大きな差があるだけに高校の存在は大きい。なお飛騨地方には大学がありません。

下呂市立はぎわら図書館は下呂市萩原中央公民館(星雲会館)の3階。施設全体における図書館の立ち位置は低い。同一フロアには教育長室があります。図書館には興味を引かれるものもなかったため、写真撮影の可否も尋ねずに早々に退散しました。

f:id:AyC:20190101033500j:plainf:id:AyC:20190101033502j:plainf:id:AyC:20190101033504j:plain

 (写真)萩原諏訪城址にある諏訪神社。(中)石垣と堀の遺構。(右)舞台。

f:id:AyC:20190101033509j:plainf:id:AyC:20190101033512j:plain

 (左)図書館が入っている星雲会館。(右)下呂市立はぎわら図書館入口。

 

2. 飛騨金山を訪れる

下呂市下呂図書館、下呂市立はぎわら図書館と訪れた後は、飛騨萩原駅から南下して飛騨金山駅に向かいます。高山本線の車内は益田清風高校の生徒で混雑していました。

飛騨金山も飛騨萩原と同じく飛騨街道の宿場町です。飛騨川と馬瀬川の合流地点にあり、飛騨金山駅を降りると金山橋を通って市街地に向かいます。

f:id:AyC:20190102074537p:plain

(地図)飛騨金山の地図。黒枠が旧市街地。国土地理院 地理院地図

f:id:AyC:20190101033606j:plainf:id:AyC:20190101033608j:plain

 (左)飛騨川に架かる金山橋。(右)金山橋から北を望む。左の馬瀬川と右の飛騨川の分岐点。

f:id:AyC:20190101033618j:plainf:id:AyC:20190101033622j:plain

 (写真)飛騨金山の橋本町商店街。

 

金山橋から昭和な雰囲気の橋本町商店街を抜け、木造建築の並ぶ表通りの飛騨街道へ。3階建て城造り建築の清水楼、現役の旅館である清水屋旅館、1988年廃業の銭湯など、目を引く建物がたくさん。飛騨街道からは筋骨(きんこつ)と呼ばれる路地群があちこちに分岐しており、せりだした建物が小川に覆いかぶさる長洞谷などもあります。2017年には観光ガイドの団体が設立され、筋骨をめぐるミニツアーが盛況だそうです。

今回は時間の関係で長洞谷などは歩けなかった。今度は飛騨金山を主目的地として、歩きやすい気候の時期にまた来ます。筋骨については下記のサイトなどに面白いことが書かれています。

筋骨めぐり| 飛騨金山には訪ねてみたい場所がある

日本で一番、狭い国道のあった町・飛騨金山│観光・旅行ガイド - ぐるたび

飛騨金山に行ってきました Part-2 ( 旅行 ) - 寄る辺ない旅のブログ - Yahoo!ブログ

f:id:AyC:20190101033630j:plainf:id:AyC:20190101033633j:plain

  (写真)飛騨街道沿い。(左)現役の清水屋旅館。

f:id:AyC:20190101033638j:plainf:id:AyC:20190101033642j:plain

(左)飛騨街道沿いにある廃業した銭湯。(右)筋骨の例。

 

3. 下呂市立金山図書館を訪れる

下呂市立金山図書館は下呂市金山市民会館の1階にあります。1974年に建設された建物であり、2008年に改修して現在の姿になったそう。それまでは2階にあった狭い図書館を、改修時に広い1階に移したそうです。スリッパに履き替えて入館します。

f:id:AyC:20190101033656j:plainf:id:AyC:20190101033658j:plainf:id:AyC:20190101033704j:plain

 (左)図書館が入っている下呂市金山市民会館。(中)図書館入口。(右)図書館内。スリッパに履き替える。

f:id:AyC:20190101033648j:plainf:id:AyC:20190101033720j:plain

 (左)新着図書。(右)展示コーナー。

f:id:AyC:20190101033723j:plainf:id:AyC:20190101033726j:plain

 (左)窓際の閲覧席。(右)おはなしコーナー。

f:id:AyC:20190101033730j:plainf:id:AyC:20190101033733j:plainf:id:AyC:20190101033737j:plain

 (左)AVコーナー。(中)郷土資料。(右)下呂図書館とはぎわら図書館の本。

 

金山図書館では映画館「金山劇場」についての言及を探します。1963年の映画館名簿に掲載されているけれど1966年のそれには掲載されていない映画館です。

1975年刊行の『金山町誌』には「現存」(建物が現存? 映画館として現存?)とあり、『続金山町誌』には「跡地には1985年11月に金山郵便局が移転」とあることから、建物は1975年以後1985年以前に取り壊されたことがわかりました。

1960年代半ばに閉館したと思っていたこの映画館ですが、40代(?)の司書さんは映画やサーカスなどの興行を行っていた金山劇場を記憶していました。1966年以降の映画館名簿には掲載されていないとはいえ、1975年以後1985年以前(?)の閉館時まで何かしらの興行を行っていたようです。ここまで来て聞いた甲斐があった。金山劇場の写真についてはこの司書さんも「文献に掲載されているのを見たことがない」そうです。金山劇場についてのレファレンスは継続ということにしたので、新たな情報が見つかったら知らせてくれるそうです。

f:id:AyC:20190101033739j:plain

(写真)金山劇場跡地にある金山郵便局。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA 4.0)の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

2018年に訪れた図書館

2018年に訪れた図書館等施設は211施設でした。公民館図書室、私立図書館大学図書館などを含みます。

このほかに、入館してはいないけれど建物の外観の写真を撮った図書館として、飯能市立図書館、新宿区立四谷図書館、西東京市中央図書館、西東京市柳沢図書館、西東京市保谷駅前図書館、相模原市立相模大野図書館、横須賀市立中央図書館、逗子市立図書館、柏崎市立図書館、長野市立図書館、飯田市立中央図書館南信濃分館、各務原市川島ほんの家、大阪府中之島図書館、加古川海洋文化センター図書室、米子市立図書館などがあります。「休館日だった」「朝8時に訪れてしまった」「休館日の朝7時30分に訪れてしまった」などが理由です。

2016年以降に訪れた図書館についてはカーリルスタンプラリーに記録しています。

 

2016年に訪れた図書館(1) - 振り返ればロバがいる

2017年に訪れた図書館(その1) - 振り返ればロバがいる

 

 

1. 北海道・東北(0館)

 

2. 関東(14館)

東京都(11館)

千代田区立日比谷図書文化館、北区立中央図書館、豊島区立中央図書館墨田区立ひきふね図書館、墨田区立立花図書館、府中市立図書館、府中市立宮町図書館、調布市立中央図書館、日野市立中央図書館、東久留米市立中央図書館、東京国立近代美術館フィルムセンター図書室

 

神奈川県(3館)

神奈川県立図書館、相模原市立橋本図書館、鎌倉市中央図書館

 

f:id:AyC:20181230022638j:plainf:id:AyC:20181230022641j:plainf:id:AyC:20181230022707j:plain

(左)神奈川県立図書館新館。(中)府中市立図書館。(右)調布市立中央図書館。


3. 北陸・甲信越(36館)

新潟県(5館)

新潟市立中央図書館、十日町情報館、糸魚川市民図書館、上越市直江津図書館、南魚沼市図書館

 

長野県(21館)

県立長野図書館、上田市立上田図書館、市立岡谷図書館、飯田市立中央図書館、飯田市立上郷図書館、飯田市立中央図書館丸山分館、飯田市美術博物館柳田国男館、諏訪市立図書館、市立須坂図書館、市立小諸図書館、伊那市立伊那図書館、駒ヶ根市立図書館、茅野市図書館、茅野市民館図書室、塩尻市立図書館、辰野町立辰野図書館、飯島町図書館、木曽町図書館、白馬村図書館、阿智村立図書館、天龍村図書館

 

石川県(5館)

石川県立図書館金沢市立玉川図書館、金沢市立こども図書館、白山市松任図書館、野々市市立図書館

 

福井県(5館)

福井県立図書館、福井市立図書館、福井市立桜木図書館、鯖江市図書館、鯖江市えきライブラリーtetote

 

f:id:AyC:20181230022730j:plainf:id:AyC:20181230022733j:plainf:id:AyC:20181230022737j:plain

(左)十日町情報館。(中)野々市市立図書館。(右)えきライブラリーtetote。



4. 東海(32館)

静岡県(11館)

静岡市御幸町図書館、浜松市立中央図書館、沼津市立図書館、熱海市立図書館、富士宮市立中央図書館、富士宮市富士宮駅前交流センター「きらら」図書室、富士市立西図書館、富士市立富士文庫、藤枝市立岡出山図書館、御殿場市立図書館、裾野市立鈴木図書館

 

岐阜県(12館)

岐阜市立図書館、岐阜市立図書館分館、岐阜市立図書館長良図書室、関市立図書館、美濃市図書館、恵那市中央図書館、恵那市岩村コミュニティセンター図書室、恵那市明智コミュニティセンター図書室、下呂市下呂図書館、下呂市立金山図書館、下呂市立萩原図書館、笠松町中央公民館図書室

 

三重県(9館)

津市久居ふるさと文学館、津市ポルタひさいふれあい図書室、四日市市立図書館、伊勢市立図書館生涯学習センターいせトピア、桑名市立中央図書館、桑名市長島輪中図書館、名張市立図書館、朝日町あさひライブラリー、木曽岬町立図書館

f:id:AyC:20181230022819j:plainf:id:AyC:20181230022816j:plain

(左)下呂市下呂図書館。(右)木曽岬町立図書館。

 

5. 愛知県(99館)

名古屋市(20館)

愛知県図書館、名古屋市鶴舞中央図書館、名古屋市南図書館、名古屋市熱田図書館、名古屋市港図書館、名古屋市楠図書館、名古屋市千種図書館、名古屋市瑞穂図書館図書館、名古屋市守山図書館図書館、名古屋市緑図書館、名古屋市天白図書館、名古屋市名東図書館、名古屋市南陽図書館、名古屋市富田図書館、名古屋市志段味図書館、名古屋都市センターまちづくりライブラリー、愛知芸術文化センターアートライブラリー、愛知県国際プラザ図書室、名古屋大学附属図書館、愛知東邦大学図書館

 

尾張地方(35館)

一宮市立中央図書館、一宮市尾西図書館、一宮市尾西児童図書館一宮市立玉堂記念木曽川図書館、一宮市立子ども文化広場図書館、パルティせと市民交流センター情報ライブラリー、瀬戸市立品野台小学校メディアルーム宝島、半田市立図書館、半田市亀崎図書館、春日井市図書館、グルッポふじとう図書館、春日井市東部市民センター図書室、春日井市高蔵寺ふれあいセンター図書室、犬山市立楽田ふれあい図書館、常滑市立図書館、小牧市えほん図書館、稲沢市立中央図書館、稲沢市立祖父江の森図書館、稲沢市稲沢公民館図書室、東海市立中央図書館、東海市立上野公民館図書室、おおぶ文化交流の杜図書館、豊明市立図書館栄分室、豊明市立南部公民館図書室、日進市立図書館、愛西市中央図書館、愛西市佐織図書館、清須市立図書館、あま市美和図書館、大口町立図書館、豊山町立図書室、大治町立公民館図書室、東浦町中央図書館、中部大学附属三浦記念図書館、名古屋経済大学図書館

 

西三河地方(33館)

岡崎市立中央図書館、岡崎市立額田図書館、碧南市民図書館、碧南市民図書館中部分館、碧南市民図書館南部分館、碧南市大浜公民館図書室、刈谷市中央図書館、刈谷市富士松図書館、豊田市中央図書館、豊田市高岡コミュニティセンター図書室、豊田市逢妻交流館図書室、豊田市朝日丘交流館図書室、豊田市浄水交流館図書室、豊田市足助交流館図書室、豊田市旭交流館図書室、豊田市稲武交流館図書室、安城市図書情報館、安城市西部公民館図書室、安城市中部公民館図書室、安城市桜井公民館図書室、安城市二本木公民館図書室、安城市作野公民館図書室、安城市子ども発達支援センター地域交流図書コーナー、KEYPORT、西尾市立図書館、西尾市立一色学びの館、知立市図書館、知立市中央公民館図書室、高浜市立図書館、みよし市立中央図書館、みよし市市民情報サービスセンター、幸田町立図書館、愛知教育大学附属図書館

 

東三河地方(11館)

豊橋市中央図書館、豊橋市大清水図書館、豊橋市アイプラザ豊橋図書室、豊橋市こども未来館ここにこ図書室、豊川市一宮図書館、蒲郡市立図書館、新城図書館、田原市中央図書館、田原市赤羽根図書館、東栄町図書室「のき山文庫」、つぐグリーンプラザ図書室

f:id:AyC:20181230022859j:plainf:id:AyC:20181230022902j:plain

(左)グルッポふじとう図書館。(右)清須市立図書館。

f:id:AyC:20181230022910j:plainf:id:AyC:20181230022912j:plainf:id:AyC:20181230022916j:plain

(左)愛知教育大学附属図書館。(中)西尾市立一色学びの館。(右)東栄町図書室「のき山文庫」。


6. 近畿(27館)

滋賀県(1館)

守山市立図書館

 

京都府(13館)

京都府立図書館、京都府立京都学・歴彩館、京都市醍醐中央図書館、京都市山科図書館、京都市岩倉図書館、福知山市立図書館中央館、舞鶴市立東図書館、宮津市立図書館、京田辺市立中央図書館、京丹後市立あみの図書館、京丹後市久美浜図書室、井手町図書館、与謝野町立図書館

 

大阪府(2館)

大阪市立中央図書館、豊中市立岡町図書館

 

兵庫県(9館)

神戸市立中央図書館、神戸市立三宮図書館、神戸市立垂水図書館、あかし市民図書館、西宮市立中央図書館、西宮市立北口図書館、加古川市加古川図書館、宝塚市立中央図書館、川西市立中央図書館

 

奈良県(2館)

奈良市立中央図書館、大和郡山市立図書館

f:id:AyC:20181230023000j:plainf:id:AyC:20181230023003j:plainf:id:AyC:20181230023139j:plain

(左)守山市立図書館。(中)京都市岩倉図書館。(右)京丹後市立あみの図書館。


7. 中国・四国(3館)

鳥取県(1館)

境港市立市民図書館

 

島根県(2館)

島根県立図書館、海士町中央図書館

f:id:AyC:20181230023303j:plain

(写真)海士町中央図書館。


8. 九州(0館)

天龍村図書館を訪れる

f:id:AyC:20181229200835j:plain

(写真)天龍村文化センター なんでも館。図書館が入っている。

2018年12月、長野県下伊那郡天龍村天龍村図書館を訪れました。

 

1. 天龍村を訪れる

天龍村は長野県の南端部にある自治体です。人口は約1,200人ということで、愛知県最小の豊根村とほぼ同じ。その豊根村静岡県浜松市天竜区と境界を接しています。

中心地区の平岡は天竜川左岸(東岸)の斜面に形成された集落であり、地区の標高は260m(天竜川にかかる平岡橋)から434m(地区最高所の老人ホーム)まで幅広い。天龍村役場は308m地点にあり、愛知県奥三河設楽町田口や豊根村下黒川などの諸地区よりも低いです。南信ではもっとも標高が低い地域のようで、村長のブログには「県下で最も温暖な地」とあります。

f:id:AyC:20181229201658p:plain

(地図)長野・愛知・静岡・岐阜の県境地域における天龍村の位置。©OpenStreetMap contributor。

f:id:AyC:20181229202401j:plain

(写真)天竜川沿いの斜面に形成された平岡。中央下が天竜中学校。中学校の左上の茶色い建物が天龍村文化センター なんでも館。なんでも館左の白い建物が天龍村役場。なんでも館上の白い建物が龍泉閣。右端は平岡橋。

 

JR飯田線平岡駅の駅舎と一体となった、ふれあいステーション龍泉閣という宿泊施設がありました。村営っぽい。平岡駅から100mの場所には図書館が入っている天龍村文化センターなんでも館があり、直線距離で文化センターの100m先には天龍村役場が、直線距離で村役場の100m先には天龍村天竜中学校があります。それぞれの距離はたいしたことないけれど、平岡駅天竜中学校の間には標高差50mもの高低差があります。

f:id:AyC:20181229200853j:plainf:id:AyC:20181229200854j:plainf:id:AyC:20181229200901j:plain

(左)JR飯田線平岡駅。背後は龍泉閣。(中)平岡駅と龍泉閣の外観。(右)平岡駅待合所と龍泉閣フロント。

f:id:AyC:20181229200942j:plainf:id:AyC:20181229200947j:plainf:id:AyC:20181229200949j:plain

 (左)天龍村役場。(中)天龍村天竜中学校。(右)天龍村天竜小学校。

 

JR飯田線の線路と平行に国道418号が通っており、国道に沿って商店街が形成されて今す。この国道は地区中心部を走るにもかかわらず、バイパス等は整備されていません。ダムや発電所に向かうトラックはどうしてるのかな。交通量はそれほど多くなく、天龍村には信号が1つもないそうです。

f:id:AyC:20181229201013j:plainf:id:AyC:20181229201017j:plain

(写真)天龍村中心部。国道418号線

 

フードセンター東京堂、満島食糧販売店、大西商店、尾張屋、吉澤食料品店、武川商店など、個人経営の食料雑貨店は村の規模に不釣り合いなほど多い印象。チェーンのスーパーの類はありませんでした。食堂の類も見かけませんでしたが、ふれあいステーション龍泉閣にレストランがあります。

天龍村の人口がピークを迎えたのは、8,000人を超えた1950年。映画最盛期の映画館名簿を見ると、『映画便覧 1960』では天龍村に「満島劇場」が、『映画便覧 1963』では天龍村に「平岡劇場」があったことが確認できます。おそらく同一施設でしょう。この映画館についての詳細は定かではありませんが、国道418号沿いにあった廃業したパチンコ店「新天地平岡」が怪しいと感じました。

f:id:AyC:20181229201025j:plainf:id:AyC:20181229201029j:plain

 (左)食料雑貨店「フードセンター東京堂」。(右)廃業したパチンコ店「新天地平岡」。

 

天龍村といえば平岡ダム - Wikipedia平岡駅からは2km弱であり、鉄道駅から歩いて行けるダムです。戦中に建設された際には中国人が建設に従事したそうで、ダムに向かう長野県道・愛知県道・静岡県道1号飯田富山佐久間線 - Wikipedia沿いにはひっそりと慰霊碑が建てられていました。

平岡の集落があるのは平岡ダムと平岡発電所の間ということで、集落の前を流れる天竜川の水量はほぼゼロ。水流がないので涸れ川のようにも見えます

f:id:AyC:20181229201045j:plainf:id:AyC:20181229201049j:plain

(左)県道1号。(右)平岡ダム。

f:id:AyC:20181229201153j:plainf:id:AyC:20181229201157j:plain

(左)県道1号から見た天竜川と平岡。(右)斜面の茶畑。

f:id:AyC:20181229201054j:plainf:id:AyC:20181229201059j:plain

 (写真)河岸から見た天竜川。

2. 天龍村図書館を訪れる

天龍村図書館は「公共図書館」ではありますが、図書館公式サイトなどはないし、天龍村当局がウェブ上で公開している情報は「文化センターなんでも館のなかにあります。毎週月曜日・祝日・年末年始を除き開館しています」(天龍村公式サイト)だけだと思われます。開館時間の情報はなく、年末年始の期間についての情報もありません。『平成30年度長野県公共図書館概況』によると開館時間は開館時間は「10時-18時」だそう。年末年始の期間について天龍村教育委員会に電話して確認したところ、「12月29日~」だそうで、「年内最終日の12月28日は短縮営業で10時-17時15分開館」とのことでした。

f:id:AyC:20181229201442j:plain

(写真)左 : 新着図書、中 : 「飯田線80周年記念特設コーナー」、右 : 地域資料。

『平成30年度長野県公共図書館概況』によると、2017年度末の蔵書数は18,898冊(14.8冊/人)とのことで、1人あたりでは南相木村(38.9冊/人)、阿南町(24.5冊/人)、下條村(23.1冊/人)、南牧村(16.1冊/人)に次ぐ高水準。しかし2017年度の個人貸出冊数は1,327冊(1.0冊/人)。長野県では根羽村(0.1冊/人)に次ぐ低水準のようです。

一般的な公共図書館と同じ週6日開館、村の中心部に立派な施設を持ちながら、これだけ数字が低いのはどうしたことかと思います。1994年の開館から20年以上経っている図書館ではありますが、その存在自体が認知されていないのかな。「高齢化率は全国2番目の高さ」というのも関係してそうですが。私がいた時間には、お話コーナーに来た年配の女性と孫、一般書を探しに来た女性がいました。

職員に館内の写真を撮りたいというと、同一施設内の教育委員会で上司に聞いてから「いいですよ」とのこと。撮影申請書のようなものはありませんでしたが、名前と住所を申告しています。

f:id:AyC:20181229201232j:plainf:id:AyC:20181229201240j:plainf:id:AyC:20181229215507j:plain

 (左)カウンター脇のソファ席。(右)地域資料。天龍村関連の新聞記事を集めたスクラップブックとかもあった。(右)中日新聞南信州新聞。この辺では中日新聞が読まれてるんですね。

f:id:AyC:20181229215546j:plainf:id:AyC:20181229215549j:plain

(左)書架の奥がおはなしコーナー。館内ではWi-Fiも使えるらしい。(右)閲覧席。右奥が一般書。
f:id:AyC:20181229201245j:plainf:id:AyC:20181229215404j:plain

 (写真)一般書の書架。文芸書の書架は作家見出しが横長。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA 4.0)の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

つぐグリーンプラザ図書室を訪れる

f:id:AyC:20181226215629j:plain

(写真)つぐグリーンプラザ図書室の入口。

 

1. 設楽町津具(旧・津具村)を訪れる

2018年12月、愛知県北設楽郡設楽町津具(旧・北設楽郡津具村)にあるつぐグリーンプラザ図書室を訪れました。設楽町に2館ある図書室のひとつで、もう片方の設楽町民図書館は設楽町の中心地区である田口地区にあります。

大学時代以外の期間はずっと愛知県で暮らしてるのに、2016年まで愛知県北東部の北設楽郡設楽町東栄町豊根村)を訪れたことがありませんでした。しかし2017年秋には設楽町田口を、2017年冬には豊根村を、2018年夏には東栄町を訪れており、北設楽郡を訪れるのはこの2年間で4度目です。以下のブログエントリーや、私が作成したWikipedia記事も参照してください。

設楽町民図書館を訪れる - 振り返ればロバがいる - 2017年11月投稿

豊根村ふれあいセンター内図書コーナーを訪れる - 振り返ればロバがいる - 2018年1月投稿

設楽町民図書館 - Wikipedia - 2017年11月作成

東栄町体験交流館のき山学校 - Wikipedia - 2018年6月作成

f:id:AyC:20181226224050p:plain

(地図)愛知県における設楽町津具の位置。©OpenStreetMap contributor。

 

東三河地方の河川といえば豊橋市三河湾に注ぐ豊川 - Wikipediaであり、設楽町田口は豊川の上流部に位置します。しかし、旧・津具村静岡県浜松市/磐田市遠州灘に注ぐ天竜川 - Wikipedia水系の流域にあり、豊根村の上流にあたります。さらに、設楽町の中でも名倉地区は西三河地方の河川として知られる矢作川 - Wikipedia水系の流域にあり、設楽町は3つの大河川の分水界となっています。平成の大合併では分水界を超えた合併が行われたことで、このようなややこしい状況になりました。

f:id:AyC:20181226232935p:plain

(地図)奥三河の水系図と主要地区の標高。©OpenStreetMap contributor。

 

上の図を見るとわかるように、旧・津具村北設楽郡の主要な地区の中で最高所にあります。下には津具盆地、設楽町田口、豊根村の色別標高図を示しました。北設楽郡の中心地は設楽町役場がある設楽町田口ですが、津具盆地は設楽町田口や豊根村とは段違いに広く、広々とした農地が広がっています。こちらの個人サイト「津具村」に掲載されている航空写真がわかりやすい。豊根村には “山間の狭い谷に形成された貧しい山村” という印象を抱いてしまったのですが、旧・津具村にそのような印象はまったくありません。

f:id:AyC:20181226224117p:plain

(地図)津具盆地、設楽町田口、豊根村の盆地の大きさの比較。同スケール。地理院地図 色別標高図に文字追加。

 

なお、北設楽郡域のOpenStreetMapは2011年から2012年に集中的に編集されたようであり、建物の形状が表示されないGoogle mapとは雲泥の差です。「キラッと奥三河観光ナビ」のサイト内にはOpenStreetMapを紹介するページもありました。誰が主導していたのでしょうか。

f:id:AyC:20181226224900p:plain

(地図)設楽町津具におけるGoogle map(左)とOpenStreetMap(右)の比較。©OpenStreetMap contributor。

2. 設楽町津具(旧・津具村)を歩く

下津具地区

津具盆地は津具総合支所を境にして、南東の下津具地区と北西の上津具地区に分かれます。バスの終点である「下津具」停留場から下津具地区を歩き、次に上津具地区を歩き、最後につぐグリーンプラザ図書室を訪れました。

下津具地区の農地にはビニールハウスが多い。農作業をしていた方に「ビニールハウスでは何を栽培しているのか」と聞いたら「トマト」とのこと。村松農園ウェブサイト愛知県による特産品紹介によると、北設楽郡にある標高500-800mの高原では「奥三河高原トマト」というブランド名の夏秋トマトを生産しているようです。この時期は農閑期なので作物は植わっていません。

かつては下津具地区と上津具地区それぞれに小学校がありましたが、1974年に統合されて中間地点に津具村立津具小学校が開校しました。下津具小学校の校舎は半世紀近くも取り壊しを免れ、丸満産業株式会社津具工場として使われました。赤い屋根が印象的な木造平屋建ての校舎で、近年にはご当地映画『Ben-Joe』のロケ地としても使用されたそうです。旧・津具村有数のインスタ映えするスポットだったと思われますが、2018年第二四半期に取り壊されてしまったらしく、更地になっていました。残念。

f:id:AyC:20181226215738j:plainf:id:AyC:20181226215742j:plainf:id:AyC:20181226215750j:plain

(左)下津具のビニールハウス。(中)下津具小学校跡地。更地。2018年12月。(右)下津具小学校跡地。校舎取り壊し前の2011年9月。出典 : Wikimedia Commons。作者 : ESU

 

津具基幹集落センターの玄関前には「県立田口高等学校津具分校跡」の碑がありました。現在の北設楽郡にある高校は設楽町田口にある愛知県立田口高校だけですが、かつては津具村の田口高校津具分校(1965年閉校)に加えて東栄町に県立新城東高校本郷校舎(2008年閉校)がありました。

f:id:AyC:20181226220303j:plainf:id:AyC:20181226220307j:plainf:id:AyC:20181226220309j:plain

(左)津具基幹集落センター。右手前に田口高校津具分校跡の碑。(中)設楽町立津具中学校。(右)設楽町立津具小学校。

f:id:AyC:20181226220318j:plainf:id:AyC:20181226220322j:plain

(写真)寒いのでビニールハウス内でくつろぐねこ。

 

津具総合支所近くの県道沿いにはバスを待つ方が多数。重宝するサイト「東三河を歩こう」によるとこの方々が設置されたのは2016年頃のようですが、2年間で人形がまるっきり変わってるのがおもしろい。消防団の法被を着ている男性3人組が持っているのは手筒花火。飲んべえの男性が抱えている一升瓶は鹿児島の焼酎「田苑」。農作業着の女性が持っているのは五平餅。

手筒花火って東三河地方平野部だけかと思ってたら、奥三河の文化でもあるんですね。三遠南信の山間部ではよく見られる五平餅は、愛知県の山間部では飯田のような眼鏡型ではなく小判型です。観光客にちゃっかりこの地域の文化を紹介してて、このかかしの企画者はどういう方なんだろうと想像させられます。

f:id:AyC:20181226220339j:plainf:id:AyC:20181226220344j:plainf:id:AyC:20181226220348j:plain

(写真)バスを待つ村民。

 

上津具地区

上津具地区は伊那街道沿いにある集落であり、下津具地区よりも規模が大きい。上津具地区の中心部、「下町」交差点には「細野芳江記念碑」があります。この個人ブログによると、賀川豊彦の小説『一粒の麦』に登場する架空の記念碑「細野芳江のために嘉吉が建てた記念碑」を再現した、ということでしょうか。よくわからない。「下町」交差点から100mほどの場所には柳田国男の歌碑も。「海にゐて み山恋しと いふ人に つげばや津具の 旅寝がたりを」。1906年正月、静岡県の興津で詠んだ歌だそうです。柳田は奥三河が好きですね。

上津具を歩いていると、県道だけでなく町道にも丁寧に道路標識が建っているのが目に付きます。農道にも、路地のような道にも。家の裏にあるから家裏線なのかな。

f:id:AyC:20181226220751j:plainf:id:AyC:20181226220756j:plain

(左)細野芳江記念碑。(右)柳田国男の歌碑。

f:id:AyC:20181226220800j:plainf:id:AyC:20181226220802j:plain

(左)設楽町道470号寿計田線。(右)設楽町道450号家裏線。

 

1974年には津具村立上津具小学校も廃校となりました。こちらの学校敷地は工場ではなく津具スポーツ広場に転用されています。グランド脇には「上津具小学校跡」の石碑が建っていました。記憶は薄れるもの。目に見える形で痕跡が残っていることにほっとします。

津具スポーツ広場から山側に歩くと津具八幡宮があり、離れた場所からもスギの社叢が目立ちます。その中の1本「津具八幡宮の杉」は樹齢350年以上とされ、愛知県指定天然記念物となっています。

f:id:AyC:20181226220811j:plainf:id:AyC:20181226220815j:plain

(左)津具スポーツ広場。(右)石碑「上津具小学校跡」。

f:id:AyC:20181226220820j:plainf:id:AyC:20181226220828j:plain

(左)津具八幡宮。(右)「津具八幡宮の杉」。

 

上津具中心部には豊橋から飯田や伊那に向かう伊那街道が通っており、道路看板には「豊根」や「稲武」など愛知県内の地名に加えて「根羽」「飯田」など長野県内の地名もありました。現在の人口は1,200人を下回っていますが、戦後すぐの最大時には4,000人を越えており、伊那街道の拠点のひとつだったと思われます。食彩広場津具店は現在の津具唯一のスーパー、隣のファミリーファッションマルユウは津具唯一の衣料品店です。

この辺りで目立つ山といえば碁盤石山(標高1189m)と井山(1195m)。碁盤石山の山名の由来は、「この山に住む天狗は碁の技量にうぬぼれていたが、村人に負けたことで怒って碁盤をひっくり返した」という伝承だそうです。井山の向こうは40万都市豊田市自治体域。平成の大合併豊田市編入された旧・稲武町です。

f:id:AyC:20181226220733j:plainf:id:AyC:20181226220742j:plainf:id:AyC:20181226220744j:plain

上津具中心部。(左)伊那街道の交差点「下町」。(中)伊那街道沿いにある酒屋。(右)食彩広場津具店とファミリーファッションマルユウ。

f:id:AyC:20181226220831j:plainf:id:AyC:20181226220837j:plain

(写真)上津具からは並んで見える碁盤石山(左)と井山(右)。井山山頂の左側には面ノ木風力発電所風力発電機が見える。

3. つぐグリーンプラザ図書室を訪れる

下津具地区と上津具地区は約2.5km離れていますが、その上津具地区寄りに設楽町役場津具総合支所があり、総合支所の隣に図書館と文化ホールを併せ持つつぐグリーンプラザがあります。津具村時代の1998年に公共施設を集約する目的でこれらの公共施設が完成。当時の中日新聞では「“ミニ遷都” 構想実現へ」と表現されました。

総合支所の脇には「津具村偉人の像」として津具村出身の7人の銅像が建っていました。教育者・裁判官・陸軍中将などさまざまな人物がおり、6人が明治生まれ、1人が大正初期生まれ。4人いる旧制中学卒業生の出身校を見ると、名古屋の愛知一中(愛知県立旭丘高校)が1人、西三河地方の愛知二中(愛知県立岡崎高校)が1人、浜松一中(静岡県浜松北高校)が2人でした。県外ではありますが浜松との関係も深いのですね。東三河地方の愛知四中(愛知県立時習館高校)出身者はゼロでした。

f:id:AyC:20181226221811j:plainf:id:AyC:20181226221822j:plainf:id:AyC:20181226221824j:plain

(左)つぐグリーンプラザ。(中)津具総合支所。(右)「津具村偉人の像」。

 

設楽町はいわゆる「図書館未設置自治体」であり、田口地区の設楽町民図書館も津具地区のつぐグリーンプラザ図書室も “図書室” の扱いです。利用者用蔵書目録(OPAC)はなく、文献で簡単に調べた限りでは蔵書数もわかりませんでしたが、職員用のデータベースによると「つぐグリーンプラザ図書室19,357冊、設楽町民図書館17,568冊」とのことでした。

複合施設全体の延床面積は4,085.72m2。図書館部分の延床面積はわかりませんが、閉架書庫以外だけで600m2 (20×30m)を超えているのは確実であり、235m2の設楽町民図書館の3倍はあるのではないかと思われます。ソファ席6席、キャレル席4席、4人がけ机4脚、畳コーナーの4人がけ机4脚と閲覧席の種類も豊富。

1998年の開館時点で津具村の人口は約1,800人。蔵書数の絶対数こそ多くないけれど、現時点の人口で換算すると蔵書数は16冊/人という高水準です。館内を見渡す限りでは、施設面では1万人-3万人規模の自治体の公共図書館と同格に見えます。自治体規模を考えると不相応にも見える立派な施設がありながら「図書館未設置自治体」と呼ばれ続けるのは不可思議です。

 

この日は休日でしたが、館内にいた1時間ほどの間に他の利用者はいませんでした。そんな中で館内をふらふらしながら居座る怪しい利用者に見えたでしょうが、逆に職員さんにはいろいろ質問でき、また写真撮影も「利用者が映らなければOK」と自虐的に答えてくれました。

『したら図書館だより』2018年12月号によると、11月の月間利用者数は284人、貸出者数は119人、貸出冊数は321冊です。同一施設内の文化ホールでイベントがあった際に図書室に入館する方が多いとのことで、設楽町民図書館と利用者数は同等ながら貸出者数や貸出冊数は少ない。学校の定期試験前などには図書室内で勉強する中高生も一定数いるとのことでした。

 

f:id:AyC:20181226223138j:plain

(写真)図書室内中央部。中央の柱に見えるのは最近話題の豊根村のポスター「チョウザメが、村の人口を超えましたので、食べに来てください」。

f:id:AyC:20181226221907j:plainf:id:AyC:20181226221911j:plainf:id:AyC:20181226221914j:plain

(左)窓際の閲覧席。(中)畳コーナー。(右)AVコーナー。開館当時に購入したテレビかな。

 

1998年の津具村における公共施設集約の際には、つぐグリーンプラザや津具村役場(現・津具総合支所)の前に津具村立津具保育園(現在は設楽町立)も建設されています。2014年には設楽町中心部でも公共施設が集約されて、設楽町民図書館に隣接して設楽町子どもセンターが建設されています。同じ北設楽郡豊根村東栄町と比べると、設楽町は子どもが本に接しやすい環境と言えそうです。

f:id:AyC:20181226221922j:plainf:id:AyC:20181226221926j:plainf:id:AyC:20181226221930j:plain

(左)児童書。(中)絵本。(右)紙芝居。

f:id:AyC:20181226221939j:plainf:id:AyC:20181226221943j:plainf:id:AyC:20181226221948j:plain

(左)新着図書。(中)漫画本。規模の割に多い。(右)雑誌。

 

カウンター前には各種の文庫が。2015年の奥三河ロータリークラブ解散の際の寄付金を元に設置した「奥三河ロータリー文庫」、2016年に “父・篠宮久雄の遺志を継いだ設楽町出身の徳升美智子・篠宮雄二” からの寄付金を元に設置した「しのみや文庫」(児童書メイン)などがあります。

また設楽町民図書館や東栄町図書室「のき山文庫」などと同じように、愛知県図書館が図書館未設置自治体に設置している愛知県図書貸出文庫もあります。自前で購入できる新着図書の数が限られているだけに、約100冊とはいえ県図書館による新刊は貴重です。

地域資料は『津具村誌』や『設楽町誌』はもちろん、長野県下伊那郡の『根羽村誌』などもあります。同じ北設楽郡でも 豊根村ふれあいセンター内図書コーナーは行政資料や自治体広報の類を置いていませんでしたが、こちらには行政資料などの灰色文献も多数ありました。

f:id:AyC:20181226221959j:plainf:id:AyC:20181226221953j:plainf:id:AyC:20181226222003j:plain

(左)奥三河ロータリー文庫。(中)しのみや文庫。(右)愛知県図書貸出文庫。

f:id:AyC:20181226222006j:plainf:id:AyC:20181226222010j:plain

(写真)地域資料。(右)『津具古文書』など。

 

4. まとめ

設楽町当局によるつぐグリーンプラザの紹介はこんな感じ。6,000人弱という設楽町の人口規模を考えれば、当局によるPRが不十分なのは仕方ないとは思います。でも、こんな立派な施設なのにウェブ上に館内の写真の1枚もないのはもったいない。

今更ですが本ブログ「振り返ればロバがいる」で重視しているのは、「写真を公開して図書館を “ひらく” こと。それも二次利用可能なライセンスで」。文章は添え物です。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA 4.0)の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。