振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

2016年に訪れた図書館(1)

2016年に訪れた91館の図書館の中から、そこそこキレイな写真が撮れた図書館を集めた。

 

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越前市図書館(福井県)、岐阜市立中央図書館(岐阜県)※2015年開館

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伊丹市図書館「ことば蔵」(兵庫県)、金沢海みらい図書館(石川県)

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刈谷市中央図書館(愛知県)、桑名市立中央図書館(三重県

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岡崎市立中央図書館(愛知県)、三重県図書館(三重県

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小布施町図書館まちとしょテラソ(長野県)、近江八幡市図書館(滋賀県

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平井嘉一郎記念図書館(京都府)※2016年開館、田原市中央図書館(愛知県)

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高砂市図書館(兵庫県)※2016年開館、伊那市高遠町図書館(長野県)

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富山市図書館本館(富山県)※2015年開館、奈良県図書情報館(奈良県

2016年に閉館した映画館

1月 シネマライズ(渋谷)

1月 シネ・パレス山陽座(姫路市

1月 姫路OS(姫路市

5月 飯田橋くらら劇場(飯田橋

6月 ピカデリー(名古屋市

8月 シネクイント(渋谷)

9月 みやこシネマリーン(宮古市

9月 フォルツァ総曲輪(富山市

10月 シネツイン(広島市

 

ざっと調べただけで、2016年にはこれだけの映画館が閉館/休館したらしい。ちゃんと調べればもっとあるのは間違いない。

 

この中では4館、渋谷のシネマライズ、名古屋のピカデリー、富山のフォルツァ総曲輪、広島のシネツインで映画を観たことがある。

シネマライズが閉館したのは驚き。ピカデリーはまだ営業を続けていたことに驚く。フォルツァ総曲輪は休館決定後の7月に『ハロルドが笑う その日まで』を観た。シネツインは序破急による統廃合の結果なので仕方ない。

 

序破急(広島の映画興行会社)による映画館の統廃合はこれで終わりだろうか。八丁座と八丁堀サロンシネマの2施設4スクリーンに集約された。近年だけでもコロコロ変化しているので、日劇の忘年会では「(お前が宣伝してた)八丁座が閉館したと聞いた」と言われた。閉館したのは八丁座ではなくシネツインです。

広島では5館の映画館に入ったことがある。シネコンではイオンシネマ広島と広島バルト11序破急が運営するミニシアターでは、八丁座、鷹野橋サロンシネマ(2014年閉館)、シネツイン1(2016年閉館)。2014年には休館中の横川シネマの外観を写真に撮った。

商店街の脇にある鷹野橋サロンシネマの味わい深い雰囲気が好きだった。広島出身の友人に紹介された八丁座は、訪れたことのあるミニシアターの中でも別格だった。

 

www.johakyu.co.jp

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 広島の映画館。八丁座、サロンシネマ、シネツイン、横川シネマWikimedia Commonsより。撮影者は順にAt by At、Razgrad、Taisyo、Taisyo。

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日進市立図書館を訪れる

名古屋市豊田市に挟まれて、北から順に長久手市日進市東郷町の3自治体が並んでいる。近くて遠い存在の日進市立図書館(と長久手市中央図書館)を訪れた。

 

1. 日進市立図書館を訪れる

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名鉄豊田線日進駅から約25分歩いた。約2kmの距離があり、途中で笠寺山という丘を越える。日進市には明確な中心エリアがなく、図書館が市民の生活動線上にあるのかは怪しい。

この建物は2008年完成。設計は2014年に亡くなった岡田新一(設計事務所)。岐阜県立図書館、徳島県立図書館小田原市立かもめ図書館なども手掛けているらしい。四隅の塔が目立つが、デザインを機能に活かしきれているとは思わない。

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入口近くには予約図書の時間外貸出ロッカーが設置されていた。最近は特に首都圏で増えているらしいが、現物を見たのは初めて。駅前型図書館のほうが効果的な気はする。名古屋市徳重図書館にもあるらしい。

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現在の日進市立図書館は2008年に開館した。愛知県内では稲沢市中央図書館(2006年)と同時期。日進市の人口は約9万人で、人口増加率は全国トップクラス。延床面積(6,100m2)は同規模自治体と比べてかなり広く、さらなる人口増加を見越しているように思われる。

右の写真はテーマ展示の書架。没後100年の漱石、没後400年のシェイクスピアに加えて、近年に亡くなった作家の作品を展示していた。図書館ではなくておしゃれな書店に見える。写真写りがいい。この図書館はTRCが業務を受託している。

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興味深かったのは2階の一角にある「IT講習室」。コワーキングスペースのような雰囲気で、オフィスソフトが入ったデスクトップPC、データベース用PC、コピー機、プリンターなどが設置されていた。有料(1回あたり400円台-600円台)で利用できるようで、何人かが長時間作業していた。

 

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1階にはインターネット/データベース用パソコンが数多く設置されている。利用者カードを持っていないと使えず、利用者カードの作成可能自治体は多くない。事業年報を見ると、日進市民の登録者数が約21,000人であるのに対して、名古屋市民の登録者数は約9,000人。名古屋市東部から車で来館する人が多いのかもしれない。

9万人の自治体としては珍しく、この図書館では中日・朝日・日経などのデータベースを利用できる。どれだけ利用されているのか司書さんに聞いてみたが、1か月あたり2-3人だという。

新聞の置き方もおしゃれ。中日・朝日・読売・産経・日経・中部経済新聞の過去1か月分がすぐ手に取れる。

 

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四隅にある塔のひとつは学習室になっている。三角形や半円形の窓から太陽光が入る。

建物内には社会福祉法人が運営する「スローカフェゆったり」がある。店員さんに運営形態を聞いていたら、たまたま管理者の方が来店され、挨拶された。カフェの棚には大村愛知県知事と管理者の方が一緒に写った写真が並べられていた。

 

2. 長久手市中央図書館を訪れる

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日進市の北には長久手市がある。2005年の愛知万博に合わせてリニモが開通したことで名古屋市豊田市への交通が便利になりました。はなみずき通駅から北に550m、「図書館通り」を標高約10m分のぼると図書館が見えてきます。特徴的な外観も合わせてちょっとしたランドマークになっています。

 

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2階には鍵の掛かった郷土資料・参考図書室がありました。愛知万博関連資料や戦国時代に関連する資料が豊富ですが、事務室に声をかけないと開けてもらえない。

1階では「漱石没後百年の百冊」というテーマ展示を行っており、漱石の著書はもちろん、没後に出版された漱石本が集められていました。

 

 

「伊勢春慶」がメインページに掲載された

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Wikipediaメインページ下部の「強化記事」欄に「伊勢春慶 - Wikipedia」という記事が掲載された。12月10日23:00(日本時間)から約72時間メインページに掲載される。

 

「伊勢春慶」は2010年に作成されていた記事。今年9月17日に皇學館大学の岡野先生とふみくら倶楽部の方がイベントで加筆し、その後9月下旬には図書館司書の方が、11月にはウィキペディアンがこの題材について調べて加筆した。(言い方が回りくどい)

一つの編集が他の編集を呼ぶ流れがウィキペディア的だと思ったし、丁寧な出典付けで品質が向上したので「強化記事」に推薦した。

 

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伊勢春慶の田楽箱。撮影:kmsnk。Wikimedia Commonsより。

 

メインページに掲載される3日間には間違いなくアクセス数が増加する。11月末に「強化記事」に選ばれた「富山市立図書館 - Wikipedia」の場合は、平常時の平均が20アクセス/日、メインページ掲載中は170アクセス/日。170アクセス/日というのはたいした数字ではないが、平常時との差は大きい。「伊勢春慶」もより多くの一般閲覧者に存在を知ってもらえるかもしれない。

編集者に対する効果の方が大きい。「強化記事」に興味を持つような方は熱心な編集者ばかりなので、オフラインイベントの存在を知ってもらえるかもしれない。図書館のように同一分野でメインページへの掲載が続けば、「最近の図書館分野は活気がある」と思ってもらえる。

 

上のような効果を期待して、Asturio氏は自分が関わった記事をわりと頻繁に「新着記事」「強化記事」「良質な記事」に推薦したり、投票したりしている。自薦を煙たがる人もいるけれど、「他薦されるまで待つ慎み深さが日本人の美徳」のような考えはWikipediaにそぐわないと思う。