振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

北名古屋市立図書館を訪れる

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(左)北名古屋市東図書館が入る複合施設。(右)北名古屋市西図書館が入る複合施設。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0) の下に提供されています。著者は「Asturio Cantabrio」です。個人利用に限って写真撮影を可能とする北名古屋市歴史民俗資料館の規定に則り、写真はCCライセンスで提供していません。他のエントリーとは異なりますのでご注意ください。図書館外観などの写真は「Category:Aisai City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

 北名古屋市について

 北名古屋市西春日井郡師勝町(43,000人、8.4km2)と西春町(34,000人、10km2)とが2006年に合併してできた自治体。私の住んでいる西三河地方で「平成の大合併」というと、中心都市が周辺の小規模自治体を吸収する編入合併ばかりだった。尾張地方は規模の似通った自治体の合併が多い。

 名古屋市西区の小田井から岩倉市江南市を経て犬山市に向かう岩倉街道(名古屋市山田図書館による資料)、岩倉街道に並行する名鉄犬山線沿線にあり、ざっくり言うと街道/線路の東側が旧・師勝町、西側が旧・西春町だった。そういえば名古屋市山田図書館では「ウィキペディアタウン名古屋小田井~山田の魅力を再発見!~」を開催するそうですが、何をテーマに歩くのかな。

 北名古屋市の人口は合併後も増え続けており、2015年国勢調査では84,000人となった。2016年の市民アンケートでは名古屋市との合併を望む声が大きく、北名古屋市の市長は合併を視野に入れるとする発言をしている。なお、2017年には隣接する清須市長選挙でも名古屋市との合併が争点の一つとなったが、「合併も重要な選択肢」と積極姿勢を見せた候補は破れ、「合併には反対ではない」とする候補が勝利した。

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(地図)名古屋圏における北名古屋市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

旧・師勝町を訪れる

 旧・西春町の北名古屋市西図書館を訪れたのは2016年12月。どうせ館内の写真を掲載できないので今回は西図書館を紹介しません。

 旧・師勝町北名古屋市東図書館を訪れたのはこの2017年10月。東図書館は北名古屋市役所東庁舎に隣接しており、これらの施設の脇にある田んぼでは案山子コンテストが開催されていた。2016年は北名古屋市の市制施行10周年の年であり、記念行事の一環でこの田んぼを田んぼアートに使用した。田んぼアート事業は今年も引き継がれ、7月・8月頃が見ごろだったとか。この10月15日には稲刈りを予定していたそうだけど、当日は悪天候で圃場の状態も悪く、10月22日が衆院選投開票日となったことで順延もできずに中止となったらしい。(参考

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(写真)「案山子コンテスト」のエントリー作品。奥が北名古屋市役所。左の写真のスーツの男性を見ると「かかしの定義」について考えたくなる。右の写真のうなだれている若者は「シュートを打つバスケットボール選手」だそうです。

 

北名古屋市歴史民俗資料館

 図書館の建物入口には「北名古屋市東図書館」と「北名古屋市歴史民俗資料館」が併記してある。まずは歴史民俗資料館を見学してみる。なお、この資料館は入場無料であり、「個人利用に限って写真撮影が可能」です。

 図書館は1階。地下1階の一部、2階の一部、3階が資料館となっており、メインの展示室は3階にある。「1950年代-80年代」をテーマとする3階には昭和時代の生活用具や玩具が集められている。説明書きは最小限に、展示物そのものに焦点を当てた展示がなされている。展示物は回想法を利用した福祉事業にも利用しているのだとか。

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(写真4枚)3階の資料館。

 

 驚いたのは資料館の地下1階部分。「1960年代-70年代」がテーマらしく、市内在住の実業家から寄贈を受けた車11台・二輪16台が駐車場の一角にある車両展示コーナーに展示されている。1年前の2016年10月8日に開設されたばかり。資料館全体の目玉にしてもよいコーナーに思えるが、公式サイトでのPRはとても控えめ。

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(右)マツダ・K360 - Wikipedia

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(左)スバル・サンバートラック - Wikipedia。(右)トヨタ・クラウン - Wikipedia日産・セドリック - Wikipedia

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(左)日産・ブルーバード - Wikipedia。(右)スバル・360 - Wikipedia

 

 

北名古屋市の図書館

 2006年の北名古屋市発足後、師勝町立図書館が北名古屋市東図書館に、西春町立図書館が北名古屋市西図書館に改称した。どちらも1990年代前半の開館(師勝は1990年、西春は1992年)であり、3階建ての複合施設の一角という点も同じであるが、図書館に対する考え方は大きく違ったのだろう。

 師勝町立図書館/東図書館は、建物全体の延床面積5,800m2のうち3,000m2が図書館であり、収容能力は開架9万冊・閉架11万冊の計20万冊。一方の西春町立図書館/西図書館は、延床面積5,200m2のうち図書館部分は840m2だけ。収容能力は開架6.5万冊・閉架1.5万冊の計8万冊。師勝町立図書館/東図書館は建物の1階部分にあるが、西春町立図書館/西図書館はエレベーターで3階に上がる必要がある。

 東図書館と西図書館の規模には2倍以上の差があるものの、北名古屋市は明確な中央館を定めていない。事業年報の記述だけでははっきりしないものの、おそらく両館に館長がおり、両館の雰囲気はかなり異なっている。東図書館は充実した蔵書数や座席数を武器にして、展示や特設コーナーには無関心といった様子。一方の西図書館はにぎやかなポップ広告で図書の紹介に力を入れていることがはっきり伝わってくる。
 写真撮影に対する対応も異なっていた。東図書館では(正規職員の方に)「人が写らなければOK。職員が撮影に同行する。SNS等にはアップしないでほしい」という対応だったが、西図書館では(おそらく正規職員の方に)「写真撮影は禁止している」とはっきり言われた。このため本ブログには館内の写真を掲載していない。

 『広報北名古屋』は合併後の全号を、『図書館年報』は最新号を公式サイトで公開してくれているのだけれど、郷土資料が両館に分かれているのは悩ましい。例えば『広報にしはる』や『西春の教育』は西図書館にしかなく、『広報しかつ』や『師勝の教育』は東図書館にしかない。北名古屋市図書館についてざっくり調査したかったら2つの図書館を行き来しないといけない。

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(地図)北名古屋市における図書館の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。