振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

愛西市中央図書館を訪れる

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(写真)愛西市中央図書館。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0) の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Aisai City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

愛西市を訪れる

 愛知県でもっとも三重県よりにある海部・津島地域(旧・海部郡域)の中心都市は人口約6万人の津島市。その他は小規模な町村ばかりだったが、平成の大合併によって愛西市弥富市あま市が誕生した。 人口3万人の佐屋町、2万3000人の佐織町、8000人の立田村、5000人の八開村の2町2村が2005年に合併してできたのが、人口6万2000人の愛西市 - Wikipedia。現在は3館の図書館がある。旧・佐屋町佐屋町立図書館が愛西市中央図書館に移行したほか、旧・佐織町佐織町公民館図書室が愛西市佐織図書館に、旧・立田村立田村公民館図書室が愛西市立田図書館に昇格した。旧・八開村には図書館も図書室も存在しない。

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(地図)名古屋圏における愛西市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

旧・佐屋町の図書館

 旧・佐屋町は合併時点で人口3万人の町だったとはいえ、1966年から独立館を有していた。この初代佐屋町立図書館は実業家の杉野繁一 - Wikipediaの寄付によって建てられたため、佐屋町立杉野図書館と命名された。杉野は建築家としても活動していたが、自ら杉野図書館の設計を担当したわけではないようだ。同じ1966年には尾張地方の中心都市である一宮市一宮市立豊島図書館が開館した。こちらも実業家の四代目豊島半七の寄付金によって建てられた図書館であり、2013年の現行館(一宮市立中央図書館)開館後も建物は現存している。

 1994年には杉野図書館が閉館し、1995年には旧館の東側に現行館(佐屋町立図書館)が開館した。杉野図書館はこの際に取り壊されたらしい。現行館の延床面積は2,000m2だが、人口3万人の町が1990年代に建設した図書館としては外観も内部も立派。建物中央部のドームは1991年開館の東浦町中央図書館に、上部の塔屋は1992年開館の長久手町中央図書館(現・長久手市中央図書館)に似ている。

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(写真)1966年の開館当時の佐屋町立杉野図書館。当時の『広報佐屋町だより』から。

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参考。(左・中)1991年開館の東浦町中央図書館。(右)1992年開館の長久手市中央図書館。

 

 

 2階(一般書)

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 東浦町中央図書館と同じように、中央部は天井まで吹き抜けており、図書館に入るとまず2階に上がりたくなる。赤い手すりやカーペット、吹き抜け壁面の黄色のせいもあって、吹き抜けの周囲はとても明るく感じる。この色づかいは開館から22年経った現在でも新鮮に感じる。

 東浦町中央図書館と同じく、大きなガラスで光を取り込んでいる窓際には座って本を読むための席が配置されているが、照明を落としていて薄暗いと感じるエリアもあった。2階の裏手には加藤高明と杉野繁一の常設コーナーがある。1924年普通選挙法と治安維持法を同時に成立させた加藤高明尾張国海東郡佐屋(現・愛西市)出身。佐屋駅の北西にある佐屋代官所址には「加藤高明懐恩碑」があるらしい。

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(写真)2階の吹き抜け付近。

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 (左)文芸書。横積みが多い。(右)236の定点観測。20冊も開架。

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 (左)加藤高明と杉野繁一コーナー。(右)学習室/会議室。

 

1階(地域資料・児童書・新聞雑誌)

 1階中央部は展示スペース。カウンターから展示スペースを挟んで対角には児童書エリアがある。入口から展示スペースを挟んで対角には新聞・雑誌やAVコーナーが。その脇、1階の最奥部には参考図書・地域資料室がある。

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(写真)雑誌コーナー。(右)CDコーナー。

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(写真)児童書。

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(写真)参考図書・地域資料室。

 

 この2017年4月には愛西市中央図書館に指定管理者制度が導入された。津島市立図書館 - Wikipediaでも指定管理者を務めているNPO法人まちづくり津島が指定管理者となり、まずは目に見える図書館サービスとして以下のことを行った。自治体としては経費を削減して利用者数を増やせればいいくらいに思っているのだろうけど、津島市立図書館における地域資料の収集・公開の取組みはすごい。愛西市中央図書館の変化も楽しみにしている。

・開館時間を「9時-17時(夏季は9時-18時)」から「9時-18時」に変更

・祝日を「休館」から「開館」に変更

・年末年始の休館日を「8日間」(12/28-1/4)から「6日間」(12/29-1/3)に短縮

・市外の名鉄津島駅返却ポストを設置

 

 指定管理者導入後の5月には歴史・文化講座「市内名所旧跡まち歩き」の第1弾として「佐屋街道を歩く」を開催したらしく、この11月19日には第2弾として「勝幡城址と津島上街道」を開催するらしい。いずれも講師を務めるのは「あいさいボランティアガイドの会」。定期的なまちあるきイベントを開催している団体ではないらしいが気になる。

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(写真)撮影許可証。申請書の記入は必要ない。

 

帰る

 往路は佐屋駅から愛西市中央図書館まで歩いたが、復路は図書館から日比野駅まで歩いた。図書館の東側にある愛西市役所は2016年に建て替えたばかりらしく、水田も多い旧・佐屋町域で異様な存在感を放っている。近くに置かれていたパトカーもどきには3体の人形が乗せられていて気味が悪かった。

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(写真)2016年竣工の愛西市役所。

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(写真)人形が不気味な「愛西パトロール号」。

 

 

 これまでに訪れた図書館の一覧はこちら。愛西市中央図書館は特に制限なく写真撮影が可能だったので、青色/黄色/赤色/灰色のうち青色でポイントし、「外観の写真」「内部の写真」の2枚を掲載しました。

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