振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

BCS賞を受賞した図書館建築

日本建築業連合会によるBCS賞を受賞した図書館。

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TOYAMAキラリ : 第58回(2017年)

流山市立おおたかの森こども図書館: 第57回(2016年)

北九州市立戸畑図書館 : 第56回(2015年)

明治大学和泉図書館 : 第56回(2015年)

金沢海みらい図書館 : 第54品(2013年)

東京工業大学附属図書館 : 第54回(2013年)

高崎市立中央図書館 : 第53回(2012年)

国際教養大学図書館書館 : 第52回(2011年)

大船渡市民文化会館・市立図書館/リアスホール : 第51回(2010年)

多摩美術大学図書館(八王子キャンパス) : 第50回(2009年)

国立国会図書館関西館 : 第45回(2004年)

国立国会図書館国際子ども図書館 : 第45回(2004年)

宮城県図書館 : 第41回(2000年)

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館丸亀市立図書館 : 第34回(1993年)

京都産業大学中央図書館 : 第29回(1988年)

熊本県立図書館  : 第28回(1987年)

東大和市立中央図書館 : 第27回(1986年)

早稲田大学図書館本庄分館・考古学資料館 : 第27回(1986年)

慶應義塾図書館・新館 : 第24回(1983年)

白百合女子大学図書館 : 第22回(1981年)

金沢市立図書館 : 第21回(1980年)

筑波大学中央図書館 : 第21回(1980年)

群馬県立図書館 : 第20回(1979年)

北九州市立中央図書館 : 第17回(1976年)

同志社大学図書館 : 第16回(1975年)

山口県立山口図書館 : 第16回(1975年)

千葉県立中央図書館 : 第11回(1970年)

武庫川学院公江記念図書館 : 第11回(1970年)

袋井市立袋井図書館を訪れる

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(写真)原野谷川の堤防から見た袋井市立袋井図書館。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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 静岡県袋井市袋井市立図書館を訪れた。設計は鬼頭梓 - Wikipedia建築設計事務所、開館は1988年。鬼頭梓建築の図書館を訪れるのは初めて。愛知県に鬼頭梓の図書館はない。日野市立中央図書館や武蔵野市立吉祥寺図書館や同志社女子大学図書館にも入ってみたい。ただ、袋井図書館の外観はしっくりくる構図がない。図書館入口の正面にある民家のほうがキマっている。

 

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(写真)南側の道路沿いから見た袋井市立袋井図書館。

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(写真)図書館入口の正面にある民家は全力でハロウィンしてた。

 

1階

 入り口を入ると左前にメインカウンターがあり、左側が児童書のフロア、右側が一般書のフロア。堤防沿いの北側と道路に面した南側は大きなガラス窓となっている。書架の間隔が広いことや低い書架が多いこともあって、開館から29年経っても開放感は薄れていない。ただ、日野市立中央図書館(1973年開館。写真でしか見たことがない)より15年も後の建築には思えず、時代を先取りしている感じはしなかった。

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(左)箱型の書架に入った新着資料。(右)雑誌。

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(写真)1階の書架。最下段の傾斜角度がきつい、日野と同じ書架。

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(写真)児童書フロア。

 

2階

 公式サイトには「袋井図書館のあゆみ」というページがあり、1988年開館の現行館の前には1970年開館の初代図書館があることが分かった。そこで地域資料コーナーの『磐田・袋井・森今昔写真帖』をめくると、初代図書館は1928年竣工の袋井町役場を転用したらしいこともわかったが、この写真集には著作権が切れてるような古い写真が掲載されていなかった。

 この図書館の地域資料コーナーに入るにはレファレンスカウンターの前を通る必要がある。カウンターには職員が常駐し、地域資料コーナーに入る利用者にひと声かけている。町役場として使用されていた建物の写真、司書なら簡単に見つけだすだろうと思ってレファレンスを行った。

 簡単に見つかると思っていたはずの写真の調査。しかし結局は別の司書や館長も加わり、袋井市役所文化財課に電話をかけるなどしてもらった結果、『磐田・袋井・森今昔写真帖』の3ページ前に掲載されていた別の写真が同じ建物であることが判明した。この建物は2度増築を行っており、自分では同じ建物だということに気付かなかった。なお、『磐田・袋井・森今昔写真帖』以外にはこの建物の古い写真は見つからなかった。

 1970年から1988年まで使用されていた旧館は、袋井駅の東500mにある陸橋の北側にあった。近年に区画整理事業を行うにあたって文化財としての価値などが調査され、移築なども検討されたが、結局は解体されている。この建物については『旧袋井町役場庁舎調査報告書』(袋井市教育委員会、2002年)が詳しい。道路の区割りはすっかり変わってしまったが、「小林商店本店」という米屋が建っているあたりだと聞いたので、JR袋井駅までの帰りに寄ってみた。

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(写真)2階にのぼってすぐの場所は展示スペース。

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地域資料。(左)メロン文庫。(右)地域資料コーナー全体。

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弥富市立図書館を訪れる

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 (写真)弥富市立図書館。

 

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弥富市を訪れる

 愛知県の西の端、弥富市にある弥富駅JR東海名鉄の共同使用駅。名鉄赤い電車JR東海のオレンジ帯の電車が隣り合う不思議な光景がみられる。100mほど歩くと近鉄弥富駅弥富市のメインの駅はこちらであるが、どちらにせよ駅前からは細い道路が伸びており、のどかで昭和な雰囲気が漂っている。両駅がある一帯の町名は鯏浦町(うぐいうらちょう)。弥富市の町名一覧を眺めると、鯏のほかにも亀ケ地(かめがんじ)、鮫ケ地(さめがんじ)、海老江(えびえ)、西蜆(にししじみ)、鳥ケ地(とりがんじ)、馬ケ地(うまがんじ)、狐地(きつねじ)など、生き物の名前が目に付く。

 愛知県民は木曽川が愛知=三重県境だと思っているが、木曽川より愛知県側、弥富市の南には三重県桑名郡木曽岬町(きそさきちょう)がある。木曽岬町弥富市との関係が深く、木曽岬町のコミュニティバス近鉄弥富駅弥富市役所にもバス停を持つ。2018年1月には木曽岬町に初めて図書館が開館するらしいが、「複合型施設」の「教育文化棟」に入る新図書館の最新情報はどこで入手できるのかわからず困っている。広報・広聴 | 木曽岬町 - 広報きそさきは過去数年分を一通り閲覧した。

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(地図)愛知県弥富市三重県木曽岬町の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

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(左)弥富駅。赤は名鉄の車両、オレンジはJR東海の車両。(右)弥富市役所。

 

弥富市立図書館

 弥富駅/近鉄弥富駅から南に5分ほど歩くと弥富市役所がある。市役所の隣の建物が弥富市立図書館だが、市役所の一部の部署も入っており、(弥富市役所の)図書館棟とも呼ばれる。3階建の建物の1階・2階の一部・3階が市役所であり、2階の大部分が図書館となっている。

 館内の一部では樟脳のようなにおいがした。弥富市といえば「弥富金魚」で有名だが、金魚関連本が別置されていることもなくがっかり。参考郷土資料室には分厚い参考図書がずらりと並んでいるが、弥富市に関する資料はわずか3段だった。入口の盆栽がいかめしい雰囲気を出している。コピー機は事務室にしかなく、複写をしたい場合は職員に頼んで取ってもらう必要がある。

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 (左)参考郷土資料室。弥富市の資料は正面右端の3段のみ。(右)金魚関連本は別置されずに開架に。

 

 この図書館の配架の仕方は独特。0類から9類まですべて「右から左」に並んでいる上に、小説は「著者のあいうえお順」ではなく「著者のABC順」に並んでおり、「あ」(=A)から始まる著者の次は「ばびぶべぼ」(=B)から始まる著者、その次は「ち」(=C)、「だぢづでど」(=D)、「え」(=E)という謎仕様。これには頭が鍛えられた。

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(左)館内。(右)236の定点観測。スペインの右にドイツがあるなんて。

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(写真)小説の書架。右から左順、ABC順が斬新。安生(あんじょう)正の次が坂東(ばんどう)眞砂子

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(左)入口近くの新着本は面展示多めで目立つ。(右)フロア中央部にあるAVコーナー。

 

浜松市立浜北図書館を訪れる

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(写真)なゆた・浜北の南側部分。1階と2階が浜北図書館。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Hamamatsu Municipal Hamakita Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

静岡市の人口は約70万人、浜松市の人口は約80万人。人口にはそれほど差がないが、静岡市の図書館は10館+2分館の計12館であるのに対して、浜松市立図書館は24館ある。浜松城浜松市役所の近くに浜松市立中央図書館 - Wikipedia、JR浜松駅前に中央図書館駅前分室、静岡大学浜松キャンパスの近くに「第二の中央館」として浜松市立城北図書館 - Wikipediaがある。

 意外なことに蔵書数でも延床面積でも城北図書館がもっとも大きく、中央図書館は城北図書館の次。とはいえ地域資料は中央図書館に集めてある。城北図書館と中央図書館に次ぐのが、浜北市立図書館から改称した浜北図書館。人口約9万人の単独自治体時代に建てられた図書館だけあって、中央図書館や城北図書館以外の21館とは規模が異なる。遠州鉄道浜北駅前にあるため、浜松市の他区、特に天竜区からも利用者を集めていそうな雰囲気がある。

 遠州鉄道浜北駅前の「なゆた・浜北」は、浜北区役所と浜北図書館を核とする複合施設。モスバーガーやカフェ、英会話教室やバレエスタジオなどの民間商業施設も入っているものの客は少なく、よくある行政主導の中途半端な複合施設という感じがする。

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(左)遠州鉄道浜北駅

 

2階西側(一般書・地域資料)

 静岡市立図書館は「全館で写真撮影を禁じている」らしいが、写真撮影の対応については周知が徹底されておらず、御幸町図書館や清水中央図書館では撮影させてもらえた。一方の浜松市立図書館は全館で写真撮影が可能である上に、各館に周知がなされている点に好感が持てる。申請書に記入後にネックストラップか腕章を渡してくれる。

 2階の西側は地域資料やかための一般書、2階の東側は新聞・雑誌やかるい一般書。児童書は1階にあるが、時間が足りず撮影できなかった。19時の閉館時間ぎりぎりまでねばって2階のみ撮影した。

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(写真)2階西側の閲覧席。青いソファ席は病院の待合室みたい。(右)2階東側の閲覧席。

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(左)AVコーナー。広々していてリッチな雰囲気。(右)読書室。いわゆる学習室。

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 (左)地域資料。(中)医療関係図書。(右)植物学関係図書。医療と植物学の2分野は分類が細かい。

 

2階中央部

 中央図書館や城北図書館浜松市の直営であるものの(ただし窓口業務は委託)、浜松市立図書館は24館中17館で指定管理者制度を導入している。管理者は図書館流通センターが多いが、浜北図書館は遠鉄アシストが管理者を務めている。「図書館スタッフによる芸術作品の展示」はユニークだと思った。1人につきポストカード1枚分の面積で、絵、書、作品(の写真)などが展示されていた。市民の作品ではなくスタッフの作品とは。嫌いではない。もっと尖って来ると「ロック司書」とか「マステの魔術師」とかになるんだろか。

 カウンター前には布絵本が置いてあった。確かに手で絵を触れると楽しい。布絵本についてちょっと検索してみたが、紙の本を破ることを恐れて図書館で本を借りるのをためらうことがあるなんて初めて知った。

 蔵書数の割には新着本が少ないが、書架に並ぶ前に「予約済」で取られてしまう、という理由が添えられていた。合併前は9万人の市民で蔵書が24万冊、2005年の合併後は80万人の市民で蔵書が250万冊。蔵書数は劇的に増えたとはいえ、人気本を借りるライバルも劇的に増えたのだろう。合併当時は編入された町村の住民に「予約する」という概念がなかったとも聞いた。合併は大変だ。

 

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(写真)テーマ展示。左は大河ドラマに合わせた井伊直虎関連書籍。

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(写真)スタッフによる芸術作品の展示。珍しい。

 

2階東側(一般書・雑誌など)

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(写真)新聞書評に載った本。作成したカードは保存してるんだろうか。

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(写真)新着本コーナー。新着本が少ないのは「予約者に取られてるから」。

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(左)自動貸出機。(右)カウンターに置いてある布絵本。