振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

各務原市立中央図書館を訪れる

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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ayc.hatenablog.com

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 可児市立図書館や美濃加茂市中央図書館を訪れたのと同じ日、各務原市立図書館を訪れた。美濃加茂市中央図書館にいる時には突発的な豪雨があったが、300m台の山を挟んだ各務原市では雨は降っていないという。JR高山本線那加駅で降り、7分ほど歩くと各務原市民公園に着く。

 各務原市民公園は岐阜大学のキャンパス跡地にできた公園。公園の完成は1988年であり、北端部に図書館が開館したのは1991年らしい。広々とした芝生の中に突然現れる巨大な建物は公園の雰囲気に合っていない印象。特に南面は高さのある「壁」がそびえていて威圧感を受ける。

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(左)入口正面から見た図書館。(右)側面から見た図書館。

 

 写真を撮りたいというと撮影許可証を渡された。「荷物の管理」「パソコンの仕様」「飲食禁止」「香料自粛」と、壁にはいろんな「ご案内」が貼られている。「香料自粛のお願い」は初めて見たかも。とても静かな図書館であり、デジタル一眼レフのシャッター音を響かせるのはためらわれたため、ほとんどの場所はコンデジで撮影した。

 この時期(1991年開館)らしい、重厚感のある什器を用いた図書館。岐阜県では岐阜県立図書館の蔵書数が約100万冊と飛びぬけている。各務原市立中央図書館の蔵書冊数は約40万冊で、これは大垣市立図書館や多治見市図書館と並んで岐阜県2番手クラスなんだとか。この図書館はワンフロアが広く、大垣や多治見よりも開架冊数は多いと思われる。

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 (左)写真撮影許可証。(右)館内の案内掲示。

 

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(写真)書架。

 

 316、317など、細かく区切られている箇所もある。236(スペイン史)の棚は16冊。1986年の『図説スペイン内戦』や1989年の『スペイン戦争』など1980年代の書籍も開架に出ている。スペイン史の概説書は見当たらず、素人目にバランスは良くないように見える。

 各務原市は航空宇宙産業の集積地であり、航空宇宙関連図書が集められた一角があった。地域資料コーナーは他の場所より書架が低くて照明が明るいが、地域資料は学習者の隣で閲覧することになる。

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 (左)316、317の書架。(右)定点観測。236付近。

 

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 (左)ビジネス関連図書。(右)航空宇宙関連図書。

 

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 (写真)地域資料。

 

 カウンターのそばには「中央図書館にきた作家」の色紙が飾られていた。この図書館では閲覧席の多くが学習者向けになっており、持ち込んだパソコンを使用する席はカウンター脇の狭まった一角に追いやられていた。

 気になったのは雑誌コーナー。新着雑誌は1冊も雑誌書架になく、貸出カードと引き換えにカウンターで受け取って読むことができる。「利用者の声」をパラパラめくると、どうやら2016年度に新着雑誌の紛失が相次いだことが原因らしいが・・・。

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(左)「中央図書館にきた作家」のサイン。(右)「岐阜が生んだ作家たち」。

 

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(左)雑誌。新着雑誌は1冊もない。(中)パソコン専用席。(右)OPAC

可児市立図書館を訪れる

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(写真)可児市立図書館。

 

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岐阜県可児市を訪れる

 名古屋からだと名鉄犬山線名鉄広見線経由で、岐阜県多治見市や美濃加茂市からだとJR太多線で訪れることができる岐阜県可児市。1970年に3万人だった人口は、1980年に6万人、1990年に8万人と急激に増えている。可児市立図書館が完成したのは人口が約7万人だった1985年のこと。

 人口は10万人を目前に、2005年頃から横ばいとなっている。5年ごとの国勢調査では10万人を超えたことがないものの、2005年の兼山町との合併で10万人を超えたと公称している。今年1月の新聞記事によると「次回は国勢調査で初の10万人超えも期待できる」(可児市長)とのこと。

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(表)可児市の人口推移。Wikipedia可児市」より。

 

  駅前は土地区画整理事業が終わったばかりでがらんとしている。土地区画整理事業では「商業地」となっているこの地区に商店は少なく、コンビニ的な役割も持つパン屋の「たつや」、蟹のイラストが描かれた「かに書房」くらいしか目に付く店がない。

 駅前には大きな工事現場があり、建物の形が見えてきていた。2016年10月に着工したこの「可児駅前 子育て・健康・にぎわい空間」(仮称)は2018年度春に開館するらしい。市役所に子育て世代課があるように、可児市は子育て世代に重点を置いているらしい。駅から東にまっすぐ5分、可児川を越えると可児市立図書館に着く。

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(地図)名古屋圏における可児市OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

可児市立図書館

 可児市立図書館は写真撮影者用のネックストラップを用意してくれている。1階にはブラウジングコーナー(新聞・雑誌)、2階には一般閲覧室(一般書)・親子閲覧室(児童書)、3階には学習室がある。公式サイトから得られる情報は多くないが、図書館要覧のPDFを公開しているのはうれしい。

 1階のブラウジングコーナーは10万都市にしては苦しいスペース。「雑誌オーナー募集中」という掲示はあったが、雑誌スポンサー制度で購入された雑誌は見つけられなかった。2階はカウンターから向かって右側が一般書、左側が児童書。図書購入費は本館単独で1400万円、分館も合わせれば2000万円の図書館だけあって、新刊本はそれなりに多く見える。

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 (左)建物入口。(右)写真許可証。

 

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(左)雑誌コーナー。(右)新刊本。

 

 一般書側の書架では、分類番号を表す数字のプレートが目立つ。床面積の小ささの割に開架率(55%)が高いのは、新刊本以外の書架には本が隙間なく詰めてあるから。236番(スペイン史)は4冊だけとはいえ、2015年刊行の『スペイン文化入門』があった。

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 (左)大きな札で分類番号を示している。手前が6類、奥が9類。(右)9類の書架。

 

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(左)2階の最奥部。(右)236の定点観測。

 

 可児市の人口の4.2%は外国人だそうで、岐阜県では美濃加茂市(7.7%)、坂祝町(6.4%)に次いで高い。2014年の新聞記事によると可児市今渡北小学校は岐阜県でもっとも外国人児童数が多い小学校だそうで、858人中116人が外国籍(47人がブラジル国籍、68人がフィリピン国籍 、1人がペルー国籍)だそうだ。ポルトガル語を中心とする外国語書籍/日本語学習書籍は充実しており、古い本が多い小説類が読まれているかどうかはわからなかったものの、日本語学習書籍は新しい本も多かった。

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(左)外国語書籍/日本語学習書籍。(右)非日本語話者用のコミュニケーションボード。

 

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 (写真)郷土・参考図書室。入室時にはカウンターに声をかける必要あり。

 

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 (写真)親子閲覧室(児童書)。

「図書館総合展2017フォーラムin安城」に参加する

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 2017年9月23日(土)、愛知県安城市のアンフォーレ安城市図書情報館)で開催された「図書館総合展2017フォーラムin安城」に参加した。6月1日に開館してから4か月弱で20回ほど訪れた図書館であり、全国の図書館関係者に地元の図書館のことを知ってもらえてうれしい。安城市図書館の歴史や基本情報については「安城市図書情報館 - Wikipedia」などもご覧ください。荒俣宏さんの基調講演やパネルディスカッションなどはアンフォーレ本館1階のホール(255席)で行われ、その他に1階のロビーで協賛企業のブース展示があった。

 

安城市の図書館の歴史

 Wikipedia記事にも書かれているように、安城市図書館には偉大な「前史」がある。講演中には荒俣さんも口にしたように、1931年には山崎延吉が主導して安城町農会が「安城農業図書館」を設立した。「自治体農会が運営する図書館は全国的に見て珍しく、『農業図書館』の名を掲げたものは他に例がなかった」(『安城図書館誌』)。

 農業図書館の蔵書が譲渡されて安城町立図書館が開館したのは1949年。1967年には安城公園北西角に移転、1985年には城南町に移転し、32年後の2017年6月1日にJR安城駅前に新館が開館した。

 

 

図書館総合展2017フォーラムin安城

13時からは作家・博物学者の荒俣宏さんによる[第1部]基調講演「つながる読書──読書は自然に類を呼ぶ」白川静の『字通』に始まり、日本と中国の読書の歴史を比較し、安城市の図書館の歴史にも触れた。ホールの入口には展示屋台が置かれ、安城市図書館にある荒俣さんの著作と荒俣さんのサイン入り色紙が飾られていた。脇の多目的室では「学生協働フェスタin東海」を併催。私はこの部屋に入らない方がよかったと思いつつも、東海地域の大学図書館サポーターの存在を知ることができたのは有意義だった。

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(左)荒俣さんの著作が飾られた展示屋台。(右)「学生協働フェスタin東海」。

 

14:40からは[第2部]プレゼンテーション「図書館業界の最新情報」。協賛10社が5分間で自社のサービスなどをPRする時間。後半の6社のPRを聞いたが、図書館界の人間じゃない者にとっても興味深い話が多かった。

内田洋行・・・愛知県では稲沢市図書館、東海市立図書館、日進市立図書館、岡崎市立図書館、知多市立中央図書館、尾張旭市立図書館、一宮市立図書館などが内田洋行のIT図書館システム(ICタグなど)を導入しているらしい。公式サイトの「導入事例」ではたくさんの図書館が紹介されていて書ききれない。一宮市は2013年1月の中央図書館開館前、2012年10月の業務委託開始時に導入したとある。

岡村製作所・・・家具メーカー。2018年4月に社名を「オカムラ」に変更するらしい。図書館では300館以上に什器を、ぎふメディアコスモスの耐火コンクリート製書架は岡村製作所製らしい。昨年の図書館総合展の際に見学した大和市文化創造拠点シリウス、ゆいの森あらかわも。ゆいの森あらかわにはいつか行きたい。

アカデミック・リソース・ガイド・・・岡崎さんがプレゼン。岡本真さんは「1800館以上(の図書館)を回った」という。各地で撮影した図書館の建物や館内の写真はFlickrにアップロードされている。岡本さんの活動を真似したのがロバの自由研究「図書館での写真撮影の許可状況」で、私がFlickrではなくWikimedia Commonsに上げた図書館の写真はざっと2000枚弱(外観300-400枚くらい?、館内1570枚)になった。アンフォーレの建物や本館1階内部の写真はこちら安城市図書情報館の館内の写真はこちら

図書館流通センター・・・ADEACの説明。安城市図書情報館でもADEACを採用しており、古地図や戦前の雑誌、『安城町勢要覧』などが閲覧できる。利用規定には「無断転載・再配布を禁止」と書いてあるけれど、この規定を守る必要はあるのだろうか。「『産業の安城』には安城市図書館の前身である安城農業図書館も描かれている」という話があった。この絵図はWikipediaの「安城市図書情報館」にも掲載したい。

朝日新聞社・・・主に聞蔵の説明。安城市図書情報館の3階にはデータベース専用の固定パソコンが8台(?)あり、たまに各社の新聞データベースを使わせてもらうが、印刷ができないのがネックなので新聞データベースを使いたい時は岡崎市立中央図書館に行くことが多い。データベース席に座りながら自分のノートパソコンに打ち込む、ということをしたこともあったけれど、安城のデータベース専用パソコン席はカウンターの目の前なので「(あの人何やってるのかしら)」という声がカウンターから聞こえてきたことがあった。

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(図)図書館流通センターのADEACの説明で紹介された俯瞰図『産業の安城』(1940年)。中央右に安城駅。中央左の「圖書館」は私立の安城農業図書館のこと。

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(写真)第2部の際の会場。トリの朝日新聞社のPR中。

 

16時からは神谷安城市長、荒俣さん、設計者である三上建築事務所の益子さんの3人による[第3部]パネル討論「まちづくりと図書館」。印象に残っているコメントは「開架率は70%」「設計コンペでは女子職員の意見が決め手(となって三上建築事務所に決めた)」「NDC分類を崩したのは図書館職員の意見」「特徴的な『でん』の名称は設計段階で三上建築事務所が命名」「安城市図書情報館には日本で考えられるICT関連設備が一通り入っている」など。

 公式サイトによると、三上建築事務所はアンフォーレのほかに豊後高田市立図書館、東海村立図書館、潮来市立図書館、置戸町生涯学習情報センター、結城市民情報センター、十王町立図書館、下館市立図書館、守谷中央図書館などを手掛けている。Wikipediaにはまだ記事がないらしい。

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(写真)パネル討論の様子。

 

 17時30分からは館内の見学会に参加。よくフロアでみかける男性職員のKさんからは(この図書館には何度となく来ているので)「見学会など参加しなくてもいいでしょ(笑)」といわれたが、「利用者のいない館内」や「受付」などはこんな時でないと堂々と撮影できないのです。

 説明で印象に残っているのは、「飲食は全面的に可能だが図書の汚損は1件もない」「ごみ箱は設置していないが現時点で問題はない」「新規登録の30%は安城市外」「94%が自動貸出機を利用」「平日3,000人、休日5,000-6,000人、大イベントでは10,000人「23,000冊の開架書庫を設置したことでカウンター2人以外はフロアに出られるように」「スマホの充電もOKだがゲームだけはだめ」「正規職員20人、臨時職員74人、臨時職員は週3、週5、夜勤務の3パターン、正規職員のほうが年数が短い傾向」など。

 18時30分からはレセプションに参加する予定だったが、40代以上のスーツ男性率の高さにひるんだので早々に帰った(※参加費は払いました)。

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(左)3階の受付。(右)4階の受付。

 

 アンフォーレが開館してすぐだったか、安城市域に存在した映画館「桜映画劇場」の正確な場所について知りたくてメールレファレンスを行ったことがある。1929年に開館して1964年に閉館した映画館。1964年以前の『全国映画館総覧』では存在が確認できるものの、安城市図書情報館や愛知県図書館にある文献ではいっさい情報を見つけることができずお手上げだった。閉館時は安城市ではなかったため住宅地図にも掲載されていない。

 現地に行って古いタバコ屋にでも飛び込み、長年住んでいるような年配の方に話を聞きでもしないと答えが得られないと思っていたが、レファレンスを対応してくれた前述のKさんは「安城市歴史博物や地元の井公民また町内会長」をあたった上で、蔵書にはなりえない灰色文献の存在を提示してくれた。クイックなレファレンスではない、恐ろしく時間がかかりそうなレファレンスに対して、(明快な答えではなかったものの)回答を出してくれた。

 今回のイベントで初めて安城市図書情報館を訪れた方が高評価するのは当然。安城市長の神谷さんも荒俣さんも、開館後の2年目、3年目が大事ということを口にした。図書館は職員が作るもの。私はこの図書館に優れた職員がいることを知っている。

 

 

 

 

 

美濃加茂市中央図書館を訪れる

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 美濃加茂市岐阜県中濃地域にある人口6万人弱の自治体。JR高山本線、JR太多線長良川鉄道の3路線が乗り入れる美濃太田駅があり、飛騨地方に対する美濃地方の起点というイメージがある。美濃国を4区分(岐阜、西濃、中濃、東濃)するときには一番なじみがないのが中濃地域。中濃地域の中心的な自治体はどこなのだろう。

 美濃太田駅の南口にはシティホテル/ビジネスホテルが4軒、ビジネス旅館が1軒ある。東濃地域の駅前のような枯れた雰囲気はなく、飲食店や商店で活気があるように見える。美濃太田駅から南西に歩いて約10分、中心市街地を離れて建物もまばらになってきた場所に美濃加茂市中央図書館がある。

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中央図書館と東図書館
 美濃加茂市には中央図書館、東図書館、北部分室、坂祝図書室の2館2室がある。公式サイトで公開されている図書館年報を読むと、美濃加茂市初の図書館は1979年開館であり、1954年の市制施行にしては遅かった。
 現行の中央図書館は1987年開館。建物は古くないものの、延床面積は1,200m2と狭い。1996年には市内第2の図書館として1,500m2の東部図書館が開館。東図書館周辺に密な市街地が形成されているわけではなく、わずか3kmしか離れていない場所に中央館と同規模の図書館を建設したのはなぜだろう。
 中央図書館は月曜休館、東図書館は金曜休館。中央図書館は18時に閉館するが、東図書館は20時まで開館している。蔵書数は中央図書館が13万冊、東図書館が10万冊。利用者数は中央図書館が8万人、東図書館が13万人。貸出数は中央図書館が11万冊、東図書館が16万冊。職員数はそれぞれ6人。美濃加茂市のように明確な中央館を置かない自治体は珍しいかも。

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(写真)カウンター前。2階から撮影。
 
館内のようす
 フローリングの床に濃い茶色の書架は岐阜県らしくて(?)好き。この自治体はいわゆる雑誌スポンサー制度のことを「みのかもまちじゅう図書館」と呼んでいる。2階に学習室があるにもかかわらず1階で学習している中高生が多い。学習者に挟まれて本を読むのには抵抗を感じる。
 宇治市立中央図書館以来、久々に横置きが目立つ図書館だった。書架にはみっちりと詰め込まれ、一般書の書架も全集の書架も、「書評に載った本コーナー」にだって本の上に横置きされた本があった。

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(写真)AVコーナー。

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(左)児童書。(中)北川悦吏子コーナー。(右)雑誌コーナー。

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(左)新着本。(右)書評に載った本コーナー。

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 (写真)地域資料。左は津田左右吉コーナー。
 
美濃加茂市民ミュージアム: 広報写真
 図書館のウェブサイトには1950-60年代の美濃加茂市域の写真が閲覧できるサイト(美濃加茂市民ミュージアム: 広報写真)へのリンクが貼ってあった。著作権が切れた写真はたくさんありそうだけど、「本ウェブサイト上の文章・画像等の無断使用・転載を禁止します。」とだけ書いてあり、ブラウザ上での閲覧以外は禁じているようだ。
 
 
 平成28年度版 図書館年報