OpenStreetMapから作成した図。施設の位置関係。
(左)9月の移転先の複合商業施設「ミップル」。(右)「ミップル」の裏側はすぐ日本海。
(下)「ミップル」4階フロア。売り尽くしセール中。
宮津市立前尾記念文庫を訪れる
OpenStreetMapから作成した図。施設の位置関係。
(左)9月の移転先の複合商業施設「ミップル」。(右)「ミップル」の裏側はすぐ日本海。
(下)「ミップル」4階フロア。売り尽くしセール中。
宮津市立前尾記念文庫を訪れる
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記事「柳窪」の歩み
2017年2月25日、ウィキペディアに柳窪 (東久留米市) - Wikipediaという記事が作成されました。作成者はこの柳窪が初編集の方(Harwell1212さん)。とても完成度の高い記事を初心者が作成したということで、2ちゃんねるではこの方は別アカウントの生まれ変わりではないかと疑われていたそうです。
2月27日夜にはWikipedia:メインページ新着投票所 - Wikipediaに推薦されました。約24時間で7票を集め、2月28日夜から3月1日夜まではメインページに掲載されました。24時間での選考通過は「とても早い」部類。この記事の通常時の閲覧回数は10-15/日ですが、2月28日は281回、3月1日には637回に跳ね上がっています。3月2日から3月10日にはWikipedia:月間新記事賞 - Wikipediaの選考にかけられ、5票を得て月間新記事賞を受賞しました。月間新記事賞を受賞したことでWikipedia:良質な記事/良質な記事の選考 - Wikipediaに自動推薦され、最終的に選出には至りませんでしたが、その過程で他者の編集も入って記事の質が大きく向上しています。
なぜ記事「柳窪」がすばらしいか
ウィキペディアには新しく作成された記事が一覧できるページがあります。2月27日に柳窪が作成されて半日後くらいにはこの記事の存在に気づき、「第1回ウィキペディアタウンin東久留米」の参加者の誰かであることを確信しました。
第1回で一緒のグループにいたNさん、もしくはふじいさん本人がHarwell1212さんなのではないかと推測しましたが、ごにょごにょしたメッセージで別の方だということが判明しました。第1回ウィキペディアタウンの際の懇親会で私の正面に座っていた方(仮に「ハーウェルさん」らとします)でした。
私がこの記事に引き込まれたのは主に2点、「初版から完成度が高かった点」、「『柳窪』でググってもほとんど情報が出てこない点」です。
・東京から川を越え林を抜けるとそこには東久留米の町が!
完成度が高い初版
いわゆるウィキ記法を使いこなすのには慣れが必要です。各地のウィキペディアタウンではウィキペディアを初めて編集する方を何人も見てきましたが、初編集からマークアップを自在に使いこなせる人はいません。
この記事は初版から、出典の付け方、箇条書き、数字の半角化、外部リンクやカテゴリなどが整っていました。いくつか修正したい点はあったものの、大多数の初心者との違いは歴然としていました。
それぞれの節には文章を解説するのに効果的な写真が添えられています。1枚目の写真がアップロードされたのは2016年12月30日であり、記事が作成されたのは2017年2月25日です。何か月もかけて1つの記事を作成していたのだということがよくわかります。いずれもきちんとした構図で撮られており、説明写真として申し分ないものばかりです。(ただし写真のサイズが小さい点とメタデータが失われている点は気になり、ハーウェルさんが撮影者ではないのではないかと思いました)
この記事の初版のバイト数は19,000バイト。能力のある方ならこのくらいの文章を書くのは難しくないです。ちらっと聞いたハーウェルさんの現在の肩書や過去の経歴を考えると、このくらいは余裕だったでしょう。とはいえ、「簡潔に短く書かれているのが百科事典」「箇条書き主体、どうでもいい部分だけは冗長に書かれているのがウィキペディアの地誌」(例:東久留米市 - Wikipedia)という思い込みを外すのは容易ではありません。どんな記事をお手本にしたのかが気になりました。
ウェブ検索しても出てこない情報
「有志が市街化調整区域への逆線引きを申請」した出来事など、この柳窪という記事には興味深い歴史が書かれています。Googleマップや地理院地図と見比べながら記事を読み進めました。空中写真を眺めると「緑の島」がはっきりと見えます。「ウィキペディアタウンin東久留米」で南沢湧水群を訪れ、東京にも自然豊かな地域があることは理解していたのですが、柳窪の歴史と現代の保護活動まで合わせて、東久留米にはこんな地域があるのかと驚きました。
他の情報を得ようとウェブ検索してみたものの、単に「柳窪」と検索するだけではほとんど情報は得られません。これほど特色がある地域であれば、市民団体なり個人ブログなりで情報発信されていてもおかしくありません。所在地が東京都ということで埋もれてしまっているのでしょうか。ハーウェルさんはいままでウェブ上に出てこなかった紙の文献の存在を示してくださいました。
良質な記事の選考
新着投票所(メインページへの掲載)、月間新記事賞、良質な記事というのはウィキペディアコミュニティが内輪で行っている選考ごっこにすぎないのですが、メインページに掲載されることで閲覧数が跳ね上がったり、選考で隅から隅まで読んで的確なコメントを付けてくださる方がいたりと、記事を書く動機付けになります。
4月11日に始まった良質な記事の選考でも、質の向上の助けとなるコメントが付けられています。選考開始時点ではいくつか改善すべき点が残っており、おそらく選出されないだろうと思っていました。4月22日には三重県の地誌記事(志摩町和具 - Wikipediaはいつも私のお手本)を書いているMiyuki Meinakaさんが歴史節を加筆し、地理節や交通節を付け加える大幅加筆を行いました。さかおりさんは航空写真を貼付し、完成度の高い記事となりました。……
その2につづくかも。
ayc.hatenablog.comhttp://ayc.hatenablog.com/entry/2016/09/27/0832
Library of the Yearを受賞した図書館
2016年3月にWikimedia TOWN×INA Valleyに参加する前、伊那市立図書館について検索してみた。2013年に「Library of the Year」という賞を受賞しているすごい図書館らしい。どうすごいのかはググってもよくわからなかった。
実際に高遠町図書館と伊那図書館を訪れてみると、いろいろな点に目を見張った(ただしそれは「Library of the Year」の受賞理由とは違う部分だと思う)。コピーして持ち帰った文献からは深い歴史が見えてきた(それも受賞理由とは違う部分だと思う)。自分の目で伊那市立図書館を見て、伊那市立図書館についての文献を読むことで、確かにこの図書館はいい図書館だと思った。
2016年8月には、前年に「Library of the Year」を受賞している多治見市図書館を訪れた。まとまった量の陶磁器資料コーナー以外で分かりやすい「ウリ」はないように見えた。「Library of the Year」でどんな点が高く評価されたのはわからなかったけれど、家に帰ってから小嶋智美さんによるプレゼンのPDFを読んで、少しだけ納得した。
同じく8月には、2011年に「Library of the Year」を受賞している小布施町立図書館まちとしょテラソ - Wikipediaを訪れた。中も外も印象的な建物で、居心地の良さを感じたが、やはり「Library of the Year」の受賞理由はわからない。「まちづくり」とのかかわりが評価されているようなので、図書館に入って2時間過ごしただけでわかるものではないのかもしれない。
まちとしょテラソを訪れる
8月に現地を訪れる前から、ウィキペディアのまちとしょテラソの記事を加筆しようと考えていた。初夏には文献を集め始めており、まずは地元の愛知県図書館で『はなぼん』や『明日をひらく図書館』などの書籍を、『新建築』や『図書館雑誌』などの雑誌記事を確認した。そして8月には現地で建物と館内の写真を撮影し、その日の午後に県立長野図書館を訪れて『小布施町立図書館 図書館のあゆみ』をコピーした。
ただ、長野県には『愛知県図書館史年表資料考察: 愛知県における図書館のあゆみ』のような文献がないらしい。頼みの綱の『近代日本図書館のあゆみ 地方編』にも言及がない。『-図書館のあゆみ』はOPACで検索するとヒットする唯一の文献だったが、ただのパンフレットだったのでがっかりした。核となる文献がみつからないので加筆を取りやめていた。
まちとしょテラソが加筆される
2017年3月20日には県立長野図書館でウィキペディアタウン「WikipediaLIB@信州」が行われた。平賀館長の推薦でまちとしょテラソも加筆対象となった。イベントに参加していたAncorone3さんはイベント終了後にも加筆を続け、「WikipediaLIB@信州」までとはまったく別の記事になった。
書籍、雑誌記事、新聞記事、町史、町報、ウェブサイトと、いろんな種類の文献が使われている。私は町報や町史などを手に取る前に文献集めをやめていた。『月刊社会教育』、『ビッグイシュー』 、『関東地区公共図書館協議会研究集会報告書』などにはそもそもたどり着けなかったと思う。
まちとしょテラソ以前には小布施町に図書館がなかったのではないかという先入観があった。WikipediaLIB開催前のページには2006年以前の歴史が一行も書かれていない。ところが、Ancorone3さんの加筆で長い歴史が見えてきた。小布施町の図書館サービスは1923年からずっと続いているらしい。2006年まで図書館があった場所や、まちとしょテラソが建つ前にあった施設のこともわかるようになった。沿革節の小節タイトルは悩んだのではないかと思う。「小布施町立図書館まちとしょテラソ」という記事名なのに、まちとしょテラソができる前の歴史のほうがずっと長い。
Library of the Year受賞の要因となる「取り組み」節も充実した。「まちじゅう図書館」、「デジタルアーカイブ」、「花の童話大賞」の三本立てになっている。
まちとしょテラソを読む
加筆された文章を読むと、現地を訪れた時のことを思い出す。
サクラの老木を避けるようにして作られた光庭がある
敷地には何本かのサクラの老木が植わっており、建物に向けて張り出している。この老木の枝を避けて壁が窪んでいる一角はとても印象的だった。外に出て写真を撮ろうと思っていたが、どうやら撮り忘れたらしい。
室内の気配を感じ取れる
小布施町の人口は2万人に過ぎない。まちとしょテラソの延床面積はわずか1,000m2。ワンフロアのうえにバックヤード部分が少ない。館内の人の動きを感じ取れるような雰囲気がある。
まちじゅう図書館
「主な取り組み」節にはまちじゅう図書館のイメージ画像が使われているが、この画像は図書館内の展示を撮っただけであって、実際のまちじゅう図書館ではないのが申し訳ない。いつか本物のまちじゅう図書館の写真を撮りに行きたい。
外壁の薄黄色は小布施町の名産である栗や土壁などから選ばれた
Infobox内のメイン画像はプロの写真家が撮ったものらしく、この場所の雰囲気をよく表しているけれど、外壁の色はわからない。「主な取り組み」節には昼間の外観の画像が使われていて、この薄黄色にもきちんと理由があったことは初めて知った。
小布施正倉・小布施人百選・花の童話大賞
デジタルアーカイブ事業や花の童話大賞については、図書館を訪れただけではわからない。その意義が伝わりにくい事業にも思えるので、公式サイトの紹介ページ以外でネット上に残すのは重要なことだと思う。
昨秋にMiyuki Meinakaさんが飛騨市図書館 - Wikipediaを加筆された時には、現地を訪れて撮ってきた写真を追加した。まちとしょテラソでも何か援護射撃したい。
『長野県史』、『長野県教育史』、『長野県社会教育史』には何か言及があるだろうか。東京や愛知の図書館から相互貸借することは可能とはいっても、書棚から手に取って調べたい。
OPACで検索しても、小布施町立図書館単体での事業年報はみつからない。ということは町の社会教育施設全体の事業年報があるのだろうか。これは小布施町立図書館に対してレファレンスを行ってみないとわからない。
信濃毎日新聞データベースで検索するとどんな記事が見つかるだろう。全国紙にも取り組みが取り上げられるような図書館なので、何も見つからないことはないと思う。新聞記事データベースは現地在住でないと利用が難しい。
※写真の撮影者はいずれもAsturio Cantabrio。Category:Machi tosho terrasow - Wikimedia Commonsにオリジナルサイズの画像があります。