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振り返ればロバがいる

Wikipediaの「利用者:Asturio Cantabrio」によるブログです。ロバです。

シネ・エスパニョーラ2017

3月25日からシネマート新宿とシネマート心斎橋でスペイン映画5本の特集上映「シネ・エスパニョーラ」が開催されています。ウィキペディアタウンin東久留米の前日には、シネマート新宿で『クリミナル・プラン 完全なる強奪計画』と『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的』を観賞しました。

 

「シネ・エスパニョーラ」で上映中の5作品

『ザ・レイジ 果てしなき怒り』監督:キケ・マイーリョ

『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』監督:オリオル・パウロ

『クリミナル・プラン 完全なる強奪計画』監督:イニャキ・ドロンソロ

『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的』監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア

『キリング・ファミリー 殺しあう一家』監督:アドリアン・カエターノ

 

この5本の中だけでも、マリオ・カサス - Wikipediaは3本、ルイス・トサール - Wikipediaは2本に出ています。シネコンではなかなかお目にかかれませんが、特集上映/映画祭上映やDVDでの鑑賞を含めれば、彼らはいまいちばんよく見るスペイン人俳優かもしれない。

 

『クリミナル・プラン』は2時間前にチケットを買って残り12席でした。実は現地での公開日は4月末であり、日本公開は現地よりも1か月以上早い。作品中ではマドリードが舞台となっていますが、バスク州ビルバオの中心市街地でロケが行われています。

監督のイニャキ・ドロンソロもバスク州ビトリア=ガステイス出身。金庫破りに扮した潜入捜査官が、犯人グループを一網打尽にしたのになぜか銀行強盗を続行する、というストーリー。副題やあらすじが面白そうだったので期待していた下が、やや拍子抜け。ヒロインのアルバ・ガローチャはモデル出身。

 

『クローズド・バル』はベルリン国際映画祭のコンペ外で上映された。スペイン公開は日本公開の前日、実質的には同日公開。アレックス・デ・ラ・イグレシア監督は日本にもファンが多く、この日も4時間前にチケット買ったのに残り8席でした。この監督らしい悪趣味なコメディで、バルに取り残された8人の客がばったばったと死んでいく。

ヒロインはブランカスアレス。『クリミナル・プラン』よりも娯楽要素・お色気要素が強く、胸の大きさを強調するシーンもあります。スアレスは正統派の美人ですが、物語後半にはオリーブオイルを塗りたくった下着姿で下水道内を逃げ回ります。

 

www.albatros-film.com

 

WikipediaLIB@信州に参加する(2)イベント当日

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みんなの一体感とか表情がすごくいいので再掲載。

 

3月19日は京都・大原にて「ウィキペディアタウン大原」に参加。「もっと大原里山研究所」が主催、是住さんらのししょまろはんが協力、東京から始発で来たというくさかさんが講師でした。くさかさんとは400km離れた長野でも顔を合わせることになります。

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長野に向かう

くさかさんは東京の自宅に帰って翌朝の新幹線に乗ったそうですが、私はその日のうちに長野に入る。定番の東海道新幹線&特急しなの(名古屋経由)では芸がないため、特急サンダーバード&北陸新幹線(金沢経由)というルートを選びました。交通費や所要時間はほぼ同等であり、大原を出る時間によっては名古屋経由に切り替えることも検討していました。

長野到着時には翌日に発表するスライドが1枚もできていない状態。20日のWikipediaLIB@信州当日は朝早く起き、スライドと発表のための原稿を準備して県立長野図書館に向かいます。9時に到着したらもう宮澤さんがおり、小澤さん・篠田さん・槌賀さんが最終準備をしています。宮澤くんに挨拶する気持ちの余裕もなかったのですが(ごめんねー)、どこかでお会いしたことのある方が何人かおり、Facebookで名前や顔を見かけたことのある方も多かったので落ち着きました。

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ウィキペディアとは何か」

 司会は小澤さん。館長に続いて篠田さんが本日のイベントの趣旨を説明します。アーバンデータチャレンジ、1月の高遠ぶらりに続いてこの手のイベントが3回目だという篠田さんは、「何を書いていいかわからない」ということを強調されていました。ウィキペディアを始めて編集する方から何度か聞いたことのあるコメントですが、編集に慣れすぎているウィキペディアンはこのことになかなか気付かない。調べる楽しさのあるイベント、立場の違いに関係なく考えるプロセスや考える機会を提供するイベントという言葉もありました。

 

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 10時20分からは槌賀さんが担当の書庫ツアー。実は昨年8月に県立長野図書館を訪れた際に、今回のイベントにも参加されていた北原さんに館内ツアーをしてもらっています。もちろんアポなしの訪問で、館内の写真を撮りたいという怪しいお願いをしたところ、書庫も含めた館内を説明してくれたのでした。

 書庫ツアー後にはらっこさんによる「ウィキペディアとは何か」。3月6日にも尾道でらっこさんの説明を聞いていますが、司書が多い今回の参加者層に合わせてグレードアップさせた印象です。スライドに何回も表示していた短縮URLはホワイトボードへのメモでもよかった気が。

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ウィキペディアと図書館をつなぐ」

 11時25分からは宮澤さんの「ウィキペディアと図書館をつなぐ」。私にとっては宮澤さんの発表がこの日のハイライトでした。小学生の調べ学習から入り、なぜウィキペディアを使うのかということ、レファレンスとウィキペディアの関わりについて説明します。宮澤さんは是住さんや藤井さんとはまた違った視点でウィキペディアを見ています。

 私が図書館の記事に手を出し始めた時には、図書館が社会教育施設であるという当たり前の知識がなく、図書館にある379の棚で文献を探すことを思いつきませんでした。郷土写真集に古い図書館の写真が載っていることにも気づかなかった。自力で一通り文献を探してみたものの思うように文献が集まらなかった時に、いつもヒントをくれるのは愛知県図書館の司書さんです。文献はできる限り自力で探したいと思っていますが、より充実した記事にしたいとき、未知の分野に手を出すときなどにはレファレンスを行っています。

「伊勢春慶」という記事があります。昨年9月のウィキペディアタウンin伊勢で執筆対象となった記事です。私はこのイベントには参加しなかったのですが、図書館総合展で岡野先生に挨拶したことでこの記事に興味を持ち、ネットで検索したり、伊勢春慶デザイン工房や桑名市立図書館を訪れて文献を探しました。デザイン工房では文献がほとんどないという話を聞き、自分で調べても確かに文献が少ないことがわかりました。最後に三重県立図書館の地域資料コーナーに行ってレファレンスを行うと、対応してくださった司書さんは私の話を聞く前から伊勢春慶の文献の少なさを知っており、PCで検索もせずに書棚に向かうと、私が気付かなかった文献をいくつか引っぱり出してくださったのでした。司書に頼ることを学びました。

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ウィキペディアに記事を書くこと」

  らっこさん・宮澤さん・諸田さんとは違い、私は人前で話し慣れていません。「ウィキペディアとは何か」や「ウィキペディアの編集方法」についての最低限の説明はできますが、平賀さんから与えられたお題は「ウィキペディアに図書館記事を書く」です。

今回のイベントは「図書館」という明確なテーマを持っており、司書の参加が多いことが想定されました。日ごろから司書の業務とウィキペディアの執筆の共通点を感じており、また一般的な司書の能力の高さからしても、話すことがあるのだろうかという不安を感じていました。2月中旬には練っていないスライドを作成していたものの、話す内容が固まらないまま時間が過ぎ、長野入りした午前3時から本番用のスライドを作ったのでした。なお、発表用の原稿はA4 5枚分のうち1枚分話し忘れた。スライドに入れなかった部分なので違和感がなかったのかも。下にリンク先を示した発表用原稿には入っています。

www.slideshare.net

2017年3月20日 「WikipediaLIB@信州」県立長野図書館... - Cantabrio Asturio | Facebook

 

編集ワークショップ

役目が終わって気持ちが軽くなってたので諸田さんの説明はほとんど聞いてませんでしたー。

 午後の編集ワークショップは2時間20分ですが、主催者によって【方針・準備】【調査】【構成】【執筆】に4分割されています。ワークショップでやるべき内容を理解しているからこその4分割だと感じました。一方でくさかさんやらっこさんがプログラム作成を担当する場合は、参加者の自主性に任せるべく、わざわざ分割しないのではないかと思います。

 私はふだん、ウィキペディアタウンでは必ずどこかのグループに入って作業を行います。今回は悲しいことにグループに入れてもらえなかったので、会場内を徘徊して写真を撮りつつ、何か聞かれたらそれに答えて、また写真を撮りながら会場内を徘徊していました。ウィキペディアタウンの講師として場数を踏んでいるくさかさんやらっこさんは、参加者が何か疑問を投げかけてくるまで待つ、というのがうまい。こちらからあれこれ教えてしまってはいけないイベントだということがわかってきました。

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発表・講評・意見交換

 5班 下條村立図書館 - Wikipedia(新規)

「奇跡の村」下條村には「サンモリーユ下條」という施設があり、愛知県刈谷市在住・在勤・在学者と下條村在住者しか宿泊できないという決まりがあります。私は刈谷市民、宮澤さんは下條村民です。下條村立図書館を担当した5班は全員が図書館関係者。2種類の統計によって蔵書数や貸出数が異なっているという問題を、両方の数値を示すこと、ただしインフォボックス内にはより信頼性の高い(?)ほうを示すことでクリアしています。これが最適な方法なのかどうかはわかりませんが、6人が一緒に頭を悩ませたようです。

このグループは編集競合を避けるためにGoogleドキュメントを使用していました。文章がリアルタイムで更新されていきます。良いアイデア信濃毎日新聞の記事を出典として使用しているのも嬉しいです。出典=書籍というイメージを持ってしまいがちですが、地域の話題を書くときには地方紙が頼りになり、データベースを利用できる図書館で開催した甲斐がありました。

翌日にはMiyuki Meinakaさんというウィキペディアンが内容を加筆していることに気づかれたでしょうか。履歴表示画面から差分を見ると、ベテランのウィキペディアンがどのような文章を追加し、どのような修正を行ったのかがよくわかります。Miyukiさんは「指宿市立図書館」や「川上村文化センター図書館」などを書かれた方です。

 

6班 県立長野図書館 - Wikipedia(加筆)

この図書館で開催されるからには、県立長野図書館という記事の加筆は必須でした。6班は参加者の属性がいちばん多様だったグループかも。今回のイベントに講師として参加したウィキペディアンは私・らっこさん・くさかさんの3人ですが、実はこのグループには4人目のウィキペディアンが紛れ込んでいました。

イベント中に部屋から出るのには勇気がいりますが、このグループはイベント中に館長室の写真を撮ってきて記事に使用しています。私が「歴史的な記述が貧弱」と言ったせいか、信濃図書館時代、旧館時代、現行館時代の歴史がバランスよく書かれており、『保科百助の揮毫』という興味深い写真も掲載されています。書庫には県立の魯桃桜それ自体について書かれた文献もあるようです。開花時の写真は4月になったら平賀さんが追加してくれるのでしょうか。

 

2班 市立小諸図書館 - Wikipedia(新規のはずだったが加筆)

長野県有数の歴史を持つ市立小諸図書館を担当したのは2班。新規作成を行うはずでしたが、イベント前日に記事が作成されていました。とはいえ加筆の余地が十分にあったため、2班にはそのままこの記事を担当してもらいました。このグループはとても堅実な加筆を行っています。出典がまったくなかった記事に出典を追加し、沿革や特色に関する文章も追加しています。

「県内第一号(の図書館)」という言葉が追加されました。出典のことばを独自に解釈して「長野県最古」などという言葉に置き換えてしまいがち(「最古」はとてもあやふやな言葉)ですが、文献の記述通りの言葉を使ったようです。自治体広報誌も引っぱりだしたとか。このブログ冒頭部の写真は2班ですが、加筆度合い以上の達成感があったようです。 

 

7班 松本市図書館 - Wikipedia(加筆)

 1月には松本市中央図書館を訪れました。カウンターではいつも通り写真撮影の可否を尋ねたところ、カウンター近くにいた年配の男性職員が「撮影していいに決まっている」という反応をしていたのが印象的でした。撮影の可否を訪ねて館長や副館長クラスに持ち込まれてしまう場合、良い結果が得られないことも多いです。あの方は誰だったのでしょう。

7班が担当した松本市図書館はインフォボックスすらなく、県内有数の歴史を持つのに開館年しかわからなかった記事。インフォボックスには地図も加えていただきました。文章部分ではイベント中に長い歴史に関して加筆されたほか、イベント翌日にも参加者によって特殊文庫の記述が加えられています。

 

1班 諏訪市図書館 - Wikipedia(新規)

意外にも記事がなかった諏訪市図書館。諏訪市図書館本館のほかに専門図書館諏訪市立信州風樹文庫があるということで、1班は節構成について悩んだのではないかと思います。まずは作成したインフォボックスや文章のみを投稿し、その後出典を加えていったようです。リンクがないこと、名称の誤り、地図や座標がないことなどに一つ一つ気づいて修正していった過程がよくわかります。

 

3班 中野市立図書館 - Wikipedia(新規)

新規立項の6分後に即時削除依頼を出されるという、ちょっとした混乱があったグループです。結果的には削除されることもなく、編集に対して即座に反応があるというウィキペディアの特徴がわかる例として受け取ってもらいたいです。図書館プロジェクトテンプレートを使用して内容の更新を進めていったグループで、履歴には編集プロセスがわかりやすい形で残っています。

 編集中に外部から介入されると厄介なため、一般的なウィキペディアタウンには“不慣れな編集があったり、一時的に編集回数が増加したりしますが、何とぞご容赦願います。”などという文章をノートに記す「おまじない」をすることが多い。今回講師となった3人のウィキペディアン全員が忘れていたのか、それとも「おまじない」の必要性まで主催者に気付いてほしかったのでしょうか。

 

4班 辰野町立図書館 - Wikipedia(新規)

辰野町立図書館は2館からなる点で諏訪市図書館と似ていますが、4班は1班とは異なり、「沿革」という大節の中に2館をまとめる方法を取りました。2館とも歴史ある図書館。出典のひとつに1928年の『小野村誌』を使っているほかに、著作権面の問題がないことをはっきりさせたうえで、県立長野図書館が所蔵していた小野図書館の古い写真も掲載しています。この写真が撮影された時期についての説明がないため、どなたか説明を補ってください。

 

8班 小布施町立図書館まちとしょテラソ - Wikipedia(加筆)

昨年8月に訪れた図書館です。まちづくりと図書館を絡めた例として知名度の高い図書館であり、愛知に戻ってから加筆を試みましたが、文献の少なさから断念していた館です。手を加えていただきありがとうございました。訪問時に撮った館内の写真をCategory:Machi tosho terrasow - Wikimedia Commonsに上げており、今回の加筆時には何枚か使用していただきました。

目立つ新館があると忘れられがちなのが新館以前の歴史。人口1万人の自治体なのに1923年/1951年から図書館があるとは知りませんでした。後日加筆された「習わし」についての一文は興味深いです。まったく触れられていなかった建築についての文章も加筆されました。やりたいことに作業が追い付かないという言葉があり、「おぶせまちじゅう図書館」などまちづくりとの関わりが加筆されることも期待しています。

トップ画像は写真家の大井川茂さんによる写真。前館長の花井裕一郎さん本人が投稿しているように見えます。ライセンスはこのままで大丈夫なのかという心配はありますが、私が撮影した写真とは比較にならない抜群の存在感を放っています。

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 くさかさんのありがたい講評時には、書いた経験が読み手の気持ちを成長させるという言葉がありました。最善を尽くしたうえでまず書いてみるということが大事とも。ありがたい。

 

 2016年に図書館記事を書き始めたのは、「ウィキペディア/ウィキペディアタウンに興味を持つ図書館員が増えれば」「ウィキペディアを書く図書館員が増えれば」という気持ちからでした。藤井さんや宮澤さんはもうすっかりウィキペディアを自分のモノにしており、それもこちらの想定を超えた踏み込み方をしているように見えます。

講師陣があれこれ出した意見を、小澤さん・篠田さん・槌賀さんの3人がうまくまとめてくださいました。らっこ→宮澤→かんた→諸田と4人のゲストがうまくバトンをつなげたのは練りこんだプログラムのおかげでした。

昨夏に「図書館をテーマとするウィキペディアタウン」の構想を聞いた時には現実的ではないと思って笑っていましたが、平賀さんはほんとうにこのイベントを開催し、講師として呼んでくださいました。イベントの主役は参加者。次につながらなければ意味がないというイベントでした。私が役目を果たせたかどうかは怪しいですが、次回も呼んでもらえたらより洗練された発表をしたいと思います。

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・懇親会で撮った写真はたいていぶれているのに、小澤さんが某氏にセクハラされてる写真だけはぶれてなかった。

WikipediaLIB@信州に参加する(1)開催準備

このブログはFacebookの運営グループでのやり取りの記録に基づいています。このブログはちょっとずつ修正するかも。

 

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まとめ

WikipediaLIB@信州の発案者は館長の平賀さん。県立長野図書館の担当者は小澤さん・篠田さん・槌賀さんの3人であり、講師は私・らっこさん・宮澤さん・諸田さんの4人です。準備段階ではこの8人で意見を出しあい、県立長野の3人がまとめて形にしています。

準備にはかなりの時間を割いていたはず。県立長野の3人はそれぞれ、わざわざ高遠や京都のイベントに参加しました。Facebookでは22時台、23時台、0時台にやり取りすることもままありました(ブラック上司!)。私自身の役目はイベント当日に何分か話すことだと思っていたのですが、実際にはイベント前日までの議論の方が遥かにウェイトが高かったのでした。イベントのコーディネートを経験者に丸投げすれば、図書館側の負担はそれほどではありません。WikipediaLIB@信州ではそれをせず、ひとつひとつ内容を検討していきました。最終的なプログラム自体は一般的なウィキペディアタウンと大差なかったのですが、開催までのプロセスには大きな違いがあったのではないかと思います。

 

プロジェクト開始前

2016年3月5日、私は伊那市高遠町図書館で開催された「Wikipedia Town INA Valley ×高遠ぶらり」に参加しました。高遠や伊那以外にも長野県各地から参加者が集まっていたイベントで、ここで初めて平賀さんや諸田さんにお会いしています。この際に伊那市立図書館に興味を持ち、6月15日には「伊那市立図書館 - Wikipedia」を作成しました。その後、どこかのタイミングで平賀さんが「伊那市立図書館」をおもしろがり、図書館をテーマにしたウィキペディアタウンの開催をひらめいたようです。

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写真:2016年3月のWikipedia Town INA Valley ×高遠ぶらり

 

8月末には初めて県立長野図書館を訪れました。2階一般図書室の改装が終わったばかり。WikipediaLIB@信州で使うことになるイベントスペースが生まれています。平賀さんの姿を横目に見ながら、K係長に館内ツアーをしてもらいました。11月末には平賀さんが講演のために名古屋市鶴舞中央図書館に来たので、東海地区のライブラリアンが平賀さんを囲んでご飯を食べる懇親会に参加させてもらいました。この時にはもうイベントの開催と日程が決定していたはずです。

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 写真:2016年8月の県立長野図書館

 

顔合わせ

2017年に入り、1月28日には「第10回Wikipedia Town INA Vallery × 高遠ぶらり」に参加。ここでも平賀さんや諸田さんにお会いしたほか、県立長野図書館でイベントの運営を担当する小澤さん・篠田さん・槌賀さんと初めて顔を合わせます。宮澤さんとも初対面でしたが、飯田から高遠まで車に乗せてもらいました。

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 写真:2017年1月のWikipedia Town INA Vallery × 高遠ぶらり。右の写真左は小澤さんかな?

 

利用者:Asturio Cantabrio - Wikipediaによると、WikipediaLIB@信州までに私は23回のウィキペディアタウンに参加しています。その主催者は市民団体(京都など)だったり、行政(掛川など)だったり、図書館だったりさまざまでしたが、図書館が主催者となるときには企画発案者が運営担当者も兼ねていました。

WikipediaLIB@信州は違いました。館長の平賀さんが発案し、小澤さん・篠田さん・槌賀さんの3人が運営を担当します。1月28日に3人と初めて顔を合わせた時には、平賀さんと小澤さんの意識のずれを感じました。「館長の思い付きに振りまさわされてるんです!」という顔をしていた小澤さんには不安も感じましたが、館長の期待に応える能力や意思のある方々だということはすぐにわかりました。

3人がウィキペディアタウンに参加したのは1月28日が初めて。不慣れなウィキペディアの編集を行いながら、諸田さんがイベントをどのように運営しているか学び、県立長野の独自色を加えて開催を成功させる、というのは無茶ではないかとも思いました。

 

プロジェクトの開始

ウィキペディアタウンはまちあるきとエディタソンを同時に行うイベントです。街歩きガイド、ウィキペディアの説明者、会場と資料の提供者がいれば成り立ち、図書館は会場と資料の提供者になることが多い。内容については他地域の事例を踏襲し、イベント全体のコーディネートは熟練者(くさかさん・らっこさん・Miya.mさん・岡本真さん)に任せることで、図書館の役割は会場と資料の提供、参加者集め、ガイドの依頼などに限定されます。

WikipediaLIB@信州の開催プロセスはやや異なります。「イベント運営を通じた職員の成長」も大きな目的だったと思います。口下手な私が講師になるところからして、県立長野の3人が頑張らないとイベントが成り立ちません。平賀さんは3人を1月28日の高遠ぶらりに参加させたうえで、開催の目論見「県立長野図書館『WikipediaLIB@信州』の概要と開催の目論見」(アカデミック・リソース・ガイド632号)のみを示し、3人にイベントの内容を一から考えさえました。

高遠ぶらり終了後にはFacebookにWikipediaLIB@信州運営グループがつくられ、平賀さん・県立長野の3人・私・諸田さん・宮澤さんで開催に向けた計画がスタートしました。出だしは低調で、2月上旬時点では編集項目を図書館にするかどうか、まちあるきを行うかどうかさえ決まっていませんでした。定員に対してウィキペディア経験者が少ないことから、2月中旬にはらっこさんも講師に呼ぶことが決定しています。

 

 

プロジェクトが本格化する

2月14日には公式サイトでイベント開催の広報を開始し、17日には小澤さんがプログラム案を出します。グループ内で意見を募ったのち、数日後にプログラム案を改訂。篠田さんが趣旨説明、槌賀さんが書庫ツアー、小澤さんがオリエンテーション、講師4人が何かしらの発表を行うことが確定しました。

3月5日に京都で開催されたウィキペディアタウンサミットには、小澤さん・篠田さん・らっこさん・諸田さん・宮澤さんが参加しました。私と平賀さんは不参加。特に小澤さんは前日の酒ペディア&酒マップにも参加しており、京都の2日間で手ごたえをつかんだようです。プログラムは3月11日に確定。らっこさんの持ち時間は当初の20分から40分に、私の持ち時間も30分から40分に増えています。

告知開始時の定員は35人。3月2日時点の参加申込者は25人でしたが、3月10日の受付終了時には47人に、最終的には50人にふくれあがりました。ウィキペディアタウンサミットが影響したのでしょうか。公共図書館/学校図書館の方が30人。50人の前で話をしなければいけないのは気が重い。

 

編集項目の選定

参加者の申し込み状況を見た上で、3月はじめには編集項目の選定を開始。新規記事と加筆記事のバランス、館の規模や地域的なバランスを考えた上で、最終的に諏訪市、諸市、中野市辰野町、下条村、県立長野、松本市小布施町の8記事に落ち着きました。参加者の所属館、文献の量などを踏まえて、編集項目は最初に出された案から何記事か変更されています。

Wikipediaについてきちんと理解していない主催者は、特筆性や文献に乏しい記事を執筆対象に選んでしまったり、執筆にはあまり役立たないパンフレットばかり用意してしまったりするものです。高遠や京都で鍛えられた3人が選んだ文献は申し分ないものでした。当日用意された文献一覧は資料として配布されています。3人のうちどなたが文献を担当されたか知らないのですが、「Wikipediaを書くこと」について深く理解しています。

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班分け・ワークショップ構成

槌賀さんが担当されたという班分けも絶賛されています。班内の議論を主導できる方や社交的な方が各班に配置されていたようにみえました。

今回のイベントは主催者と接点がある参加者が多く、図書館で働いているとか図書館が好きという共通点があり、1グループが6人で構成されていました。これは大都市/県立図書館だからできることであるとも言えます。「年配の男性と若者がお互いの知識やスキルを活かして共同作業を行う」のが理想的なウィキペディアタウンの一形態ですが、参加者同士がうまくかみ合わないと、ほとんど会話を行わずに文字入力に専念するようなイベントになることもあります。

今回のイベントではウィキペディアンがグループに入らず、会場内を徘徊してフォローするという形式をとりました。小澤さんによる編集ワークショップの構成は、2時間20分を【方針・準備】【調査】【構成】【執筆】の4つに分けるという、高遠でも京都でも経験していないはずの構成となりました。ホワイトボードの存在も議論を活発化させた一因だったし、役割分担に効果を発揮していました。グループに1人は編集の流れがわかっている方がいないと難しいイベントですが、槌賀さんの班分けや小澤さんのワークショップ構成のおかげで、どの班も活発なワークショップが行われているように見えました。

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メインページに掲載された図書館記事

ウィキペディアで図書館記事を書いている方に利用者:Miyuki Meinaka - Wikipediaさんという方がいる。もともとは三重県伊勢志摩地方の地理記事を中心に活動されていた方ですが、2016年後半には三重県の図書館記事を精力的に作成され、2017年には長野県の図書館や指宿市立図書館などの記事を作成されています。私はMiyukiさんのファンなので、どこかでお会いできないかな。

 

アカウント別のメインページ掲載記事数

2016年以降(2017年3月15日時点)にメインページに掲載された(≒一定の質を持った)図書館記事の数をアカウントごとに比較するとこんな感じ。

27記事 Asturio Cantabrio陸前高田市、TOYAMAキラリ、富山市、金沢海みらい、越前市鯖江市、伊那市、上伊那図書館、熱海市静岡市御幸町、ぎふメディアコスモス、津島市一宮市稲沢市清須市みよし市大府市東浦町武豊町安城市岡崎市田原市近江八幡市、江北図書館、赤穂市瀬戸内市、男木島図書館)
25記事 Miyuki Meinaka鹿嶋市山中湖村飯山市喬木村、川上村、飛騨市飛騨市神岡、高山市三重県伊賀市、熊野市、尾鷲市紀北町大台町、少女マンガ館TAKI、松阪市伊勢市、津市、鈴鹿市菰野町いなべ市桑名市桑名市中央、丸亀市指宿市
4記事 掬茶秋田県、東京都、千代田区、大学図書館
2記事 Unimoi武蔵野市静岡県

 

都道府県別にするとこんな感じ。Asturio Cantabrioは愛知県を中心に中部地方をまんべんなく。Miyukiさんは三重県中心。

なお、やってることのレベルは文句なしにMiyukiさんの方が高い。Asturioは規模が大きく文献が豊富な愛知県の図書館記事を書いていますが、Miyukiさんが書いているのは規模が小さく文献に乏しい三重県の図書館記事です。Asturioは愛知県民ですが、Miyukiさんは三重県民ではなく関東在住です。

27記事 Asturio Cantabrio(岩手1、富山2、石川1、福井2、長野2、静岡2、岐阜1、愛知11、滋賀2、兵庫1、岡山1、香川1)
25記事 Miyuki Meinaka(茨城1、山梨1、長野3、岐阜3、三重15、香川1、鹿児島1)
4記事 掬茶(秋田1、東京2、その他1)
2記事 Unimoi(東京1、静岡1)

 

 

ウィキペディアの記事評価制度

ウィキペディアには記事の質を評価する制度があります。「新着記事/強化記事」(メインページ掲載)と「月間新記事賞/月間強化記事賞」は相対評価の制度、「良質な記事」と「秀逸な記事」は絶対評価の制度です。

新着記事/強化記事は70点の記事、月間新記事賞/月間強化記事賞は75点の記事、良質な記事は80点の記事、秀逸な記事は90点の記事、と考えるとわかりやすい。なお、ウィキペディア完璧な記事はありません

Asturio Cantabrioがいままで作成した図書館記事は27記事、メインページに掲載してもらった図書館記事も27記事。これらの記事評価制度、所詮は内輪で行っている投票/選考ごっこではありますが、見本になりうる記事の目安として常に意識しています。

 

図書館記事の評価

2016年以降にメインページに掲載された記事(70点以上の記事)は61記事。一週間に1回以上の頻度で図書館記事がメインページに掲載されています。うち18記事が月間新記事賞/月間強化記事賞(75点の記事)を受賞し、15記事が「良質な記事」(80点の記事)に選ばれています。61記事という記事数は、「図書館」が「鉄道」や「競馬」や「イスラーム」のようにひとつのジャンルとして確立されたと言える記事数かもしれません。

 

アカウント別の良質な記事数

「良質な記事」に選ばれた記事数では、Asturio CantabrioとMiyukiさんにはやや差があります。これは作成した図書館の規模や文献量の差に加えて、Asturioがこれらの投票/選考に積極的に参加している(≒自分で書いた記事にも投票する)ことも大きいと思われます。

11記事 Asturio Cantabrio陸前高田市富山市伊那市静岡市御幸町一宮市稲沢市津島市安城市岡崎市田原市近江八幡市
3記事 Miyuki Meinaka高山市飛騨市松阪市
1記事 Unimoi静岡県

 

京都オープンデータソン2016 vol.3(酒ペディア&酒マップ)に参加する

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ウィキペディアタウンサミット前日の2017年3月4日(土)、京都オープンデータソン2016 vol.3 (酒ペディア&酒マップ)に参加しました。2016年度の「オープンデータ京都実践会」は京都を舞台に3回のオープンデータソンを開催。2016年7月18日にはVol.1(青蓮院、円山公園粟田神社)を、10月1日にはVol.2(吉田神社)を開催しています。

 

亀岡市立図書館にいく

河原町をぶらぶらしてもよかったのですが、おとなりの亀岡市にある亀岡市立図書館に行きました。亀岡駅から国分寺跡を通って千代川駅まで約10kmフィールドワークしたり、亀岡運動公園体育館に京都ハンナリーズの試合を見に行ったり、夜間に亀岡から保津峡経由で嵯峨まで抜けたことがありますが、小旅行の気持ちです。

図書館は亀岡駅から徒歩10分。建物前の道路は狭く、建物全体を写真に収められる場所がありません。1980年竣工。3階建(図書館部分は1階と2階)で延床面積は1,822m2。築年数はそれほど古くありませんが、フロアの使い方は別の施設から図書館に転用したかのような、奇妙な印象を受けました。メインの書架は高さ2.4mでしょうか。

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酒ペディア&酒マップ

この日は12時開始。地下鉄烏丸御池駅の近く、高倉通を上った場所にある割烹 松長(まつちょう)が会場です。どんな場所も会場にしてしまう&どんなテーマもオープンデータイベントにしてしまう京都実践会。

前日には京都市右京中央図書館の地域資料と新聞データベースを使い、松長の単独記事化の可能性を探りました。京都市に4館ある中央図書館では2016年4月からKYOTO Wi-Fiが使える上に、右京中央図書館は広々としたレファレンスルーム(電源がある地域資料閲覧席)があり、貸出カードがなくても利用できます。

割烹 松長は1716年に創業したという老舗。京都の料理店ガイド本や烏丸御池周辺のガイド本に掲載されていることを期待したのですが探し出せませんでした。これは女将さんに聞くべきだったかもしれない。検索すると関西テレビ「よ~いドン!」で紹介されたという情報も。公式サイトには「生州八軒に認定された松屋長兵衛」というキーワードがあります。今回は単独記事化を断念したのですが、これらのキーワードを頭の片隅に入れておきます。

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(上)OpenStreetMapより。烏丸御池交差点から西に向かい、4本目の高倉通を上る。(左)青い自転車が立てかけてある中央の建物が割烹 松長。(右)是住さんが集めた酒ペディア用の文献。

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この日の講師は日本酒ジャーナリスト&日本酒コンシェルジュの江口崇さん。「日本酒の魅力」「テイスティング」「酒造り」「日本酒の歴史」「酒場」の5つの話をしつつ、途中からはお昼ごはん(松長のお弁当)と利き酒タイムとなりました。下の写真で江口さんが持っているのは酒井酒造の「五橋」。吹きこぼれないように少しずつ開栓する必要があるということで、数時間後の成果発表までおあずけとなりました。

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 「日本酒は本来は黄色い。活性炭で色素を吸着させる」「(本日の)喜楽長は10年物。バニラやメープルシロップの香りがすることも」という説明があった。お弁当を食べながら一杯、説明を聞きながらまた一杯。

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今回のイベントもウィキペディアタウンとマッピングパーティの同時開催。14時30分頃には酒ペディアチームと酒マップチームに分かれ、酒マップチームは周辺のサーベイに向かいます。酒ペディアチームは文献調査と執筆作業を開始。京都府の蔵元を執筆対象とし、丹後地方の宮津市にあるハクレイ酒造 - Wikipedia、伏見にある北川本家 - Wikipedia、東山にある松井酒造 - Wikipediaの3記事を作成することになりました。

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1時間ほどすると酒マップチームが帰ってきました。酒マップチームにいた大塚さんが酒ペディアチームに移り、酒造好適米酒米)の五百万石 - Wikipediaを作成。酒造好適米でも山田錦や雄町は単独記事になっていたのですが、五百万石や美山錦はないのでした。2つのチームが広くない部屋の中で飲みながら編集を行います。

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今回利き酒を行った5本は以下の通り。このエントリー冒頭部の写真の左から右の順に並べています。

・喜楽長(喜多酒造/滋賀県東近江市喜多酒造株式会社

・不老泉(上原酒造/滋賀県高島市上原酒造

西陣(佐々木酒造/京都・洛中)佐々木酒造株式会社

・富翁(北川本家/京都・伏見)北川本家

・五橋(酒井酒造/山口県岩国市)酒井酒造

 

松井酒造 - Wikipedia」を作成したのは荒川さん。松井酒造は「洛中で最古の歴史を持つ蔵元」(公式サイトより)であり、伏見を除く京都市街地に2軒しかない蔵元のひとつです。荒川さんはこの蔵元が1970年代に伏見に移転してから2009年に京都市街地に戻る経緯の出典を見つけ、イベント翌日にはそのドラマティックな歴史を加筆しています。

一方で、一般的には「佐々木酒造」が「洛中唯一の蔵元」とされるようです。松井酒造は鴨川東岸の東山にあり、この場所は現代の定義では洛中ではないらしい。オープンデータ京都実践会のFacebookページにも疑問を投げかけ、いただいたコメントを参考に文章を修正しました。「洛中」という言葉の使い方に気を付けていることに気付いていただけると嬉しい。

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ウィキペディア・タウン in 尾道に参加する

3月4日(土)には「京都オープンデータソン2016 vol.3(酒ペディア酒マップ」に参加。3月5日(日)には用事があって「ウィキペディアタウンサミット」に参加できなかったのですが、3月6日(月)には「ウィキペディア・タウン in 尾道」に参加しました。

参加したことのあるウィキペディアタウン系イベントは、京都×4、Wikipedia ARTS×4、精華町、瀬戸内×2、高遠×2、博物館をひらく、ウィキペディア街道、豊橋/田原×3、東久留米、富山、掛川、和歌山、尾道となりました。

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 尾道をあるく

イベント開始は13時。今回はまちあるきを行わない簡易版ウィキペディアタウンだったため、午前中にはひとりで軽く尾道のまちを歩きました。JR尾道駅から尾道本通りを歩いて尾道市立中央図書館(休館日)まで行き、古寺めぐりコースを歩いて尾道駅に戻ります。

本通りの西端にある尾道駅から東端にある中央図書館までの距離は約2km・20分。1990年完成の図書館は坂の途中にあり、住宅や寺に囲まれています。石材を多用したどっしりとした外観。周囲の道が狭い上に駐車場が少なく、車では来づらそう。

尾道市立図書館の設立は1906年(明治39年、当時は私立)であり、福山市松永図書館と並んで広島県公共図書館でもっとも歴史が古い館です。尾道と松永に続くのは1910年(明治43年)設立の市立竹原書院図書館と江田島市立図書館。広島市立図書館は1931年(昭和6年)、広島県立図書館は戦後の設立です。(出典は『ひろしまの図書館2003』)

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(上)尾道市立中央図書館。(下左)シネマ尾道。(下右)大山寺付近から見た千光寺方向。

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尾道市立大学に行く

11時45分に尾道駅を発車するバスに乗って尾道市立大学に向かいました。2012年の国立大学法人化までの名称は尾道大学。今回のイベントで「尾道市立大学」という名前を聞いて調べるまで、「私大の尾道大学」とは別の大学かと思ってました。いろいろ勘違い。学生数は約1,400人。
瀬戸内海に面した尾道駅から終点の尾道市立大学までバスでは40分。新幹線の新尾道駅を経由し、さらに新興住宅地を一周してから大学に向かいます。キャンパスは山に囲まれた平地にあるのですが標高は約100m。バスの本数が1時間に約2本と少ないこともあり、原付か車を持ってないと学生生活はつらそう。

同じバスにはウィキペディアン1人と「ふくちのち」の鳥越さんが乗っていたようです。大学が長期休暇中のこの時期に終点まで乗りとおす大人は珍しく、今回のイベント参加者なのではないかと思っていましたが、Facebookのプロフィール写真とは印象が違ったので気づきませんでした。

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 (右)正門。右奥の建物が附属図書館。右は水源地。

 

講義会場となる教室を確認してから、15分ばかり附属図書館を見学。キャンパスの中では附属図書館だけ離れた場所にあります。閲覧室部分は2階建、開架書庫部分は2階建の高さで4層になっています。職員さんに聞くと昔は学生が本を手に取れる開架がなかったとか。館内の撮影は許可してもらいましたが、SNSへの投稿はやめてほしいとのことでした。なおGoogle Mapは附属図書館の位置を間違えています。

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 (左)附属図書館。(右)附属図書館から見たキャンパスと水源地。

 

ウィキペディア・タウン in 尾道

らっこさんによる前半の講義部分は300人入る大教室で行い、後半の編集作業はこの春に完成予定のラーニングコモンズで行いました。月曜日ということで講義部分の参加者は20人弱。大学の長期休暇中ということで尾道市立大学生の参加者がゼロだったのは残念。

ウィキペディアンとしては講師のらっこさんに加えてTaisyoさん・後閑さん・Psjk2106さんが、大学の教員として都留文科大学の日向先生と香川短期大学の中俣先生が、図書館関係で鳥越さんが参加しています。Taisyoさん・Psjk2106さん・中俣さん・鳥越さんとは初対面。

今回のイベントに参加したかった理由は主に2つ、大学主催のウィキペディアタウンに参加したかったことと、らっこさんの本格的な講義を聴きたかったことです。どちらも初めて。何人かの方から「らっこさんの講義はわかりやすい」と聞いていたのでした。

らっこさんは約40分を「プロジェクトとしてのウィキペディア」に充て、残りの20分をウィキペディアタウンの説明に充てています。あちこちのウィキペディアタウンでウィキペディアの説明を聞いていますが、他の講師の説明とは全然違う。いままでで一番引き込まれた説明でした。目新しいことを言っているわけではないのですが、「ウィキペディアは信頼されるフリーな百科事典を創り上げるプロジェクトである」ということを一語ずつ説明した部分などが印象的でした。ウィキペディアプロジェクトの理念的な部分を重視するということからは、尾道から広島県の他地域や中国地方に広まってほしいという気持ちを感じます。

サミットでも披露されたという動画も入っていました。あの動画の中身は素晴らしいのですが、音楽がやや胡散臭い。このイベントではよく「項目を充実させることが地域貢献につながる」という説明があるのですが、これはなかなか実感できない部分でもあります。

会場から「ウェブサイトは出典になるか」「ウェブサイトは情報が失われやすいがどうか」という質問がありました。後者は難しい問題です。

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 編集作業会場であるラーニングコモンズは未完成でした。そこそこの面積を書架が占めています。パステルカラーで曲線を多用した什器などは、これぞラーニングコモンズといった感じで安心感があります。

執筆対象となった記事は天寧寺、大山寺、艮神社の3記事。14人の参加者を3グループに分け、天寧寺にはTaisyoさんが、大山寺には後閑さん&私が、艮神社にはPsjk2106さんが入ります。らっこさんはグループには入らず全体のまとめ役を担当。文献はあらかじめ準備してもらっていたのですが写真を撮り忘れたため、すべて附属図書館の蔵書だったのかどうかわかりません。

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同じグループでウィキペディア初編集なのは2人。なかのさんは尾道市に隣接する三原市在住、高岡さんはグラフィックデザインが専門の准教授で、本来はウェブメディアなどを作成されているデザイナーです。大山寺についてはなかのさんが「知らない」、高岡さんが「重要度でいえば尾道市内でも高くない」という知名度でした。

重要文化財があったような気がする」という情報から、おふたりには「歴史」節と「文化財」節を分担して書いてもらうことになりました。しかし文献をいくつか調べても文化財はないようで、文化財ではなく「大山寺の五猿」について書く方向に軌道修正しました。高岡さんには編集方法や著作権などについて過度な説明をする必要がない。説明はそこそこにして文献を読んで文章を作ることに時間をかけてもらいました。

下の写真を見るとわかるように、「大山寺の五猿」は3匹の猿で五感の重要性を表した石像ですが、5体の石像があると勘違いしかねない文献もありました。そこで「五猿」という表記を用いずに、別表記の「大山寺の三猿像」に変更しています。ひとりで作業してたら表記について迷うところですが、「三猿像」のほうが適切ということについてはグループ内で意見が一致しました。ウィキペディアの記事内にも写真があるとわかりやすいのですが。

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午前中に古寺めぐりコースを歩いていたTaisyoさんが天寧寺・大山寺・艮神社の画像をアップロード。Psjk2106さんは編集作業中に附属図書館まで行って足りない文献を持ってきたようです。今回の成果物は天寧寺 (尾道市) - Wikipedia大山寺 (尾道市) - Wikipedia艮神社 (尾道市長江) - Wikipedia。3記事とも記事名に括弧が付いていますが、特に艮神社は記事名を決定するのに苦労した形跡が見られます。

成果発表時にはもうひとりの教員のさくらださんから、「知識がリンクでつながっている」「(ウィキペディアは)ウェブを作った方が思い描いてたものに近いのではないか」というコメントがありました。今回のイベントが他地域に波及するきっかけになるとは思いませんが、教員の方2人はウィキペディアに興味を持ってくださったようで、今後の授業に役立ててくださるのではないかと思いました。(おわり)

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※ここからはできれば読まないでください。

午前中には念願かなってシネマ尾道に行くことができました。いつか行くというメールを送り付けたら支配人の河本清順さん(女性)から丁寧なお返事が返ってきたけどなかなかいけませんでした。河本さんにはお会いできなかったのですが、ロビーをうろうろさせてもらってオリジナルグッズの手ぬぐいを買いました。ウィキペディアタウン終了後、高岡さんにシネマ尾道の話をしたところ食いつきがよかった。実はシネマ尾道のロゴやポスターをデザインしたのは高岡さんだったのでした。高岡さんらが授業で学生と作成した地域情報誌『かみのらぼ』vol.2の特集は「映画」であり、この特集の中では高岡さん自身が「映画への想い」を熱く語っています。藝大出身の高岡さんは「むりやり知り合いに頼んで河本さんに会った」「最低でも週に5本観る」「今でも映画を撮りたいという気持ちがある」とか。この情報誌にはかつて尾道市内に存在した映画館をまとめた地図が掲載されているのですが、これはデザイン系の学生の調査力を越えており、高岡さんがいたから掲載できた地図なのではないかと思います。シネマ尾道に関する秘話(とても文字にはできません)なども聞くことができ、同じグループに高岡さんがいてくださったことに感謝しています。

 

高梁市図書館に行く

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2017年2月4日、岡山県高梁市高梁市図書館が開館しました。いわゆる4館目の「ツタヤ図書館」ということで話題になっています。

高梁市図書館オープン 【2月4日(土曜日)】 - 高梁市公式ホームページ

 

www.sankei.com

www.asahi.com

 

岡山市立中央図書館に行く

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瀬戸内市で行われた「ウィキペディアタウンin瀬戸内市 第2弾」に参加し、ついでに岡山市立中央図書館・岡山県立図書館・高梁市図書館も訪れました。

岡山市立中央図書館では平積みされたベストセラーの展示がありました。図書館と作家との関係が注目されてる中で不安になる展示方法だなあと思いつつ、10年前(適当)の職員が買ってしまった複本を活かす展示形態として肯定する見方もありなのだろうか、という複雑な気持ちを抱いたのでした。この画像をFacebookに投稿したところ何人かの図書館の方に意見をいただき、「この展示方法はあり得ない」という意見が複数ありました。複本問題についてもう少し勉強せねばと思います。

 

高梁市図書館に行く

 高梁市岡山市から見て北西にあり、倉敷経由の伯備線で行くことができます。普通列車では50分-60分。私が乗ったのは平日の8時16分に備中高梁駅に着く列車。大都会岡山から離れてゆくこの列車が混むはずはないと思っていたのですが、4両編成の列車は高梁市に着くまで立ち客が途絶えませんでした。

備中高梁駅までの列車は1時間に2本。8時16分着の列車には高校生&通勤客が、8時49分着の列車には大学生が多い印象でした。高梁市内には1990年に市が誘致した吉備国際大学があり、公立高校が2校、私立高校が1校あります。岡本真さんに「高梁市内に下宿せずに、岡山市に下宿して大学まで通う学生も多い」と聞きました。これは良くないです。

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(左)9時前の改札からはそこそこ人が出てくる。(右)駅に隣接している図書館。

 

高梁市図書館は備中高梁駅に隣接した建物にあります。図書館の入口は改札を出てすぐ。開館まで時間があったので40分ほど駅前を散策しました。高校生&通勤客が去った駅前は驚くほど人通りがありません。「人を写さない」という配慮をするまでもなく、駅前やアーケード商店街は以下のような感じです。現在の高梁市の人口は約31,000人、平成の大合併前の高梁市の人口は約17,000人でしょうか。こんな街にツタヤ図書館&スタバを作ったことに驚きます。

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9時の開館が近づくとお年寄りが集まってきました。どうやら図書館内のミーティングルームで何かの会合があるようです。返却ポストがあったので覗いてみたら、夜間に入れられた本を誰でも手に取ることができるポストでした。これはまずいだろうと思うのですが、ツタヤ図書館ってどこもこんなポストなのかな。

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スペイン史関連の蔵書を確認する

1.井上幸治『南欧史』山川出版社、1977年

2.飯塚一郎『大航海時代のイベリア』中央公論社中公新書〉、1981年

3.ミシェル・ルケーヌ『コロンブス創元社〈「知の再発見」双書〉、1992年

4.青木康征『コロンブス中央公論社中公新書〉、1979年

5.増田義郎コロンブス岩波書店岩波新書〉、1979年

6.斉藤隆『スペイン戦争』中央公論社中公新書〉、1978年

7.斉藤隆『スペイン戦争』中央公論社中公新書〉、1978年(複本)

8.堀田善衛『スペイン断章』岩波書店岩波新書〉、1980年

9.若松隆『スペイン現代史』岩波書店岩波新書〉、1992年

10.渡辺昌美『巡礼の道』中央公論社中公新書〉、1980年

11.渡辺昌美『巡礼の道』中央公論社中公新書〉、1980年(複本)

12.W・M・ワット『イスラーム・スペイン史』岩波書店、1976年

 

選書を確認するために「スペイン史」に関する本を書き出してみました。「スペイン・南欧史」(030)と区切られた一段です。計12冊10タイトルの本があり、10冊8タイトルが新書でした。6冊が1970年代刊行、4冊が1980年代刊行、2冊が1990年代刊行であり、2000年代刊行の本はありませんでした。

山川出版社は『南欧史』の後継として2000年に『スペイン・ポルトガル史』(世界各国史)を出しており、『スペイン・ポルトガル史』の後継として2008年には『スペイン史』(世界歴史大系)を出しています。『南欧史』は1957年に初版が出た本であり、図書館の開架で目にする機会はなかなかない。この他にも聞いたことのない著者の本・開いたことのないタイトルの本がいくつかありました。皮肉半分ですが、旅先で思いがけない本との出会いに嬉しくなります。上に書きだしたのは地元の図書館で再読するためでもあり、この日もこれらの本を片手についつい長居してしまったのでした。ツタヤ図書館の選書を批判するのは容易いですし、客観的にみればクソみたいな選書なのだと思いますが、3か月に1回くらい来たくなるような不思議な選書です。

 

写真撮影について

ツタヤ図書館は原則撮影禁止であり、以下のように書かれたウェブサイトの文章を武雄・海老名・多賀城でも使いまわしています。高梁市図書館では4階の屋外部分(展望テラス)のみ撮影可能なのですが、公式サイトでは撮影可能場所を明確にしていないのが残念です。

利用者の方のプライバシー保護のため、館内での写真撮影は基本的にお断りしています。一部の場所でのみ、写真撮影が可能です。詳しくはスタッフまでお問い合わせください。取材、視察等で撮影をご希望される場合は事前に図書館への申請が必要です。

 展望テラスで撮影していたところ、にこやかに撮影可能場所のことについて話しかけてきたスーツ姿の年配男性職員がいました。あの方はどのような役職の方だったのか気になります。館長は高梁市の元教育委員だそうです。

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(右上)スタバと観光案内所部分。(下)撮影可能な展望テラス。

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高梁市立高梁中央図書館に行く

備中高梁駅高梁市図書館から徒歩10分の場所には、昨年8月に閉館した高梁市立高梁中央図書館があります。建物は1970年竣工、延床面積は720m2、年間入館者数は3万人。大通りから見える場所にはありますが、気づかずに通り過ぎてしまうところでした。

2月4日に開館した高梁市図書館、開館から8日目で旧館の年間入館者数を越えたそうです。この数字はカフェを含めた入館者数であり、物珍しさも影響してるのでしょう。ガラガラの駅前や商店街、地元に下宿しない大学生、影が薄かった図書館。地域活性化のために何か手を打つ必要があったのは間違いありません。数年後にもう一度訪れて街を歩き、それから図書館を評価してみたいと思いました。

www.sanyonews.jp

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(右)高梁市図書館から見た備中松山城