振り返ればロバがいる

Wikipediaの「利用者:Asturio Cantabrio」によるブログです。ロバです。東京ウィキメディアン会・関西ウィキメディアユーザ会所属。図書館界で静かなブームとなっている(?)ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録などを書きます。

北名古屋市立図書館を訪れる

f:id:AyC:20171020033136j:plainf:id:AyC:20171020032936j:plain

(左)北名古屋市東図書館が入る複合施設。(右)北名古屋市西図書館が入る複合施設。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0) の下に提供されています。著者は「Asturio Cantabrio」です。個人利用に限って写真撮影を可能とする北名古屋市歴史民俗資料館の規定に則り、写真はCCライセンスで提供していません。他のエントリーとは異なりますのでご注意ください。図書館外観などの写真は「Category:Aisai City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

 北名古屋市について

 北名古屋市西春日井郡師勝町(43,000人、8.4km2)と西春町(34,000人、10km2)とが2006年に合併してできた自治体。私の住んでいる西三河地方で「平成の大合併」というと、中心都市が周辺の小規模自治体を吸収する編入合併ばかりだった。尾張地方は規模の似通った自治体の合併が多い。

 名古屋市西区の小田井から岩倉市江南市を経て犬山市に向かう岩倉街道(名古屋市山田図書館による資料)、岩倉街道に並行する名鉄犬山線沿線にあり、ざっくり言うと街道/線路の東側が旧・師勝町、西側が旧・西春町だった。そういえば名古屋市山田図書館では「ウィキペディアタウン名古屋小田井~山田の魅力を再発見!~」を開催するそうですが、何をテーマに歩くのかな。

 北名古屋市の人口は合併後も増え続けており、2015年国勢調査では84,000人となった。2016年の市民アンケートでは名古屋市との合併を望む声が大きく、北名古屋市の市長は合併を視野に入れるとする発言をしている。なお、2017年には隣接する清須市長選挙でも名古屋市との合併が争点の一つとなったが、「合併も重要な選択肢」と積極姿勢を見せた候補は破れ、「合併には反対ではない」とする候補が勝利した。

f:id:AyC:20171020190841p:plain

(地図)名古屋圏における北名古屋市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

旧・師勝町を訪れる

 旧・西春町の北名古屋市西図書館を訪れたのは2016年12月。どうせ館内の写真を掲載できないので今回は西図書館を紹介しません。

 旧・師勝町北名古屋市東図書館を訪れたのはこの2017年10月。東図書館は北名古屋市役所東庁舎に隣接しており、これらの施設の脇にある田んぼでは案山子コンテストが開催されていた。2016年は北名古屋市の市制施行10周年の年であり、記念行事の一環でこの田んぼを田んぼアートに使用した。田んぼアート事業は今年も引き継がれ、7月・8月頃が見ごろだったとか。この10月15日には稲刈りを予定していたそうだけど、当日は悪天候で圃場の状態も悪く、10月22日が衆院選投開票日となったことで順延もできずに中止となったらしい。(参考

f:id:AyC:20171020033224j:plainf:id:AyC:20171020033611j:plain

(写真)「案山子コンテスト」のエントリー作品。奥が北名古屋市役所。左の写真のスーツの男性を見ると「かかしの定義」について考えたくなる。右の写真のうなだれている若者は「シュートを打つバスケットボール選手」だそうです。

 

北名古屋市歴史民俗資料館

 図書館の建物入口には「北名古屋市東図書館」と「北名古屋市歴史民俗資料館」が併記してある。まずは歴史民俗資料館を見学してみる。なお、この資料館は入場無料であり、「個人利用に限って写真撮影が可能」です。

 図書館は1階。地下1階の一部、2階の一部、3階が資料館となっており、メインの展示室は3階にある。「1950年代-80年代」をテーマとする3階には昭和時代の生活用具や玩具が集められている。説明書きは最小限に、展示物そのものに焦点を当てた展示がなされている。展示物は回想法を利用した福祉事業にも利用しているのだとか。

f:id:AyC:20171020034629j:plain

f:id:AyC:20171020033204j:plainf:id:AyC:20171020033207j:plain

f:id:AyC:20171020033211j:plainf:id:AyC:20171020033214j:plain

(写真4枚)3階の資料館。

 

 驚いたのは資料館の地下1階部分。「1960年代-70年代」がテーマらしく、市内在住の実業家から寄贈を受けた車11台・二輪16台が駐車場の一角にある車両展示コーナーに展示されている。1年前の2016年10月8日に開設されたばかり。資料館全体の目玉にしてもよいコーナーに思えるが、公式サイトでのPRはとても控えめ。

f:id:AyC:20171020035315j:plainf:id:AyC:20171020035317j:plain

(右)マツダ・K360 - Wikipedia

f:id:AyC:20171020035322j:plainf:id:AyC:20171020035324j:plain

(左)スバル・サンバートラック - Wikipedia。(右)トヨタ・クラウン - Wikipedia日産・セドリック - Wikipedia

f:id:AyC:20171020035326j:plainf:id:AyC:20171020035328j:plain

(左)日産・ブルーバード - Wikipedia。(右)スバル・360 - Wikipedia

 

 

北名古屋市の図書館

 2006年の北名古屋市発足後、師勝町立図書館が北名古屋市東図書館に、西春町立図書館が北名古屋市西図書館に改称した。どちらも1990年代前半の開館(師勝は1990年、西春は1992年)であり、3階建ての複合施設の一角という点も同じであるが、図書館に対する考え方は大きく違ったのだろう。

 師勝町立図書館/東図書館は、建物全体の延床面積5,800m2のうち3,000m2が図書館であり、収容能力は開架9万冊・閉架11万冊の計20万冊。一方の西春町立図書館/西図書館は、延床面積5,200m2のうち図書館部分は840m2だけ。収容能力は開架6.5万冊・閉架1.5万冊の計8万冊。師勝町立図書館/東図書館は建物の1階部分にあるが、西春町立図書館/西図書館はエレベーターで3階に上がる必要がある。

 東図書館と西図書館の規模には2倍以上の差があるものの、北名古屋市は明確な中央館を定めていない。事業年報の記述だけでははっきりしないものの、おそらく両館に館長がおり、両館の雰囲気はかなり異なっている。東図書館は充実した蔵書数や座席数を武器にして、展示や特設コーナーには無関心といった様子。一方の西図書館はにぎやかなポップ広告で図書の紹介に力を入れていることがはっきり伝わってくる。
 写真撮影に対する対応も異なっていた。東図書館では(正規職員の方に)「人が写らなければOK。職員が撮影に同行する。SNS等にはアップしないでほしい」という対応だったが、西図書館では(おそらく正規職員の方に)「写真撮影は禁止している」とはっきり言われた。このため本ブログには館内の写真を掲載していない。

 『広報北名古屋』は合併後の全号を、『図書館年報』は最新号を公式サイトで公開してくれているのだけれど、郷土資料が両館に分かれているのは悩ましい。例えば『広報にしはる』や『西春の教育』は西図書館にしかなく、『広報しかつ』や『師勝の教育』は東図書館にしかない。北名古屋市図書館についてざっくり調査したかったら2つの図書館を行き来しないといけない。

f:id:AyC:20171020191324p:plain

(地図)北名古屋市における図書館の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

愛西市中央図書館を訪れる

f:id:AyC:20171017191716j:plain

(写真)愛西市中央図書館。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 (CC BY-SA 4.0) の下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Aisai City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

愛西市を訪れる

 愛知県でもっとも三重県よりにある海部・津島地域(旧・海部郡域)の中心都市は人口約6万人の津島市。その他は小規模な町村ばかりだったが、平成の大合併によって愛西市弥富市あま市が誕生した。 人口3万人の佐屋町、2万3000人の佐織町、8000人の立田村、5000人の八開村の2町2村が2005年に合併してできたのが、人口6万2000人の愛西市 - Wikipedia。現在は3館の図書館がある。旧・佐屋町佐屋町立図書館が愛西市中央図書館に移行したほか、旧・佐織町佐織町公民館図書室が愛西市佐織図書館に、旧・立田村立田村公民館図書室が愛西市立田図書館に昇格した。旧・八開村には図書館も図書室も存在しない。

f:id:AyC:20171018031630p:plain

(地図)名古屋圏における愛西市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

旧・佐屋町の図書館

 旧・佐屋町は合併時点で人口3万人の町だったとはいえ、1966年から独立館を有していた。この初代佐屋町立図書館は実業家の杉野繁一 - Wikipediaの寄付によって建てられたため、佐屋町立杉野図書館と命名された。杉野は建築家としても活動していたが、自ら杉野図書館の設計を担当したわけではないようだ。同じ1966年には尾張地方の中心都市である一宮市一宮市立豊島図書館が開館した。こちらも実業家の四代目豊島半七の寄付金によって建てられた図書館であり、2013年の現行館(一宮市立中央図書館)開館後も建物は現存している。

 1994年には杉野図書館が閉館し、1995年には旧館の東側に現行館(佐屋町立図書館)が開館した。杉野図書館はこの際に取り壊されたらしい。現行館の延床面積は2,000m2だが、人口3万人の町が1990年代に建設した図書館としては外観も内部も立派。建物中央部のドームは1991年開館の東浦町中央図書館に、上部の塔屋は1992年開館の長久手町中央図書館(現・長久手市中央図書館)に似ている。

f:id:AyC:20171018021928j:plain

(写真)1966年の開館当時の佐屋町立杉野図書館。当時の『広報佐屋町だより』から。

f:id:AyC:20171018013910j:plainf:id:AyC:20171018013912j:plainf:id:AyC:20171018013936j:plain

参考。(左・中)1991年開館の東浦町中央図書館。(右)1992年開館の長久手市中央図書館。

 

 

 2階(一般書)

f:id:AyC:20171017192346j:plain

 東浦町中央図書館と同じように、中央部は天井まで吹き抜けており、図書館に入るとまず2階に上がりたくなる。赤い手すりやカーペット、吹き抜け壁面の黄色のせいもあって、吹き抜けの周囲はとても明るく感じる。この色づかいは開館から22年経った現在でも新鮮に感じる。

 東浦町中央図書館と同じく、大きなガラスで光を取り込んでいる窓際には座って本を読むための席が配置されているが、照明を落としていて薄暗いと感じるエリアもあった。2階の裏手には加藤高明と杉野繁一の常設コーナーがある。1924年普通選挙法と治安維持法を同時に成立させた加藤高明尾張国海東郡佐屋(現・愛西市)出身。佐屋駅の北西にある佐屋代官所址には「加藤高明懐恩碑」があるらしい。

f:id:AyC:20171017192348j:plainf:id:AyC:20171017192350j:plainf:id:AyC:20171017192353j:plain

(写真)2階の吹き抜け付近。

f:id:AyC:20171017192401j:plainf:id:AyC:20171017192402j:plain

 (左)文芸書。横積みが多い。(右)236の定点観測。20冊も開架。

f:id:AyC:20171017192309j:plainf:id:AyC:20171017192311j:plain

 (左)加藤高明と杉野繁一コーナー。(右)学習室/会議室。

 

1階(地域資料・児童書・新聞雑誌)

 1階中央部は展示スペース。カウンターから展示スペースを挟んで対角には児童書エリアがある。入口から展示スペースを挟んで対角には新聞・雑誌やAVコーナーが。その脇、1階の最奥部には参考図書・地域資料室がある。

f:id:AyC:20171017192250j:plainf:id:AyC:20171018022151j:plain

(写真)雑誌コーナー。(右)CDコーナー。

f:id:AyC:20171017192252j:plainf:id:AyC:20171017192254j:plain

(写真)児童書。

f:id:AyC:20171017192212j:plainf:id:AyC:20171017192215j:plainf:id:AyC:20171017192217j:plain

(写真)参考図書・地域資料室。

 

 この2017年4月には愛西市中央図書館に指定管理者制度が導入された。津島市立図書館 - Wikipediaでも指定管理者を務めているNPO法人まちづくり津島が指定管理者となり、まずは目に見える図書館サービスとして以下のことを行った。自治体としては経費を削減して利用者数を増やせればいいくらいに思っているのだろうけど、津島市立図書館における地域資料の収集・公開の取組みはすごい。愛西市中央図書館の変化も楽しみにしている。

・開館時間を「9時-17時(夏季は9時-18時)」から「9時-18時」に変更

・祝日を「休館」から「開館」に変更

・年末年始の休館日を「8日間」(12/28-1/4)から「6日間」(12/29-1/3)に短縮

・市外の名鉄津島駅返却ポストを設置

 

 指定管理者導入後の5月には歴史・文化講座「市内名所旧跡まち歩き」の第1弾として「佐屋街道を歩く」を開催したらしく、この11月19日には第2弾として「勝幡城址と津島上街道」を開催するらしい。いずれも講師を務めるのは「あいさいボランティアガイドの会」。定期的なまちあるきイベントを開催している団体ではないらしいが気になる。

f:id:AyC:20171018022206j:plain

(写真)撮影許可証。申請書の記入は必要ない。

 

帰る

 往路は佐屋駅から愛西市中央図書館まで歩いたが、復路は図書館から日比野駅まで歩いた。図書館の東側にある愛西市役所は2016年に建て替えたばかりらしく、水田も多い旧・佐屋町域で異様な存在感を放っている。近くに置かれていたパトカーもどきには3体の人形が乗せられていて気味が悪かった。

f:id:AyC:20171017191706j:plain

(写真)2016年竣工の愛西市役所。

f:id:AyC:20171017191709j:plainf:id:AyC:20171018030918j:plain

(写真)人形が不気味な「愛西パトロール号」。

 

 

 これまでに訪れた図書館の一覧はこちら。愛西市中央図書館は特に制限なく写真撮影が可能だったので、青色/黄色/赤色/灰色のうち青色でポイントし、「外観の写真」「内部の写真」の2枚を掲載しました。

drive.google.com

BCS賞を受賞した図書館建築

日本建築業連合会によるBCS賞を受賞した図書館。

www.nikkenren.com

Public Domain Mark
本ページには著作権の制約が存在していません。

 

 

TOYAMAキラリ : 第58回(2017年)

流山市立おおたかの森こども図書館: 第57回(2016年)

北九州市立戸畑図書館 : 第56回(2015年)

明治大学和泉図書館 : 第56回(2015年)

金沢海みらい図書館 : 第54品(2013年)

東京工業大学附属図書館 : 第54回(2013年)

高崎市立中央図書館 : 第53回(2012年)

国際教養大学図書館書館 : 第52回(2011年)

大船渡市民文化会館・市立図書館/リアスホール : 第51回(2010年)

多摩美術大学図書館(八王子キャンパス) : 第50回(2009年)

国立国会図書館関西館 : 第45回(2004年)

国立国会図書館国際子ども図書館 : 第45回(2004年)

宮城県図書館 : 第41回(2000年)

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館丸亀市立図書館 : 第34回(1993年)

京都産業大学中央図書館 : 第29回(1988年)

熊本県立図書館  : 第28回(1987年)

東大和市立中央図書館 : 第27回(1986年)

早稲田大学図書館本庄分館・考古学資料館 : 第27回(1986年)

慶應義塾図書館・新館 : 第24回(1983年)

白百合女子大学図書館 : 第22回(1981年)

金沢市立図書館 : 第21回(1980年)

筑波大学中央図書館 : 第21回(1980年)

群馬県立図書館 : 第20回(1979年)

北九州市立中央図書館 : 第17回(1976年)

同志社大学図書館 : 第16回(1975年)

山口県立山口図書館 : 第16回(1975年)

千葉県立中央図書館 : 第11回(1970年)

武庫川学院公江記念図書館 : 第11回(1970年)

袋井市立袋井図書館を訪れる

 f:id:AyC:20171010160208j:plain

(写真)原野谷川の堤防から見た袋井市立袋井図書館。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Fukuroi City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

 静岡県袋井市袋井市立図書館を訪れた。設計は鬼頭梓 - Wikipedia建築設計事務所、開館は1988年。鬼頭梓建築の図書館を訪れるのは初めて。愛知県に鬼頭梓の図書館はない。日野市立中央図書館や武蔵野市立吉祥寺図書館や同志社女子大学図書館にも入ってみたい。ただ、袋井図書館の外観はしっくりくる構図がない。図書館入口の正面にある民家のほうがキマっている。

 

f:id:AyC:20171010160214j:plainf:id:AyC:20171010160211j:plain

(写真)南側の道路沿いから見た袋井市立袋井図書館。

f:id:AyC:20171010160223j:plain

(写真)図書館入口の正面にある民家は全力でハロウィンしてた。

 

1階

 入り口を入ると左前にメインカウンターがあり、左側が児童書のフロア、右側が一般書のフロア。堤防沿いの北側と道路に面した南側は大きなガラス窓となっている。書架の間隔が広いことや低い書架が多いこともあって、開館から29年経っても開放感は薄れていない。ただ、日野市立中央図書館(1973年開館。写真でしか見たことがない)より15年も後の建築には思えず、時代を先取りしている感じはしなかった。

f:id:AyC:20171010160607j:plainf:id:AyC:20171010160609j:plain

(左)箱型の書架に入った新着資料。(右)雑誌。

f:id:AyC:20171010160624j:plainf:id:AyC:20171010160625j:plain

(写真)1階の書架。最下段の傾斜角度がきつい、日野と同じ書架。

f:id:AyC:20171010160543j:plainf:id:AyC:20171010160545j:plainf:id:AyC:20171010160549j:plain

(写真)児童書フロア。

 

2階

 公式サイトには「袋井図書館のあゆみ」というページがあり、1988年開館の現行館の前には1970年開館の初代図書館があることが分かった。そこで地域資料コーナーの『磐田・袋井・森今昔写真帖』をめくると、初代図書館は1928年竣工の袋井町役場を転用したらしいこともわかったが、この写真集には著作権が切れてるような古い写真が掲載されていなかった。

 この図書館の地域資料コーナーに入るにはレファレンスカウンターの前を通る必要がある。カウンターには職員が常駐し、地域資料コーナーに入る利用者にひと声かけている。町役場として使用されていた建物の写真、司書なら簡単に見つけだすだろうと思ってレファレンスを行った。

 簡単に見つかると思っていたはずの写真の調査。しかし結局は別の司書や館長も加わり、袋井市役所文化財課に電話をかけるなどしてもらった結果、『磐田・袋井・森今昔写真帖』の3ページ前に掲載されていた別の写真が同じ建物であることが判明した。この建物は2度増築を行っており、自分では同じ建物だということに気付かなかった。なお、『磐田・袋井・森今昔写真帖』以外にはこの建物の古い写真は見つからなかった。

 1970年から1988年まで使用されていた旧館は、袋井駅の東500mにある陸橋の北側にあった。近年に区画整理事業を行うにあたって文化財としての価値などが調査され、移築なども検討されたが、結局は解体されている。この建物については『旧袋井町役場庁舎調査報告書』(袋井市教育委員会、2002年)が詳しい。道路の区割りはすっかり変わってしまったが、「小林商店本店」という米屋が建っているあたりだと聞いたので、JR袋井駅までの帰りに寄ってみた。

f:id:AyC:20171010161359j:plain

(写真)2階にのぼってすぐの場所は展示スペース。

f:id:AyC:20171010161342j:plainf:id:AyC:20171010161344j:plain

地域資料。(左)メロン文庫。(右)地域資料コーナー全体。

f:id:AyC:20171010160135j:plain

弥富市立図書館を訪れる

f:id:AyC:20171009235545j:plain

 (写真)弥富市立図書館。

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Yatomi City Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

弥富市を訪れる

 愛知県の西の端、弥富市にある弥富駅JR東海名鉄の共同使用駅。名鉄赤い電車JR東海のオレンジ帯の電車が隣り合う不思議な光景がみられる。100mほど歩くと近鉄弥富駅弥富市のメインの駅はこちらであるが、どちらにせよ駅前からは細い道路が伸びており、のどかで昭和な雰囲気が漂っている。両駅がある一帯の町名は鯏浦町(うぐいうらちょう)。弥富市の町名一覧を眺めると、鯏のほかにも亀ケ地(かめがんじ)、鮫ケ地(さめがんじ)、海老江(えびえ)、西蜆(にししじみ)、鳥ケ地(とりがんじ)、馬ケ地(うまがんじ)、狐地(きつねじ)など、生き物の名前が目に付く。

 愛知県民は木曽川が愛知=三重県境だと思っているが、木曽川より愛知県側、弥富市の南には三重県桑名郡木曽岬町(きそさきちょう)がある。木曽岬町弥富市との関係が深く、木曽岬町のコミュニティバス近鉄弥富駅弥富市役所にもバス停を持つ。2018年1月には木曽岬町に初めて図書館が開館するらしいが、「複合型施設」の「教育文化棟」に入る新図書館の最新情報はどこで入手できるのかわからず困っている。広報・広聴 | 木曽岬町 - 広報きそさきは過去数年分を一通り閲覧した。

f:id:AyC:20171010013128p:plain

(地図)愛知県弥富市三重県木曽岬町の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

f:id:AyC:20171009235933j:plainf:id:AyC:20171009235549j:plain

(左)弥富駅。赤は名鉄の車両、オレンジはJR東海の車両。(右)弥富市役所。

 

弥富市立図書館

 弥富駅/近鉄弥富駅から南に5分ほど歩くと弥富市役所がある。市役所の隣の建物が弥富市立図書館だが、市役所の一部の部署も入っており、(弥富市役所の)図書館棟とも呼ばれる。3階建の建物の1階・2階の一部・3階が市役所であり、2階の大部分が図書館となっている。

 館内の一部では樟脳のようなにおいがした。弥富市といえば「弥富金魚」で有名だが、金魚関連本が別置されていることもなくがっかり。参考郷土資料室には分厚い参考図書がずらりと並んでいるが、弥富市に関する資料はわずか3段だった。入口の盆栽がいかめしい雰囲気を出している。コピー機は事務室にしかなく、複写をしたい場合は職員に頼んで取ってもらう必要がある。

f:id:AyC:20171010013520j:plainf:id:AyC:20171010013531j:plain

 (左)参考郷土資料室。弥富市の資料は正面右端の3段のみ。(右)金魚関連本は別置されずに開架に。

 

 この図書館の配架の仕方は独特。0類から9類まですべて「右から左」に並んでいる上に、小説は「著者のあいうえお順」ではなく「著者のABC順」に並んでおり、「あ」(=A)から始まる著者の次は「ばびぶべぼ」(=B)から始まる著者、その次は「ち」(=C)、「だぢづでど」(=D)、「え」(=E)という謎仕様。これには頭が鍛えられた。

f:id:AyC:20171010005844j:plainf:id:AyC:20171010011413j:plain

(左)館内。(右)236の定点観測。スペインの右にドイツがあるなんて。

f:id:AyC:20171010011306j:plain

(写真)小説の書架。右から左順、ABC順が斬新。安生(あんじょう)正の次が坂東(ばんどう)眞砂子

f:id:AyC:20171010011813j:plainf:id:AyC:20171010011816j:plain

(左)入口近くの新着本は面展示多めで目立つ。(右)フロア中央部にあるAVコーナー。

 

浜松市立浜北図書館を訪れる

f:id:AyC:20171005222119j:plain

(写真)なゆた・浜北の南側部分。1階と2階が浜北図書館。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真は「Category:Hamamatsu Municipal Hamakita Library - Wikimedia Commons」にアップロードしています。

 

静岡市の人口は約70万人、浜松市の人口は約80万人。人口にはそれほど差がないが、静岡市の図書館は10館+2分館の計12館であるのに対して、浜松市立図書館は24館ある。浜松城浜松市役所の近くに浜松市立中央図書館 - Wikipedia、JR浜松駅前に中央図書館駅前分室、静岡大学浜松キャンパスの近くに「第二の中央館」として浜松市立城北図書館 - Wikipediaがある。

 意外なことに蔵書数でも延床面積でも城北図書館がもっとも大きく、中央図書館は城北図書館の次。とはいえ地域資料は中央図書館に集めてある。城北図書館と中央図書館に次ぐのが、浜北市立図書館から改称した浜北図書館。人口約9万人の単独自治体時代に建てられた図書館だけあって、中央図書館や城北図書館以外の21館とは規模が異なる。遠州鉄道浜北駅前にあるため、浜松市の他区、特に天竜区からも利用者を集めていそうな雰囲気がある。

 遠州鉄道浜北駅前の「なゆた・浜北」は、浜北区役所と浜北図書館を核とする複合施設。モスバーガーやカフェ、英会話教室やバレエスタジオなどの民間商業施設も入っているものの客は少なく、よくある行政主導の中途半端な複合施設という感じがする。

f:id:AyC:20171005222117j:plain

(左)遠州鉄道浜北駅

 

2階西側(一般書・地域資料)

 静岡市立図書館は「全館で写真撮影を禁じている」らしいが、写真撮影の対応については周知が徹底されておらず、御幸町図書館や清水中央図書館では撮影させてもらえた。一方の浜松市立図書館は全館で写真撮影が可能である上に、各館に周知がなされている点に好感が持てる。申請書に記入後にネックストラップか腕章を渡してくれる。

 2階の西側は地域資料やかための一般書、2階の東側は新聞・雑誌やかるい一般書。児童書は1階にあるが、時間が足りず撮影できなかった。19時の閉館時間ぎりぎりまでねばって2階のみ撮影した。

f:id:AyC:20171005222437j:plainf:id:AyC:20171005222439j:plain

(写真)2階西側の閲覧席。青いソファ席は病院の待合室みたい。(右)2階東側の閲覧席。

f:id:AyC:20171005222450j:plainf:id:AyC:20171005222453j:plain

(左)AVコーナー。広々していてリッチな雰囲気。(右)読書室。いわゆる学習室。

f:id:AyC:20171005222504j:plainf:id:AyC:20171005222513j:plainf:id:AyC:20171005222501j:plain

 (左)地域資料。(中)医療関係図書。(右)植物学関係図書。医療と植物学の2分野は分類が細かい。

 

2階中央部

 中央図書館や城北図書館浜松市の直営であるものの(ただし窓口業務は委託)、浜松市立図書館は24館中17館で指定管理者制度を導入している。管理者は図書館流通センターが多いが、浜北図書館は遠鉄アシストが管理者を務めている。「図書館スタッフによる芸術作品の展示」はユニークだと思った。1人につきポストカード1枚分の面積で、絵、書、作品(の写真)などが展示されていた。市民の作品ではなくスタッフの作品とは。嫌いではない。もっと尖って来ると「ロック司書」とか「マステの魔術師」とかになるんだろか。

 カウンター前には布絵本が置いてあった。確かに手で絵を触れると楽しい。布絵本についてちょっと検索してみたが、紙の本を破ることを恐れて図書館で本を借りるのをためらうことがあるなんて初めて知った。

 蔵書数の割には新着本が少ないが、書架に並ぶ前に「予約済」で取られてしまう、という理由が添えられていた。合併前は9万人の市民で蔵書が24万冊、2005年の合併後は80万人の市民で蔵書が250万冊。蔵書数は劇的に増えたとはいえ、人気本を借りるライバルも劇的に増えたのだろう。合併当時は編入された町村の住民に「予約する」という概念がなかったとも聞いた。合併は大変だ。

 

f:id:AyC:20171005222516j:plainf:id:AyC:20171005222530j:plainf:id:AyC:20171005222529j:plain

(写真)テーマ展示。左は大河ドラマに合わせた井伊直虎関連書籍。

f:id:AyC:20171005222533j:plain

(写真)スタッフによる芸術作品の展示。珍しい。

 

2階東側(一般書・雑誌など)

f:id:AyC:20171005222540j:plainf:id:AyC:20171005222541j:plain

(写真)新聞書評に載った本。作成したカードは保存してるんだろうか。

f:id:AyC:20171005222518j:plainf:id:AyC:20171005222546j:plain

(写真)新着本コーナー。新着本が少ないのは「予約者に取られてるから」。

f:id:AyC:20171005222525j:plainf:id:AyC:20171005222543j:plain

(左)自動貸出機。(右)カウンターに置いてある布絵本。

 

みよし市立中央図書館を再訪する

f:id:AyC:20171007222720j:plain

(写真)みよし市立中央図書館を核とする「みよし市図書館学習交流プラザ」。

 

 

ayc.hatenablog.com

 一年前の2016年7月2日、愛知県みよし市みよし市立中央図書館が開館しました。上のエントリーは開館数日後に訪れた際のもの。たまたま公式サイトを見ていたら「華麗なる映画の世界」という展示が目に留まったため、約1年ぶりにみよし市立中央図書館を訪れました。ウィキペディアには記事を作成済(みよし市立中央図書館 - Wikipedia)。

 

近年の愛知県の図書館の動向

2014年07月 おおぶ文化交流の杜図書館(新築移転)

2015年07月 名古屋市瑞穂図書館(新築移転)

2016年07月 みよし市立中央図書館(新築移転)

2016年07月 名古屋市緑図書館(改築)

2017年06月 安城市図書情報館(新築移転)

-----

2018年春  岡崎市立額田図書館(新築移転)

2020年度  豊橋市まちなか図書館(新築)

2020年度末 小牧市立図書館(新築移転)

 

 今年6月に開館した安城市図書情報館は中身もさることながら広報が巧く、図書館界の人気者になりました。みよし市立中央図書館は安城市図書情報館に次いで愛知県で2番目に新しい図書館ではあるのですが、みよし市民以外にはほとんど知られていないようです。

 直営ではあるものの窓口は図書館流通センターに業務委託されている。前回訪れた時に写真撮影の可否を尋ねたら、(おそらくそのスタッフの判断で)「撮影はお断りしています」と言われました。前回は開館数日後ということもあり、スタッフは何かとバタバタしていた印象。今回は「建物全体の受付で申請書を書けば撮影は大丈夫です」と言われたので、申請書に記入して撮影許可証を受け取りました。

f:id:AyC:20171007222404j:plain

(写真)図書館学習交流プラザの受付でもらった撮影許可証。

 

 

2階(一般書)

 2階は一般書の書架。近年に開館した安城市大府市と比べると、フロアの床面積に対する書架の密度が高い。書架、カーペット、照明が落ち着きのある雰囲気を作っており、デジタル一眼レフのシャッター音が響くほど静か。その一方で木材を多用しているカウンター前は明るくて広く、書架部分とはずいぶん印象が異なります。

 これまで100館以上で館内の写真を撮ってきましたが、(利用者を写さないのが困難なので)閲覧席の写真はほとんど撮っていません。しかしこの図書館の利用者は休日午後にもかかわらず少なく、下に掲載したメイン通路の写真も容易に撮れました。図書館の存在がまだまだ市民に認知されていないのではないかと感じます。

f:id:AyC:20171007224133j:plain

(写真)2階のカウンター前にあるメイン通路。両サイドには「石川文庫」やテーマ展示など。

f:id:AyC:20171007224150j:plainf:id:AyC:20171007224156j:plain

(写真)2階のカウンター付近。

f:id:AyC:20171007224544j:plainf:id:AyC:20171007224546j:plain

(写真)2階の一般書の書架と屋外テラス席。

f:id:AyC:20171007225658j:plainf:id:AyC:20171007225700j:plain

 (写真)石川文庫。

 

 1階(児童書、生活に関する一般書)

1階は児童書に加えて生活に関する一般書のフロア。2階とは違ってずいぶん書架に余裕があります。自動貸出機は1階の一般書エリアに2台、1階の児童書エリアに1台、2階に1台の計4台。ただし位置も存在感も中途半端なので、今まで通りカウンターで貸出を行う方が多いようです。これは残念。

f:id:AyC:20171007225815j:plainf:id:AyC:20171007225825j:plain

(左)新着図書。(右)1階フロア中央部にある特集展示。「科学道100冊」。

f:id:AyC:20171007225325j:plainf:id:AyC:20171007225327j:plainf:id:AyC:20171007225445j:plain

(写真)児童書エリア。書架にはそれぞれ動物のマークが付けられている。ロバさんやらっこさんの書架はありませんでした。

f:id:AyC:20171007222134j:plainf:id:AyC:20171007222140j:plainf:id:AyC:20171007224844j:plain

(左)除菌ボックス。(中)自動貸出機。(右)AVブース席。

f:id:AyC:20171007224847j:plainf:id:AyC:20171007225005j:plainf:id:AyC:20171007225009j:plain

(左)大活字本。(中)2階の奥まった部分には個人ブース席。(右)1階の同位置にはグループ室。

 

建物内

 図書館内の閲覧席(学習席)に加えて、建物内のロビーにも中高生がたくさんいます。この施設は彼らの居場所になっているようです。

f:id:AyC:20171007224711j:plainf:id:AyC:20171007224713j:plain

(左)3階から吹き抜けを見る。(右)3階の講座室。