振り返ればロバがいる

Wikipediaの「利用者:Asturio Cantabrio」によるブログです。ロバです。東京ウィキメディアン会・関西ウィキメディアユーザ会所属。

美濃加茂市中央図書館を訪れる

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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 美濃加茂市岐阜県中濃地域にある人口6万人弱の自治体。JR高山本線、JR太多線長良川鉄道の3路線が乗り入れる美濃太田駅があり、飛騨地方に対する美濃地方の起点というイメージがある。美濃国を4区分(岐阜、西濃、中濃、東濃)するときには一番なじみがないのが中濃地域。中濃地域の中心的な自治体はどこなのだろう。

 美濃太田駅の南口にはシティホテル/ビジネスホテルが4軒、ビジネス旅館が1軒ある。東濃地域の駅前のような枯れた雰囲気はなく、飲食店や商店で活気があるように見える。美濃太田駅から南西に歩いて約10分、中心市街地を離れて建物もまばらになってきた場所に美濃加茂市中央図書館がある。

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中央図書館と東図書館
 美濃加茂市には中央図書館、東図書館、北部分室、坂祝図書室の2館2室がある。公式サイトで公開されている図書館年報を読むと、美濃加茂市初の図書館は1979年開館であり、1954年の市制施行にしては遅かった。
 現行の中央図書館は1987年開館。建物は古くないものの、延床面積は1,200m2と狭い。1996年には市内第2の図書館として1,500m2の東部図書館が開館。東図書館周辺に密な市街地が形成されているわけではなく、わずか3kmしか離れていない場所に中央館と同規模の図書館を建設したのはなぜだろう。
 中央図書館は月曜休館、東図書館は金曜休館。中央図書館は18時に閉館するが、東図書館は20時まで開館している。蔵書数は中央図書館が13万冊、東図書館が10万冊。利用者数は中央図書館が8万人、東図書館が13万人。貸出数は中央図書館が11万冊、東図書館が16万冊。職員数はそれぞれ6人。美濃加茂市のように明確な中央館を置かない自治体は珍しいかも。

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(写真)カウンター前。2階から撮影。
 
館内のようす
 フローリングの床に濃い茶色の書架は岐阜県らしくて(?)好き。この自治体はいわゆる雑誌スポンサー制度のことを「みのかもまちじゅう図書館」と呼んでいる。2階に学習室があるにもかかわらず1階で学習している中高生が多い。学習者に挟まれて本を読むのには抵抗を感じる。
 宇治市立中央図書館以来、久々に横置きが目立つ図書館だった。書架にはみっちりと詰め込まれ、一般書の書架も全集の書架も、「書評に載った本コーナー」にだって本の上に横置きされた本があった。

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(写真)AVコーナー。

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(左)児童書。(中)北川悦吏子コーナー。(右)雑誌コーナー。

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(左)新着本。(右)書評に載った本コーナー。

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 (写真)地域資料。左は津田左右吉コーナー。
 
美濃加茂市民ミュージアム: 広報写真
 図書館のウェブサイトには1950-60年代の美濃加茂市域の写真が閲覧できるサイト(美濃加茂市民ミュージアム: 広報写真)へのリンクが貼ってあった。著作権が切れた写真はたくさんありそうだけど、「本ウェブサイト上の文章・画像等の無断使用・転載を禁止します。」とだけ書いてあり、ブラウザ上での閲覧以外は禁じているようだ。
 
 
 平成28年度版 図書館年報

「ざっくばらんなカフェvol.52 ウィキペディアタウン in 高浜市」に参加する

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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(写真)高浜市やきものの里かわら美術館。

 

三州瓦の産地、愛知県高浜市

 愛知県高浜市三河地方西端部にある人口約5万人の町。特に三州瓦 - Wikipediaの産地として知られており、全国で唯一「瓦」をテーマとする高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipediaがある。2017年9月18日(月・祝)、かわら美術館で「ざっくばらんなカフェvol.52 ウィキペディアタウン in 高浜市」が行われた。
 高浜市は私が住んでいる場所から遠くない。2016年7月に高浜市碧南市を訪れた際には、自転車でかわら美術館、高浜市立図書館、碧南市民図書館を回った。以下は2016年7月に名鉄高浜港駅からかわら美術館までの「鬼みち」で撮影した写真。高浜市は「鬼みち」には「ニコニコ鬼広場」や「鬼パーク」などのスポットがあり、三州瓦の中でも鬼瓦を推している様子。

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(左)高浜港駅前の「ニコニコ鬼広場」にある鬼瓦のモニュメント。(中)「ニコニコ鬼広場」にあるプランター。(右)「鬼みち」の途中にある「鬼パーク」。鬼瓦風のいす。

 

 今回のウィキペディアタウンに参加する際も高浜港駅で降り、かわら美術館まで15分程度の「鬼みち」を歩いた。「鬼みち」は常滑市の「やきもの散歩道」、瀬戸市の「窯垣の小径」に似た雰囲気があり、道沿いには瓦屋根の民家が多いものの、条例による建築規制などがかけられているわけではないらしい。この日は風が強かったが、台風が去って澄んだ青空が広がった。

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(写真)ニコニコ鬼広場。1枚目のいぬやねこがかわいらしい。3枚目のプランターは残念な状態だったけど時期的に仕方ないのかも。

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(左)「鬼みち」。石垣の上のコンクリート部分に瓦が設置されている。(右)鬼パーク。

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 (写真)「鬼みち」沿いにある高浜市観光案内所オニハウス。三州瓦製品が販売されているほかに、ちょっとした住宅用瓦屋根展示場もある。

 

 

「ざっくばらんなカフェ」

「ざっくばらんなカフェ」の試みは、日本福祉大学高浜市まちづくり研究センターの企画運営により、2011年7月から行われています。「ざっくばらんなカフェ」は、年齢や職業など、様々な立場の人々がテーブルを囲み、「ざっくばらん」に話すことを楽しむカフェです。高浜市内の様々な場所を会場に、月に1回程度、開催しています。-----ざっくばらんなカフェ

 

 今回のイベントは第52回「ざっくばらんなカフェ」に位置付けられているらしい。例えば第51回カフェでは「美術館の役割」がテーマ。かわら美術館の学芸員などがスピーカーとなって話題を提起した上で、40人ほどの参加者がざっくばらんに話し合ったという。前回までの内容を読んでいると、今回のウィキペディアタウンはかなり異質な回だったのではないかと思う。

 

ウィキペディアタウン in 高浜市

 今回の参加者は約20人。イベント開始は13時、終了は15時30分。午前中に始まる一般的なウィキペディアタウンよりも短かったものの、まちあるきしてからウィキペディアの編集を行った。

 

おおかまなスケジュール

13:00-13:35 オープンデータ/ウィキペディアの説明

13:45-14:15 まちあるき(30分)

14:30-15:15 ウィキペディア編集(45分)

15:15-15:30 成果発表

 

 参加者を5人ずつ4グループに分け、それぞれのグループに主催者側から1人が入った。まず講師の青木さん(あおきGIS・オープンデータ研究所代表)からオープンデータ/ウィキペディアの説明を聞き、事前に用意された編集記事候補の中からグループごとに担当する記事を決めた後、グループ内で行く場所を話し合ってからまちあるきを行った。事前に提示された編集記事候補は「三州瓦 - Wikipedia」、「高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipedia」、「衣浦大橋 - Wikipedia」、「青木町 (高浜市) - Wikipedia」。

三州瓦」を選んだ私のグループは、6人のうち3人が三河高浜駅前まで「鬼みち」をあるき、別の3人が「山本鬼瓦工業」まで歩いた。かわら美術館から三河高浜駅までは約750m。写真を撮りながらだと片道15分近くかかり、行って帰って来るだけでまちあるき時間の30分を使い終わってしまうくらいだった。他のグループはかわら美術館のすぐ北にある「森前公園」や、西側にある「衣浦大橋」まで歩いたらしい。

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(地図)私のグループの中の3人が歩いたコース。4グループそれぞれが別の場所のまちあるきを行っていることに注意。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

 

 各グループには主催者が用意した『高浜市誌』や三州瓦に関する60ページほどの冊子が配られた。高浜市立図書館の方も1人参加してくださり、戦前に刊行された地域資料や、『目で見る碧海の100年』などの写真集を用意してくださった。図書館が用意した資料はウィキペディアタウンのことをきちんと理解していないと用意できない資料が多く、第2回ウィキペディアタウン in 高浜市が開催されるときにも図書館には協力してほしい。

 編集時間は45分ほど。ウィキペディアの編集未経験者がほとんどということで、どのグループもWikimedia Commonsへの写真のアップロードを終えたあたりでタイムアップとなった。成果物は「三州瓦 - Wikipedia」、「高浜市やきものの里かわら美術館 - Wikipedia」、「衣浦大橋 - Wikipedia」、「青木町 (高浜市) - Wikipedia」。

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(写真)イベント開始前の会場の様子。

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(写真)イベント中の会場の様子

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(写真)成果発表。

 

 

 今回のウィキペディアタウンは「ざっくばらんなカフェ」の中に組み込まれていたため、「-カフェ」の常連が参加者約20人の半分強を占めており、参加者の中には高浜市吉岡初浩市長もいたウィキペディアタウンは内容がわかりづらいので常連以外が参加しづらい。連続講座のひとつとするのは良いアイデアですね。以前から気になっていたウェブサイト「たかはまアーカイブス」を運営されている年配の方も参加されており、この方はウェブサイトだけでなくFacebookでも発信を行っているらしい。大学生の参加者もいた。

 ウィキペディアの編集に慣れた参加者は自分も含めて3人、その他にはWikipediaの「草取り」の経験がある方が1人いた。告知サイトには「ノートPC、デジカメ等お持ちの方はご持参ください」と書かれていたが、結果的には各グループ(5-6人)に約1台と少なく、iPhoneパソコンの接続がうまくいかずにアップロードができない方もいた。写真のアップロードは視覚的に成果が実感できる反面、文章の加筆よりも編集方法が複雑で、ウィキペディアの編集経験者がいないとどうにもならない。

 

 このサイトによると高浜市の財政力指数は0.98であり、概して財政が豊かな西三河地方の10自治体の中では8番目。これを反映してか、高浜市は公共施設の新築を行わず、緩やかに減らしていく方針を立てているらしい。2017年1月から利用を開始した高浜市役所新庁舎は、民間企業が建設した建物を20年契約でリースしたものだとか。

 高浜市立図書館も現在の建物を活用していくという。西三河地方には大規模な図書館が多く、豊田、岡崎、刈谷は中央館が蔵書60万冊超、安城、碧南、西尾も単独館で蔵書40万冊前後。自動車で10分も走れば碧南市民図書館がある。主催者側の方と話していた際には「周りの自治体に頼る」という言葉があった。現時点で高浜市民が利用者登録できる図書館は、高浜市立図書館に加えて、碧海5市(高浜市のほかに刈谷市安城市知立市碧南市)の図書館、衣浦東部定住自立圏東浦町の図書館、利用者登録可能者を愛知県全域としている豊田市岡崎市西尾市の図書館など。現在はそれぞれの図書館に行って貸出カードを作成しないと本を借りられないけれど、将来的には上田地域図書館情報ネットワークのようなサービスを取り入れたいですね。

 

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(左)かわら美術館の企画展「みえるような、みえないような」(9月18日で終了)。(右)高浜市の歴史に関する常設展示。いずれも写真撮影はOKとのこと。 

長久手市中央図書館と江南市立図書館を訪れる

 Wikipediaに記事「長久手市中央図書館 - Wikipedia」と「江南市立図書館 - Wikipedia」を作成しました。写真もそれぞれWikimedia Commonsにアップロードしています。

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(地図)名古屋圏における長久手市江南市の位置。OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

 「長久手市中央図書館」のバイト数は約18,000バイトで、「江南市立図書館」は約14,000バイトです。本文の文字数はだいたい4,000字。読み手にも書き手にも優しい、手ごろな記事サイズだと思います。内容はそれほど濃くないので、もっと文章を絞ってもよいと思うけれど。今まで作成した記事は約700、うち図書館記事は約30。18,000バイトというのは700記事の平均よりやや上だと思われますが、図書館記事30記事の平均よりは下かもしれません。

 

長久手市中央図書館

長久手市中央図書館 - Wikipedia

Category:Nagakute Central Library - Wikimedia Commons

 長久手市は2012年に市制施行した、愛知県でもっとも新しい市です。「全国でもっとも平均年齢の若い自治体」「全国でもっとも人口増加率の高い市」「東洋経済の住みよさランキング2016で全国2位」という自治体でもあります。

 図書館は1992年に長久手町中央図書館として開館し、人口が約2倍になった現在も当時の建物を使い続けています。延床面積4,200m2、収蔵能力20万冊という設備は人口3万人の時代には過剰だったでしょうが、人口6万人の現在では窮屈さを感じない適度な広さといった感じ。人口や利用者がさらに増えるとどうなるか気になります。

 

 公式サイトで図書館年報を公開しているのは好印象。1人あたり蔵書数4.1点は全国平均(3.4点)や愛知県平均(2.9点)を上回っており、1人あたり貸出数8.4点もやはり全国平均(5.3点)や愛知県平均(6.2点)を上回っています。貸出数の1/3が市外というのも特徴。図書館の建物が古い名古屋市名東区民や守山区民が流れてきているようです。蔵書数や貸出数の数値が高い一方で、資料を活用したイベントやサービスをしている図書館ではないようです。

 2階の「特別資料閲覧室」(参考図書・郷土資料室)は事務室に声をかけないと入れません。この部屋の入室者数の統計はとっていないようですが、年間に数百人くらいでしょうか。カウンターに声をかけるだけならともかく、一般市民が事務室のドアをノックするのは躊躇します。これは改善してほしい。

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江南市立図書館

江南市立図書館 - Wikipedia

Category:Konan City Public Library - Wikimedia Commons

 江南市は人口10万人の町。古知野町時代には郡役所が置かれていた古い町で、大正・昭和初期には私立図書館の瀧文庫があり、愛知県図書館協会は1927年に「地方現存の私立図書館としては岩瀬文庫とともに最もすぐれたるもの」と評しています。

 瀧文庫があった一方で、市立図書館の開館は1976年と遅い。地元の実業家である江口碩之介から「公共施設のために」寄付を受けてようやく開館したようです。図書館らしくない場所にあるのは江口が提供した敷地に建設したから。和風の外観も図書館らしくないですが、公共施設然としておらず新鮮です。

 962m2という延床面積、12万冊という蔵書は、愛知県の同規模自治体と比べると最下位クラスです。図書館は市域の西端にあり、「郊外」という印象が強い場所にあります。1990年代末にはもう新館の建設計画が持ち上がっていますが、2005年には計画が立ち消えたとのこと。車椅子用昇降機が設置されたのは2015年になってからで、エレベーターなど当然設置されていません。江南市の当局は図書館になど興味がないのでしょう。

 

 1階の郷土資料室兼閉架書庫は、長久手市と同じく受付に声をかけないと入れませんが、古い町の図書館だけあって地域資料は多く残されています。この地域資料があるから江南郷土史研究会(1973年)が精力的に活動できるのでしょう。江南郷土史研究会の会報は月刊誌で、それ自体が貴重な地域資料になっています。

 

 瀬戸市立図書館や名古屋市守山図書館と同じような開架書庫は印象に残ります。建物の南側は1階(ブラウジングコーナー)と2階(一般開架室)、北側は1階(郷土資料室兼閉架書庫)、中2階(開架書庫)、中3階(開架書庫)で、児童書以外の一般書は基本的に開架書庫部分にあります。かつては「横田文庫」も一般開架室にありましたが、現在は受付に声をかけないと入れない部屋に追いやられています。ある意味では、一般書や「横田文庫」を犠牲にして児童書の閲覧しやすさや居心地を守ったといえます。

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(図)江南市立図書館のフロアの模式図。

 

 予約サービスの開始、週の定期休館日の撤廃、鉄道駅への返却ポストの設置などは、いずれも近隣地域では早い時期に行ったようです。館内の設備には難があるものの、窮屈さや息苦しさは感じません。これは凄いことだと思います。広さを死守している児童書コーナーで子どもが声を出していてもいい雰囲気があります。図書館を建てる行政の人はいまいちでも、実際に図書館を運営する図書館職員の意識や能力が高いのでしょう。

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武雄市図書館を訪れる

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(写真)JR佐世保線武雄温泉駅

 

 8月9日と8月10日、九州北部の4図書館を回った。1日目の最後には武雄市図書館を訪れた。2016年2月以降、意識して図書館を訪れるようになってから170館目くらいで、ついに訪れることができた。

 2016年11月には海老名市立図書館を、2017年2月には高梁市図書館を訪れ、この8月には武雄市図書館のほかに多賀城市立図書館も訪れている。海老名市と高梁市の経験からTSUTAYA図書館にはわりとよい印象を持っていたが、武雄市図書館の地域資料コーナーにはがっかりすることとなった。

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(地図)OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

佐賀県武雄市について

 佐賀県武雄市は人口約5万人の自治体。TSUTAYA図書館の所在地では宮城県多賀城市(6万人)よりも少なく、岡山県高梁市(3万人)よりも多い。それほど拠点性のある自治体には見えないけれど、県庁所在地の佐賀市などに吸い取られているようにも見えず、佐賀県内における立ち位置はよくわからない。中心駅の武雄温泉駅には特急が停車しているし、数年後には在来線の横に長崎新幹線の駅が開業する。

 人口は1980年代をピークに減少しているけれど、備中高梁駅前のような悲壮感はない。ただ駅前にはこれといった商業施設がないし、温泉街は駅の反対側なので観光地らしさもない。駅前には4車線道路があったが交通量は少ない。駅も道も立派な割に人が少ない、不思議な駅前を歩いて武雄市図書館に向かった。 図書館までの道程にはTSUTAYAじゃないCDレンタル店があった。あとで「T.スクエアー」という名前をググったが公式サイトすら出てこない。

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(左)武雄温泉駅南口。新幹線駅になるだけあって立派。(右)駅前の立派な4車線道路。奥に武雄温泉駅が見えている。

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 (写真)CDレンタル店「T.スクエアー」。

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(左)道路脇のサインボード。(右)武雄市図書館の建物。建物より右側の「御船山」に目がいく。

 

鍵付き書棚の地域資料

 他のTSUTAYA図書館と同じように、地域資料の一部は鍵付きガラス戸の書架に入っており、わざわざスタッフに頼んで鍵を開けてもらわないと手に取れない。これらの文献の「ジャンル」が「その他 / 希少本 / 希少本」だからだ。地域資料全体における鍵付き書架の比率は、TSUTAYA図書館4館のなかで武雄がいちばん高いように感じた。一度に閲覧できるのは1つの書架だけ。読みたい文献が複数の書架に分散している場合は、何度かに分けてスタッフに鍵を開けてもらう必要がある。

 要するに、

【スタッフを呼んで書架の鍵を開けてもらう】

【スタッフの前で読みたい文献を抜き取る】(これすごく嫌)

【スタッフに書架の鍵を閉めてもらう】

【閲覧席で文献を読む】

......

【スタッフを呼んで書架の鍵を開けてもらう】

【読んだ文献を書架に戻す】

【スタッフに書架の鍵を閉めてもらう】

という作業を繰り返す必要がある。

 

武雄市図書館」について調べる

 Wikipedia記事「武雄市図書館 - Wikipedia」はTSUTAYA図書館反対派の宣伝媒体のようになってしまっており、48,000バイトという分量の割に2013年以前の記述が薄い。 初めて訪れる図書館で必ずしてるように、今回も武雄市図書館そのものについて調べ、2013年以前の記述を加筆できるかどうか探ってみた。

 手始めに『武雄市史』を探したが地域資料コーナーには見当たらない。近くのOPACで調べてみると、現代史が掲載されている中巻はレファレンスカウンターの奥の棚に1部あるだけらしい。自治体史が気軽に手に取れない場所にあるとは驚き。レファレンスカウンターに行ってみるとスタッフがいなかったので、書架の整理をしていたスタッフを呼んで『武雄市史 中巻』を手に取る。たいしたことは書かれていなかったが一部をコピーした。

 鍵がかかっていない地域資料も見た後に、鍵付き書架の攻略に取り掛かる。まずは『武雄市の教育 平成28年度版』から。図書館によるとこの文献は「希少本」扱いされているので傷などつけたら大変。おそるおそる慎重にページを開くが、案の定たいしたことは書かれていなかった。それ以外の文献にもやはり、たいしたことは書かれていない。

 一度に閲覧できる鍵付き書架は1つだけ、ということは、その都度コピーを行う必要がある。再びコピー機に向かうと、先ほどのスタッフはやはりカウンターにいない。書架の整理を行っていたスタッフをもう一度呼びつけてコピーをさせてもらった。さらに20分後、やはり書架の整理を行っていたスタッフを呼びつけて別の文献のコピーをさせてもらい、その20分後にも書架の整理を行っていたスタッフを呼びつけてまた別の文献のコピーをさせてもらった。この流れにスタッフがうんざりしているように見えたので、コピーは4回目でやめた。

 そもそも図書館に言及している文献が少ない上に、言及している数少ない文献もこの扱い。この図書館は、この自治体は、きっと地域資料なんて読んでほしくないのだろう。武雄市について調べるときは隣の伊万里市民図書館のほうが役に立つのではないかと思った(行ってないけど)。「鍵付き書架」と「書庫」、どちらが閲覧者にとって使いやすいかは悩ましいが、見えているのに自由に手に取れない鍵付き書架にはいらいらする。OPACでの検索に慣れている者にとっては、鍵付きの書架にあるくらいならいっそのこと書庫にあったほうが使いやすい。

 

貸出カードについて

せっかくなので貸出カードを作成した。Tポイントが貯まる「Tカード」ではなく「図書利用カード」を選び、何冊か借りてからすぐに返却してみた。この利用者カードは明らかにリライト式(上書き式)のデザインなのに印字はできない。

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(写真)こちらは武雄市図書館の「Tカード」。Wikimedia Commonsより。作者 : Asacyan。

 

写真撮影について

よく知られているように、TSUTAYA図書館は館内の写真撮影を禁じている。武雄市図書館の館内にはベタベタと「撮影禁止」の掲示があり、海老名・高梁・多賀城と比べて明らかに多い。

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 写真がないのもアレなので、館外から窓ガラスや植栽を撮った写真を掲載しておく。すっかり日が落ちた閉館間際に撮ったので、たまたま館内が見えている。

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Wikimedia Commonsから二次利用された写真

Asturio Cantabrioが撮影してCCライセンスでWikimedia Commonsに投稿した写真が使用されたサイトを拾ってみた。主にGoogleの画像検索("Asturio Cantabrio" -"hatenablog" -"Wikipedia")で検索して出てきたもの。

 

宇都宮市役所

媒体 : Jタウンネット(2017年6月2日)

記事タイトル : Bリーグ初代王者になった「栃木ブレックス」って、どんなチーム?

クレジット : Asturio Cantabrioさん撮影、Wikimedia Commons

URL : https://news.biglobe.ne.jp/trend/0602/0382899912/jtn_town20170602171539_jpg.html

栃木ブレックスを紹介する記事。NBL最終シーズンのプレーオフリンク栃木ブレックスvs三菱電機ダイヤモンドドルフィンズの試合を観に宇都宮市に行った際に撮った写真。

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大和市文化創造拠点シリウスのペッパー

媒体 : Electronics 360(2017年9月9日)

記事タイトル : Seven Things a Robot Can Do, and Three More That It Can't

クレジット : Asturio Cantabrio, CC BY-SA 4.0 via Wikimedia Commons

URL : http://electronics360.globalspec.com/article/9768/seven-things-a-robot-can-do-and-three-more-that-it-can-t

2016年の図書館総合展最終日、まだ開館して10日と経っていない大和市文化創造拠点シリウスを訪れて撮った写真。なんでこのペッパーの画像を使おうと思ったんだろか。

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細見美術館

媒体 : Wow! Japan(2016年7月7日)

記事タイトル : 京都で琳派の作品を鑑賞できる場所5選

クレジット : Asturio Cantabrio/Wikimedia Commons

URL : https://wow-j.com/jp/Allguides/kyoto/sightseeing/00369_jp/

写真としてはいまいちなんだけど、Wikimedia Commonsにはこの画像以外に細見美術館の画像はない。

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静岡県立中央図書館

媒体 : デイリー新潮(週刊新潮 2017年7月13日号掲載)

記事タイトル : 蔵書で床が抜けそうに…「静岡県立中央図書館」が臨時休館

クレジット : Asturio Cantabrio / Wikimedia Commons

URL : https://www.dailyshincho.jp/article/2017/07160557/

2016年夏に訪れて撮った写真。うっかりレンズの汚れを拭き忘れ、白いモヤのようなものが写っている。恥ずかしい。大手出版社と県立図書館の組み合わせでWikimedia Commonsの画像が使用されるとは驚き。

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大津市立図書館

媒体 : おおつうしん

記事タイトル : 【今日は何の日?】1981年 浜大津大津市立図書館が開館する

クレジット : (by Asturio Cantabrio)CC-BY-SA

URL : http://oo24n.jp/today/1126.html

個人運営のメディアとかキュレーションサイトとかの中で、運営者の著作権意識が高いサイトは、Wikimedia Commonsの画像って重宝するだろうな。

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愛知教育大学の正門

媒体 : だいがくアシスタンス

記事タイトル : 愛知教育大学 教育研究基金

クレジット : Author:Asturio Cantabrioさん、License:CC-BY-SA-4.0

URL : https://daigaku-assist.jp/product/aichikyoiku/%E6%84%9B%E7%9F%A5%E6%95%99%E8%82%B2%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%83%BC%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%9F%BA%E9%87%91%E3%83%BC/

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金沢海みらい図書館

媒体 : tripnote

記事タイトル : 金沢海みらい図書館

クレジット : photo By Asturio Cantabrio CC BY-SA 4.0 from Wikimedia Commons

URL : https://tripnote.jp/kanazawa/place-umi-mirai-library

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伊那市創造館

媒体 : Sygic

記事タイトル : Yi na shi chuang zao guan

クレジット : Ina city Souzoukan is a… @ Asturio Cantabrio

URL : https://travel.sygic.com/en/poi/yi-na-shi-chuang-zao-guan-poi:17347752

撮影した写真は外国語/日本国外のサイトにもいくつか使われている。

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尾張一宮駅前ビルとその周辺

媒体 : International Press

記事タイトル : Ichinomiya

クレジット : (foto Asturio Cantabrio)

URL : http://internationalpress.jp/2016/12/16/policia-japonesa-investiga-posible-asesinato-suicidio-padre-e-hijo/ichinomiya/

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飛騨市立図書館

媒体 : Suki Suki Japan(2017年2月7日)

記事タイトル : Take a trip to “Your Name(Kimi no Na wa)” in real life!

クレジット : Photo: Hida City Library by Asturio Cantabrio Wikimedia Commons with CC License Attribution

URL : http://sukisukijapan.com/your-name-kimi-no-na-wa-seichi/

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飛騨市立図書館の『君の名は。』特設コーナー

媒体 : Hi Net新聞(2017年6月21日)

記事タイトル : 看完《你的名字》不過癮?來去日本飛驒輕旅行

クレジット : 圖片提供: Wikimedia Commons/Asturio Cantabrio

URL : http://times.hinet.net/magazine/cp141/20257023

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松川村図書館を訪れる

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真はすべてCategory:Matsukawa Village Library - Wikimedia Commonsにアップロード済です。

 

北安曇郡松川村

 豊科駅から再びJR大糸線に乗り、信濃松川駅で降りて松川村図書館に向かった。この日は安曇野市豊科図書館、松川村図書館、安曇野市中央図書館を訪れてから長野市に移動して「第16回 県庁夜講座」を見学する予定だった。平日昼間のJR大糸線の運行本数は1時間に約1本。駅から図書館までの移動時間も含めた滞在時間は1館2時間。ざっくりいうと11時-13時は豊科町、13時-15時は松川村、15時-17時は穂高町というスケジュールだった。

 

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 OpenStreetMapを加工。安曇野で訪れた3館。

 

 地図を見ると松川村から高瀬川を挟んで対岸には池田町がある。松川村と池田町は人口も面積も同じくらい。Wikipediaによると池田町は1970年(10,245人)から2015年(9,926人)にかけてわずかに減少しているけれど、松川村は1970年(6,342人)から2015年(9,948人)には1.5倍になっている。こんなに近いのだったら翌日のWikipedia LIB@信州のために池田町図書館の写真を撮ってくればよかったと思った。

 地図上では双子都市のようにも見えるけれど、松川村と池田町の間に橋は1本しか架かっていない。かつては池田町に池田鉄道(1926年-1938年)という鉄道路線が通っていたらしいけれど、信濃松川駅から分岐していたのではなく、安曇追分駅から分岐していたらしい。

松川町」という名称の自治体は全国に4つあるらしいけど、「松川村」はこの安曇野だけ。平成の大合併以降は自然豊かな「村」のイメージが良いこと、同県内にはすでに松川町があることもあって、いつまでも町制を施行することなく松川村なのだろう。

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(写真)小学校の傍らにある公園にはかぼちゃが実ってた。

 

松川村図書館を訪れる

 信濃松川駅から松川村図書館までは徒歩5分。駅前通りを西に進むと、松川村役場の南側に多目的交流センター「すずの音ホール」がある。Google Mapでは道程の途中にセブンイレブンがあることになっているけれど、これは巧妙な罠だ。

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(写真)多目的交流センター「すずの音ホール」。

 

 2009年に開館した「すずの音ホール」の核は全席可動250席のホールと収蔵能力5万冊の図書館。図書館に入るとすぐ左手にはランドセル置場があった。図書館の東側には松川村立松川小学校があり、学校帰りの来館を想定しているらしい。実際にランドセル置場が利用されている光景を見てみたかったが、この日は夏休み真っ最中ということでランドセルはなかった。

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(左)松川村図書館の入口。(右)入口にあるランドセル置場。

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(左)館内の入口側半分。(右)館内の奥半分。

 

 まずは館内を歩く。南側・西側の閲覧席からは芝生広場が見える。平面図を見ると「すずの音ホール」は長方形ではなく、図書館部分だけが松川中央公園に向かって突き出している。背もたれがゆったりしたソファのような席、読書やちょっとした学習に便利な席、子どもが座りやすい低い席など、それほど広くない館内にはいろんな座席がある。

 文芸書の書架にある著者名仕切りには作家の顔写真が添えられているし、顔写真以外には生年・出身県・主な作品・受賞歴などがわかるようになっている。読んだことのない作家の作品を手に取ってみたくなる仕掛けなのだけど、他の図書館で同じアイデアを見たことがないのはなぜだろう。顔写真がない作家も何人かいたけれど、大半の作家には顔写真がついていた。

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(左)1人用の閲覧席。(右)ソファ席と机を囲む席。

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(左・中)辻村深月の著者名仕切り。(右)顔写真のないさくらももこ

 

 館内の手前側半分には低い書架、展示スペース、インターネット用パソコンなどがあり、館内の奥半分には高い書架がある。高い書架の中でいちばん目立つ部分には新刊コーナーがあった。実数はそれほど多くないのだろうけれど、展示の仕方のせいか多く見える。新刊が多い(多く見える)というのは利用者にとって嬉しいこと。私の住んでいる自治体は新刊の見せ方が下手なので「蔵書数は多いが古い本しかない」というイメージをぬぐえない。

 奥側の高い書架には一般書と児童書が混配されている。参考図書と一般書の混配は何度か見たことがあるけれど、一般書と児童書の混配を見るのははじめてかも。じっくり眺めているとなかなかおもしろい。

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(左)新刊本コーナー。(右)一般書と児童書の混配の様子。3類。

 

 掲示板の「みんなのおすすめ本」、その隣の「わたしの本バコ」、ヤングアダルトコーナーの「松川中学校図書委員オススメ本」は利用者と図書館をつなぐ仕掛け。本好きの交流の場にもなりそう。ヤングアダルトコーナーからは、(図書館職員だけでなく)実際の利用者の意見が反映されているようなにおいがする。

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 (左)「やまおとこの持ち物展」。(右)村上春樹の特集展示。

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(写真)利用者と図書館をつなぐ掲示板と本箱。

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 (写真)ヤングアダルトコーナー。中央は「松川中学校図書委員オススメ本」。

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(左)児童書。(右)おはなしのへや。

 

記事「松川村図書館」について考える

 現時点で、Wikipediaに「松川村図書館」という記事は存在しない。2回開催されたWikipediaLIB@信州でも、たまたま松川村図書館は題材にならなかった。

 松川村図書館は図書館界では知名度がある図書館で、ウェブ検索すると「長野県上伊那路の図書館からの報告」や「松川村に図書館をつくる」のようなページが見つかるし、国立国会図書館サーチでは棟田さんが書いた「長野県・松川村図書館 美術館のある村の楽しい図書館」(『図書館雑誌』2017年5月号)などの文献が見つかる。『あうる』2009年8-9月号にも何か載っているのかもしれない。

 書籍では『明日をひらく図書館』(青弓社、2013年)に「いま、村の図書館が面白い」という文章が掲載されている。『松川村誌』は1988年刊行なので図書館の記述はないだろうが、公民館図書室について何か書いてあるだろうか。『市民タイムス』や『信濃毎日新聞』などの地方紙でも松川村図書館に関する記事が期待できそう。

 翌日の「WikipediaLIB@信州 #02 【小諸編】」で作成した「池田町図書館」や「松川町図書館」に比べると文献が集まりやすそうだし、なによりWikipediaに記事があってほしい図書館だと思う。

 とはいっても、私自身が作成することには消極的。『図書館雑誌』や『明日をひらく図書館』は愛知県でも閲覧できるけれど、新聞記事や自治体広報誌は閲覧できない。私が作成するとなると中途半端な状態で投稿せざるを得ないのは明らかなので、だったら図書館の方、地元の方、松川村図書館に愛着のある方に作成してもらいたいと思っている。

 

おわり

 はじめて訪れる図書館では、館内を一通り歩いた後に写真撮影のためにカウンターに声をかける。この日は館長の棟田さんがいないことはわかっていたけれど「館長さんはお休みですか?」と聞いたら(こちらは某海獣さんの名前は出してないのに)「後で●●●さんと一緒に来るって言ってました」という返事が返ってきた。この司書さんは3月の「WikipediaLIB@信州 #01」に参加して私の顔を覚えていてくれたらしい。松川村図書館を訪れることは誰にも言わずに来たのに、しかもそ知らぬふりして話しかけたのに、一発で特定されるとは。図書館員に観察眼は重要ですよね。まあパソコンを入れた重いリュックを背負ってたのでよそ者なのは一目瞭然ではあった。●●●さんと棟田館長が来たのは私が松川村図書館を出てから1時間半後くらいだったようです。

 

 

安曇野市の図書館を訪れる

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
このブログにおける文章・写真は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。写真はすべてCategory:Azumino Public Toyoshina Library - Wikimedia CommonsCategory:Azumino Public Central Library - Wikimedia Commons にアップロード済です。

 

 

8月19日(土)に開催された「WikipediaLIB@信州 #02 【小諸編】」の前日、JR大糸線沿線にある安曇野市豊科図書館、松川村図書館、安曇野市中央図書館を訪れた。

 

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(地図)OpenStreetMapより。松本市の北西方向にある安曇野の図書館。

 

安曇野市の図書館

安曇野市 - Wikipedia

3町2村が合併して2005年に誕生した安曇野市の人口は約9万6000人。長野県の自治体の人口は、長野市(37万人)、松本市(24万人)、上田市(16万人)、飯田市(10.0万人)、佐久市(10.0万人)、安曇野市(9.6万人)とつづく。安曇野市となった3町2村の人口は、Wikipediaによると穂高町(3.2万人)、豊科町(2.8万人)、三郷村(1.8万人)、明科町(0.9万人)、堀金村(0.9万人)の順で、旧穂高町と旧豊科町はそれなりに大きな町だったらしい。

 

合併後の安曇野市は旧穂高町・旧豊科町・旧三郷村の3か所に交流学習センターを建設しており、それぞれ安曇野市図書館の本館または分館が入っている。2009年には穂高交流学習センター「みらい」に安曇野市中央図書館が、2011年には豊科交流学習センター「きぼう」に安曇野市豊科図書館が開館し、2018年には三郷交流学習センターに安曇野市三郷図書館が開館する予定。

 

 

安曇野市豊科図書館

豊科駅から安曇野市豊科図書館へは徒歩15分。閑散とした駅前から古びた旅館「八千代館」「あづみ館」を横目に駅前通りを歩く。駅から5分ほど歩いて横切る千国街道糸魚川街道)沿いが中心市街地らしく、銀行や飲食店などがひしめく中に「まちづくり会館」という建物があった。観光案内所的な建物かと思って訪れたが、そうではないみたい。

 

法蔵寺の脇にある路地を抜けると、橙色の屋根で統一された文化施設群が見えてくる。芝生広場を囲むように豊科交流学習センター「きぼう」と安曇野市豊科近代美術館がある。「きぼう」には中世ヨーロッパの修道院を思わせるようなロマネスク風の回廊(陳腐な表現)があるが、この外観は単なるイメージの演出であって、館内はありきたりな複合施設のそれだった。

安曇野市による交流学習センターの紹介文を読むと、「きぼう」の建設費は約12億円。全体の床面積は3,200m2、図書館部分の床面積は956m2。開架に6万冊、閉架に6,000冊を収蔵できるとのこと。

https://www.city.azumino.nagano.jp/uploaded/attachment/5338.pdf

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(左)左が安曇野市豊科近代美術館、右が豊科交流学習センター「きぼう」。(右)豊科図書館の入口。

 

合併前の旧豊科町と旧穂高町にはほとんど人口に差がない。中央図書館をどちらに建設するか議論があったのでは。結局安曇野市役所は旧豊科町に、安曇野市中央図書館は旧穂高町に建設されている。豊科図書館の床面積は中央図書館の約半分、開架収蔵能力は中央図書館の40%。数値だけ見ると差を感じるものの、豊科図書館は人口3万人という町の規模に見合った施設に見える。

特設コーナーには映画監督の「熊井啓」コーナー、山岳写真家の「田淵行雄」コーナー、山岳関連門コーナーなどがあった。山岳コーナーの本には表紙が茶色く変色している本が多く、旧館時代には書庫から出されることもなかった本ばかりなのだろうと思った。新着本コーナーは面展示が中心で、他館の新着本コーナーよりもずっと存在感があった。

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(上左・上中)書架。(上右・下左)閲覧席。(下中)新着本。(下右)自動貸出機と蔵書検索用PC。

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文化施設群の手前には安曇野市役所があるが、壁面が赤と橙で塗られた外観は福祉施設みたい。合併から10年後の2015年に開庁したばかりらしい。交流学習センター3館と市役所には合併特例債を惜しみなく使っていそう。

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(写真)穂高交流学習センター「みらい」に隣接している安曇野市役所。

 

 

安曇野市中央図書館

安曇野市豊科図書館の後には松川村図書館を訪れたあと、大糸線を引き返して安曇野市中央図書館を訪れた。穂高駅はWikipediaに「安曇野観光の拠点駅」とあるように、駅前には飲食店や観光案内所が建ち並んでいて人通りも多い。豊科町とは違って穂高町は鉄道駅が街の中心にある。穂高交流学習センター「みらい」は穂高駅と柏矢町駅の中間付近にある。

穂高駅から「みらい」までは約1.5km、徒歩20分を歩くつもりだったが、駅前の自転車店「しなの庵」がレンタサイクルをやっていたので利用した。「ふつうの」自転車と「クロスバイク」があるとのことだったのでクロスバイクを選ぶと、こちらの身長も聞いたうえでCorratecの立派なのを出してくれた。小売価格では7万円くらいの自転車だと思うけれど、1時間200円(今回は2時間利用した)、補償金なし、身分証などの確認もなし、という驚きのサービス。「レンタサイクルを利用したい」というだけですぐに自転車を出してくれて、料金は返却時に支払う。盗難などのリスクがあるのではないかと聞いたら「(利用者は)だいたいちゃんと返してくれる」とのことだった。

 

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(左)レンタルしたクロスバイクと「しなの庵」。(右)穂高駅前のカフェ「ひつじ屋」。

 

「きぼう」とは異なり「みらい」は市街地から離れている。安曇野市による交流学習センターの紹介文を読むと、「みらい」の建設費は約16億円。全体の床面積は4,100m2、図書館部分の床面積は1,761m2。開架に15万冊、閉架にも15万冊を収蔵できるとのこと。地方の都市で1,761m2のワンフロア型図書館は数値以上に広く感じる。

安曇野市中央図書館では地域資料の充実ぶりが印象に残った。地域ゆかりの著名人についての棚はどこの図書館にもあるとはいえ、図録など収集しにくい文献も多かったし、ひとりひとりについて新聞記事スクラップが用意されていた。図書館の歴史について調べているものとしては、「安曇野市図書館」についての新聞記事スクラップがあったことはポイントが高い。その大部分は市民タイムスの記事だった。

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(写真)穂高交流学習センター「みらい」。右は芝生広場に面したブラウジングコーナー。

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(左)書架。(右)地域資料コーナー。

 

豊科図書館でも中央図書館でも公衆無線LANサービスが利用でき、ICタグを導入しているので自動貸出機があった。AVコーナーには都市規模に不釣り合いなほどたくさんのPCが置かれている。ただ、図書の貸出は依然としてカウンターが中心に見えたし、無線LANが使いこなされているのかはよくわからない。

中央図書館のブラウジングコーナーは公園に面しており、大きなガラス窓から芝生広場を眺めながら本を読むことができる。ブラウジングコーナーは書架部分に比べてかなり照明が抑えてあり、静かに文芸書を読むにはとてもよい図書館だと思う。

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(左)自動貸出機。(右)AVコーナー。

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(左・右)児童書。

 

新館なのに後付けの案内表示をベタベタ貼っているのは見苦しいと思った。利用者からの意見に真摯に対応した結果、なのだろうけれど。

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(写真)蔵書検索用PC。