振り返ればロバがいる

Wikipediaの「利用者:Asturio Cantabrio」によるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。図書館におけるウィキペディアタウンの開催を推進しており、ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録などを書きます。

久美浜湾をレンタサイクルで一周する

2018年11月のよく晴れた日に、京都府北部の久美浜湾をレンタサイクルで一周しました。

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国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。作成者はさかおり。

 

この日は京都丹後鉄道の「海の京都ふっこう周遊パス」(一日乗車券)を使った。京都丹後鉄道の普通列車・快速列車・特急列車自由席に乗れるし、丹海バスの路線バスにも乗れるので行先の幅が広がる。

今回は久美浜駅京丹後市によるレンタサイクルを借りた。走行距離は約20km。過去には自分のロードバイクで一周したこともあるけど、今回はママチャリなので疲れた。レンタサイクルの公式サイトには久美浜湾一周のモデルコースも掲載されているけれど、ママチャリでの久美浜湾一周はお勧めしない。

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(左)京都丹後鉄道の普通列車の車内。(右)ふっこう周遊パス。

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(左・中)久美浜駅。(右)久美浜駅舎にあるカフェ「Culoco」。2018年8月11日オープン。隣の京丹後市観光協会の職員による運営かとおもったら民間らしい。

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(写真)久美浜駅とレンタサイクル。

 

旧・久美浜町の中心部である久美浜地区には、1927年竣工の旧久美浜町役場、1928年竣工の旧久美浜県庁舎玄関棟、1930年竣工の久美浜公会堂などが残っている。町の中心には観光の核になる豪商稲葉本家もあって、街中をうろうろするのは楽しい。

旧・久美浜町久美浜地区はかつて熊野郡役所の所在地であり、明治初期には県庁所在地でもあった。長明寺の山門の前には「久美浜縣立久美浜縣小学校発祥の地」の碑がある。久美浜県は1868年から1871年まで存在した。1871年から1876年までは豊岡県となり、1876年にようやく京都府に組み込まれた。

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(左)旧久美浜町役場。(中)京丹後市役所久美浜庁舎。元・久美浜町役場。(右)「久美浜縣立久美浜縣小学校発祥の地」。

 

久美浜湾の南側には円錐状の甲山があるけれど、北側にも三角形が美しいじじら山(四神ヶ岳)がある。しじら山の東側には小天橋に形成された湊宮地区がある。

小天橋は久美浜湾と日本海を隔てる砂州のこと。久美浜湾と日本海の間に幅が最大300mしかない砂州が形成されている。久美浜湾と日本海を結ぶ長さ1km程の河川は運河のように見える。現在は自動車橋と歩行者専用橋が1本ずつ架かっているけれど、現在の自動車橋以前はどうだったんだろう。歩行者専用橋の湊小橋はGoogle mapでは表示されない。

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(写真)じじら山。

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(写真)久美浜湾と日本海をつなぐ河川と、河川に架かる湊小橋。

 

湊宮地区には久美浜湾側に湊漁港がある。久美浜漁村センターの前にはカニが並べられていた。なお、久美浜湾中央部に突き出している岬のせいで、湊宮地区から久美浜地区は見えない。かつては今よりももっと拠点性のある地区だったんだろう。

湊宮地区の京丹後市立湊小学校は2014年3月をもって閉校。神崎地区に新設された京丹後市立かぶと山小学校までは4kmの距離がある。「湊中学校跡」の碑もあったけど、久美浜町立湊中学校とは1949年に閉校になった中学校らしい。

小天橋を挟んで久美浜湾の反対側は日本海であり、夕日ケ浦まで約6kmの砂浜が続く海水浴場がある。この日の日本海はとても穏やかだった。湊宮地区の西側には旅館があるけれど、東側には民宿が30軒以上も集まっている。

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(写真)湊宮地区の湊漁港。

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(写真)旧・京丹後市立湊小学校。

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(写真)日本海と海水浴場。 

 

おひるごはんは道の駅くみはまSANKAIKANで定食を食べた。周りの客はみんなバイキングを食べてた。

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(写真)道の駅くみはまSANKAIKAN。

 

かぶと山駅から南に2.5kmの距離には学校図書館界で話題の京都府久美浜高校がある。変化のない水田の中を通るため実際の距離以上に長く感じる。かぶと山駅まで京都丹後鉄道で来たうえで駅に置いた自転車で通学している生徒もいるのだとか。この日は学校見学日とのことで校門付近に先生方が多数立っており、校門を何食わぬ顔で通り過ぎてからこっそり校舎を撮影した。カヌー部が強豪だそうで、1987年に初開催された全国高等学校カヌー選手権大会では男女ともに優勝しているらしい。

久美浜高校の近くには旧・京丹後市立海部小学校がある。2014年3月をもって閉校したとのことだけど、訪れた際に校門や校舎は開いていたので現役の小学校に見えた。

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(左)京都府久美浜高校。(右)旧・京丹後市立海部小学校。 

 

白壁の塀に囲まれた敷地にある平屋建てが久美浜地域公民館。壁面の汚れが歴史を感じさせる南側半分が久美浜図書室である。図書室は1991年に開館したとのことだけど、建物自体はいつからあるのだろう。

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(写真)京丹後市久美浜図書室。

 

京都丹後鉄道で網野駅まで移動し、徒歩で網野市街地へ。駅から市街地までは約2kmの距離がある。京丹後市役所網野庁舎の西側には丹後地域地場産業振興センター「 アミティ丹後」があり、特産品の展示販売を行っている。網野町出身のプロ野球選手である野村克也の博物館「野村克也ベースボールギャラリー」があった。アミティ丹後は野村克也の母校でもある網野小学校の跡地に建っている。

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(写真)網野駅

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(写真)アミティ丹後。野村克也ベースボールギャラリー。

 

アミティ丹後の北側には京丹後市立あみの図書館がある。2002年に網野町立あみの図書館として開館。2014年の福知山市立中央図書館開館前は京都府北部で、2017年の宮津市立図書館開館前は丹後地方でもっとも新しい図書館だった。京丹後市にはあみの図書館のほかに峰山図書館がある。

天井部分にふわっと垂れている布は丹後ちりめんらしい。郷土資料の多くは畳コーナーにあり、靴を脱がないと手に取れない。珍しいかも。京丹後市の行政資料は少ない。図書館開館時に元向日市教育長の松尾幸之助氏から寄贈された本を集めた松尾文庫が目に付く。

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(写真)京丹後市立あみの図書館。

 

京都丹後鉄道で岩滝口駅まで移動し、徒歩で岩滝市街地へ。網野と同じく駅から市街地までは約2kmの距離がある。与謝野町立図書館は2001年に岩滝町立図書館として開館。2006年の3町合併で与謝野町が発足して現在の名称となった。旧・野田川町には野田川分室が、旧・加悦町には加悦分室がある。

岩滝口駅から与謝野町立図書館まで歩く途中、与謝野長宮津市中学校組合立橋立中学校の東側にある「糸嘉機料店」なる商店がある。プロ野球選手の糸井嘉男阪神)の実家らしい。

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(左・中)与謝野町立図書館。(右)糸嘉機料店。

守山市立図書館を訪れる

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守山市立図書館の所在地。OpenStreet Mapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

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(図)守山市の人口の変遷。

 

 

 2018年11月1日に新館が開館した守山市立図書館「本の森」を訪れました。

守山市立図書館 本と人、人と人がが出会う場所 - 公式サイト

 

 守山市滋賀県の湖南地方にある人口約8万人の自治体。現在も人口は増え続けており、JR東海道本線守山駅の駅前にはマンションやショッピングセンターが並んでいて20万都市のよう。守山駅西口から2kmほど郊外に向かって歩くと、滋賀県立総合病院・守山市民病院や難関進学校滋賀県立守山高校などが集まっている地区があり、県立守山高校と県立総合病院に挟まれた場所に守山市立図書館があります。

 道路に面しているのは約40m、奥行きが約120mと縦長で、建物は3つの部分に分かれています。南側の正面入口から入った場所がカフェなどがある「木もれび広場」、左手が多目的広場などがある「つながる森」、右手が図書館の本体部分である「本の森」です。公式サイトを見てもこの複雑な形状の建物を理解できる案内図は掲載されていないし、図書館内の案内図は冗談かと思うレベルでした。ただし実際に図書館内に入ってみると、縦長の形状もあって現在地は把握しやすい。

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 (左)建物の正面入口前。ここを自転車置き場にしてしまったのか。(右)図書館入口。

 

守山市立図書館の沿革

 守山市立図書館は1978年に延床面積600m2で開館しました。戦後の滋賀県には彦根市立図書館、水口町立図書館、滋賀県立図書館、近江兄弟社図書館(私立)、江北図書館(財団立)の5館しか存在しない状況が長く続いており、守山市立図書館は「戦後の滋賀県に建設された初の公立図書館」だったそうです。初代館長は『滋賀の図書館 歴史と現状』(1980年)を書く平田守衛。

 1991年に増築を行って延床面積は2,688m2となりましたが、2012年度には湖東4市(守山市草津市栗東市野洲市)の中で他市からの貸出数がずばぬけて多かったのが守山市だったそう。2016年11月から2018年8月には550m2の仮設館で図書館業務を行い、2018年11月1日に開館したのが4,169m2の新館です。滋賀県公共図書館の新館が少なく、2014年開館の東近江市五個荘図書館以来の新館開館だと思われます。

 

カフェ「Cafe Gankodo」

 正面入口を入った場所には「Cafe Gankodo」があります。「本のがんこ堂」という守山市の書店が運営しているカフェで、図書館のリクエストランキング上位の本や隈研吾に関する本の棚があるなど、書店らしさが出ています。蓋つきのカップをリクエストすれば、このカフェで買った飲み物を図書館内に持ち込んでよいみたい。ドリンクとスープのみで食事はできず値段はやや高め、という点は気になります。訪れた際には図書館の利用者の数と比べるとカフェの利用者は少なかった。

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(写真)Cafe Gankodo。

 

図書館内の写真

 館内の写真撮影は「基本的にはお断りしている」とのこと。「個人的に図書館に関する調べものをしている」と伝えて撮影申請書を書き、首から下げる写真撮影許可証をもらいました。

 守山市立図書館の設計者はTOYAMAキラリ(2015年開館)や「雲の上の図書館」(2018年6月開館)などと同じ隈研吾建築都市設計事務所です。例によって「県産の木材を多く使った開放的な作りが特徴」とのことですが、2度訪れたTOYAMAキラリで感じたような高揚感はありませんでした。“金色” を感じるTOYAMAキラリと違って守山市立図書館の館内は “クリーム色と灰色” が基本で、什器の違いなどもあってまったく印象が異なります。建築以外の点についても、写真に撮りたいと思うポイントがなかなか見つからず、漠然と各コーナーを撮った写真ばかりになってしまいました。

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図書館1階

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(写真)図書館中央部。

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(左・中)視聴覚資料コーナー。(右)閉架書架の様子が見える場所がある。

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(左)雑誌コーナー。(右)雑誌コーナーから見た地域資料・参考図書コーナー。

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(写真)地域資料コーナー。

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(写真)地域資料・参考図書コーナーの閲覧席

 

図書館2階

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 (写真)図書館中央部の吹き抜け部分。

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(左)インターネット用パソコン席。(右)閲覧席。いずれも1階を見下ろせる場所。

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(左)ティーンズコーナー。(右)ティーンズコーナー近くの学習席。

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(写真)一般書の書架。

府中市立中央図書館を訪れる

 

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(写真)ルミエール府中。

 

ルミエール府中

 図書館総合展3日目の朝、9時の開館と同時に府中市立中央図書館を訪れました。府中市の中心駅である京王府中駅から徒歩10分、「ルミエール府中」という複合施設にあります。調布市と同じでとてもよい立地。

 

この「ルミエール府中」という施設、1階と2階は会議室・調理室・音楽室などの府中市市民会館であり、3階と4階が府中市立中央図書館です。エレベーターを上がって3階に向かうのですが、エレベーターに加えて白色の外観やカフェの存在なども「くわなメディアライブ」(桑名市立中央図書館)に似ているな…と思ったら設計者(佐藤総合計画)が同じなのですね。ルミエール府中にはくわなメディアライブと同じようにPFI方式が採用されており、2004年開館の桑名市から3年遅れの2007年に開館しています。

 

 2000年代半ばというのは、ICタグや自動貸出機などのICT関連の設備が当たり前になり始めた時期という気がします。府中市立中央図書館は「日本で初めてRFID(無線ICタグ)を活用した予約図書受渡システムを導入」した図書館だそうです。カウンター前の一等地に自動貸出機やインターネット用パソコンなどが並んでいますが、この年代以前の図書館のような後付け感はありません。新着図書の書架や返却図書の書架には茶色とクリーム色のラインが印象的なICタグの読み取り機がついているのですが、こんな設備を2007年から導入していた図書館があったのですね。

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(左)自動貸出機。(中)インターネットコーナー。(右)予約図書コーナー。

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(左)新しく入った本の書架。(右)返却された本の書架。3列も。

 

 ルミエール府中の延床面積は14,000m2で、うち図書館部分は6,000m2だそうです。大多数の自治体よりも広いのは差し置いても、書架がゆったりと並んでいる印象です。什器を後から増やさない、とか無駄な(と思ってしまう)貼り紙を貼らない、ということを意識してそうです。

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 個人文庫(特別文庫)は4つ。植物学者である大賀一郎 - Wikipediaの大賀文庫、歴史研究家である渡辺紀彦の渡辺文庫、歌人である冷水茂太の冷水文庫、東京国立博物館写真室所属の塩野直茂の塩野文庫。各地の図書館にあるこの手の個人文庫はどう活用すべきなのでしょう。府中市立図書館ではカウンターから近い場所に個人文庫があり、ウェブサイトには4氏に関するひととおりの説明があります。

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(左)大賀文庫。(右)渡辺文庫ほか。

 

 「本の処方箋」というコーナーがありました。表紙を隠した本の展示(ブラインドブック)に利用者の紹介文が添えられていて、どんな気分の時に適しているかわかるマークも付いています。その隣にあったテーマ展示「書庫散策」は閉架書庫の資料をジャンルごとに紹介しているそうで、この日は「朝鮮・韓国文学」特集でした。いろんな図書館がやっている展示方法に一ひねり加えている印象です。

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(左・中)「本の処方箋」。(右)テーマ展示「書庫散策」。

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(写真)雑誌コーナー。

 

  児童書エリアの入口には、子ども用のフロアマップ、子供用のOPAC、子ども用のリクエストカードなどがありました。図書館の児童書部分を何かに意識して見ることはないのですが、子どものころから図書館の使い方とか図書館の仕組みとかを意識できる環境があるのはいいな。

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(写真)児童書エリア。

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(写真)おウィーンな雰囲気のウィーンコーナー。

 

ここでは撮影申請書に住所氏名や撮影目的などを記入すると撮影許可証が手渡されます。さすが都内の図書館だけあって図書館見学者の対応には手馴れている。おひるごはんはルミエール府中1階にある「カフェ&レストラン ロータスガーデン」で食べました。似たような時期にできた似たような複合施設である岡崎市図書館交流プラザ「りぶら」にはコンビニしかないため、使いやすい手ごろなカフェがあるのはうらやましい。

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(左)撮影許可証。(右)「本日のランチ」はしょうが焼き。

 

府中市立宮町図書館(旧・府中市立図書館)

 ごはんを食べた後には2007年まで府中市立図書館本館だった府中市立宮町図書館を訪れました。この図書館は大國魂神社の境内にあり、府中駅から徒歩5分とやはりアクセスが良いです。1967年の開館時には多摩地区最大の図書館だったそうで、往時の図書館年報などを読んでもその点は誇らしげです。
 府中市郷土の森博物館には1967年以前に府中市立図書館が入っていた建物(旧府中町役場)が移築されて残されているそうで、2世代前までの図書館の建物がすべて残っているのは珍しいと思いました。

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(左)大國魂神社。(右)宮町図書館が入るふるさと府中歴史館。

調布市立中央図書館を訪れる

 図書館総合展の際に訪れた図書館
首都圏には頻繁に訪れることができません。過去に図書館総合展で上京した際には、パシフィコ横浜に行く前に海老名市立中央図書館(2016年)や大和市文化創造拠点シリウス(2017年)などを訪れています。今年は総合展2日目を途中で抜け出して神奈川県立図書館を訪れ、3日目の朝から午後にかけて府中市立中央図書館、府中市立宮町図書館、調布市立中央図書館、千代田区立日比谷図書文化館を訪れました。

 調布市立中央図書館といえばWikipediaLIBなどにも参加してくださっているK館長がいる図書館です。京王調布駅から徒歩5分くらい、調布市役所に隣接した複合施設「調布市文化会館たづくり」の中という文句なしの立地です。

 

調布市立中央図書館
 調布市文化会館たづくりの外観を見ると、豊田市中央図書館が入っている豊田参合館と同じくらいの規模に見えます。しかし建物内の図書館の位置づけはだいぶ違うみたい。まずは1階から図書館までどう行けばいいのはわからず、フロアの中央部から伸びているエスカレーターに乗ってしまいました。図書館にはエレベーターで行くのが正解でした。1995年の開館から23年が経過していることで、開館当初からある書架以外の部分にも本が並ぶ館内は窮屈に見えます。また、参考図書・地域資料室の入口部分が狭い点も設計者に意図を聞いてみたいと感じます。

 初めて訪れた図書館ではその自治体の図書館の歴史を簡単に探ることにしていますが、この図書館では自館の歴史に関する文献がとりわけ目につきます。中でも2018年3月に発行された『調布市立図書館50年の歩み』は参考図書並みの厚さであり、400ページ超の大ボリュームは図書館史ながら鈍器や漬物石にもなりえます。
調布市立図書館 - Wikipedia」の記事には映画の「え」の字も見あたりませんが、調布市は市を挙げて「映画のまち調布」をPRしています。調布駅には「日活スター手型モニュメント」があり、市内の公園には「映画俳優之碑」と「調布映画発祥の碑」があり、調布市立中央図書館には参考図書・地域資料室の一角に映画資料室がありました。Wikipedia記事を書いてくださった方はウィキペディアタウンの参加者だろうか。 

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(写真)調布市文化会館たづくり。近くで見るとでっかい。


1980年の多摩地方における映画館

7館 立川市(立川松竹映画劇場、立川セントラル劇場、立川中央劇場、立川名画座東映立川南座、立川錦座、立川大映劇場)

7館 武蔵野市(吉祥寺東映、吉祥寺ムサシノ、吉祥寺東宝、吉祥寺セントラル、吉祥寺スカラ座、吉祥寺アカデミー、吉祥寺松竹オデオン座)

6館 八王子市(八王子東宝、八王子にっかつ、八王子東映、八王子松竹、ニュー八王子映画劇場、あんぐら劇場)

3館 町田市(町田ロマン会館、町映ローズ劇場、町映グリーン劇場)

2館 三鷹市三鷹文化劇場、三鷹オスカー)

2館 府中市(府中国際劇場、府中新映座)

2館 国分寺市国分寺東映国分寺国際劇場)

1館 昭島市(拝島映画劇場)

1館 小金井市(小金井名画座

1館 国立市(国立スカラ座

1館 清瀬市清瀬映画劇場)

0館 調布市ほか多数

 

調布市の映画館
私が作成している映画館の情報データベース「消えた映画館の記憶」によると、1980年の多摩地方には上記の自治体に映画館がありました。「映画館のまち」御三家の立川・武蔵野(吉祥寺)・八王子はもちろん、調布市より規模の小さい自治体にも映画館があったわけですが、調布市からはすでに映画館が消えていました。調布市は「映画のまち」ではあっても「映画館のまち」ではなかったようです。なお、1980年代以後にはパルコ調布キネマ(1989年-2011年)が開館し、現在はイオンシネマシアタス調布(2017年-)がありますが、立川市の立川シネマシティや吉祥寺のココロヲ・動かす・映画館○などのような個性豊かな映画館はありません。

 

同じく「消えた映画館の記憶」によると、映画黄金期の1960年の調布市には「調布映画劇場」と「調布銀映」という2館の映画館があったそうです。初めて訪れる町ではその町にかつてあった映画館の情報を探してみるのですが、調布市立中央図書館で『目で見る調布・狛江の100年』などの地域資料をめくっても、これらの映画館の情報は出てきません。これだけ立派な映画資料室がありながら地元の映画館の情報が得られないとは何事か、と思ったのですが……

 

まちの資料情報館

図書館の文献では情報を得られなかった代わりに、調布市立図書館が取り組んでいるウェブサイト「まちの資料情報館」には両館についてのページがありました。調布市立図書館が市民と協力して行っている『図書館の地域情報化事業』の一環だそう。調布映画劇場の閉館は1972年以前、調布銀映の閉館は1963年以前ということで、そもそも郷土資料がないのですが、郷土資料がなかったら自分たちで作るという取り組みはすばらしい。郷土資料の収集というのは図書館の重要な役割ですが、収集のみならず郷土資料の作成とか発信とかを目に見える形で行っているわけです。2007年の現行館開館から継続して行っているようで、1年や2年では絶対にできない、役に立つ郷土資料になっています。

lib-machi.chofu.com

 

調布映画劇場 - 「調布市立図書館 市民の手によるまちの資料情報館

調布銀映 - 「調布市立図書館 市民の手によるまちの資料情報館

 

hekikaicinema.memo.wiki