振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

瑞穂町図書館を訪れる

(写真)瑞穂町図書館の入口。「Mizuho town library」のネオンは夜になると緑色に光る。

2022年(令和4年)5月、東京都西多摩郡瑞穂町の瑞穂町図書館を訪れました。「瑞穂町の映画館」からの続きです。
 
初めて瑞穂町を訪れました。町公式サイトを見ても町名の読みが書かれていませんが、「みずほちょう」ではなく「みずほまち」だそうです。この春には『ポプラディア』第三版における自治体名の読みの訂正が話題になっていますが、ポプラ社スタッフだけでなく我々一般市民のためにも、町名の読みをどこかに記載してほしい。
図書館は2022年(令和4年)3月22日にリニューアル開館したばかり。来館者数はリニューアル前の2.5倍になるなどして注目を集めています。
 

1. 瑞穂町図書館を訪れる

1.1 図書館の歴史
瑞穂町は在日米軍横田基地がある町。防衛施設周辺の整備等に関する法律に基づき、1973年(昭和48年)に防衛施設庁からの補助金を受けて図書館が建設されました。
当時の瑞穂町の人口は約2万人であり、この規模の町としては早い時期の単独施設です。1977年(昭和52年)と1984年(昭和59年)に増築されています。
1970年代には周辺自治体でも防衛省補助金を受けた公共施設が相次いで建設されたみたい。約半世紀経った今、これらの公共施設が一斉に改修の時期を迎えているそうです。2022年(令和4年)には特定防衛施設周辺整備調整交付金を受け、中央棟の増築や3階部分の減築などを含めた大規模な改修を行ってリニューアル開館しました。

(写真)1973年に防衛省補助金を受けて建設された旨の石碑。
 
1.2 図書館の館内
設計は静岡県牧之原市立図書交流館「いこっと」なども手掛けたスターパイロッツ。設計費5000万円を含めた総工事費は約6億円ですが、新築した場合の約12億~15億円と比べると半分以下に抑えられているそうです。「いこっと」は図書館部分と共用部分の境界の曖昧さが特徴的な図書館ですが、瑞穂町図書館におけるスターパイロッツ側の売りはなんだろう。

(左)モバイルバッテリー貸し出しサービス。(右)オリジナルの読書手帳。

(左)児童向け企画「図書館で謎を解け!」。(右)自動貸出機・蔵書検索機。

 

箱形の建物の外観は歴史を感じさせますが、館内は什器からサインまで様々なものが取り換えられており、新築された図書館にしか見えません。とはいえ書架の中身は古さを感じさせるものであり、たっぷり資料費のある自治体の新館とは差を感じます。

とはいえ、ただの改修で済ませずに市民向けワークショップを行ったり、気鋭の設計事務所を設計者に選んだり、「利用者が2.5倍に」などという新聞記事が出て話題を集めたりする辺りは、図書館側の意気込みを感じました。

(写真)新刊コーナー。

(左)多摩だるま。(右)新聞コーナー。

(左)授乳室や幼児向け閲覧席。(右)1階の書架。

(写真)おはなしコーナー。

(写真)窓際のソファ席。

 

リニューアル時の目玉として「大瀧詠一コーナー」があり、常設展示の実現に向けて担当者が尽力されたとのことですが、何も知らない町民にはその努力が伝わらないかもしれません。

(写真)大瀧詠一コーナー。ミュージシャンの大瀧詠一瑞穂町在住だった。

(左)2階に上がる階段。(右)階段とその周囲の書架。

(写真)横田基地から贈られたクマ。

(左・右)2階の閲覧席。

(左)閲覧席のサイン。(右)自動販売機コーナー。水・茶・コーヒーの無料給水機がある。

1.3 郷土資料
初めて訪れる図書館では必ず映画館に関する調査を行いますが、半世紀前から単独施設がある図書館としては郷土資料がいまいちです。もともと防衛省補助金で建設された図書館であり、熱意ある市民や行政が主導したものではないからかもしれません。
 
「みずほ学」エリアには地場産業である村山大島紬が展示されていましたが、特に文献と絡めた展示ではなかった。「みずほ学」は大きくとらえた郷土資料のエリアでちょっとおもしろい構成でした。

(左)(右)。

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