(写真)はたや記念館 ゆめおーれ勝山。
2021年(令和3年)7月、福井県勝山市を訪れました。かつて勝山市には「勝山劇場」と「勝山中央館」の2館の映画館がありました。「勝山市立図書館を訪れる」からの続きです。
1. 勝山市の映画館
かつて勝山市には「勝山劇場」と「勝山中央館」の2館の映画館がありました。
(写真)1968年の勝山市の航空写真における映画館の位置。※中央館の閉館後。地図・空中写真閲覧サービス。
3.1 勝山中央館(1951年-1965年頃)
所在地 : 福井県勝山市下袋田98-5(1965年)
開館年 : 1951年
閉館年 : 1965年頃
1955年の映画館名簿には掲載されていない。1956年・1958年・1960年・1963年・1965年の映画館名簿では「勝山中央館」。1966年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「建雷神社」北の空き地。最寄駅はえちぜん鉄道勝山永平寺線勝山駅。
戦後の1951年(昭和26年)に開館し、勝山劇場よりも早い1965年(昭和40年)頃に閉館したのが中央館です。本町通りの裏通りにあたる岸ノ下通りにあった映画館ですが、入口はお種坂に面していたかもしれません。所在地である下袋田という町名は現存しませんが、元禄通りよりも北、本町通りよりも東にあたり、下袋田区民会館などの施設名として残っています。
勝山市立図書館が所蔵する『勝山花街繁昌記』には中央館のイメージ図が掲載されていました。ファサードは洋風ですが、背後のホール上部の屋根は和風に見えます。
(写真)中央館のイラスト。『勝山花街繁昌記 昭和懐顧録』勝山地区エコ推進協議会、2009年。著作権は切れていません。
(地図)勝山市の中心市街地。建雷神社の近くに中央館跡。『勝山まちなかガイド物語 改定版』勝山市観光ガイド・ボランティアクラブ、2014年。著作権は切れていません。
(写真)中央館の跡地にある空き地。左の坂はお種坂。右の石垣は七里壁。
3.2 勝山劇場(1940年-1977年頃)
所在地 : 福井県勝山市本町1-5-6(1977年)
開館年 : 1940年10月
閉館年 : 1977年頃
『全国映画館総覧 1955』によると1935年4月開館。1943年・1950年・1953年・1955年・1958年・1960年・1963年・1966年・1969年・1973年・1976年・1977年の映画館名簿では「勝山劇場」。1978年の映画館名簿には掲載されていない。跡地は「浄敬寺」北西50mにある駐車場。最寄駅はえちぜん鉄道勝山永平寺線勝山駅。
大正時代に開館した勝山座を引き継いで1940年(昭和15年)に開館したのが勝山劇場です。『勝山花街繁昌記』によると、河原町通りに沿った場所には飲食店が立ち並んでおり、東側に1軒分入った場所に入口があったようです。
(写真)勝山劇場のイラスト。『勝山花街繁昌記 昭和懐顧録』勝山地区エコ推進協議会、2009年。著作権は切れていません。
勝山劇場の跡地は駐車場となっています。勝山劇場と河原町通りの間にはスナックの廃墟がある雑居ビルがありますが、このビルは勝山劇場の営業時(1940年-1977年頃)からあった建物かもしれません。
(写真)勝山劇場の跡地にある駐車場。
(写真)勝山劇場と河原町通りの間にある雑居ビル。
1977年(昭和52年)頃に勝山劇場が閉館すると、勝山市から最も近い映画館は大野市の「亀山座」になります。1980年代初頭には亀山座も閉館し、奥越から映画館がなくなりました。勝山市民が映画を観るためには福井市まで足を運ぶ必要があります。最も近い映画館はシネコンの福井コロナシネマワールドのようです。
勝山市の映画館について調べたことは「福井県の映画館 - 消えた映画館の記憶」にまとめており、跡地については「消えた映画館の記憶地図(福井県版)」にマッピングしています。