(写真)福知山駅と市民交流プラザふくちやま。2018年11月。
2020年(令和2年)3月、京都府北部の福知山市を訪れました。関連記事として「福知山市の映画館」があります。
1. 福知山市を訪れる
福知山市は京都府北部に位置する市。近世には福知山城の城下町となり、近代には京都市・伏見市に次いで京都府で3番目に市制施行した自治体です。福知山城は明智光秀が縄張を築いた城であり、2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に合わせて、期間限定で福知山光秀ミュージアムが開館しています。
(地図)京都府における福知山市の位置。©OpenStreetMap contributors
2. 福知山市を歩く
2.1 新町商店街
現在の福知山市唯一のアーケード商店街として新町商店街があります。北端は広小路通り、南端はお城通り付近。全長470mのアーケード商店街であり、南端部の一部分は内記新町商店街と呼ばれているようです。建物や看板が残っている商店は多く、跡地が駐車場や洋風住宅になる歯抜け商店街とは言えないものの、シャッターを閉めた商店が目立ちました。
(写真)新町商店街の看板。(左)南端部の内記新町商店街。(右)新町商店街。
(写真)新町商店街のアーケード。
新町商店街の中央部には、紳士服店「愛友堂」の空き店舗を利用した厨房付きレンタルスペース「アーキテンポ」がありました。2019年(令和元年)6月からレンタルスペースとして運用されており、日替わりで食堂・エスニック料理店・ラーメン店・洋菓子店・カフェバーが運営されています。この日は農家の夫婦による「ミヤサイ食堂」が営業していました。
新町商店街の南部には、やはり空き店舗を利用した福知山公立大学まちかどキャンパス吹風舎(ふくちしゃ)があります。福知山公立大学のメインキャンパスは郊外の丘陵地にあり、吹風舎は課外活動の拠点になっているようです。この大学は2000年(平成12年)に学校法人成美学園による成美大学として開学し、2016年(平成28年)に福知山市が設置者となって福知山公立大学に移行した大学です。舞鶴市・宮津市・豊岡市なども含めた北近畿唯一の4年制大学であり、高校卒業後も若者を北近畿につなぎ留めておくためにも、公立化の意義は大きいと思われます。
(写真)新町商店街にあるリノベ物件。(左)レンタルスペースのアーキテンポ。(右)福知山公立大学まちかどキャンパス吹風舎。
2.2 広小路商店街
福知山市の中心市街地には広小路商店街(広小路通り)があります。広小路通りの幅員は23m。江戸時代初期に市街地が全焼する大火が相次いだことから、福知山藩は元禄12年(1699年)に火除地として広小路を造成し、近世には茶店や旅館が並ぶ繁華街に、近代には貸座敷や芝居小屋が増えて歓楽街にもなったようです。戦後には福知山市に4施設あった映画館のうち3施設が広小路にありました。2012年(平成24年)から2019年(令和元年)にはアーケード撤去と電線地中化の工事が行われ、いっそう広々とした印象になりました。
(写真)広小路商店街。正面は御霊神社と御霊公園。
(写真)広小路商店街。左写真のビルが福知山市商工会館、右写真の三角屋根が福知山シネマ。
2.3 御霊神社周辺
広小路商店街の西側、御霊神社と御霊公園周辺では広小路通りがクランク状になっています。御霊神社の創建はそれほど古くなく宝永2年(1705年)とのこと。明智光秀を祭神として祀っているため、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の影響で今年は参拝者が多いかもしれません。境内には1953年(昭和28年)の台風13号で由良川が氾濫した際の水位を示す看板が立っているほか、堤防をご神体とする全国唯一の神社である堤防神社もありました。
(写真)御霊神社がある御霊公園。
御霊神社の南側には中ノ町飲食街があり、約100mの道路沿いにスナックなどが多数あるほか、料理旅館「三到」や「京屋旅館」といった旅館もありました。中ノ町飲食街の途中からは東側に浮世小路という路地が分岐しています。
(写真)中ノ町飲食街。
2.4 福知山駅前
北近畿でショッピングセンターやスーパーマーケットを多数展開する企業としてさとうがあります。1971年にはさとうの旗艦店として福知山駅前店が開店。その巨大さと古びた外観には存在感がありますが、2019年11月14日に閉店しています。
(写真)閉店したさとう福知山駅前店。
3. 福知山市立図書館本館
1995年(平成7年)から2016年(平成28年)まで、福知山市は約20年をかけて福知山駅の高架化にともなう土地区画整理事業を行いました。北口と南口に広大な駅前広場が作られ、2014年(平成26年)6月21日には福知山駅前に市民交流プラザふくちやまが開館しました。核となる施設は福知山市立図書館本館であり、1972年(昭和47年)開館の福知山市民会館から移転しています。
(写真)図書館が入る市民交流プラザふくちやま。2014年開館。
福知山市立図書館本館の書架や椅子は白色、カーペットは緑色で統一され、サインなどの赤色がアクセントになっています。従来の図書館のイメージを覆す配色であり、全面がガラス張りのファサードも含めて気分が高揚する施設です。
郷土資料コーナーの前には開館時から鍵付きの貴重資料書架があります。この貴重資料書架にはほとんど資料が収められておらず、数年にわたって無意味な書架と化していましたが、2019年(令和元年)後半には福知山城にあった明智光秀関連資料が図書館に移管されたことで、「明智光秀コレクション」の書架となりました。鍵がかかっているのは相変わらずであり、利用者が自由に手に取って見ることはできません。見せ方の下手さが歯がゆい。
市民交流プラザふくちやまや福知山駅にはフリーWi-Fiが設置されていません。この種の駅前型複合施設には必須の設備だと思われますが、設置の要望は多くないのでしょうか。
(左)福知山市立図書館本館の館内。(右)新着図書。