振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

稲沢市立祖父江の森図書館を訪れる

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(写真)稲沢市祖父江の森図書館。2019年7月。

2019年(令和元年)7月と2020年(令和2年)10月、愛知県稲沢市稲沢市立祖父江の森図書館を訪れました。関連記事として「祖父江町の映画館」があります。

ayc.hatenablog.com

 

1. 稲沢市祖父江地区を訪れる

1.1 イチョウと植木/苗木の町

中島郡祖父江村が町制を施行したのは約120年前の1896年(明治29年)。現在の祖父江地区は尾張地方で目立つ町ではないため、町制施行がこれだけ古いことに驚きます。祖父江町 - Wikipediaを見ると、1921年(大正10年)の祖父江町の人口は約1万3000人もありました。海部郡津島町とほぼ同等、中島郡稲沢町よりも多く、愛知県では第13位の人口を有する大規模な自治体だったようです。ただし歴史的にみれば、尾張国府や美濃路の宿場町が置かれた稲沢市のほうが町の格は高く、2005年には祖父江町平和町稲沢市編入されています。

祖父江地区の特産品としてはギンナンがあり、愛知県で生産されるギンナンの97%、全国で生産されるギンナンの約30%が祖父江町産だそうです。名鉄尾西線山崎駅の近くには祐専寺がありますが、山崎地区に植えられたイチョウの原木があることから、毎年晩秋には「そぶえイチョウ黄葉まつり」の会場のひとつになります。山崎地区にはとてもイチョウ畑が多く、下に掲載した航空写真に写っている林の大半はイチョウ畑です。

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(写真)祐専寺。2019年7月。(左)「祐専寺のイチョウ」と本堂。(右)稲沢市指定天然記念物「祐専寺のイチョウ」。

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(写真)山崎地区のイチョウ畑。国土地理院 地理院地図 航空写真 全国最新写真に加筆

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(写真)黄葉が見ごろの山崎地区。2020年10月。

 

祖父江地区や旧稲沢市地場産業としては植木/苗木が知られており、稲沢は川口(埼玉県)・池田(大阪府)・久留米(福岡県)とともに日本の「四大植木生産地」のひとつとされています。もっとも植木業者が多いのは稲沢市矢合町周辺ですが、名鉄尾西線沿線の祖父江地区にも多くの植木/苗木畑があります。植木/苗木畑の背後にイチョウ畑があることも多く、単純な野菜畑はほとんど見られません。

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(左)苗木畑とイチョウ畑。2019年7月。(右)苗木畑。2019年7月。

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 (左)サトイモ畑とイチョウ畑。2019年7月。(右)サトイモ畑と植木畑とイチョウ畑。2019年7月。

 

1.2 新町通り

「そぶえイチョウ黄葉まつり」直前の11月には何度か祖父江地区を訪れており、また何度も稲沢市立祖父江の森図書館を訪れていますが、祖父江地区の中心市街地を訪れたのは初めてです。中心市街地にある善光寺東海別院 - Wikipediaは本堂が立派で、本堂の正面では蓮の花が見頃でした。

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 (左)善光寺東海別院本堂。2019年7月。(右)東海別院境内に咲くハスと涅槃像。2019年7月。

 

岐阜県羽島市から木曽川を越えて愛知県名古屋市に至る八神街道は、祖父江町中心市街地では新町通りと呼ばれており、通り沿いには商店街「新町発展会」が形成されています。中心市街地の南端には旧村社の高熊八幡社がありますが、新町通りの商店街の西端付近と東端付近には小規模な神社があり、商店街の東西の神社間の距離を測ると約350mでした。新町通りの東側には木造の旅館「澄川屋」がありますが、花乃屋菓子舗の店主によると「平成15-16年に廃業した」とのことです。この静かな町で平成の中頃まで旅館が営業していたことに驚きます。

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 (写真)新町通りの商店街「新町発展会」東部。2019年7月。(左)料理屋「びやす」や旅館「澄川屋」。(右)旅館「澄川屋」。

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 (写真)主人に映画館の話を聞いた「花乃屋菓子舗」。2019年7月。

 

 

2. 稲沢市立祖父江の森図書館

稲沢市立祖父江の森図書館は中島郡祖父江町時代に開館した図書館であり、稲沢市祖父江の森と呼ばれる文化ゾーンの一角にあります。イチョウで知られる町だけに、図書館の建物はイチョウの葉を模した形状であり、館内にはイチョウの葉がデザインされたカーペットが敷かれています。祖父江の森の周辺にも多数の植木畑/苗木畑やイチョウ畑があります。

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(左)稲沢市立祖父江の森図書館の敷地入口と図書返却ポスト。2019年7月。

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(写真)稲沢市祖父江の森。国土地理院 地理院地図 全国最新写真に加筆