(写真)MOVIX清水が入るエスパルスドリームプラザ。
2020年(令和2年)6月、静岡県静岡市清水区(旧・清水市)を訪れました。
現在の清水区にはシネコンのMOVIX清水があります。かつて中心市街地には11館の映画館がありました。「静岡市清水区を訪れる」からの続きです。「静岡市清水区の映画館(2)」「静岡市清水区の映画館(3)」に続きます。
1. 静岡市清水区の映画館
1.1 映画館の歴史
太平洋戦争末期には清水市街地も空襲を受け、すべての映画館が焼失しますが、1946年(昭和21年)には新清水駅前に栄寿座が再建されました。1947年(昭和22年)にはさくら劇場が、1948年(昭和23年)にはセントラル劇場、東宝劇場が新清水駅前に開館し、新清水駅前に映画街が形成されます。
1951年(昭和26年)には国鉄清水駅前唯一の映画館としてダイヤ劇場が開館。映画黄金期である昭和30年代前半の清水市には11館の映画館があり、うち名画座とみなと劇場を除く9館が国道149号に面していました。
全国の映画館数がピークを迎えた1960年(昭和35年)の『映画館名簿』によれば、清水市の11館は静岡市(24館)と浜松市(24館)に次いで静岡県3位であり、沼津市(10館)や、三島市(8館)、吉原市(8館)を上回っています。11館中5館が静活の経営、鉄筋造の建物は清水松竹劇場・清水オリオン座の1施設のみです。
1960年代後半以降は静岡県の主要都市の中でも映画館の減少スピードが速く、1980年(昭和55年)の映画館数はわずか4館。浜松市(14館)、静岡市(12館)、沼津市(11館)、焼津市(6館)、富士市(5館)に次いで静岡県6位タイでした。1989年(平成元年)には清水市から映画館がなくなり、依然として11館を有していた沼津市とは対照的な結果となっています。
1999年(平成11年)には静岡県中部初のシネコンとしてMOVIX清水が開館。2011年(平成23年)には自主上映会として夢町座の活動が開始されています。
1.2 映画館の文献
現在も戸田書店が発行している『季刊清水』(第40号、2007年)には、清水映画サークル協議会の山本隆茂代表による「清水映画館物語」が掲載された号があります。『浜田今昔誌』(浜田地区街づくり推進委員会文化教育委員会、1987年)や『辻の生いたちと今』(辻地区まちづくり推進委員会郷土史編集部会、1990年)でも清水市の映画館の歴史が文章で紹介されています。
(写真)「清水映画館物語」が掲載されている『季刊清水』戸田書店、第40号、2007年。