振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

新発田市立中央図書館を訪れる

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(写真)新発田市立中央図書館が入っている複合施設「イクネスしばた」。

 

新潟県新発田市新発田城近くにある新発田市立歴史図書館(旧・新発田市立図書館)を訪れた後、JR新発田駅前の "駅前複合施設"「イクネスしばた」にある新発田市立中央図書館を訪れました。「イクネスしばた」は、図書館、こどもセンター(あそびの広場・一時預かり室)、市民活動施設(多目的室・音楽練習室・キッチンスタジオ)の機能を有する複合施設です。

ayc.hatenablog.com

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(地図)下越地方における新発田市の位置。©OpenStreetMap contributors

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(地図)新発田市中心市街地。地理院地図を加工。

 

佐藤総合計画による図書館

「イクネスしばた」の設計は佐藤総合計画 - Wikipedia。佐藤総合計画は図書館を核とする複合施設を多数手がけており、設計した図書館等の文化施設には以下のような施設があります。

 

鹿角市文化の杜交流館・コモッセ(秋田県鹿角市)、会津若松市生涯学習総合センター(福島県会津若松市)、高崎市立中央図書館(群馬県高崎市)、東京工業大学附属図書館(東京都世田谷区)、ルミエール府中(東京都府中市)、東京都立多摩図書館(東京都国分寺市)、河辺タウンビル(東京都青梅市)、大和市文化創造拠点シリウス(神奈川県大和市)、聖籠町立図書館(新潟県聖籠町)、岡崎市図書館交流プラザ(愛知県岡崎市)、おおぶ文化交流の杜(愛知県大府市)、くわなメディアライブ(三重県桑名市)、和泉シティプラザ(大阪府和泉市)、赤穂市立図書館(兵庫県赤穂市)、周南市学び・交流プラザ(山口県周南市)、基山町立図書館(佐賀県基山町

 

「イクネスしばた」 

1階

1階には社会福祉法人が運営する「cafe あすなろ」がありましたが、土日祝日は定休日とのこと。私だったら図書館に来てもこのカフェは使わずに、すぐ外にあるコンビニに行くと思います。1階の階段下には坪川洹平の銅像が建っています。

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(左)建物入口。(右)1階の「cafe あすなろ」

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 (左)写真撮影許可証。腕章とネックストラップを両方つける。(右)1階にある坪川洹平銅像

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 (左)1階の多目的室1。この日は学習室として開放。(中)1階の音楽練習室。(右)3階の多目的室6。

 

2階

2階はかなりの部分を「こどもセンター」が占めており、「こどもセンター」には「あそびのひろば」(遊具が置かれたフリースペース)、一時預かり室、食事コーナー、授乳室などがあります。「こどもセンター」手前にはサービスデスクがあり、一般の図書館利用者がふらりと入っていけないようになっています。「こどもセンター」の対象は未就学児とその保護者であり、小学生は利用できません。「こどもセンター」の前には育児書や関連雑誌があり、2階中央部には絵本・紙芝居・その他の児童書があります。

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(左)2階の「あそびのひろば」。中央奥に標準サイズロディが。(右)2階の児童書。

 

2階東側の一般書は、趣味・暮らし、6類(産業)、7類(芸術)など。藩政期から茶道が盛んだった新発田では和菓子の伝統もあるようで、和菓子を紹介する棚もありました。市として食育を重視しているそうでキッチンスタジオもありました。キッチンスタジオ自体は都城市 中心市街地中核施設「Mallmall」や学びの杜ののいち カレードなどにもありますが、新発田ほど一般書の書架に近いキッチンスタジオは初めて見ました。

キッチンスタジオ脇の多目的室2は昼間のみ飲食スペースに割り当てられていました。1階に1室、2階に4室、3階に2室の多目的室があり、状況に応じていろいろな使い方をしているようです。これらの多目的室を活かせるかどうかは図書館次第ですね。

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 (写真)2階の多目的室2。この日の昼は飲食スペースとして開放。

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 (左)2階のキッチンスタジオ。(右)2階の展示室。ガラス張りだし扉はない。

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 (左)3階の窓際の閲覧席。(右)2階の調査研究用閲覧席。

 

3階

3階は0類(総記)・1類(哲学)・2類(歴史)・3類(社会科学)・4類(自然科学)・5類(技術)・8類(言語)・9類(文学)に加えて、郷土資料と行政資料があります。歴史関係図書と郷土資料の多くは新発田市立歴史図書館に集められていると思われますが、中央図書館にも一定数の郷土資料がありました。

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 (左)3階の名誉市民コーナー・新潟県ゆかりの人物コーナー。刀匠の天田昭次、実業家の坪川洹平、小説家の火坂雅志。(中)2階の新発田ブランド認証商品の展示。(右)3階のテーマ展示。「令和」。

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 (写真)3階の一般書の書架。

 

外部から「イクネスしばた」の建物を見ると、冒頭の写真のようにかなり大きな施設に見えます。実際にはバックヤード部分が大きいので、1階も2階も3階も書架が窮屈に押し込められている印象です。いろいろな施設・設備を詰め込みすぎのような。特にキッチンスタジオと音楽練習室は強引に押し込んだように見えます。

せっかく市街地にもうひとつ図書館がある(新発田市立歴史図書館)のだから、こちらの図書館は駅前型の利点を生かして、ブラウジングコーナー、「こどもセンター」など "子育て世代の居場所" 、学習室やティーンズコーナーなど "中高生の居場所" に特化した図書館にしてもよかったのでは。

3階の窓際にある閲覧席は夕方以降になると学習者で埋まってしまうのでは。閲覧席と一般書の書架がとても近いため、本を借りたい利用者のほうが学習者に配慮してそろりそろりと歩かなければいけない雰囲気を感じます。南面と東面は3層分のガラス張り。冬季には窓際の閲覧席が寒そうですが、現地の方の評価を聞いてみたい。

下越地方の平野部ではありますが、雪の多い地域には変わりません。濃い色のカーペット、木製の書架、重みのある木製の照明は温かさを感じさせます。側板部分が山形になっている書架は初めて見たような気がします。書架の上部に設置されている照明は、垂れる稲穂をイメージしているそうです。

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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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