(写真)長浜別院大通寺表参道。
2019年(平成31年)1月初頭、滋賀県長浜市の長浜市立長浜図書館を訪れました。
1. 長浜市を訪れる
滋賀県長浜市は湖北地方にある人口11.5万人の自治体。琵琶湖岸には秀吉が整備した長浜城があり、市街地には長浜別院大通寺や長浜八幡宮があります。市街地を縦断するように北国街道が通り、北国街道と大通寺の間は黒壁スクエアを中心とするまちづくり事業の成功例として知られています。
平成の大合併では〈旧〉長浜市を含む1市8町が合併して〈新〉長浜市が発足。組織名としての長浜市立図書館は、長浜市立長浜図書館を中心とする6図書館3図書室の大所帯となりました。南部の平野部に6図書館が集まっており、北部に3図書室が集まっています。これらに加えて、滋賀県における現存最古の図書館である財団法人江北図書館 - Wikipediaがあります。
(地図)滋賀県長浜市の位置。©OpenStreetMap contributor。
(地図)長浜市における旧自治体と6図書館の位置。©OpenStreetMap contributor。
2. 長浜市立長浜図書館を訪れる
1952年(昭和27年)時点の滋賀県にあった公立図書館は、滋賀県立図書館、彦根市立図書館、水口町立図書館の3館のみ。1983年(昭和58年)には、戦後初・滋賀県4番目の公立図書館として長浜市立図書館が開館しました。滋賀県が図書館先進県となったのは1980年代以後のようです。このように、長浜市立長浜図書館はまだ37年目ですが、組織としての設立・建物の竣工年ともに滋賀県内では古い部類の図書館に入ります。
館内での写真撮影は不可とのこと。団体見学等のイベント時には撮影を許可することもあるそうですが、それ以外は一律で撮影不可としているようです。明快な回答だったので好感が持てました。なお、2016年に訪れた彦根市立図書館でも撮影不可と言われました。
(左)図書館外観。(中)「あぶない なだれに注意」。時期によって湖北は積雪がある。(右)図書館入口。
3. 長浜にあった映画館
私が作成したサイト「消えた映画館の記憶」の「1960年の映画館(近畿地方)」(元の出典は『全国映画館録 1960』)によると、1960年の長浜市には協映劇場(横町)、長浜東映(西本町)、大和映画劇場(南呉服町)、長浜映画劇場(永保町)の4館の映画館があったようです。京都市に近いのが理由か、滋賀県全体でも41館しかありませんでした。大津市6館、彦根市6館、長浜市4館、近江八幡市4館、八日市市3館、草津市3館の順でした。「1980年」には長浜協映と長浜東映の2館に、「1990年」には長浜協映の1館になります。
※1990年には長浜協映のほかに、長浜楽市にドライブインシアターもあった。
長浜協映にしても長浜東映にしてもウェブ上の情報で場所は特定できますが、市立長浜図書館にある住宅地図で裏付けを取りました。長浜東映は現在の滋賀銀行長浜駅前代理店の場所にあったそうです。
『長浜市史』を確認すると、長浜東映は下郷共済会文庫の建物を転用していたらしい。下郷共済会文庫は下郷久成 - Wikipedia(2代目下郷傳平)によって大正期に開館した私立図書館です。大正時代の文庫が劇場としても使えるほど大きな建物だったことや、1980年代になっても大正時代の建物を劇場としていたことに驚きます。
(左)滋賀銀行長浜駅前代理店。長浜東映跡地。(右)有名な長浜タワービル。1964年竣工。
長浜市街地に3本あるアーケード街のうち、いちばんさびれているのが浜京極商店街。アーケード中央部の東側、駐車場になっている部分に長浜協映があったようです。長浜協映が閉館したことで湖北地方から映画館がなくなり、長浜市からいちばん近い映画館は彦根ビバシティシネマとなりました。1996年の北近江秀吉博覧会以前に閉館したようですが、正確な閉館時期は不明。長浜市には滋賀夕刊新聞社 - Wikipediaという地方紙があるようですが過去の記事は調べていません。
(左)浜京極商店街。(中・右)浜京極商店街にある長浜協映跡地。
(左)アーケードの大手門通り商店街。(右)アーケードのゆう壱番街祝町通り商店街。
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